白山  

 

 

   

 2003年8月17日〜18日【白山】

  

室堂・お花畑のクロユリ

 

 今週は「山の会」で“南アルプスの縦走の予定だったが、「台風10号のため延期」の連絡が入ったため、毎度の事ながら十分な準備も無いままの計画実行だった。・・・ったく困った中高年である。

 結局、白山へと決まったものの仔細は未定のままに、運転席に乗り込んだ。

  

  

1日目(8/17)【別当出合登山口〜室堂】

  

 “前夜のうちに計画の大筋は決まっていたが、その細部(宿泊場所やスケジュール)については、登山口についてから決めるというあいまいなものだった。”との、書き出しは前回の白山行と同じとなった。
 
 しかし前回の白山行と違い、AM4時に目覚ましをセットした・・・が、目覚めたのは5時を過ぎていた。急いで仕度を済ませて、通いなれた名神高速へ乗る。今回は北陸自動車道(前回は、東海北陸自動車道で大白川だった)経由で、福井へと向かう。自動車道を走るのは思ったより時間を食う・・・私が時計を睨んでいるのには理由があった。福井北ICでR416号とR157号を経由して、白峰村へと辿り着く。白山温泉(市ノ瀬)へは交通量もまばらで、「台風の後なんで、登山客もいないのかなア〜」と、市ノ瀬で交通整理の人が誘導しているではないか?聞くと「ここで自家用車は乗り入れ禁止で・・午後から通行可能」とのことである。

  

  

左の画像から、別当出合から不動滝方面、中飯場、不動滝

  

 「しまった!」と思ったが、ここまでに高い高速料金を支払ったのだから、おめおめと帰るわけにはいかないのだ。相棒のケータイを手に取るがアンテナは立たなかった。友人の電話番号が入っている私のピッチは、先ほど「電池切れ」の“ピッピッピ”の合図なので、メモの電話番号は限られている。白山温泉の公衆電話から、その限られた電話番号で連絡をとってみたが、誰もケータイには出てくれなかった。『室堂へ上がれば何とかなるだろう』と、とりあえず別当出合までのバスに乗り込んだ。

 別当出合の登山口は、11時の出発である。

 右手に柳谷を望みながら、下山者と挨拶を交わして中飯場で小休止である。しかし、とにかく“暑い”・・・全く・・アツイ!、汗が噴出す感じである。

  

    

左の画像から、ハリブキの実、甚之助避難小屋、三の越あたり

  

 このあたりまで、砂防工事用の道路が登山道を横切っていて、“ヘルメット姿の子供のポスター”が、「ごめんなさい、気をつけて」と飾られていた。今回の私達の荷物は、日帰りに毛が生えたぐらいの重さなのだが、この暑さには閉口だ。しかし、重い足取りながらも砂防新道を登るにしたがって、登山者が増えて来た。もちろん下山者も多くなってきたのだが、甚之助避難小屋前は人であふれていた。ここから観光新道との出合までは、気持ちの良い道が続いていた。しかし、水場での小休止の後、出発のタイミングが少し遅かったのだ。中高年の団体さんの渋滞に巻き込まれてしまった。イライラしながらも、隙を見て前へ出させてもらったのだが、道を譲る事を知らない“ツアー登山の中高年”は、なんて元気なのだろう?

  

  

左の画像から、弥陀ヶ原、室堂センター、イワギキョウ

  

 夏休みなので、子供連れの親子の姿も多いが、この人たちにもペースを狂わされる。5歩〜10歩をたったった・・と進むと、立ち止まってしまう。こちらが追い抜けば、またたったった・・と追い抜いて行く。の繰り返しである。『ったく・・。』そして、室堂には15時に到着である。まず宿泊の手続きを終え、ケータイを取り出すがアンテナは立たない。公衆電話で、もう一度友人へと連絡を取る。やっと通じた話は「明日の有給休暇を伝えてほしい」という内容だったのだ。そして、昨秋の室堂での生ビールの味よもう一度・・・っで、テラスで乾杯である。

