どうか大きく広い心で読んで下さい、
どうぞお願いします。
この物語はバッドエンディングが基本になっております(おい)
読みにくかったりくどかったりするでしょうけど、
どうか許してください。
神坂には文の才能が無いのです。
なんじゃこりゃあ!?
と叫びたくなったりするところも有るかもしれませんけど
苦情その他は
…出来れば欲しくないな〜っと思っております。
…ので勘弁してください。
以上を踏まえて、自分は心が広いと思う方は次に進んじゃってください。
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〜こころのかけら〜
プロローグ
…待っている
…ずっとそこで待っている
なにも考えられなくて
なにも考えたくなくて
悲しくて
空虚で
辛くて
苦しくて
…でも涙は出なくて…
それでも…私は待っていた…
『約束』
いつも、
いつまでも続くと思っていた、
とても愛しいあの日、
一番大好きな、
君と寄り添いながら…。
「ね、さくら。」
「なんでしょうか…先輩?」
「さくらの誕生日にさ、デートしない?」
「良いですけど…、どうしたんですか?
先輩まだ、わたしの誕生日までずっと先ですよ?」
不思議そうに、
そんな表情のさくら。
「なんだかね、さくらの誕生日の事、考えたら落ち付かなくってさ、
だから今のうちに約束しておこうかな、…って思って。」
「…まるで、わたしじゃなくて、先輩の誕生日みたいですね。」
そう言って笑うさくら、
でも悪い気はしてないのか、嬉しそうだった。
「じゃあ、何処で待ち合わせしようか?」
「それなら、この前、
先輩が言っていた、海沿いの公園が良いです。」
気が早すぎる俺の問いに、
少しあきれたように、
しょうがないなあ、…とでも言うみたいに、
…でも凄く嬉しそうに…。
『プレゼント、期待してますから。』
そう微笑んで見せるさくらが、心に強く焼き付いてる。
『指輪』
この町に一つある宝石店の前、
俺は今さっき銀行から引き落としたばかりのお金を握り締めて、
店内に入り込んだ
今まで別に使い道も無くて、ためていたお金が今、役に立つ
買うものは決めてある
前に唯子や小鳥と何気なく見て良いなって思っていた指輪。
たぶん買えると思う
そんなに高いものじゃないだろうから
…もっとも学生にはやっぱり高い買い物なんだけど。
目的の指輪はすぐに見つかった
女性の店員さんにガラスケースの中から取り出してもらう、
「彼女に、プレゼントですか?」
…女性の店員さんにそう聞かれて、少し照れながらもうなずく
「良ければ名前をうち込みますけれど?」
なんだか優しそうな笑みを浮かべて、俺の事を見て店員さんが言う。
「お、お願いします」
恥ずかしいやら
嬉しいやら
そんな気持ちで
俺の声は少しうわずっていた。
『バッドエンドの少し手前』
さくらと喧嘩した、恋人同士になってからの初めての喧嘩、
…最悪だ
最悪の気分
最悪な形での喧嘩別れ、
…このまま終わっちゃうのかな、俺達…。
さくらと、もう会わなくなる?
そんな考えがぼんやりと、頭に浮かぶ、そんなの嫌だな…。
………さくらの瞳、さくらの指、さくらの胸…。
何だって分かり合えてたはずなのに、
そのはずなのに、何でこんな風になっちゃったんだろ…。
…ふと机の上を見た、
しばらく前のあの日に買った、
指輪の箱が置いてある。
…ふと机の上を見た、
しばらく前のあの日に買った、
指輪の箱が置いてある。
少し前までは気ばかり焦って買ったこの箱を見るたびに、
さくらにこれを渡したときの表情を想像して、
恥ずかしいような、嬉しいような気分だけがわきあがってきてたのに
今は…ひどく辛い。
重く感じる体をベッドから持ち上げて、
辛い思いだけを思い浮かべさせる『それ』を、
手にとって、
窓をあけて、
外に投げ捨てようとして、
…でも、やっぱり捨てられなくて、
引き出しの奥に未練がましくしまう。
重い体をベッドの上に放り出して、
惨めな気持ちで目を閉じた。
…バカみたいだ…。
『先輩…』
『大好き……』
さくらの声
…俺、こんなにもさくらのこと…好きなんだ…
『消えた記憶』
いくつもの出来事があった、
たった二月余りの日々、それが消えてしまったのはあの日、
2月12日、
夜の学校、
体育館の中、
転校生、
氷村遊、
もう一人の吸血鬼
俺と、瞳さん、唯子と、…さくら。
憶えているのは、鈍く、くぐもった音、
骨の折れる…、
砕ける、
いやな、
…音。
そして、泣き顔と、
『さよなら…』
わかれのことば…
…立っている。
…ずっとそこに立っている。
なにも考えられなくて。
なにも考えたくなくて。
悲しくて。
空虚で。
辛くて。
苦しくて。
…でも涙は出なくて…。
夢を見て…目が覚めた。
ここが何処かわからなくて
一瞬混乱する、
そして、すぐに見なれた自分の部屋だと気づく
…どうしたんだろうか?部屋の中に、
見なれているはずの自分の部屋に不思議な違和感を感じる、
いつもと変わらない、
本当にいつもと変わらない自分の部屋のはずなのに…。
…何故だろう?何故?こんなに…
自分の周りが寂しく感じられるのだろう?
