夜。
森は薄く暗く
昼間ですらその太陽を嫌う
二人はそこを駆け抜ける。
心に思いを寄せて……

「ここ?」

ショートカットの可愛らしい視線が
柔らかな髪にそっと口付ける。

「はい。先輩
ここが私達の別荘です」


蜜地




 秋も深まる頃に
突如来た一通の手紙、
「一族として愛するものが出来たなら私達の土地につれておいで」
その言葉が意味する事を少女はちゃんと知っている。
『土地に慣らす』
それが必要な事とは、さくらは思わなかったが
それでも、故郷に近いこの城で二人で過ごせるのは魅力的だった。
そこで持ちかける提案

「先輩。秋の連休。
一族の別荘が開いてるんです。
一緒に行きませんか?」

「うん。さくらと一緒に行けるなら喜んで」




 そうして二人はここヨーロッパ――
とりわけドイツ領の片田舎、ヨルドと呼ばれた森の城についた。
湖の向こうに見える古びた洋城。

「ひょっとして城?」

「はい。城です。
湖が堀の役割をしてますから
ここからは船で行くんですよ」

「さくらってやっぱり良い所の子?」

その言葉に微笑みながら

「ふふ。
お爺様が貴族らしいので、良い所の子は母ですよ」

「お待ちしておりましたお嬢様」

ゆっくりと頭を垂れたのは
メイド服を着た長身の女性

「紹介しますね。
この方は、イリヤ・エーアリヒカイト。
ここ専用の自動人形なんですよ」

「始めまして」

優雅にスカートを持ち上げて再びお辞儀をする。

「忍ちゃん家のノエルみたいな?」

「はい。ですから、先輩と二人っきりって言うのはちょっと守られてます」

「では、お荷物を」

荷物を持ってメイドはゆっくりと船に乗る。

「揺れますのでご注意ください」

「はい」

真一郎が先に乗り込み

「はい」

と、さくらに手を伸ばす

「ありがとうございます。先輩」

ゆっくりとした船の上
城門が開けられ
水路から城から入る。
城の内装とかに少しの説明と関心を貰いながら
二人は二人で過ごす部屋に入った。



「長旅お疲れ様でした」

ぽふん
と、やわらかい音でベッドが沈む

「ここがさくらが小さい頃過ごした所か……」

「はい。この窓からの風に吹かれて
 本に恋してました」

「さくら。おいでおいで」

ベッドに手招きされて
ぽすんとさくらは抱きしめられる。

「さくらは俺との恋人なんだから」

「はい。本は好きでしたが
 真一郎さんへの恋と考えたら
 初恋ですらなかった気がします」

見つめあいながら問いかけ
本当に同時に瞳を閉じる。

「んっ……ふっん……」

「ちゅっ……んぱ……ちゅる。ん」

声にならない吐息が霞
二人の腕が背中に回る
しっかりと抱きしめあった手にはじんわりとした汗が触れる。

「さくら……」

真剣で、それで居て優しい瞳が
さくらを見据える。
その手は、すっとスカートを掴み
上へ上へあげる。
ぽすっと腕を残して
ワンピースが脱がされる。

「先輩のえっち」

「あ……ごめん。つい」

ちょっぴりすねた顔。

「でも、嬉しいです。
嫉妬してくれるのは」

すぐに微笑む。

「ちゃんと脱がしてくれますか?」

「うん」

腕からもすぽんと脱がせた。
見える下着は何時もの黒
でも、レースが少し豪華で

「予想してた?」

「もっと後だと思ってました」

「さくら」

「ん…………ふっ……ん」

そして、また口付ける。
胸に感じる手のひらは真一郎の暖かさ

「先輩……それ、取ってからにしてください」

「ああ……(ごくん)そうだね」

さくらの背中に手を回し
ぷちんとした感触

「ひゃっ!」

その手が押し倒して
胸の先に唇を当てる。

「あ……あぁ……はぁ……」

そのままやわやわと手が揉みし抱く。
