AAAflowerflowerflowerisisisnotnotnotaaaflowerflowerflower
AAAflowerflowerflowerisisisnotnotnotaaaflowerflowerflower
AAAflowerflowerflowerisisisnotnotnotaaaflowerflowerflower
AAAflowerflowerflowerisisisnotnotnotaaaflowerflowerflower
AAAflowerflowerflowerisisisnotnotnotaaaflowerflowerflower
AAAflowerflowerflowerisisisnotnotnotaaaflowerflowerflower
AAAflowerflowerflowerisisisnotnotnotaaaflowerflowerflower
AAAflowerflowerflowerisisisnotnotnotaaaflowerflowerflower
AAAflowerflowerflowerisisisnotnotnotaaaflowerflowerflower
AAAflowerflowerflowerisisisnotnotnotaaaflowerflowerflower
AAAflowerflowerflowerisisisnotnotnotaaaflowerflowerflower
AAAflowerflowerflowerisisisnotnotnotaaaflowerflowerflower
AAAflowerflowerflowerisisisnotnotnotaaaflowerflowerflower
AAAflowerflowerflowerisisisnotnotnotaaaflowerflowerflower
AAAflowerflowerflowerisisisnotnotnotaaaflowerflowerflower
AAAflowerflowerflowerisisisnotnotnotaaaflowerflowerflower
AAAflowerflowerflowerisisisnotnotnotaaaflowerflowerflower
AAAflowerflowerflowerisisisnotnotnotaaaflowerflowerflower

































閉じた回路。

僕の閉じられた回路。

出口を求めて身を捩る電流。

冷たくて、固くて、滑らかなリノリウムに

僕の両脚は僕の重さを載せて動かない。

それはきっと見下ろすこの光景の哀しさなんだ。

無機のステイジにそっと飾られた花。

ただ息づいている君。

303病室を満たす低い機械音。

僕を責める。

静かに滴り落ちる点滴の滑らかな光。

僕を責める。

窓の外で陽に褪せる日常。

僕を責める。

・・・僕のせいなの?

その横たわる姿は僕への復讐なの?

・・・そう、僕はひどい奴だ。

アスカ、君はただの花になってしまった。

・・・僕のせいで。

なのに、僕は君に頼ろうとしているんだ。

君に救ってもらおうとしている。

最低だ。

そんなこと、出来る訳無いのに。

君が僕を救えるはず無いのに。

・・・僕が君を救えるはず無いのに。













「やっぱり、ここだったのね」

振り返る僕の目に映る、真紅のジャケット。

厚みの有る十字のペンダント。

「ミサトさん・・・」

「・・・あなたも考えてたのね。どうしてこうなったのか」

あなた・・・も?