何故…いつもすぐそばに誰かがいた気がするのだろう?
学校
いつも誰かの所に行っていた気がして
唯子と小鳥の所に行く
いつもと変わらないはずの日常
そのはずなのに
やはり何故かしっくり来ない、何処か物足りなく感じる、
それがなんなのか、わからないまま、
なにかが抜け落ちた時間を過ごす。
それは不思議な感覚、
おかしな気持ち、
でも、
これはあまり良い感じじゃない
なんだろう、
まるで胸に大きな風穴でも開いてるみたいだ…。
「…………」
もう一人、誰かいなかったか?
その人はとても……
…よく思い出せない…
どうしても気になったので、午後の休み時間に、小鳥のところにいってみた。
「そういや俺、彼女…いなかったっけ?」
「いないよ…。なにいってるの」
唐突な俺の言葉に、小鳥は戸惑いながら答える。
「いたような気がするんだ…美人で、
可愛くて…なんだったか、ええと…」
「…………」
自分でもよく解らなくなる、でも、何か…何かを…
小鳥が俺の額に手をあててくる。
「熱はないみたいだけど…?」
心配そうにそういう小鳥の手は少しひんやりとしてて気持ちよかった。
「欲求不満なんじゃないの…?彼女欲しいなら、紹介してあげようか、わたしの友達…。
美人で可愛くて、多分、真くんの事好きな子がいるから」
「え?」
「真くんも、よく知ってる子だよ」
「……誰?それ、誰!?」
気づいたら俺は小鳥の方を強くつかんで揺さぶっていた。
「真くん、いたい…」
怪訝な目で俺を見ている。
あれ?どうして俺…。
「ゆ、唯子なんてどう?、って落とそうと思ったんだけど…」
「冗談ならよしてくれ」
「ごめん(…あながち冗談でも、ないんだけどね)…でも、真くん、ほんとに変だよ…?」
放課後に体育館に行くと唯子とはちあわせた。
「…気になってる?」
「うん……」
ここで、なにかがあった気がする、
唯子も同じ気持ちみたいで、二人で少しの間立ち尽くした。
何も、思い出す事は無かったけれど…。
しばらくして校舎に戻る
廊下の向こうから教師と生徒の二人連れが歩いてきた
女の子は綺麗な目をしている
ハーフなのかもしれない
「かわいい子だね。見かけたことないけど…」
「!」
気がつけば、すれ違いざまにその子の腕をつかんでいた。
「あの、君…」「…なんですか」
声が重なって…
俺も彼女も…何だか…酷く…動揺した
「君は……」
「ああ、綺堂さんはやく、転校の手続きしなくちゃいけないでしょ…」
綺堂と呼ばれた生徒は一度そっちを向いてから
「……失礼します」
といって目も合わせずに、ぺこりと頭を下げて去っていった。
「真一郎」
唯子が、肩に手をかける。
「お互いさ、あんま、思いつめない方が良いよ…」
「唯子、今日は部活お休みもらうから
一緒に帰ろう…。そんで、少し落ち着こう…?」
「うん……」
―――なにかがひっかかってる…
―――なにかが、確かにあった…
―――あの子はいったい、誰なんだろう……?
―――俺は、大切な事を思い出せずにいる………
つづく
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