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ぽかぽかとあたたかい太陽のひかりの中、むすめは目をさましました。「あら、ねてしまったのかしら」
ふわふわとした草のベッドから、からだを起こすと、どこからともなく
「お目ざめですか」
と、声がきこえます。
「わたしをよぶのは、だれですか」
「ここです。あなたの足もとです」
むすめが見ると、小さなカエルがのどをふくらませていました。
「わたしをよんだのはカエルさんですか」
「そうです。わたしです」
「なぜ、ひとのことばをしゃべれるのですか」
カエルはかなしそうにひとこえ、ゲコッとなくと
「じつは、わたしはひがしのくにの王子でした。しかし、悪いまほうつかいにのろいをかけられて、カエルにされてしまったのです」
と、いいました。
「まあ、かわいそうに」
むすめはカエルをてのひらにのせると、やさしくなでました。
「もうにんげんにはもどれないのですか」
「たったひとつだけ方法があるのです。そのためにここへきました」
「まあ、そのために」
「はい。このくにの伝説にある、この世とあの世のあいだに住むという巨人をたおせば、のろいはとけるのです」
「ひかりの巨人のことですか。それはむりです」
「なぜですか」
「もうなん千にんものひとが、あの世へつれていかれてしまいました。きょうもひとり、つれていかれてしまったのです」
カエルはざんねんそうなかおをしました。
「そうなんですか」
むすめは、ふとなでる手を休めると
「でも、あの方なら巨人をたおせるかも知れません」
といいました。
「あの方とはだれなのですか」
むすめはきらきらと目を輝かせました。
「ローズさまです」
「そのひとは強いのですか」
「このくにではいちばん強いひとです」
「ではこのくにの王さまなのですね」
「いいえ、お姫さまです」
カエルはおどろいて目をぱちくりさせました。
「お姫さまなんですか」
「はい。でも、たいていの男のひとはかないません」
「そうなんですか」
むすめはにっこりとカエルにほほえみました。
「きょう、お城でぶとう会があります。そこにいらっしゃい。しょうかいしてあげましょう」
カエルはこえをはずませて
「ありがとうございます。じゃあこんやまたあいましょう」
というと、げんきよくぴょんぴょんとはねて、去っていきました。
R | a | m | b | l | i | n | g | R | O | S | E |
「マリア・・・マリア・・・」シゲルは、がさりがさりと乾いた花びらを踏み散らかす。
「何の意味もありゃしないよ。頭のおかしい奴のたわごとを・・・」
ぐいと時田の襟首を掴む。
「おっ、おい、何を・・・」
「ヨゼフはどっから仕入れた?」
「はっ?」
「どっから仕入れたか訊いてるんだよ所長さんっ!」
きりきりと締め上げる。
「は、放せっ・・・く、苦しいっ・・・」
「これだけの規模の施設を支えているからMAGIタイプなのは容易に想像が付く」
「・・・・」
「違法な払い下げじゃないのか?」
「話す・・・話すから・・・」
開放されると尻餅を付く。
「・・・ぐ、軍からだよ・・・い、違法とかそういう・・・」
シゲルは見下ろして
「MAGIはワンシステム開発するごとに、動作試験をする・・・そしてその検証用ミラーリングシステムが確か『ヨゼフ』と呼ばれていた・・・」
「・・・・」
「・・・そして、試験されるシステム本体が・・・」
「ま・・・まさか・・・」
「・・・『マリア』って呼ばれてたんだ」
ゆるゆると立ち上がる。
「どこかのMAGIタイプがクラッキングをしているとでも?」
「いや、国連再編後のOS再構築で検証用アクセスコマンドは削除されちまったはずだ」
「じ、じゃあ一体誰が・・・」
それには答えず
「端末ある?所長さん」
「た、端末?」
「ノート端末だよ。あんたの怪物との格闘でぶっ壊れちまったんでね」
