出ちゃいます! (12・19)
私が看護学生の時の出来事です。
外科病棟の実習で手術をする患者さんを受け持ちます。
実習1日目、ちょうど直腸ガンの患者さんを手術前から受け持つことになりました。
注:直腸ガンとは腸の最後のほうにガン腫瘍が出来、その為大便が出にくく、そこから大量に出血したりします。
その腫瘍部分の腸を取り除き、腸の上の方に(見た目はお腹の表面)に人口的に穴を開けそこから排便を
促す手術をする。その穴を人口肛門 と言います。
Yさん@40歳@男性@独身
若くてガンなんてかわいそうだなぁ。
しかも独身か。
できるだけ手術の不安をやわらげ、力になれたらいいなぁ。
学生ながら気合が入ります。
と、そこへ指導者さんから「○○さん(私の名前)、今から剃毛(Yさんの場合、お腹から
下半身にかけて)してください。わかるわね?」
「は、はい・・・・!」(傷つけないように上手に剃らなきゃ!・・・・・・・ドキドキ・・・)
剃毛とは手術の前に皮膚の毛を剃ることです。
まだ実習生の私にとって技術を習得するのに精一杯の時でした。
その1つ1つの技術を上手に行えるようにとだけしか頭にはありません。
40歳@男性@独身
↑
ここら辺をもうすこし勉強しておくべきでした。
ドキドキしながらさあ、剃毛開始です。
Yさんに横になってもらい、脱いだ下半身をバスタオルで隠しお腹から剃りはじめます。
お腹を剃り始めて3分。
下半身のバスタオルはすでに取られています。(メインイベントはすぐそこです。)
しかし、剃る事に真剣で勉強不足な私はYさんが大変なことになっているなんて
知るよしもありません。
しかも3分という時間で。
「うぅぅ・・・・でちゃいますっっ。」<Yさん
Yさんのお腹に顔を近づけて剃っている私。
「ピュ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ」
「!!!???」
何か、白いモノが私の目の前ギリギリに飛んでいきました。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」<Yさん
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」<私
魔の空白時間。
どうする?!なんて声かけたらいい??
「ハハハ・・・・・気持ち良かったですか?(笑)」か?
「ハハハ・・・・・早いですねー(笑)」か??
「ハハハ・・・・・濃いですねー(笑)」か???
「ハハハ・・・・・飛びましたねー(笑)」か?????
てか、(笑)はいかんだろーーーーー!!!!
しかし実際、正直笑うことすらできません^^;
私はとっさにYさんのお腹に溜まったものをティッシュで拭いてあげました。
ここで気の効いたベテラン看護婦さんなら「よくあることですよ。大丈夫、人間男性の生理です。
これをしなければ手術できませんからね。恥ずかしいのも今のうちです。気にしないで
くださいね。(余裕のニッコリ)」
ぐらいの声がかけられるのでしょうが・・・・・・・私にはそんな余裕ありませんでした(涙)
「あ、あの・・・・すいません。少しお待ち下さい。すいませんっっっ。」
逃走〜!
耐えられなくなり指導者さんにバトンタッチしてもらいました。
指導者さんは始め怪訝そうな顔をしていましたが、帰ってきて訳を話すと
「そうだったの?!どうりで私が剃っててもグッタリしてると思ったわ〜〜〜〜。」
あのね・・・・・・(⌒∇⌒;)
・・・・・・・すいません。もう出ちゃったんです。
この後、同じ実習グループの仲間に
「すでにテクニシャンだな!」
「腹だけでイカせるなんてプロだな!!」
「もう結婚するしかないな。」
「もう少しで顔射だったね。」
など言われ放題でした(泣)
しかしこのYさん、とても良い人でこんな事があったにもかかわらず、この後指導者さんが
私がYさんの受け持ちとして3週間世話をしてもいいか聞いたところ、「OK」とのことでした。
私も気を取り直し、手術前から手術後までお世話すると同時に勉強させて頂くことになりました。
Yさんはまったく気にしてない様子で私に接してくれました。
手術後もYさんは自分の身体の変化を受けとめ順調に回復していきました。
そして、実習最後の日。
Yさんから手紙をもらいました。
「○○さん、3週間色々ありがとう。とても感謝しています。
ガンで手術で不安だったけど、○○さんがいてくれて励まされた。○○さんも
一人前の看護婦さんになる為に頑張ってるんだなと思うと、自分も一緒に頑張れた。
看護婦さんになれた○○さんが見れたらいいな。」
最初の出会いを忘れさせるかのような感動的な手紙です。
私は嬉しくて感動で思わず泣いてしまいました。。。。。
後で勉強した事ですが、直腸腫瘍切除術、人口肛門造設術をするとほとんどの
男の人は立たなくなっちゃうそうです・・・・・・・・・・・・・・・。
あぁ・・・お役に立てて光栄でした・・・・(涙)
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