「図書館に行きませんか?」

 秋の夕暮れ
放課後は帰り道。
カップルらしく
手をつなぎ
明日を夢見るように、
愛を口ずさむ。


「図書館?」

「はい」

 男の子
真一郎としては、図書館での楽しみはあまり見出せない
しかし、そこは男の子。
可愛い娘のお願いなら文句なんてない。

「本の虫が?」

「ええ、さわいできました」

 見た目通り
本の虫な女の子。
綺堂さくらが、そう言葉にする。
秋から始まった交際も
一年も続けば安定したといえるもの
多少趣味にかまける時間がおしくなったのか

「最近は、読んでないと思ってたんだけど」

「家の蔵書とか
 新刊とか、買ってたんですけどね。
 そろそろ、和物の有名なのも読みたくなって」

 生粋のドイツ人のさくらにとって
和物は敷居がちょっと高かったのか

「最近は時代小説とかも読むんですよ」

「時代ものなら、結構読んだなあ」

「そうなんですか?」

「うん、戦国とか幕末だけどね」

「男の子……ですね」

「うん。そんな感じ。
 じゃ、明日の予定は図書館?」

「それで、良いですか?」

「うん
 たまには違った所に行くと新しい発見があるかも」

「なんですか?
 新しい発見って」

「それは、行って見てからかな」



図書館に行こう





 あけて翌日。
晴天に恵まれ
図書館内は静かの一言。

「ちょっと見てきますね」

あいかわらずな、黒を貴重として
フリルとスカートの組み合わせ
それだけでも、ここに来たかいがあったと思った。
そう思ってる一方。
真一郎は、白を貴重としてシックな服装。
もちろん、駅では一人だからナンパつされたのは
言うまでもない。

「さすがに、ここでは
 一人でも平気だろう」

むしろ、二人のが二人組みに誘われてめんどくさい場合が多い。
 せっかくだから
剣豪小説でも
と、思ってると
じっと、本棚を見つめてる。
さくらの姿。
それをじっと見ていると
やっぱり可愛いものは良い!
と、思わずガッツポーズまで出そうになる。
 それでも、じっと見ているだけでは退屈になったので
本棚に視線を向かわせ
適当に立ち読みしながら
これでも、読むか……
と、一冊を手に取ったら
まだ、さくらが本棚を見つめていた。
 そこで、むくむくと
わきあがる、いたずら心。
そーっと近づいて
髪の毛の被われているであろう
耳のあたりを
ふーっ♪

「ひゃっ!?
 せ、先輩?
 びっ、びっくりさせないでください」

「ずいぶん集中してるみたいだったからさ」

「まだ漢字が何か苦手なんですよ。
 意味とかも漢字にはあるので
 タイトルからどんなのか思い浮かぶまで時間が……」

「なるほど
 そういう事なんだ」

と、すーっと
出てきた耳を撫でる。

「ぅん……
 ごめんなさい。
 そんなに時間がたっちゃってるとは思わなくて
 退屈でしたか?」

と、言われてるけど
半分は手に集中。
耳とか髪の毛をこそこそと撫でる。

「ううん。平気。
 そんなに時間はたってないよ」

だんだん口調に笑みが混じる。

「や
 いたずらしないで……くだ、さい」

「しないしない」

「そう、言いながら
 お尻の方まで」

「尻尾でないかなあ?
 と、思って」

「出ますけど
 出しません」

「本当?」

と、腰のあたりをわさわさ

「ふやっ!」

「お、ちょっと膨らんできたかな?」

「せ、先輩」

「はは、ごめんごめん」

「っ、もう!」

ちょっと怒って来たので
そのまま適当に本を取って
席へ
借りられる数もそれほど多くないのなら
試し読みをしないと
 そうしていても
やっぱり退屈は退屈。
しかも、二度目は飽きるのも早い。
結局
ヘアバンドを取る。
それほど反応はない
耳を甘噛みした。

「あっ!」

思わずでた
大声に、一瞬びくっとする。
ぷるぷると
さくらが怒り出す。

「もう、退屈なら退屈って言ってくれれば良いのに」

「ごめんごめん」

「……なんか、恥かしいです」

「も、もう出ようか?」

視線が集中してきた気がする
(あくまで気がするだけで、休日の館内はそれほど人はいない)

「うう
 でも、このまま出たら、もっと恥かしい気がする」

「俺も、読んでないの借りるからさ」

「は、はい」

二人して
真っ赤な顔をしたら
館員さんが、微笑ましそうに対応してくれた。
それが、ますます恥かしくて
二人で真っ赤になって図書館を出た。


「もう、すっごく恥かしかった。
 ぜったい、何してるか気づかれてましたよ」

「うん
 俺も反省してる。
 ああ言う所では、今後気をつける」

「ああ、言う所で、
 ですか?」

「うん。
 これから、家によって
 さっきみたいなのするでしょ?」

「……はい」

特に相談もしないで
見抜かれてるのが
なんとなく、気になるのか
返事に時間があった。

「先輩は、ずるい」

そんな言葉を聞きながら
秋の日は
これから夕暮れになりつつあった。












あとがき
リクエストがあったので、ひさびさに書く。
最近は、アイマスが好きになったせいで
登場人物が増えたのが
書くにくいので二人のバカップル模様です。
ええ、前から、こんなのしか描いてませんが(苦笑)
よろしければ、感想なんかがほしい所ですね♪

TOP掲示板