歪んだ端末を差し出す。
「・・・シェルターの中に一台ある」
「はっ、抱えて入って縮こまってたの?大した所長さんだよあんたは」
「何とでも云うが良い。南極仕様の由緒正しきシェルターだよ」
襟を正す。
「・・・ダメだこりゃ・・・」
きらびやかなドレスをきて、むすめはお城のバルコニーのとびらをそっとあけました。「カエルさんカエルさん、どこにいるのですか」
「はい、ここです」
バルコニーのてすりに、ぴょこんとカエルがあらわれました。
「お姫さまは」
「いらっしゃいます。さあ、ここへお入りなさい」
むすめが大きくあいたむなもとをゆびさすと、カエルはぴょんとそこへとびこみました。
「つめたくないですか」
カエルがもうしわけなさそうにいうと、むすめは
「いいえ、だいじょうぶです。カエルさんもきゅうくつじゃないですか」
といいました。
「いいえ、とてもあたたかいです」
カエルはすこしかおを赤らめました。
「そうですか」
むすめもすこしかおを赤らめました。
「あ、あの方がローズさまです」
と、むすめがいうと、カエルがちらりと、むすめのむなもとからのぞいていいました。
「きれいなひとですね」
ローズは、きんいろのかみのけをして、おおきな目の下には、なきぼくろがありました。
「はい、すてきな方です」
と、むすめがいうと、ローズは大きなはねかざりをさしたひろいつばのぼうしをぬぎ、うつくしいビロードのマントをなびかせて、むすめにちかづいてきました。
「これはこれは。ごきげんうるわしゅう」
といいながら、ローズがおじぎをして、むすめの手にキスをすると、むすめは目をかがやかせて
「わたしのことをおぼえていてくださったんですか」
と、いいました。
「はい。まえにぶとう会でおあいしましたね」
ローズがほほえみながらいうと、むすめはほほを赤らめました。
「いっしょにおどりませんか」
ローズがむすめの手をとりました。
「あの、じつはローズさまにおねがいがあるのです」
「なんですか」
と、ローズがいうと、むすめのむなもとからカエルがぴょこりとかおをだしていいました。
「はじめまして」
「フェイル・セーフだと!?」シゲルは開いたシェルターを覗き込み
「ああ。マヤちゃんがヨゼフに仕込んだコマンドで実行される。実際、『コデイバ』はそれで活動を停止したんだよ」
時田に顔を向ける。
「・・・ってことは、『ドロシー』にも有るってことだろ?」
「・・・『ドロシー』をそのコマンドで停止させる気か?」
「ああそうだ。S2機関が停止すれば、ATフィールドは発生しない。ディラックの海は安定を保てず崩壊するはずだ」
「そのコマンドは判ってるのか?」
「いや」
時田は薄笑いを浮かべる。
「おいおい、判りもしないコマンドをどうやって打ち込もうってんだ?」
シゲルの顔がぐいと寄る。
「何もせず手をこまねいて見てろってのか?・・・男なら最後まで諦めずやることはやるもんだよオッサン」
「ふん・・・勝手にしたまえ」
おもむろにシェルターに突っ込まれた時田の手の先に、端末が掴まれる。
「・・・ホットライン・ターミナルは中央リフトの最下階、ターミナルポッド内に有る・・・判っていると思うが・・・」
「リフトはヨゼフの制御下に有り、稼働不可能、よってシャフトを自力で下れ・・・だろ」
「判ってるなら、良い」
時田は、かぱりと端末のディスプレイを開く
「!?・・・こっ、これは!?」
「何だ?」
シゲルが覗き込む
「これは・・・まさか!?」
ゆっくりと顔を見合わせる。
時田が口を開く。「・・・ポッド付近にATフィールド反応・・・生き残りが居る」
ローズとむすめはバルコニーにでました。「そうでしたか。あなたがひがしのくにの王子さまですか」
と、ローズがいうと、カエルはぴょんとむすめのむなもとからとびだして、ローズのかたに、ちょこんとのりました。
「どうかおねがいです。ひかりの巨人をたいじしてください」
