〜はじめに〜

以下に御紹介する作品は、実はわたしの書いたものでは有りません。
ある方からメールでお送り頂いたものなのです。
と云っても、その方の作品でも有りません。

この作品とともに頂いたメールによれば、
作者を探しておられるとのことでした。
つまり、作者不明なのです。

ここに、その作品を掲載しようと思います。

作品の題名は『HAPPY END』です。

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         HAPPY END
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シンジ?見てるかしら?

あたしには、もうこれしか方法は無いの。

あんたを探すには、これしか無いのよ。


今の状況に一番ビックリしてるのはあんたじゃないの?

何もかも、笑い話よね。

だって、あたしやあんたや、皆のことがアニメになってるんだもん。

シンジなんかそっくり・・・いや、あっちのがカッコ良いかな?

何か、不思議な感じ・・・いえ、アニメのことだけじゃなくて。

20世紀の世紀末って・・・あまり変わらないのね。

人間も、音楽も、コンビニも。

ま、そりゃそうか。

みんなあんたが創りだしたんだから。

実際の20世紀がどうだったかなんて、あんたが知る由も無いもんね。


あたし・・・謝んなきゃいけない?

ホントは謝る筋合いは無いわよね。

ヒドイことしたのはあんたなんだから。

・・・あたしは当然のことを言ったまでなんだから。

そうよ。何であんたなんか探さなきゃいけないのよ。

・・・助けてもくれない、抱きしめてもくれない。

あんたはあたしを傷つけるばっかり。

愛想尽かしても当然のはずなのに・・・ね。


でも・・・ダメなの。

忘れられないのよ。

あんたのいまいましい笑顔が。

・・・あたしも落ちたもんだわ。


そうよ。

あたしともあろうものが、こんな恥ずかしいこと書くなんて。

ラヴレターなんか山ほどもらったけど、出したことなんか一回も無い。

出そうと思ったことさえ無かったもの。

え?・・・これってラヴレター?・・・

・・・そうね・・・そうよね・・・


いえ、これは返事よ。

そうよ、あんたが先に出したんだからね。

あんたが先に告白したのよ。

・・・短かかったけど。

・・・たったひとことだったけど。

あれが・・・あたしに突き刺さっちゃったんだからね。

あの砂の上の文字が。


・・・ファーストが居たわ。

波の上に立ってた。

あたしに気付かせてくれた。

あたしの中の気持ちに。


だから、あたしもあんたにあの言葉を送るわ。

あんたが書き残した言葉。

あの砂の上の言葉。



I LOVE YOU



・・・これっきりだからね。

これ一回きりだからね。

もう言わないわよ。


・・・いえ、分かんない。

逢ったら・・・分かんないわ。

違う・・・言いたいのね。

あんたに向かって。

あんたの瞳に向かって。

笑顔に向かって。


・・・逢いたいの。

堪らないの。

もう遅いのかも知れない。

もう無理なのかも知れない。

この世界のどこを探しても、あんたなんか跡形も無いのかも知れない。


でも・・・あたしは信じてる。

感じるの。

シンジを・・・感じる。

この瞬間、同じ空気を吸ってるはずだって。


そう、このままなわけが無い。

このまま終わるわけ無いじゃない。

きっと逢える。

シンジ、あんたに。

きっとそういう結末なの。

ハッピーエンドなのよ。

絶対そうよ・・・あたしが言ってるんだから間違い無いわ。


シンジ・・・見てるかしら。

どこかで、これを。

あたしの想いを。

ありったけの・・・この想いを。








































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以上です。

わたしはこの作品を知りませんでしたし、
作者にこころ当たりも有りませんでした。

何とか調べようと、掲載されているサイトをかなり探したのですが、
結局見つけることは出来ませんでした。
そしてその旨、作品を送ってくれた方に伝えたのです。

結局、それに対する返事は有りませんでした。

それが去年の秋頃でしょうか。








































しばらく、わたしはこれらのことを忘れていました。
しかし、偶然見つけてしまったのです。

ダウンロードしてある未読の小説の中から、
わたしはこれを見つけてしまいました。

『HAPPY END』を。

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         HAPPY END
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アスカ・・・見てるかな。