「シンジ君・・・あなたは悪くないわ」

「またなの?ミサトさん」

「・・・また・・・って・・・」

「ミサトさんはいつもそうだ。・・・誰にも責任が無いって云うんだ」

「シンジ君・・・」

「誰にも責任の無いことなんか無いんだ。アスカは僕のせいで・・・」

「違うわシンジ君・・・」

「違わないんだよっ!悪いのは全部・・・」

固く目を閉じ

握る両手を震わせ

すくめる首が強張り

怒鳴る咽喉がひりついても

崩れ落ちる影の哭く嗚咽に全ては飲み込まれて行く。

そう・・・ミサトさんは床に這いつくばっていた。

その髪を床に伸ばして、泣いていた。

大声で泣き叫んでいた。

あっけにとられる僕の耳に、湿ったしゃくり声を注ぎ込む。

「わ、わたしが悪いのおっ!・・・他の誰でも無い、わたしがあっ!」

「・・・ミサトさん・・・」

見えたんだ。

ミサトさんの中の、少女が。

人間が。

身悶えする。

埃にまみれた涙で顏を汚す。

流れ出る鼻水をすする。

・・・判ったよ、ミサトさん。

誰も悪く無いんだ。

居るとしたら、今、ここから逃げ出すヤツだね。













夕陽の差し込む廊下に漂う幾つかのアナウンス。

僕はただ、じっとベンチに身体を沈ませる。

僕の中の固形の時間をゆっくりと融かして行く。

視界をそのひとがたが切り取るまで。

「おまたせ、シンジ君」

「早かったですね、ミサトさん」

ミサトさんの抱えたボストンバッグ。

僕の傍らで開く。

「取りあえず、洗面道具と・・・下着とパジャマね」

「ありがとう、ミサトさん」

「シンジ君・・・」

真顔に沈むミサトさんの表情。

僕は微笑んで見せた。

「判ってます。無駄だってこと・・・」

「・・・・」

「でも・・・そばに居てあげたいんです・・・アスカのそばに」

ミサトさんの顏が優しくほころぶ。

きっと、僕の顏を映してる。

「アスカが必要としている時に居てあげられなかったから・・・」

「そう・・・そうね。きっと大丈夫よ」

ミサトさんの両手が、僕の手を包む。

「きっと目覚める。きっと帰って来るわ。あなたに逢うために」

その手の温もりが、僕の中の体温を顏に押し上げる。

「また一緒に暮らすためにね」

静かに、僕の両の目から流れ落ちる。

「シンジ君・・・」

「う・・・ううぅ・・・」

僕が失ったもの。

その大きな質量。

やさしいかたち。

ヒトは日常の他に何が必要だと云うのだろう?

何故失わないと気が付かないのだろう?

僕は僕の失われた日常を取り戻したいだけなのに。

あの声を。

あの匂いを。

あの体温を。

・・・あの笑顔を。













夕映えはその主を失い、夜を纏い始める。

病室に運び込まれたエキストラベッド。

固くて真っ白なシーツに腰掛けて、僕はアスカを見つめている。

無数のコードに束縛された、彼女の沈黙。

呼吸する胸の、虚しさ。

自分のものではない眠りを眠る、血を通わされた人形。

自覚できない安らかさに、彼女は抗うべくもなく、ただ眠る。

・・・それは死として有る時間。

君の、感情の、死。

目を向けると、窓の外は既に闇に落ちる。

カーテンを引いて、振り返る。

機械群の向こう、その孤独な呼吸。

「今日からずっと一緒だよアスカ。・・・ずっと・・・」

蛍光灯は確かにふたりを照らしているのだけれど

君はどこにも居ない。













「碇君」

その声に顏を上げると、紅い瞳が僕を見つめる。

頬にかかる透き通った髪。

「綾波・・・ミサトさんは?」

「今日は来られないっておっしゃってたわ」

「そう・・・」

「どうなの?彼女」

「うん・・・まだ何の刺激にも反応しないんだ」

ベンチから立ち上がる僕に、綾波は抱えたボストンバッグを差し出す。

「彼女の着替えも入っているそうよ」

「でも・・・ミサトさんが来ないのなら、着替えさせられないよ」

「碇君」

「あ、そうだ、綾波、君が・・・」

「碇君、あなたがやるの」

「ええっ!?」

驚愕する僕の視線を、彼女は柔らかく受ける。

「碇君。怖がらずに、全てを受け入れるの」

「全てを?」

「そう。今の彼女の全てを」

「・・・綾波・・・」

「彼女だけでなく、あなた自身も救わなければならないのだから」

僕自身が救われる?

