さっちんの
  遠野君かんさつ日記

”遠野君とお姫さま”編



序 その日の日記帳
 ○月○日(金) 晴れ
 今日は朝から遠野君が来ていた。
 いっぱい遠野君のことを見れて、ラッキ!!
 でも……もう少しお話ししたかったなぁ……


1 いつもの金曜日
 その日の弓塚さつきは、いつもよりもホンのちょっとだけ早く起きると、自らを奮い起
 こしていたのであったりする。
 (さぁ、さつき! 今日は勝負の日よ! 今日こそ……今日こそ遠野君にぃ!!)
 鏡に映る自らの虚像に向かって、そう呟くさつき嬢。
 ……実は週に1度はこんなコトをやっていたりするのだ、この娘。
 しかも大抵金曜日。もはや恒例行事と言えよう……
 そしてその後、朝食を食べる時間もなく通学路を駆け抜けるコトになるのもまた、恒例
 の行事となりつつある今日この頃であった。
 おかげでご近所の皆さん、さっちんが朝に駆け抜けていくのを見ると、
 『あぁ、今日は金曜日か』
 などと思うとか思わないとか……


2 学校での良くある風景
 さて学校である。
 さつき嬢、友達と挨拶を交わしながら、まずはターゲットの確認を実施。
 彼女の標的であるところの遠野志貴君は、割合遅刻がちなのである。
 最近は特にソレが顕著で、遅刻ではなくサボリもしばしば。
 (目標補足! 今日は朝からついてるんだ!!)
 が、本日はちゃんと朝から来ていたようである。
 (よし! さつき、ファイト!!)
 自らを鼓舞して、いざ出陣である。
 「遠野君」
 軽く辺りを見回しながら、気軽に、何気なさを装ってそう志貴に話しかけるさつき。
 辺りを見回すのは、志貴の友人であるオレンジ頭の怪しい男、乾有彦を警戒してのこと
 である。
 有彦という男は、基本的に敵であるゆえに……
 (いつもいつも……いいトコでじゃまするんだからぁ〜!)
 さっちん、心の叫びである。
 「ん? 弓塚? どうしたの?」
 そんなさつきに、一見人畜無害、実は女殺しと言われている笑顔を浮かべながら志貴が
 言葉を返してきた。
 途端に、今までの勢いはどうなったのか、と言わんばかりに大人しくなってしまうさつ
 き嬢。頬も幾分紅く染め気味の様子。
 コレを見たクラスメートの感想はこんな感じである。
 (遠野のヤツぅ!!)
 (殺す! いつか殺す!!)
 (むぅ。とーの君はあたしのものなのにぃ!)
 (くすっ、相変わらずさつきってば可愛いんだから♪)
 (……アレで全然気付いてないってんだから、大物よね、遠野君ってば)
 遠野志貴の異常性から考えれば、この程度は普通であろう……きっと。