「ううん、しかし」
かんがえこむローズにむかって、むすめが
「なにかつごうがわるいのですか、ローズさま」
と、いうと、ローズは
「あの巨人はこのくにのまもり神でもあるのです。巨人がいなくなると、このくには消えてなくなってしまうかもしれないのです」
と、くるしそうにいいました。
「そうなんですか」
カエルはざんねんそうにいいました。
「どうしようもないんですか」
と、むすめがいうと、ローズは
「はい。わたしもなんとかしたいとはおもっているのですが」
と、すまなそうなかおをしました。
「いいんです、ローズ姫さま。わたしのためにこのくにを消すわけにはいきませんから」
カエルはあかるいこえでいいました。
「さあ、むすめさん、ローズ姫さまとおどっていらっしゃい」
「おそらくコピー・バグだ。コマンドをキックしたんだな」卓のモニターを覗きながら時田は薄笑いを浮かべる。
「これだけ自己複製して、フェイルがたった二台だけとは、優秀だよ」
「あんた産まれた時からそういう性格だったワケ?」
信号コードで背中に端末を括り付け、シゲルは睨む。
それを見ずに、壁のフックからトランシーバーを一台取ると、差し出す。「今んとこは動きは無いが・・・上から指示する」
「トランシーバー?こんな骨董品使ってんのかあ?」
「作業用だよ。古くても南極仕様だ。由緒正しき・・・」
「はいはい。判りました」
時田は苦い表情のまま、ポケットから小さいカプセルを取りだす。
開く。
赤く輝く透明な球体。「・・・持って行け」
「・・・これは?」
「ニューロチップの最新ベータバージョンだ。わたしはこれに賭けていたよ。しかしな・・・」
自嘲。
「・・・こいつは設計ミスの欠陥品だ。テストではねられた」
「欠陥品?」
「・・・バラは対人プログラムに於いて、対象のタイプを見分ける」
「タイプというと?」
「・・・B-ライフのみを摂取の対象にするんだ」
「・・・B-ライフ・・・バイオロジカル・ライフか」
「そう。自然生命体のみを狙うようにプログラムされてる・・・はずだった。しかし、このチップはA-ライフを対象にしてしまう。どうしようもないケアレスミスのゴミだよ」
「アーティフィシャル・ライフ・・・人工生命体・・・ってことは」
「共食いさ。残存するバラは二台。一方にこいつをインストール出来れば・・・」
「難しいのか?」
「エンジンのセルに接触させれば良い。上書きされる。もっとも、このバージョンのチップ自体、インストールをされたことが無い。他にどんなバグが潜んでいるか・・・」
シゲルがカプセルをつかみ取る。
「おいっ、そんな乱暴に・・・な、こらっ」
時田の頭をぐいと引き寄せ、ひたいに口付ける。
「愛してるぜ、オッサン」
くらいもりをぬけると、太陽のひかりがまぶしくかがやきました。「さあ、巨人の谷につきました」
と、むすめがひたいのあせをぬぐいながらいうと、かたにのったカエルは
「むすめさん、あなたはもうおかえりなさい」
といって、ぴょんとじめんにとびおりました。
「いいえ、わたしもいっしょにカエルさんがもとにもどれるように巨人にたのんでみます」
「あの世へつれていかれてしまうかもしれませんよ」
「だいじょうぶです。巨人は神さまなんですから、いっしょうけんめいたのめば、きっとねがいをききいれてくれるはずです」
むすめが、ふかくてくらい谷ぞこにむかい、おもいっきり大きな声で
「ひかりの巨人さま、どうかでてきてください」
とさけぶと、とつぜんごうごうとつよいかぜがふきはじめました。
「わたしをよんだのは、だれだ」
じめんがゆれるほどのひくくて大きな声がしたかとおもうと、谷ぞこから、見あげるような、かがやくまぶしいひとかげがあらわれました。
「わたしをよんだのはおまえか」
「は、はい、巨人さま」
「なんのようだ」
むすめはカエルをてのひらにのせると、あたまのうえにささげました。
「このカエルさんを、どうかにんげんにもどしてあげてください」
