何時ものように
綺堂さくらは、彼氏
相川真一郎の部屋に居る。
ただ、何時もと違っているのは
アルバイト情報誌を持っている事だった……


アルバイトをしてみよう





「何、アルバイトするの?」

と、男ながら料理を振舞うのが趣味であるからには
食後の皿洗いまでやるのが当然とばかりに
エプロンで手を拭きながら、真一郎は言う。

「はい、先輩。
 これでも良い子で通ってますから
 デート費用くらいは自分で稼いでる事にしようかと」

やんわりと微笑むように
さくらが向き直る。

「さくらは良い子だよ。
 でも、事にしようと?」

「ええ。
 別にお金を使うような趣味もありませんので
 お小遣いなどの貯金があるんで、とくに困ってないんです」

「ああ、さくらは何か欲しいとかあんまり言わないもんなぁ……」

美人な上に倹約家とも言える彼女。
彼氏としては、多少のわがままを言ってほしいと思ってる真一郎としては
そこの所は多少不満でもある。

「そんな事ありませんよ」

「でも、何か欲しいって言われた事ないよ?」

「言ってますって」

「そうかなぁ……?」

「はい。
 何時も先輩が欲しいって言ってますから」

「……あ」

たしかに言われてるが
予期せぬ言葉に真一郎が赤くなる。
このカップルは
だいたい、こんな感じで
彼氏を立てるけど、彼氏より強い彼女で動いていた。




 日は変わって、学校。


「さくらちゃん、あるばいとを探してるんだって?」

と、休み時間に現れたのは、鷹城唯子。
声があいかわらず、特徴的だ。

「はい。
 先輩に聞いたんですか?」

「うん。
 そこで、助っ人を用意しました、
 いづみちゃんでーす!」

そこで現れたのは
尻尾忍者(真一郎談)の御剣一角。

「バイトなら結構やってるからさ。
 相談に乗れると思うよ」

「はい。ありがとうございます」

と、すぐに笑顔で返すさくらに

「「おぉ〜」」

二人が感動する。

「なんか、反応が……」

「いや、だって」

「ねぇ?」

「どうせ、私は愛想が悪かったですよ……
 と、その愛想の事でもご相談が」

「うん?」

と、いづみが答えた所で
相談内容はこうだった。
昔から、何かと異性がよって気安いきやすい体質(?)である、さくらは
アルバイト先でも、その手の面倒がないか心配らしい。

「もともと、それほどお金に困ってるわけではないので」

「働きやすい所が良い訳か……
 ま、異性がドン引きする仕事なら心あたりがあるぞ」

「どんなのです?」

「唯子にも頼まれていたし 
 二人そろってやってみるか」

「うん」「ぜひ」

と、唯子とさくらが返事をして。
その話はまとまったのだった。




 一週間後。相川真一郎の部屋。

「で、そのアルバイトってのが」

「はい、引越し屋さんでした」

「普通に考えたら、女の子は嫌がるんだけどね……」

と、相変わらず、テキパキと食事したくをしながら
真一郎は会話する。

「あはは。
 ほら、私はちょっと違いますから」

そういって、力こぶを作るのだが

「見た目は細いんだけどね……」




 現場はこんな感じだったらしい。

「まず、大きいから運び出したい所なんだが」

と、経験者であるいづみが、初心者でもある
さくらと唯子に話をしていた。

「私一人でも、はこべますが」

さくらが言う。

「まぁ、私もなんとかいけるけど
 さすがにそこまでする事もないだろ
 一応、大きいものは二人以上でやる事にしよう」

「わかりました」

そういって、大きなタンスを『中身入り』で運び出した所。
男性社員(アルバイト含む)の見る目が変わったとの事だった。




(そりゃ、目の前の細い子がタンスとか軽がるもっていたら
 話かけ辛いよなぁ……)

「二人で、階段使わないで
 窓から3階に上がったりもしましたから
 結構、楽しかったですよ」

「まぁ、ほどほどに……」

真一郎は、一緒にいたであろう
ほかの人がどんな目で見てたのか気にはなったが
気にしない事にした。
たしかに、これなら変な虫はつかないかも……
と、安心した所で、料理が出来た。

「いろいろ疲れただろう
 今日は、いっぱい食べて休んでいってね」

「はい、ご馳走になりますね。先輩」











 あとがき。
ひさびさのとらハSSです。

忘れてたので、変な文章になってしまいました(苦笑)
つか、呼称というか名前が出てこない
さくらとかメインは覚えてたんだけどね
苗字とか
あれ?
って思っちゃいました。
 ちなみにアルバイトネタにしようと思ったのは
前日にプレイしてた
アトリエかぐやの
アルバイトの先輩の女のコに仕事を教わっていたら始まっちゃうHな関係
が、大きいと思います(笑)









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