3 遠野君と美人さん
 そんなさつき嬢を不思議そうに、且つ微笑みながら見つめていた志貴君、ふと何かを感
 じて、窓の外を覗き込んだ。
 で、その視線の先には、とんでもない生物が存在していたわけで……
 「!! あんのばか……」
 「ん? どうしたの?」
 もちろん、そんなコトはさつきちゃんには解らない。
 というよりむしろ、さっちんの目には遠野志貴しか映らない。
 が『鈍感大魔王』の異名をとる志貴に、そんなことが伝わるわけもなかった。
 「ごめん弓塚。俺、ちょっと抜ける……」
 ゆえに、志貴はそう言うと、早足で教室を出ていってしまうのであったりする。
 その程度では少しもめげないさっちんではあるが、さすがに不思議に思ったのだろう。
 首を窓の外まで出して見てみると……白い服を着た金髪の美人さんが見上げているのを
 発見。
 (わぁ、綺麗な人ぉ〜…… 外人さんかなぁ?)
 などと思いながら、さつきちゃん、しげしげとと観察を実施。
 すると、ふと目があってしまった。
 途端に、柔らかに微笑みを浮かべる金髪の美女。
 (!!)
 びっくりしすぎて、さつき嬢、思わず引っ込んでしまった。
 まぁ、面識のない美人さんと、いきなり目があって微笑まれたら、それも仕方あるまい。
 (あーびっくりしたぁ……でも、ほんとーに綺麗だったなぁ……誰かの知り合いかな?)
 そんなことを考えながら、もう一度首を出してみたさつきが見たものは、なんと件の美
 人に向かって走ってくる志貴の姿だった。
 (とっ、遠野君!? えっ!? えぇぇぇぇぇ!!!)
 志貴を認めた途端に、にぱっ、って感じで、お日様のような無邪気な笑顔を浮かべる美
 人さん。
 もう、好物を目の前にした幼児でもこうはいかない、といった感じの満面の笑み。
 一方志貴の方は少々困った表情をしているが……どうもちょっと無理してそう作ってい
 る様に、さつきは感じていた。
 さすがは普段から志貴を観察してるだけのことはある。
 (あの人、とっても楽しそう……それに遠野君も、楽しそう……)
 様子からして、志貴は美人さんに色々と文句を言っているようなのだが……まぁ、どう
 控えめに見ても、痴話喧嘩にしか見えないわけで……
 つまり、こうして志貴の武勇伝が増えていく、というわけだった。
 困ったモンだ。


4 落ちかけるさつき
 (いいなぁ〜。わたしもとーの君と、あんな風にお話ししたいなぁ……)
 傍目には楽しそうに会話している2人を眼下に、それはそれは羨ましそ〜に見ているさ
 つきちゃんである。
 指でもくわえかねない様子、と見たのは何も一部の生徒だけではあるまい。
 そんな彼女の目の前で、美人さん、志貴の腕を引っ張ってそのまま校外へ向うという暴
 挙に出た。
 (いっ、行っちゃうのぉ〜??)
 驚愕のあまり、思わず窓から身を乗り出すさっちん。
 ……それも重心が傾くほどに……
 (あれ?)
 視界がぶれた時には既に遅く、そのまま重力に引かれていくさつき。
 (あれれぇ〜??)
 自覚があるのかないのか……さつき嬢、なかなか呑気である。
 と、そこに、なんの前触れもなく有彦君登場。
 「なにしてんだ、弓塚? キミは窓から落ちる趣味でもあるのデスカ?」
 そう言うと、落ちそうになったさつきちゃんを引っぱり込んだ。
 「えっ? あ、乾君……ありがと」
 一応口先だけのお礼を述べると、さっちんおもむろに考え込む。
 (遠野君行っちゃった。どーしよう?)
 自分が落下死体になりかけたコトなど、既に脳内から揮発してしまったらしい。
 困った娘さんである。
 (気になる、気になるなぁ……)
 さつき嬢、虚空を見つめて思考開始。
 10秒、20秒、30秒……結論出力。
 (ここはひとつ……追跡しかないよネ!!)
 ……ホントに困った娘さんである。
 で、どこか間違っていると思われる結論を下さしたさっちん、おもむろに有彦の方へと
 向き直って言葉を放った。
 「……乾君! 先生に、わたしは具合が悪くなったので早退しました、って言っておい
 てねぇ〜!!」
 ドップラー効果すら伴わせたさつきちゃん、そのまま去って行ってしまったりする。
 「センセが目の前にいるのに、いっちまった……やるな、弓塚……」
 「……あー、弓塚は早退と……」
 いつの間にやら現れていた担任の先生、そう呟きながら出席簿の弓塚さつきの欄に早退
 のマークを付けた。 
 先生、割とお茶目である。


