「♪〜」

 鼻歌一つほがらかに
浮かぶ嬉しさ愛しくて
またもあなたに恋をする。

 夏の晴れた日。
熱い日差しの中 ふっと見上げると……

「ん?
どうしたの? さくら」

つねに気をかけていてくれた瞳が私を見る。
それが嬉しくて……
私は先輩の腕に飛びつく。

「わ! わ!」

「あ、ごめんなさい……」

よろけるのを抱える。

「はは……大丈夫。
その……嬉しいし……」

「……はい」

双方で赤くなりながら日溜りを歩く。
あんなに嫌っていた日溜りも今の私にはただ、ただ、美しい。

「さくら……平気?」

「はい……大丈夫です」

私を心配してくれた声が少し嬉しい……
でも、私が頬を染めてるのは先輩と同じ理由ですよ?

「そうだ!
ちょっと待ってて♪」

何を思ったのか先輩は早足で先に行く。
振りほどかれた腕が寂しい……

「先輩の……ぱか」

呟く言葉が更に寂しさを生む。



少しすねて……
すねた事を自覚し始めた頃に先輩が戻ってきました。

「はい」

先輩が差し出したのは一本の傘。

「……?」

「日除け」

「……はい」

ただ、嬉しい。
その言葉が嬉しい。
優しく微笑む先輩が嬉しい。

「ありがとう……ござ……い……ます……」

「ふふ……どういたしまして」

画像 茜屋弥生さん

そこから先は二人。
相合傘の二人。
ちょっと子供っぽいかとも思うけど……
二人って空間が嬉しい。
そっと腕を絡めて……
二人そっと……赤みを頬に入れて……
私は……
私達は……
何時もの逢瀬を重ねます。

「先輩」

「ん?」

「大好き♪」

「あ……俺も……さくらの事……大好き」

照れて頬をまた赤く染め
それがゆうひと重なる頃……
私達も重なりあう……
大好きと……命がささやくままに……