ばんっ!


 叩きつける音が台所に響きます。
何年か前から
こうして、二人でお料理をする。
そんな休日が、二人の時間になりました。

「今日はちょっと変えて
 ここに、桜の花を練りこんでみようか」

真一郎さんの提案により
今日は、桜の入ったおうどんになるようです。



 

桜うどん





 だんっ!
と、また景気の良い音が鳴り響きました。

「今日が振り替え休日で良かったね」

「あら、私は平日でも平気でしたよ」

ちょっと横をむくと真一郎さんは
汗でびっしょり。
私は……結構余裕があります。

「さくらはっ!
 元気っ!
 だなぁ……っ!」

だんだんっ!
と、打ちつけながらの会話。
息も切れてきています。

「意外と力持ちですから」

「うんっ!
 そうだったっ!
 ねぇっ!
 俺は、ちょっと疲れた……年かな、やっぱり」

「真一郎さんだって、まだ若いじゃないですか」

そう
真一郎さんは、あれから……
ちょっとだけ年を取ったくらいにしか見えない。
今でも、10代といって、信用する方がいるんじゃないかな?

「いやいや……
 うん、そうだよね。
 年を取るともうちょっと渋くなると思ったんだけどなぁ……」

「ふふ。
 ちゃあんと可愛いままですよ。先輩♪」

「こら」

ちょっといたずらして
昔のように呼んで見る。
もう……10年以上もたったのかと思うと
いろいろと思うことはある。
でも、変わらなかった。
私はもちろん、真一郎さんも
真一郎さんのお友達も


「さて、こねあがったし
 そろそろ茹でておこう
 あの腹ペコ魔人が、子供づれで来ても良いように」

「今日はさすがに遠慮してくれるかもしれませんけどね」

「いいや
 だからこそ、夕食はさけて
 このお昼の時間にくる」

「くすっ
 そうかもしれませんね。
 そうなると……」

「うん、今日は小さい大人も来るかな」

真一郎さんは
幼馴染の話になると、こうして口が悪くなった。
ちょっと羨ましいかな?
なぁんて、思ってすねたのも
もう何年も前。

「アゲと……肉がないと怒りそうだなぁ……」

「でも、うどんなんですけどね……」

「まぁ、そのへんは、サイドメニューで考えよう」

「はい」







 特別な日だけど
何時もある日常。
そのなかに、ちょっとした特別をまじえて
今日も、私達は元気です。


ピンポーン♪



「はい、できましたよ〜!」

「さくら、それ違う」

「あ」










 あとがき
さくらの誕生日ですから
恒例の行事ですね。
10周年も突破した事で
年をとらせてみました。
ほんわか〜♪
と、してるだけのなんでもないお話って良いよね♪
桜のうどんは
桜餅とか考えると
ちゃんと、おいしいと思うんだ!
塩でつけこんでる桜を練りこむんだろうし?(想像)






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