紫色のタオルを使ったら、体を洗った後の浴槽に溜めたお湯がラベンダー色になった。捨てようかとも考えていたが、勿体無いので、それをいつもの通り洗濯機に移す。ついでに洗剤を浮かべた。ぱらぱらと。
例えば。例えば、今私は自分が生きていると思っているけれど。実は、ある時点で死んでいたりはしないだろうか。一度死んで、でも死んだその瞬間に時間を遡り、神様の手で作られた時にまた戻り人生をやり直していく。そういうことをしてはいないだろうか。
そんな不毛で馬鹿げた、かつワンダフルな考えに身を委ね、ほうれん草を切っていると、携帯が学校のチャイムを奏でる。タオルで手を拭いて、白い画面を眺めると見慣れた姉のアドレス。
「食らいついて」
「相手を離さないようにしないと、あたしみたいになるよ」
お腹を減らしていた携帯の充電が完了した頃にコンソメ野菜スープが完成し、私は栄養を補給する。今日は恋人もおらず部屋が静かで、思考を妨げるものは何もない。来る結婚式の日を指折り数えても、誰にも笑われない。
それとは別に妄想に浸っていたところで。
目を閉じると生きている現実が瞼の裏に写る。そしていつかは死んでいくという現実も。白米を咀嚼すると咀嚼した分だけ甘みが口の中に広がり、飲み込むと何もなくなる。勿論何もなくなるというのは嘘で、本当は体に吸収されて自分によい効用を与える。だから食らいつくのだ何度も。
ごちそうさまの掛け声をした後に、洗濯機が最後の身震いをして、回転終了の合図を告げる。それと同時に、洗濯物が巻きついてちぎれた自分の指を想像した。