5 追跡開始
 さて、教室を飛び出し、校門も超特急で抜けてきたさつき嬢。
 次なる行動は、当然、志貴の探索である。
 とはいえ、10分は先に門より出た美人さんと志貴の姿が、この周辺にあるはずもない。
 (どっちにいるのかなぁ?)
 無計画すぎるさっちんの行動は、やはり今回も無計画であったりする。
 (よし! あっちだ!!)
 そう思いながら突き進むさつきちゃん。その根拠が『なんとなく』である以上、彼女が
 目的を果たす可能性は低い……かと思いきや、
 (志貴君めっけ!!)
 いきなりビンゴ。
 (ホント、今日はついてるんだ!!)
 彼女の思いこみは、どうやら確率を超えたようである……不思議なことに。
 そうこうして、2人の後を隠れながら追跡しはじめたさつき嬢であるが……まぁ、大方
 の予想通り、それはちっとも格好良くない。
 なんともまぁ、いぢましいと言うか、間抜けというか……ストーカーとしてもあまりに
 貧弱であるため、なんとも涙を誘う姿である。
 もちろん、本人にその自覚はない。
 (なんか探偵さんみたい。面白いかも……)
 などと考えている時点で、さつき嬢、かなり変である。
 と、そんな彼女の見守る中、2人は映画館へ入っていった。
 続いて彼女も……切符を買って突入。
 上映していた映画はメロメロの恋愛ものだったようで、辺りはカップルばっかりである。
 (あっ、これ見たかった映画だ……)
 そう思いつつも志貴を探索……すぐさま発見。
 ただし、志貴と美人さんは腕を組んでくっついていたりする。
 (がーん……)
 もちろん、さつきちゃん大ショックである。
 しかも小声で囁きながら微笑んでいるとくれば、さつき的には寝込んでもおかしくない
 程であろう。
 ……まぁ事実は、照れてる志貴が離れろと言っていただけなんであるのだけど……
 結局さつき嬢、映画そっちのけで落ち込んで、時間はさくさく進んだのであった。


6 さっちんの小さな決意
 映画を見終わった志貴と美人さんは、楽しそうに腕を組みながら映画館を出ていった。
 かなり落ち込んでいたさっちんではあるが、それでも健気に2人を追う。
 (うぅ……志貴く〜ん……)
 しかし、見れば見るほど落ち込んでいくのは、まぁ仕方のないことであろう。
 美人さん、顔はもちろん、スタイルも表情もとびっきりなのだから。
 そんなさつきを余所に、相変わらず楽しげに話していた2人は、そのままゲームセンタ
 ーに入っていく。 
 当然さつきも続いていくわけだが……
 さて、ゲームセンターと言う所、最近は大分緩和されてきたとは言え、カップルや集団
 でならともかく、女の子一人ではなかなか入りずらい場所である。
 ゆえに、さすがのさつき嬢も躊躇するか……と思いきや、さにあらず。
 さつきちゃん、まったく躊躇せず突入。今の彼女にとっては、その程度の障害は障害の
 うちに入らないらしい。
 さすがは我らのさつきちゃんである。
 (えっと……とーの君はぁ……あっ、発見!)
 で、その彼女の目当ての遠野志貴君ときたひにゃ、美人さんと楽しそうにクレーンゲー
 ムに興じていたりするわけだ。
 (うぅ……楽しそうだなぁ……わたしもいつかは……)
 涙ぐんで空を仰ぎ、ぐっと拳を握って固く決意するさっちんであった……


7 海岸にて
 ゲームセンターを出た2人が着いたのは……海岸。
 相変わらず腕を組んだまま、砂浜をゆっくりを歩く2人。
 時々視線を合わせては、楽しそうに微笑みあう。
 ……少なくともさつきちゃんからは、そう見えているのだったりする……
 モチロンのこと、真実は違うのであるが……まぁ、この際それは関係ない。
 重要なのは、さっちんにとってそれが、自分が憧れていたシチュエーションであった、
 ということ……
 『憧れの遠野君が憧れているシチュエーションを「他の女の人」と行っている』
 という、目の当たりにしても信じたくない事実を、目前で繰り広げられたさつき嬢がや
 ることは、もはやたった一つ、
 「とっ、遠野君の……ばかぁ!!」
 と叫びながら走り去る、ただそれだけであろう……


