〜 a piece of "a story"...

「ゴタクはいい……来いよ、ガラクタ」
少年は闇の中で言い放つ。
8割の自信と2割の自嘲を言葉に込めて…

「唯子はね、しんいちろうはしんいちろうだから好きなんだよ?」
風の中で少女は告げた。
はにかみながら、精一杯の想いを乗せて…

「しん君……帰って、来るよね?」
少女は夕日を背にして小さく呟く。
それは彼女の願い…小さな胸を痛める、唯一の…

「…先輩は先輩です。今までも、そして、これからも…」
月の光を浴びながら少女はそっと囁いた。
その言葉は決意。そして、永遠の約束…

「牙なき人の牙となる…私はまだ、忘れてないぞ、相川…」
少女は炎の中を無心で駆ける。
炎を凌駕する程の自らの想いに従いて…

「こんな形の再会でも…それなりに嬉しいものね」
緑の草原で少女は微笑む。
後悔の念を笑顔の仮面で隠しながら…

「せめて、もう一度……あたしは待つよ、真一郎…」
少女は光の中で踊り続ける。
それのみが自らの絆と信じるように…

「…………」
闇の中、少女はただただ沈黙する。
彼女の求める、そして語るべき言葉は、未だ見つかっていない…

「…真一郎、さん…」
少女は氷の中で眠り続ける。
約束の日と在りし日々を夢に見ながら…


……戻れない? いや、戻りたくない?
それも違う…強いて言うなら『戻らない』……
…それが俺の『業』か…


もはや戻ることのない道を振り返りながら…少年は思う。
少女達の道と交差することを、少年は誰よりも拒否しつつ、誰よりも解っていた。
それが彼の選んだ道であったから…

行き付く先さえ、少年には解っていたのだろうか…
道は、黙してなにも語らず、ただ、そこに「在る」のみ…




かけら 〜 a piece of "a story"... かけら