「いくつもの制服たちが吸い込まれるように入っていく。
 あるものの涙を
 喜びを
 沢山もの心を動かした入れ物から
 また一つの巣立ちを迎えます」

そんな言葉で始まる
春の日に沢山の柔らかい日差しをあびた『子供達』
これから起こる事を何一つとして疑うことなく
今ある別れに涙する。

「私達はここで沢山の事を学びました」

学んだ事より
愛した日々を思い返す。

「沢山の友人とも出会いました」

出会った友人より
別れた友人が気にかかる。
(成仏できたとは思うんだけど……)

「沢山のありがとうの言葉で
私達の巣立ちとさせて頂きます」

その言葉にこそ
共感する。
言いたいあいてはここには居ないのだけど……
気持ちはきっと届いてる。



「と、言う事で
綺堂さんの答辞お疲れ様でした」

花見に少し早い季節に
桜のしたで思い思いに『花』を咲かせる。

「やめてください……
井上さんはともかく
他の方は見てないと思ったのに……」

「いやー
綺堂は何時見ても色っぽくて」

「大輔さん」

にやけ顔の大輔の腹にななかの肘が入る

「あはは。
でも、さくらちゃんの答辞
最後の笑顔はしんいちろがふやけてたよ〜」

「どうして
人が隠しておきたい事をばらすかなー?
この尻尾は!」

「痛い痛い!
それいづみちゃんのあだ名!」

「今いない人の事を言うわけがないだろう?
ゆ・い・こ・くん!」

「あぎゃー
とっても痛いー
ひっぱっちゃ
やー!」

「もう真くんもそれくらいにしないと駄目だよ?」

「はぁ〜い」

「野々ちゃんが母親……
もとい、一番のお姉ちゃんだなぁ
このトリオは」

「たしかに!」

「こら、そこのカップル今のは聞き捨てならん!」

「いやー。
あながち間違ってないかと唯子は思うのだよ」

「ええ、
少なくても今のは完全にそうでした」

「さくらまで……」

「じゃ、可愛い子供達にお母さんのお弁当をだしますか」

「あのちびっ子め……
いつか泣かす」

「そう言うのが子供っぽいって言うんですよ。
はい。先輩」

さくらの手……水筒から真一郎に

「ありがとう
さくら」

「照れ隠し」

「だーいーすーけーくん♪」

「あだだだだだ!
笑顔でこめかみだけ押さえるな!」

「どうして……人の隠しておきたい事を見抜けるんでしょう?」

「ふふ。
でも、今の先輩はバレバレな気もします」

「いやいや、綺堂さん
それは愛ですよ」

「愛ですかね?」

「うん。唯子も解ったからね。
ね? 小鳥」

「うん。
私はお母さんだからね」

「ふふ。
野々村先輩凄く気に入ってる」

「家族愛だからね」

「唯子のご飯ー」

「聞いてよ……」

「花より団子より
酒だー!」

「はい。大輔さん」

「おお、ありがとう
ななか」

「それでは
お手元の紙コップで」

『かんぱーい』

「ななか(さくら)ちゃん
さくら(ななか)ちゃん 卒業おめでとう♪」

「む、名前が揃わなかった……」

「真くん(しんいちろ)だけ
さくらちゃんの名前が先だったからね」

「愛だねぇ」

「どうして、お前ら+大輔!
そのにや気顔がむかつくー!」

「もう酔ってますね……」

「卒業式って退屈ですから
まして去年したばかりの方なら」

「相変わらず綺堂さん
大人ー」

「違いますよ。
今日は私もちゃあんと酔ってますから」






後書
さくらの誕生日と言う事で
うんうんうなって書きました。
卒業の答辞を読んでるのは、男子の強い要望と言う事で(笑)
さくらはこうして何かを見つめながら
自分を語るのが綺麗だと思います。
できたら感想よろしく〜♪

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