8 黄昏時の街
 悲しい出来事から数時間後の日の暮れた街。
 その中に、俯きながらとぼとぼと歩くさっちんの姿があったりする。
 と、前からガラの悪そうなヤツが3人、迷惑にも横1列になってやってきた。
 前を見ていないさつき嬢、当然のように、肩がぶつかる……
 「おう。なにしやがる、小娘!」
 古典的、あまりに古典的な言葉を放つ、見るからに自由業の方のひとり。
 と来れば、普通はさつきが萎縮してしまうだろうと言うのが、大方の予想であろう。
 が、さつき嬢の答えはこうだった。
 「……うるさい」
 素敵な言葉である。誰もが一度は言ってみたい台詞であろう。
 もちろん、こんなコトをしたら、普通、ただで済むはずもない。
 「なんか言ったかぁ!」
 当然いきり立って、相手が小娘だというにも関わらず怒気を放つ自由業の人。
 それでもさっちんの答えは刺激的だった。
 「うるさいって言った! いいからどっかいっちゃえ!!」
 「んだと、このアマ!!」
 そして始まる、血の宴……


9 すとりーとふぁいたー
 妙に大騒ぎをしている某所の歩道。
 その近くを、いつも通りに夜歩きをしていた有彦君が通りかかった。
 (おっ? 何か楽しそうだな?)
 そういうズレタ感想を持ちながらも、この騒ぎに介入していく有彦。
 彼が、騒ぎが大好きなお祭り男である以上、それは仕方のないことであろう。
 そんな彼が目にしたものは……大方の予想を裏切って……さっちんが泣きながら自由業
 の人々をボッコボコに『している』姿だったりする……
 「うわーん!! 遠野君のばかばかばかぁ!!」
 言っていることは、割と、可愛らしい。
 が、行動は……めちゃ凶悪。
 「ぐはっ! もうゆるし……ぐぇぇぇ!!」
 さつき嬢、渾身のレバーブロウにて浮いた1人目に容赦なく双掌打で追撃。
 それにより吹っ飛んだ相棒の姿を見て、恐怖する2人目。
 「たっ、たすけ……ごはぁっ!!」
 思わずさっちんに縋りつこうと足下に寄ってきた途端、顎先にサマーソルトキック。
 死を間近に感じ、もはや懇願するしかない3人目が許しを請おうと近づくと……
 「おねが……ぎぇぇえぇぇ!!」
 サマーから繋いだレッグラリアートが炸裂。
 まさに地獄絵図。
 見ていた有彦君が、思わずそのまま180度反転して、逃亡を企てようかと思ったくら
 いの恐ろしさである。
 が、基本的にはお人好しの有彦は、つい、さつきに声を掛けてしまうのであった。
 もちろん、その表情はひきつっていたりしたけれども。
 「あー、キミは何をしてマスカ?」
 その声に、動きを止めてきょとんとしたさつきちゃん。
 首をひねって、発言者の探索……成功。
 のち、小首を傾げて目の前の人物の照会を実行。
 数秒後、発言者を有彦と断定。
 「うぅ……ぐす……うっ、うわーん!!」
 途端、今までの修羅はドコへ言ってしまったのか、その場にしゃがみ込んで、幼子のよ
 うに泣き声を上げ始まるさつきの姿があったりしたわけで……
 「ちょっ、ちょっとまてぃ!!」
 有彦の叫びも虚しく響くのみのである。合掌。


10 有彦君の憂鬱
 辺りの恐ろしいまでの視線に耐えきれず、近くの公園までさつき嬢を連行した有彦君。
 彼女をベンチに座らせると、先に購入した缶ジュースを手渡しながら言葉を掛けた。
 「ほら。とりあえず、それでも飲んで落ちつけ、な?」
 「うん……」
 俯きながらも、そう言葉をこぼすさっちん。
 心配そうに彼女を見つめる有彦クン、彼女がプルタブを引いてジュースに口を付けるの
 を見て、ちょっとだけ安心する。
 そして有彦は、幼子に対するような柔らかい口調でさつきに言葉を重ねた。
 「で、なに、遠野のコトなんだろ、どうせ。どうした?」
 が、さつきの返事は、不幸にして返事になっていなかったりする。
 「えっとね……えっとね…………うっ、うう……うわーん!!」
 「えー、それではナニモ解リマセン、弓塚サマ」
 この時点で有彦君、彼女に理由を聞くことを諦め、慰めに徹する方向に転換を決意。
 が、そのような技能を、彼が持つわけもなく……さめざめと泣き続けるさつきを前に、
 途方くれる有彦の姿があったわけで……
 「……なんでオレ、コンナコトシテルンダロ……」
 「ぐっすん」
 そのまま、10数分の時が過ぎた……
 仕方なく空を仰いでいた有彦、泣き疲れたのか、さつきの勢いが弱まっていくのを見計
 らって、最後にもう一度彼女に声を掛けることにした。
 「まぁいいさ、元気出せ、な?」
 「うん……」
 その言葉に、有彦は安心して帰路についたのであった……