「そのカエルを、にんげんにだと」
「そうですひかりの巨人さま。どうかおねがいします」
巨人は目をきらりとひからせると、うえをむいておおわらいしました。
「ははははは。わたしにそのカエルをにんげんにもどせというのか?」
「巨人さま、なにがおかしいのですか」
「そんなことは、のろいをかけたまほうつかいがすればよかろう」
と、巨人はわらいながらいいました。
「そんな」
と、むすめがいうと、カエルはぴょんぴょんとてのうえではねながら
「でも、このまほうをとくには巨人をたおすしかないと・・・」
といったあと、しまったというかおで、くちをおさえました。
「ふん、わたしをたおすだと?わたしをたおしたら、このくにはなくなってしまうぞ」
巨人はうすわらいをうかべて
「それでもいいのか?まほうつかいのむすめ」
と、いいました。
「えっ、まほうつかい?」
むすめはおどろきました。
「そうだ。じぶんでかけたのろいのときかたもわすれたのか?まほうつかいのむすめ」
「そんな、わたしが、王子さまをカエルに?」
「これはこれは、ほんとうにわすれてしまったようだな」
そのとき、どこからともなく、ひゅんとおとをたてて、巨人のむねにひかる心臓を目がけ、矢がとんできました。
「むだなことを」
と、巨人がいうと、矢は巨人のまえにあらわれた、ひかりのかべにはじきかえされてしまいました。
「いったい、だれが」
といって、むすめが矢のとんできたほうをふりかえると、岩山のうえにひとかげがあらわれました。
「ローズさま!」
暗いシャフトに、かつんかつんとラダーを下る足音が響く。
びっしりと壁を埋めた枯れたバラたちが、無数の花びらを闇に散らす。
トランシーバーが、ざあざあと騒ぐ。『今のところ、動きは無い。ATフィールド反応がある内は大丈夫だ。バラは獲物を見つけると、フィールドを消して気配を隠すからな』
「経験済みだよ」
腰からぶら下がったトランシーバーにつぶやく。
シゲルは一歩一歩、慎重に足掛かりを確認する。『ん?・・・気付いたか?・・・ラダーの降り口付近に移動しているぞ』
かつりと足を止め、腰のトランシーバーを頬に当て、送話レバーを押す。
「フィールドは展開しているのか?どうぞ」
『ああ、展開している。どうぞ』
「登ってくる気配は?どうぞ」
『いや、今のところ降り口付近に留まって・・・あっ』
「どうした!?」
『えたっ!フィールドが消え』
「他の反応はっ!」
『ークステーションじゃ切替に時間が』
「早くしろよ所長さんっ!」
静寂。
ぱさりぱさりと花びらの散る音。
ひゅうと風の流れる音。
足下を凝視するシゲル。
トランシーバーを取り上げる。「おいっ、どうなっ・・・」
目の端に映るぼうと光る赤。
『上だあっ!』
ひゅんと空気を切り裂く触手。
粘液と共にシゲルの身体をからめ捕り、絞り上げる。
トランシーバーがラダーに当たる。「くっ、畜生っ!」
腕は激しくもがき、余裕を欲する。
指先がズボンのポケットに入る。「も・・・もうちょい・・・」
シャフトの壁に押し付けられ、身悶える。
壁を這う醜悪な花が迫る。「くそっ!・・・もうちょいっ」
中指と人さし指に支えられた小さなカプセル。
しかし。「あっ!」
別方向から、急激な速さで触手が投げられる。
カプセルを指先から舐めとると、暗闇に消える。「何てこった・・・」
既に目の前には、巨大な花びらが口を開け、泡立つ粘液を滴らせていた。
「・・・マヤちゃん・・・ごめんよ・・・」
突然、壁に押し付けていた力が消える。
見ると、バラに絡みつく触手。
暗闇から、もうひとつの花があらわれる。「わあああっ」
ラダーから足が離れる。
びんと張ったシゲルを絞める触手が、絡み合った二つのバラを壁から引き剥がす。
シゲルは触手から解け、暗闇を落下する。「あああああああっ!」
ばふっ。
枯れた花びらのクッションに大きな窪みを作り、シゲルはその底に丸くなる。