・・・アスカを受け入れることで、僕も救われる・・・。

「・・・それが、答えに繋がるの?」

「判らない」

「判らない・・・そう・・・そうだよね・・・」

「でも、もうこれ以上失われはしないわ」

「・・・・」

「この現実を、日常にするの。あなた自身を救うために」

「・・・綾波・・・」

「でなければ彼女は救えないわ。あなたの中に取り込まなければ」

ゆっくりと持ち上がった手。

僕の頬を撫でる。

・・・温かかった。

「・・・母さん・・・」

「え・・・」

うっすらと血の通い始める頬を俯いて、彼女は踵を返す。

「・・・じゃ、行くわ」

廊下を行く後ろ姿を、僕はいつまでも眺めていた。













機器のセンサーを外されたアスカ。

痛々しい点滴痕。

僕はドアをロックする。

そして、こころの鍵を開ける。

全てを見据えるために。

限られた時間を拠り所に、僕は彼女の背中に手を差し入れる。

内臓が鼓動する体温。

抱き起こすと、だらりとした重さを感じる。

艶を失った紅い髪がさらりと解ける。

片手でパジャマのボタンをひとつひとつ外して行く。

隙間から垣間見える白い肉。

僕の中の冷静は、身構える。

屈した彼女の背中に向かってゆっくりとはぎ取る。

仰向けに寝かせる。

露な上半身。

・・・だが、“それ”はやって来なかった。

あんなに夢想したアスカの乳房に、僕の欲情は起きなかった。

ズボンを脱がせる。

ショーツを下ろす。

僕の目の前に全裸で横たわるアスカ。

何度もその事実を頭で唱えてみる。

・・・しかし、僕の冷静に入れ替わるものは無かった。

頬に寂しい笑みを感じる。

固く湯を絞ったタオル。

彼女の柔らかい身体を拭きながら、僕は考えていた。

アスカとは何だろう。

僕の欲情していたアスカとは何なのだろう。

・・・それはきっと、僕の日常の中に居たんだ。

僕の中に咲いていたんだ。

“気持ち”を持った“花”・・・それが彼女だ。

プラトニックを信じているワケじゃない。

でも、少なくとも今、僕は勃起しない。

彼女には、“気持ち”が無い。

彼女には、“しがらみ”が無い。

だから、一続きの日常から外れて、僕からは見えないんだ。

僕は罵倒されたかった。

僕は蔑まれたかった。

僕は嫌悪されたかった。

そう、何より、それが“気持ち”だから。

それが“日常”だから。













再び繋がれた君。

替えのパジャマを着たアスカ。

ピンク色のストライプが蛍光灯の白を染める。

・・・あんなにイヤがってたよね。

口を尖らせてみる。

「“何が悲しくてあんたなんかとペアルックしなきゃなんないのよ”」

エキストラベッドに腰かけ、傍らのボストンバックを開く。

引っ張り出す、青のストライプのパジャマ。

彼女に拡げて見せる。

「ミサトさんが持って来ちゃったんだよ・・・悪く思わないでね」

ふっとため息。

「アスカ・・・今日、アスカの裸を見て、思ったんだ」

立ち上がる。

「あんなに妄想してたのに・・・アスカを見ても、・・・その・・・」

窓辺に寄る。

「・・・その時、判ったんだ。・・・この気持ちを何て云うか・・・」

地に張り付いた闇に降り注ぐ、豊富な青白い光。

「“好き”・・・“好き”なんだね、多分。・・・アスカが」

天空に浮かぶ大きな月。

「・・・アスカの“気持ち”が」

僕の日常に咲いていた花が。

取り戻してみせる。

取り戻してみせるさ。

・・・きっと。

「・・・月がきれいだよ、アスカ。・・・カーテン開けて寝ようか」













それは突然やって来た。

気が付くと僕は、病室を飛び出し、トイレに駆け込んでいた。

洗面台に頭を差し入れ、勢い良く蛇口を捻る。

奔流が頭頂を叩く。

判らない。

そう、夢なんだ。

アスカの笑顔。

その笑顔を見た途端・・・

匂いがした。

“気持ち”を感じた。

・・・勃起した。

息が張り詰めるほど。

僕は泣いていた。

目を覚ますと、声をあげて泣いていた。

判らない・・・判らないんだ。

僕は気が狂ってしまったのか。

欲しい。

欲しいんだ、今。

アスカが・・・欲しい。













ふらふらと病室に向かうと、開け放たれたドア。

薄明かりの廊下に、白い方形を切り取る。

月の光。

そう、僕は酔わされているのかも知れない。

あの青白い毒に。

そして、その毒を全身に浴びて

僕は青いストライプを入り口にぼおと浮かび上がらせる。

月に満ちる部屋。

モニター、インジケーター、鮮やかに様々に光たちは踊る。

しかし、僕の目を捉えて離さない、たったひとつの光。

アスカ。

輝く月の雫のような、その唇。

光に濡れたその宝石に向かって

僕は一歩を踏み出した。










11




「あんた、一生懸命だったわ」

「え?」

「あたしが何をして欲しいのか、一生懸命考えてた」

「・・・そう、なんだ・・・」

「で〜もぉ、にっぶいのよねえ〜・・・や〜っぱりバカね」

「何だよ・・・夢の中の話だろ」

「バカにはヒントも小出しじゃダメってことね」

「もう・・・どんな夢なんだよ・・・」










12




「それよりシンジ、疲れてきちゃった。病室に戻りたい」

「はいはい、白雪姫さま」

「狼男さんも慣れない車イス押して疲れたでしょ?」

「べ、別に・・・あ、汗かいたんじゃないアスカ?着替える?」

「まあ、久しぶりの陽の光だったし・・・着替えようかな」

「じゃあ、その間に売店で雑誌でも・・・」

「ダメよ」

「ダメ?」

「あ・ん・た・も、手伝うのよっ!」

「え・・・ええ〜〜〜っ!?」

「それにい・・・その後は良く効く薬の時間だからねっ」

「く・・・薬って?」

「あ〜んたの唇よっ!」










12




「・・・バカシンジっ」










君の“花”が




そして










君の“気持ち”が




眩しく










僕の“日常”で




笑った。


















































<おしまい>




NOVELSに戻る

ふりだしに戻る