 テラスで休んでいると、今の時間から下山する人もいる・・そして、先ほどの中高年グループが到着した。重そうな足を引きずりながら「7時間かかったよネ!」との会話だ。

 相棒はカメラ片手に、「ちょっと行って来る」と散歩。topのクロユリの群落で、ユルミッパナシ(新種の花ではありません)の顔。

  

 

  

2日目(8/18)【室堂〜御前峰〜大汝峰〜白山釈迦岳(釈迦新道)〜市ノ瀬】

 

 “夢の中なのか?「ウエ〜オエ〜」というような唸り声がしている。”と、これも昨年の白山行の文章と同じなのだが、小屋での昨晩からの大合唱は、「無呼吸症のオジサン」のいびきに始まって、「往復いびきと朝方の咳きのおっちゃん」で、相棒の「11時じゃなあ〜」「1時過ぎじゃなあ〜」「3時じゃなあ〜」と、寝れたのか?眠れなかったのか?判らないまま、起き出したのだ。

  ヘッデンを点してザックを背負い、御前峰へと足を向けた。4時過ぎである。ランプの行列で、暗闇の足元を照らしていた相棒のランプの灯りがやがて切れてしまったが、もう真っ白のガスにボンヤリと地面が見えて来ていた。行列に混じって、頂上へは45分ほどかかった。

 

  

 左の画像から、ご来光がひょっとして見れるかもと登ってきた信者や登山者、御前峰、大汝峰

  

 5時10分に記念撮影を終え、“お池巡りコース”で大汝峰を目指す。霧が無ければ翠が池が望める場所で小休止。コーヒをいれる。「その先から、いい香りがしていました」と、男性二人組の言葉である。“お池巡りコース”を外れると、人と出会わなくなった。大汝峰への登りは、ガラガラの岩交じりの道だった。それにしても近頃のwaiwai隊は、どうして、こうも天気には恵まれないのだろうか?大汝から“御手水鉢(おちよずばち)”を過ぎ、七倉山のトラバース道の四つ辻で、二組のペアが休んでいた。

 この頃には雨模様となって、雨の中ではゆっくり腰掛けての休憩はとれない・・・と、食事中の一組に挨拶をして、先行ペアに続いた。今日は三組のペアだけなのだろうか?

  

  

左の画像から、ミヤマダイコンソウ、御手水鉢、七倉の辻

 

 今回下山路に選んだ“釈迦新道”は、降りの所要時間が6時間である。登りは9時間とある。しかも、これは七倉山分岐までの時間であり、室堂までは2時間30分を要するから、市ノ瀬〜釈迦新道〜室堂は11時間を越えることとなる・・・誰が登るのだろう??何れにしろ、敢えてこういう道を選ぶ人を好ましく思うし、今回相棒が選んだこのコースを歩くことが出来た私達が・・好きだし、素敵だ(っと自画自賛)。やがて、霧の中(雲の中)にお花畑が現れた。もう、相棒の世界である。

 
 花の名は、相棒が担当なのでここでは省略しよう。一つ目の水場には8時40分に着く。弁当の朝食を食べていると、分岐で朝食を済ませていたペアが下りてきた。先ほど道を譲ってくれたペアは未だ着かないが、やはりこの尾根を使う登山者は、我々のような“物好き”に限られているみたいだ。

 

  

左の画像から、ハクサンフウロ、キヌガサソウの実、雨模様の登山道

 

  

左の画像から、タカネマツムシソウ、ウメバチソウ、笹原に立ち枯れの木

 

  釈迦岳へは、ここから100m程登り返さなければならない。しかしその釈迦岳は、下山路から外れていたので案内板を確認して“素通り”とした。晴れていれば、湯の谷を挟んで“白山(旧越前)禅定道”から“観光新道”に続く尾根も望めるだろうが、今日は雲の中だ。

  やがて、ブナの大木の林の中を急降下する道になった。高度が2000mを切った辺りでガスは晴れて来た。やがて、二つ目の水場に着いた。上の水場は沢の流水だったが、こちらは湧き水だった。喉を潤す傍で「タマガワホトトギス」が歓迎してくれていた。出発しようとすると、下から登山者が登ってきた。「室堂からですか?早いですねぇ!」に、「この尾根を登るのですか?」と私のほうが驚き聞き返した。「チブリ尾根の登りに比べて、この登りはまだマシです」との事だ。室堂まで行きますか(?)に、「いや、ちょっとそこら辺りまで」との事である。