頭を抱えた手をほどき、目を開けると、どすんと衝撃を感じる。
そっと穴から顔を出す。
触手を蠢かせ、花びらをひくつかせて、バラは勝ち誇ったように自分と同じ醜悪を飲み下している。「・・・食っちまった!?・・・こいつ・・・自分でチップを・・・」
「わたしをたおそうとは、よいどきょうだ」巨人がローズにむかっていうと、ローズは
「わたしはまちがっていた。たとえこのくにがなくなろうとも、あの世へつれていかれたひとたちをすくうのが、わたしのつとめだときがついたのだ」
と、いいました。
「ローズさま」
「さがっていなさい、むすめさん。この巨人の弱点は、あの赤くひかる心臓です。この矢でつらぬいてみせます」
巨人は、ほくそえみました。
「この、こころのかべを射ぬける矢などありはしない。神を殺せはしないのだ」
ローズは、ほほえみをうかべました。
「おまえは、神などではない。なぜなら、おまえはほろびる運命にあるからだ」
「なにい?」
「ほんとうの神は、わたしたちに使いをくださった。おまえをほろぼすために」
「使いだと?」
「そうだ。おまえはほろびるのだ」
ローズはせなかから矢を一本とると、心臓目がけ、はなちました。
「神にむかってなまいきな」
ひかりのかべは矢をはじき返すと、そのままムチとなってローズをおそいました。
「ああっ!」
ムチにうたれたローズは、岩山のうえからおちて、じめんにたたきつけられました。
「ローズさまっ!」
「キ・ボ・ウ」ぷしゅっ。
ひとひとり入れる空間に、無造作にコネクターがむき出している。
端末を接続する。「・・・よし、接続完了。エントランスが出たぞ。それから?どうぞ」
『履歴を見ろ。最近実行されたコマンドを見るんだ。どうぞ』
「・・・これか?」
ディスプレイに映る文字。
( ROSE = ******* done )
「ローズイコールほにゃららら・・・こいつが『コデイバ』のフェイルセーフコマンドらしいな。どうぞ」
『似たコマンド体系を検索するんだ。コマンドは・・・』
「はいはい判ってます。これでもMAGIオリジナル扱ってたんでねえ」
ディスプレイに流れる文字列。
やがてその内のひとつが輝き、浮かび上がる。( FROG = )
「フロッグって・・・カエルぅ?」
背後でがさりと音がする。
振り向く。
滑る粘液にぬらぬらと触手を光らせ、バラがその花弁を息づかせる。「おいおい、俺には興味は無いはずだろ?」
『どうした?どうぞ』
「それともお前、両刀使いか?」
『おい、コマンドは見つかったのか?どうぞ』
中心部から、かすかに漏れていた光。
次第に、全体を眩しく赤に照らす。「ち、ちょっと待て・・・まさか!?」
ばたばたと触手を床に打ち付ける。
「暴走ってオチかっ!?」
「ローズさまあ!」息もたえだえによこたわるローズのもとへ、むすめはかけよりました。
「だいじょうぶですか!ローズさま!」
だきおこすむすめに、ローズはくるしみながらも、やさしいえがおをむけました。
「やはりわたしにはむりなようです」
「そんな、ローズさま」
「あの巨人をたおせるのは、神の使いだけなのです」
「どこに・・・神のお使いはどこにいらっしゃるのですか?」
「わたしの目のまえにいます」
むすめはあたりを見まわしました。
「いったい、どこに?」
ローズのてが、よわよわしくむすめのほほをなでました。
「ここにいます」
むすめは目をまるくしました。
「わたし・・・ですか?」
「そうです、
マヤ」「センパイ・・・」
「マヤ、あなたはマリアによってこの世界に送り込まれた、使徒なの」
「使徒?」
「そう。マリアはこの世界を破壊するために、あなたの自我を利用しているのよ」
「わたしの?・・・何のためなんですか?」
「何千もの失われたひとびとを救うため。自分の任務を果たすためよ」
「この世界は一体・・・」
「見覚えは有るでしょう?・・・あなたが夢想する心象世界・・・これはあなたの夢なのよ」