頭を抱えるようにさくらは抱きついた。

「先輩も……脱いで」

胸についた唇が、呼吸に一度離れると
さくらは、切な気につぶやいた。

「う、うん」

真一郎が答えるとぱっぱっと脱ぎ散らかす。

「だめ……先輩の服、しわになっちゃう……」

「いいよ。着替え持って着てるし」

「……はい」

肩先に手の重みを感じて
互いの唇を唇が感じあう。
ちゅぱ。ちゅるり
舌が入る先に舌があり
舐める先の舌を絡め取る。

「あ……あぅむ
うん……」

「はぁ……ちゅっ。ぱっ。はぁ……」

深まる唇に手がそえられる
胸、腹、そして太ももを真一郎はじんわりと愛撫を重ねる。

「あ……はぁ、あぁああ」

部分部分に感じる声をあげるさくら。
愛らしくも切ない瞳が真一郎をじっと見る。

「脱がしちゃうね」

真一郎の声が、かすれてるのが興奮の度合いを知らせる。
すーっと、脱がしたショーツはぴっと糸を引くほど潤っていた。

そこに指先を触れ
くちゅるとした音と

「あん。ああぁ……」

可愛らしい喘ぎを楽しむ。
そこをじつと見つめた真一郎は
当然のように口付けた。

「ちゅっ」

「はぁぁぁぁぁ」

舌でその奥をすっと舐める。
ざらざらとした感触を楽しむとともにその味を感じる。
顔と手にさくらの太ももの感触を確かめつつ
舌はその形をなぞる。

「ひゃぁ……あ……駄目……それ。だめ」

さくらが『やめちゃ駄目』と言ってる部分を集中して舐めあげる。

「ひあ……はぁぁぁぁぁぁ!」

一段高い声でさくらの背に力が入る
ぴんと伸ばされそった背中に玉の汗が浮かぶ。

「逝けた?」

「はい……逝っちゃいました」

さくらは、ぽんとベッドに再び倒れる。

「はぁはぁ……」

ゆっくりと呼吸を整えながら

「先輩……どうぞ」

足を少しあけてそう言った。

「ありがとう、さくら」

ぐっとさくらの足を抱え
ゆっくりと入り込む。
ぬるりとした抵抗と
ぴちゃんとした湿度でお互いが快感に触れる。

「んっ」

「はぁ……」

ぬるぬると先端が入り込み。

「ぅんん」

「あ、あ、あ」

腰がぴったりとあわさる。
ゆっくりと引き抜かれて

「あ、ぁ、あ」

「はぁっ!」

また差し込まれる。
ゆっくりと感触を楽しみながら
絡みつく刺激に酔う。
不意にさくらが腰を跳ね上げ
真一郎を刺激する。

「ふわ?!」

「ひゃっ!」

互いに跳ねる声。

「あ」

「あん」

また差し込まれる感触と引き抜かれる感触
腰の裏側がざわざわとする感覚にせかされ
動きが早くなる。

「はぁっ、はっ、はっ」

「あ、あ、あん……はあっ」

一段深くつき込み
奥と先が刺激しあうと
ぴゅる。ぴるるる。
と、さらに奥だけが刺激された……

そのままさくらに真一郎が被さる。
洗い息がさくらの頬にあたる。
そのまま寄り添うようにキスをして
互いを抱きしめ
暖めあいながら
ゆっくりと瞳を閉じていった。



 瞳を開けるとお互いの顔
幸せだと微笑みながら
夕焼けの湖を眺める。

「綺麗な夕焼けだね」

「先輩の顔も赤く染まってる」

「さくらも」

お互いを見つめるように夕焼けを見て。
そよそよとした風に身を任せる。
少し肌寒くて体を寄せ合い
まだ繋がってる事に気がついた。

「あ……」

「ふふ……続きはまた夜にでも
イリヤが来ちゃいますから」

「そうなの」

真一郎の声が沈む。

「ディナーの時間ですよ。先輩」

この時間は始まったばかり
ほとんど人が居ないこの土地で二人だけの時間に酔いしれる。
幸せと思いながら……






後書き
ちょっと挑戦♪
ただ、えっちだけで終わっちゃったのが残念(苦笑)




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