 

  

左の画像から、タマガワホトトギス、白山(旧越前)禅定道、バス道の登山口 

 
 とにかく、御前峰が2700mなので、1600mの高度差である。登りの高度を加えた積算高度差は2000mを越えるであろう今日の下山路にも終わりがある。林道に降り立ったのは11時過ぎだった。ここからは、てくてくと歩けば市ノ瀬の駐車場へと着く。
 
 とにかく足への負担の限界か?と思える降りに比べて、砂利道と云えども歩き良い。前方から青年のグループが歩いてきた。「室堂から降りてきたんですか?」に、「そうですが、どちらまで?」「釈迦岳へ行こうと思っている」の会話だったが、「ナップサックの格好では途中で引き返すだろう」と話しながら、足を出す。やがて、白山(旧越前)禅定道と林道が交差している所に来た。「えらい、苔むしてるな〜、歩く人はおるんやろうか〜」と言いながら林道と分かれて登山道を下りると、バス道に出た。ちょうど別当出合から満杯のバスが下りて来て、登山客が私達を不思議そうに見ていて、ちょっと誇らしい気持ちになった。バス道を15分で市ノ瀬に着いた。駐車場は12時20分で、8時間余りの行程の疲れは、温泉で癒そう!
 
 【おまけの温泉】

 白山温泉に寄ろうかと思ったものの、駐車場を出て直ぐなので、白峰温泉へと走る。街の手前に「自然休養村」の案内と、温泉の看板を目にしたのでここの温泉へ寄った。

 目的のビールは無くて、帰ってからの楽しみとした。

 

 【参考】

 白山・主要登山道の距離と所要時間

 

 

 

 前夜聞いた、日帰りで白山?? そんな事が出来るわけが無い、室堂で一泊になるに違いないと内心思いつつ寝たら、やっぱり寝過ごした・・。おっちゃんは本気だったみたいだけど、予定通り起きれて、白山温泉での交通規制がなくて、別当出合まで車で行けたら、砂防新道ピストンなら可能だったかも・・。でも、市ノ瀬まで初めての道、事情のわからない登山口じゃ〜無理じょ!
 11時から登り始めたのは初めてだったけど、暑いのなんのって地獄じょ! せっかく、一泊する事になったんだからと、釈迦新道を下りようと提案したのに、慎重なおっちゃんの返事が・・重い・・。そこで、登山情報を見たりして、危ない所はないようよ!と説得して下りる事になったんじょ。(^_^.)

 釈迦新道は岩場とかは無い代わり、高度が稼げず、だらだらと長い長い登山道だった。霧雨模様だったのに、お花畑では雨になり、傘は北岳用に準備したザックに入れてあったものだから・・、カメラが濡れてフイルムが巻き戻せないトラブルもあったし・・花の写真があまり撮れなくて残念だわ〜(-_-;)

 

【咲いていた花】

 センジュガンピ、ソバナ、シモツケソウ、ハクサンフウロ、ハクサンシャジン、グンナイフウロ、ミヤマシシウド、イブキトラノオ、イワギキョウ、タテヤマリンドウ、クロユリ、ミヤマキンバイ、ミヤマアキノキリンソウ、コイワカガミ、アオノツガザクラ、ミヤマダイコンソウ、ヨツバシオガマ、タカネナデシコ、ゴゼンタチバナ、タカネマツムシソウ、ミヤマダイモンジソウ、モミジカラマツ、ウメバチソウ、カライトソウ、ハクサンイチゲ、クルマユリ、ニッコウキスゲ、タテヤマウツボグサ、コゴメグサ、サラシナショウマ、ミヤマコウゾリナ

 

【咲き終わっていた花】

 ハクサンチドリ、ハクサンシャクナゲ、ハクサンコザクラ、チングルマ、コバイケイソウ、キヌガサソウ