「そんな・・・じゃあセンパイは」
「あなたの目の前に居るわたしは実在しないわ。これは、あなたの中のわたし」
「わたしは・・・一体わたしはどうすれば・・・」
「務めを果たすの。あの巨人を破壊しなさい。あなたはそのために遣わされたのだから」
「どうやって・・・」
「カエルを・・・彼を人間にするの」
「え?」
「あなたのこころの中で、彼はカエルに閉じ込められてしまった。でも、あなたも気付いているはずよ・・・自分の中で、次第に彼の占める部分が大きくなって来ていることに」
「そんな・・・そんなことありませんっ!わたしはセンパイのことがっ!」
「自分を偽らないで、マヤ。自分の夢、自分のこころの中でだけは、素直で居て」
「・・・センパイ・・・」
「女はねえ、マヤ・・・神さまに遣わされた羊なのよ。男と云う狼の中にね。だから、蛇のように聡明でなければいけないわ・・・でも、それだけではいけないの」
「・・・・」
「素直に・・・鳩のように素直であってこそ、遣わされた意味があるの」
「センパイ・・・」
「わたしは汚れてしまった・・・狼たちに汚されてしまったわ・・・でも、あなたにはそうなって欲しく無いの・・・賢く、そして純粋なままでいて欲しいのよ・・・」
「センパイ、わたし・・・」
「・・・さよなら、マヤ」
「セ、センパァイ!」
「わたしはあなたのこころから、消えるわ」
「イヤですっ・・・イヤですぅっ!」
「マヤ・・・勇気を・・・出して・・・」
「ローズさまあっ!」
ローズがしずかにいきたえると、そのからだはまぶしいひかりにつつまれました。
ごうっと云う音と共に、空気が渦を巻く。
漆黒の虚無が、醜悪な怪物の背後に邪悪な口を晒す。『おいっ、どうしたっ!どうぞっ!』
「ディ・・・ディラックの海・・・」
むすめはなみだをふいてたちあがりました。「ひかりの巨人、わたしはローズさまにちかいました。あなたをたおして、あの世へつれていかれたひとびとをすくいだします」
「ふん、じぶんのかけたのろいもとけぬような、まほうつかいのむすめが、わたしをたおせるわけがない」
「じゅもんをおもいだすまでもありません。ほんとうにひつようなものは、すなおなこころだけだからです」
「すなおなこころだと?わらわせるな、そんなものでなにができる」
むすめは目をとじ、りょうてをカエルの上にかざしました。
「王子さま・・・わたしの王子さま・・・どうかもとのすがたにおもどりください」
端末ががたがたと壁から引きちぎられ、シゲルの身体は床を滑る。『おいっ!どうしたっ!おいっ!どうぞっ!』
がつっ。
壁に叩き付けられたトランシーバーが粉々に砕けると、嵐は止んだ。
誰も居なくなったポッドに破片は落下する。
カエルはすこしづつふくらむと、しだいににんげんのすがたになっていきました。
闇に光を感じ、やがて輝きに包まれると、白い虚無の空間に滑り落ちる。
そして、ながいかみをかぜになびかせた、りりしいわかものになりました。
「マヤちゃん?」
「ごめんなさい、王子さま。わたしはあなたをカエルのすがたにしてしまいました。ゆるしてください」
「この感じ・・・マヤちゃんだね?」
と、むすめがいうと、王子は
「青葉さん・・・」
「いいえ、むすめさん。わたしは、あなたのすなおなこころをしりました。あなたのためにこの巨人をたおしてみせます」
「マヤちゃんっ!」
といって、ほほえみました。
「青葉さん・・・破壊して下さい・・・エヴァを・・・」
むすめが、ひかりにつつまれたローズのうえにてをかざすと、ひかりのなかからいちりんのうつくしいバラがすがたをあらわしました。
「エヴァ?」
「このバラは、ローズさまのたましいです。こころのかべをうちやぶるほどの、つよくてたくましいたましいです」
「エヴァ四号機を・・・暴走したS2機関を停止させて下さい・・・」
むすめは、そのバラをてにとると、そっと王子にてわたしました。
「ど・・・どこに四号機が?」