君の真似をしてみたんだ。

そう、読んだよ。アスカの・・・気持ち。


アスカの考えた通り、僕も驚いてる。

今僕は・・・いや、僕たちは自分たちの生まれる前を生きてる。

この1998年に。

これは僕の仕業なのに・・・分からなかったんだ。

何故なのか。


あの・・・紅い海と、何も無い砂浜で僕は何日も考えてた。

どうしてこうなったのか。

どうして、誰も居ないのか。

どうして、アスカは傷付いているのか。


・・・僕のせいだったんだ。

僕の選択は間違いだった。

誰も他人の存在なんか求めてやしなかったんだ。

あのミサトさんさえ求めてはいなかったのに・・・。

僕はアスカをつらい現実に引き擦り出しただけだったんだ。


それでも、僕はアスカと生きて行こうと思った。

アスカとなら、生きて行けると思ったんだ。


でも・・・気が付いたんだよ。

僕がアスカ以外の存在を拒絶していたことに。

アスカを傷付けているくせに、

他人に傷付けられることを怖れている、そんな自分に。


だから・・・だから僕は決心した。

今までの世界を捨て去ることを。

そして、新しい世界を創り出すことを。

それが本当の『希望』だったんだ。


たとえ、その新しい世界に僕が居なかったとしても、

・・・僕はそれでも良かった。

世界が世界として有ってさえいれば。

時が時として流れてさえいれば。


何より、この傷付いた女の子に救いが訪れるのなら・・・。


だから、砂の上にあれを書いたんだ。

もうこれで最後なら、

もう逢えないのなら、

たった一度だけ、自分の素直な気持ちを伝えておこうって。


そして・・・キスした。

意識の無いアスカに。

卑怯なマネは2度目だったけど、そうせずには居られなかった。


そして、世界は真っ白になった。


結局、僕は時間を引き戻したんだ。

セカンドインパクト前に。

全ての災厄の前に。

全ての悲劇の前に。


僕の中のエヴァやネルフの記憶はああいうカタチになった。

そして、僕とアスカはこの現実を生きている。


アスカ・・・こんなこと言うと怒られちゃうかも知れないけど、

実はアスカに逢うことは半分あきらめてるんだ。

あれだけ探したけど・・・遂に君を見つけることは出来なかった。

これだってアスカの目に触れると言う保証は無いし。

いや・・・その可能性は低いと言えるよね。

ネットは広大だもの。


だから、これは自分への言葉なんだ。

ある女の子が好きだった。

幸せにしたかった。

自分なんか、どうなっても良かった。


・・・だから、この世界を創った。


その気持ちをここに留めて置きたかった。

それだけなんだ。


逢いたい。

いや、このままの方が良いのかもね。

僕は、またアスカを傷つけてしまうかも知れない。

またアスカを不幸にしてしまうかも知れない。

きっとそうだ。

だから、このままの方が良いんだ。

これがハッピーエンドなんだ。


・・・きっと。


だから、僕は僕のこの変わらない気持ちを、

アスカへの想いを抱いて・・・生きて行こうと思う。

この・・・ハッピーエンドを。









































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わたしはこの作品が掲載されていたサイトに行ってみましたが、
残念ながらサイト自体が消えていました。

作者のアドレスは判らなかったのですが、
もしやと思い、先の作品を送ってくれた方にメールをお送りしました。
作者は、あなたなのではないかと。

しかし、今回も梨のつぶてでした。

今年の春頃の話です。








































一通のメール。
この夏、それは突然舞い込みました。

本文を見ると、そこには何も書いてありません。
ただ、表題にはたったひとことだけ書いてありました。

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Subject:“あたしの勝ち”

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そして、添付書類。
一枚のJPEG画像が一緒に送られて来ました。

それは、写真です。
どうと云うことのない、スナップ写真。

青い空と海をバックに、男の子と女の子が写っていました。

男の子は線の細い顏を伏せて、短い前髪からレンズを覗くように。
女の子は紅い髪を風になびかせ、真っ直ぐと碧眼をレンズに向けて。

しかし、ふたりの顏はほんのりと紅く染まっています。
それは男の子の手が、女の子の肩をそっと抱いているからでしょう。
しかし、その手には力強さが感じられるのです。力強い意志が。








































彼らが誰であるのか?
わたしは答えたくありません。
ただ、ひとつだけ云えることが有ります。

彼らは、今、この瞬間にも、この世界に存在していると云うことなのです。
どこかでわたしの書いたものを見ているかも知れないと云うことなのです。

だから、少なくともわたしは、彼らに恥じないような作品を書いて行きたい。

そう、それだけです。








































わたしなりのハッピーエンドを。








































おしまい













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