本能の101歳 (7・31)
看護婦さん達の間では「あのおばあちゃん、かわいいよね〜♪」などの
話しがよく出ます。
必ずと言っていいほど、自分なりのアイドルがいるものなのです。
かくゆう私もかわいくてかわいくて抱きしめたくなるくらい大好きな
おばあちゃんがいました。
そのおばあちゃんはハマちゃん@101歳@寝たきり。
そう、101歳!がんばりましたハマちゃん。がんばり過ぎですハマちゃん。
高齢化の恐ろしい所は介護している娘さんが80歳というところでしょうか(汗)
このハマちゃん、大した主疾患はなく大昔に脳梗塞で倒れて寝たきりに
なったくらいでいつも入院してくるのは娘さんの介護疲れか、ちょっとした
尿路感染(おしっこから細菌感染しおしっこが汚くなり熱が出たりする。)なのです。
なぜ私が大好きなのかと言うと。
透き通る様な真っ白な髪、しかもその髪型はキューピーちゃんのようです。
まん丸な顔につぶらな瞳、喋り方も101歳だけあってしどろもどろだけど
一生懸命喋ろうとする所・・・。
もう、101歳なんて赤ちゃんと同じです。年を取ると子供に帰ると言いますが
ハマちゃんの場合は赤ちゃんまでいっちゃってました。(これがまたかわいいのだ♪)
顔形が私のタイプだったということと、1番は異様に食い地がはっているという
ところが私のハートをつかんだのです。
病院食は、毎回完食。
目が覚めると「桃が食べたいです。桃下さい。。ご飯はありませんか。。お、お腹が空いて。。」
といつも食べ物のことを言っているのです。
やっぱり長生きする人って凄いです。ここまで何かに執着しなければ
長生きはできないのかもしれない。
ふと、そんなことを考えてしまうような食欲っぷりです。
私は、そんな哀願するハマちゃんを見てると、いてもたってもいられなくなり冷蔵庫から
あまっている羊羹やヨーグルトをこっそり夜中でもあげていました。
食べ終わると、ハマちゃんは「おいしかったです。。あ、ありがとう、あ、ありがとう。。」と
拝むように両手を合わせ、眠るのです。
ひいきかもしれないけど、いいよね。。。。
だって「食べる事」がハマちゃんにとって幸せなことなんだもの。
そんなハマちゃんも退院します。私は身を引き裂かれる思いです。
だって・・・・もう会えないかもしれないんだもの。
101歳、いつ逝ってもおかしくないんだもの。
しかし、ある日またハマちゃんが入院してくるということで私は「ハマちゃんに会える〜♪」
と病棟に来るのを楽しみにしていました。
しかし・・・・病室に運ばれてきたハマちゃんは、眠ったままです。
とても静かに呼吸をしていますが、呼んでもゆさぶってもつねってもピクリともしてくれません。
脳梗塞の再発。
軽い再発ということでしたが高齢ということもあり、もう目が醒めることはないかもしれないとのことでした。
私は、毎日毎日「ハマちゃん、ハマちゃんご飯だよ!食べたくないの?ほら起きて!
美味しいヨーグルトがあるよ!ご、ご飯くださいって言ってよ〜・・・」
と話しかけ続けましたが、私も看護婦さん達も「もうダメかもね・・・もう充分だよ。」と諦めかけていました。
しかし、2週間くらいたったある日看護婦さんがすごい勢いでナースセンターに駆けこんできました。
「みんな〜!ハマちゃんが喋ったよ!目開けたよ〜!!!」
そこにいた看護婦さん達みんな、「え〜っ!」と驚きの声があがりました。
ハマちゃんの病室にみんな走って行きます。
「ハマちゃん、ハマちゃん!喋ってみて!何?なんて言ったの?!」
大声で話しかけると、ハマちゃんは薄っすらと目を開けあのしどろもどろした口調で・・・・
「サ、サンマが食べたいです。。サンマをください。。。。」
・・・・・・・・・・・!???
目覚めの一発が「サンマ」!?・・・なぜ、サンマ!?
感動的な場面なのに。
生死の境をさまよいながら、サンマとは・・・・。
さすが本能の人ハマちゃん(LOVE)
私達はすぐ先生に許可をとり早速家族に電話して「サンマ」を持ってきてもらいました。
それを目覚めて間もないにもかかわらず、美味しそうに食べるハマちゃん。
しかも全部食べ終わった後、「も、もっとください。。」と相変わらずです。
なんだか、やっぱりという思いと嬉しいという思い。
今度は死ぬほどサンマ食べてね。 ハマちゃん♪
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