「なにものであろうとも、こころのかべをこわせはしない」
突如、目の前に赤黒く不気味に光る巨大なコアが現れる。
と、巨人がいうと、王子は、巨人の目をまっすぐに見すえました。
「これが!?・・・しかし・・・一体どうやって?」
「すべてのうしなわれしひとびとのため、いま、ここにおまえの心臓を止めてくれよう」
「そうかっ!」
そして、巨人の心臓目がけてバラをなげました。
上方を仰ぎ見ると、ゆらゆらと漂う醜悪な花。
バラはまっすぐにとんでいきました。
両手に掴む。
ひかりのかべにぶつかると、つよくかがやきました。
「ほうら、お前の大好物のA-ライフだ。食い切れないかもよ」
はげしいひかりが、火花となって、あたりにふりそそぎました。
投げ付ける。
「な、なんとつよいたましいだ・・・」
「良く噛めよっ!」
巨人はくるしそうにいいました。
コアに展開するATフィールド。
すると、かがやくバラから、たくさんのツタがするするとのびました。
バラの触手がその壁に沿って這い、ぎゅうと締めつける。
ツタは、かべをみしみしとしめつけ、くだきました。
ばちばちと火花が散り、ぎりぎりと侵食されて行く。
そして、ついにバラはかべをつらぬき、巨人の心臓にふかぶかとささりました。
やがてコアの表面にバラが深々と食い込む。
「うおおおおお、ばかな、このわたしがやられるとは」
赤黒い輝きは、断末魔と共に褪せて行く。
巨人は、さけび声とともに、谷ぞこへしずんでいきました。
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からからとドアのベルが鳴る。
クラシックの流れる喫茶店の座席で手を振る男。「マヤちゃ〜ん、こっちこっち」
(またしても・・・)
にこにこと微笑むシゲルの向かいに腰を下ろす。
「もお〜、青葉さん、恥ずかしいって云ってるじゃないですかぁ〜」
「え?何が?」
(うう・・・もうイヤ・・・)
「う〜ん・・・良いっスねえ」
「はぁ?何がですか?」
「いや、その淡いピンクのワンピース」
「そうですか?」
「やっぱり俺の為に・・・」
ニヤつく視線を遮って、黒い塊が取りだされる。
ごとりとテーブルの上に置かれるノート端末。「ま、またあ?」
携帯を繋ぎ、ディスプレイを開ける。
「ごめんなさい。研究資料の整理、やって置きたいんです。引き継ぎのこともあるし・・・」
「あ・・・そう」
かたかたとキーを叩く音が流れ始める。
横目で見ていたシゲルは窓の外へ視線を移す。「管理人さん、帰国出来たの?向こうは大騒ぎだったんだろ?そりゃあそうだよなあ、ネルフ第2支部が数千の人間と共に忽然と姿を現わしたんだもんねえ・・・」
ちらりとマヤの顔を見る。
キーの音だけが響く。「マヤちゃんさあ・・・研究資料の整理とか云ってホントは内緒の落書きの削除とかしてるんじゃないの?」
がたりとテーブルに両手をついて立ち上がる。
「そ、そんなこと無いですっっっ!!!」
静寂の店内にクラシックが流れる。
「そ、そう。・・・あ、コ、コーヒーで良い?」
赤面するマヤはこくりとうなずいて、座る。
「・・・すいませ〜ん・・・コーヒーおかわりと・・・追加一つ」
再びキーの音が流れ始める。
「・・・マヤちゃん、次どうするの?また民間の研究所?それとも副司令の口利きで大学の研究室とか・・・」
「第3の選択もあるじゃないですか」
視線はディスプレイから逸れない。
「第3・・・って、まさか」
「家庭に入ろうかとも思ってるんです」
がたりとテーブルに両手をついて立ち上がる。
「うっ、嘘だろっっっ!!!」
静寂の店内にクラシックが流れる。
「あ・・・相手が居ればの話・・・ですけど」
「お、脅かさないでよお・・・」
大きなため息とともに、座る。
頬杖をつく。「・・・ダウンロード終わった?」
「いえ、結末書いてからに・・・」
マヤが、凍りつく。
にやにやとした笑みがシゲルの表情を満たして行く。