〜 a piece of "a story"...

#10 Mirai

風が吹きすさぶ荒野。
荒れ果てて、枯れてしまった土地。

そんな場所にある崖の上で、少年は仰向けになって空を仰いでいた。
空は抜けるように青く、どこまでも高く、そして、果てしなく広大だった。
(……このまま、朽ち果てていくのも、悪くない……)
満身創痍、そういう言葉がよく似合っているその少年は、やがて目を閉じると、
自らの心を無限の放浪へと誘った。

目の前に浮かび上がるのは、心の中に住む少女達。

少女が、夕日を見つめている時、
少女は、闇の中で光を捉えていた。

少女が、氷の中で身じろぎした時、
少女は、高い木の上で星を眺めていた。

少女が、決意の一歩を踏み出した時、
少女は、自らの牙を敵へ振っていた。

少女が、風の中で祈り続けている時、
少女は、まだ踊り続けていた。

幻なのか現実なのか……
もっとも、今の少年にとって、それはどちらでも構わない。
そう言う光景が浮かぶ、その事実だけが重要であった。
(……そう簡単に、諦めるわけにもいかない……か……)


数分、あるいは数時間。
少年にとっては、ほんの一瞬の時が過ぎる。

目を開き、右腕を伸ばして、掌を日にかざす。

そんな行動をとった少年は、そのまま眩しそうに太陽を見つめた。
指の隙間から漏れる輝きは何かを思い出させる……
しばらくの間そうしていた少年は、不意に、何かを掴み取るかのように、右手を
強く握り込んだ。
(契約は……果たす!!)
数分後、少年の姿は既にそこになく、その形跡も残っていなかった……


少年の進む先には道は無く、光もない。
本来存在し得たはずの希望も、いつの間にか絶ち消えていた。
だが、少年は歩みを止めることはない。
ただ先へ……
その先へ続く未来へと突き進む。

(戻れない? いや、戻らない!)

少年が進む先に待つモノ。
それを知るものが、在るはずもなかった…… 

かくして時は流れ、世界は「彼の物語」を自らに刻む。
全てを語るモノも存在せずに、その断片だけが地上に積もった……


そして……時は再び紡がれる……


Finished this "a story".
But...
To be continue next "history"...

かけら #10 Mirai かけら