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プチいってきました  



カメラを忘れたので
写真がありません

「いってきました」に
なり得ない軽い旅

だから「プチ」

函館五稜郭と濁川温泉

2002年9月1日 決行

当日になって急な話でしたが、函館に日帰りで行ってきました。

片道3時間ちょっとかかります。慣れるとそんなに遠く感じません。

そもそも、前の週から、函館に行きたいとうるさかったくまちゃんでしたが、次の日札幌に行く予定が入っていたうつほは、連日出歩くなんて冗談じゃない、絶対に行くものか、勝手に一人で行って来いと云っていました。しかしながら当日になってなかなかくまちゃんがお出かけしないで、家の中でちょろちょろしているのを見ると、なんだかやっぱり私もお出かけしたくなってきます。

結局は一緒に出かけました。五稜郭にある道立函館美術館だけを目的地として、谷地頭の方へは行くつもりがなかったので、函館公園はまたの機会になりました。ですからカメラは持っていきませんでした。道中撮りたいものが3つぐらいあるのを忘れていました。それは今度にします。お楽しみに。

さて、くまちゃんがみたいと云っていたのは、9月1日(日)までが会期の、「極東ロシアのモダニズム」展でした。どうせ未来派のような絵がならんでいるのだろうと展示内容を予測してしまったうつほは、さほど期待をしていなかったのですが、行ってみたら、確かに未来派っぽい絵画は半分くらいはありましたが、中には、風刺漫画や革命期のポスターなど、迫力あるというかかなりどぎついモチーフの展示品もあって、非常に面白く見ることが出来ました。また、日本での未来派の動向もよく判る展示になっていました。左翼活動者とみなされた人たちも名を連ねていましたが、今でも充分すばらしいと思えるデザインが多く、見応えあるものでした。

中でも印象深かったのは、P.リュバルスキーでした。だらだらと未来派らしい作品を見進むうちに、なんか面白いなと思える版画があり、それがリュバルスキーとの出会いでした。他の作家は、少しでも形のある「きれいさ」を意識しているんですが、リュバルスキーだけは、整うよりは迫力というか、何とも云えない味というか、不思議な効果を発していました。次へ進んでいくと、政治的な漫画やポスター展示でしたが、そこでも目が留まったのがリュバルスキーでした。今度はきっちりと構成された美しさです。勿論文字は何の意味かは判りませんが、ここまで訴える力を持つ効果的かつ美しいポスターがあるのかと驚きました。
ところが、その次に、肖像デッサンが展示されていました。これをみてまたびっくりです。たぶん、美大の受験とかでは、あまり良い点数をもらえないような独得の筆致です。しかし油絵の作品は、絵の具をとてもうまく使い、部分的に見ても、遠目で見ても魅力的なものばかりでした。
もしかしたら、たとえばこういう才能のある人が、美大を受けたりして、一般的なアカデミズムの求めるようなデッサンではないということで落とされて、才能の芽を摘まれることもあるのかなあと、なんだか寂しく思いました。

家に帰ってからカタログを読んだところ、このリュバルスキーは、様々な分野の才能があり、ハバロフスクで「緑の猫」という芸術グループを作り、地味に安い紙で画集を作るなど、実に面白い活動を行っていたらしく、詩などには象徴主義的な一面も見られ、結局一生芸術家だったそうです。望ましい制作態度と羨ましい人生だなあと思いました。

そんな芸術家の存在を知ることが出来て、とても収穫の多い展示でした。

「絶対行くもんか」なんて云ってたことが恥ずかしいです。

帰りに濁川温泉の天湯温泉に寄りました。ちょっと白濁した湯があふれ出ていて、良い湯でした。日帰り400円です。

ここは、カルデラの中にある温泉郷なのですが、あちこちに湯井があり、蒸気が吹き上げていました。田圃の中からいきなり吹き出している湯もありました。面白いです。また行きたいです。




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