11 さっちんの幸せ
 夜である。
 が、我らがさっちん、何故かまた街を1人歩いているのだったりする。
 実は一度帰宅していたのではあるが……どうやら、日記を書いている途中で、再び悲し
 くなってきたらしい。
 そのまま家でしくしく泣いていればよいものを、思わず勢いに任せて再び家を飛び出し
 てきた辺り、さつき嬢、やはり普通ではない。
 で……そのある意味異様なオーラに恐れをなしてか、誰も近寄ろうとはしない……
 たまによる男どもが居ても……
 「ねえねぇちょっと……」
 ”ギンッ!!”
 「しっ、失礼しましたぁ〜!!」
 てなもんである。
 「ぐっすん……やっぱり魅力ないんだ、わたし……」
 そんな言葉を呟いているさつきちゃん。

 『弓塚、キミは何か間違ってイルヨ』

 有彦がまだ居たら、絶対そう言う場面である。
 が、もちろん彼女は気付かない。
 気付くはずもない。
 心の中は、今も「遠野君(はぁと)」でイッパイなのだから。
 そして再び涙ぐんだその時……
 「はぁはぁはぁ……やっと見つけた……」
 どこかで聞いた声だった。
 そして、どこかで見たことあるような姿だった。
 というより、今まで考えていたヒトそっくりだった。
 「遠野……君? な……んで……??」
 意外すぎて、途切れ途切れになってしまうさつきちゃん。
 対する志貴も、随分と走ってきたのか、かなり息が切れていて、なかなか上手く喋るこ
 とが出来ない様子であった。
 「探した、ぞ……」
 (!! 遠野君が私のことを気にかけてくれた!! そして、探していてくれた!!)
 それだけで、さつきの心は一気に温まった。
 が、志貴の言葉に対する返事の言葉はこんなものだった。
 「えっ?」
 気の利いた言葉も言えなくて、さつき嬢、自己嫌悪。
 が、志貴がそんなことを気にするわけもなく、そのまま言葉を続けていた。
 「有彦に……聞いて、な……」
 なんだかんだと言って、有彦君、さっちんのことが気に掛かったのだろう。
 そして、それを志貴に伝えればどうなるのかも。
 「とにかく家まで送るよ」
 「え? あ……うっ、うん♪」


終 その日の日記 追記
 ○月○日(金) 晴れ
 追記
 えへへへ……とーの君に家まで送って貰っちゃった♪
 とってもうれしい。
 明日も、そうだったらいいなぁ……


おまけ 幸せはまだ遠く
 少しだけ距離が近くなったらしい志貴君とさつきちゃん。
 「……ところでいいのか? 俺なんかの相手してて?」
 「うん♪ いーんだよ」
 などと、仲睦まじく会話をしていたのだか……
 ”ドドドドドドドドド”
 とゆー地響きが発生。
 「ん?」
 「なんだろう?」
 などと言ってる内に、教室の扉が、バンッ、と開き……
 「遠野君!!」
 「シエル先輩??」
 「ちょっと、付き合って、もらいます!!」
 「うわ! なっ、ナンデスカ?」
 志貴君の意志は無視で、牽引していくシエル嬢。
 「うわぁ〜! 弓塚ぁ、まぁ〜たぁ〜なぁ〜〜!!」
 だんだん小さな声になっていく志貴の声に、さっちんは決意も新たに誓うのである。
 「……絶対、負けないんだからぁ!!」
 頑張れさっちん! 明日はきっと良いことあるさ……

戻ります