〜薫…修行本格化〜
――――翌日……
三人は次の目的地を長崎に定め(士郎が言だしただけ)
昼過ぎに出発した。
「すごかとですね」
今朝の訓練がどうのこうのと言いながら歩いてると
ふいに薫が言い出した。
「「なにが?」」
親子は一斉に聞く。
「神速ですよ」
「親父……」
恭也が士郎を睨む。
「なんだ? 息子」
対してあくまで明るく士郎が言う。
「流派の奥義をぺらぺらしゃべるんじゃ無い!」
恭也は士郎に飛びかかる。
「わはは〜甘い!」
が、簡単に組みひしがれる。
「別に他意があってしゃべった訳だぞ。恭也」
「なんだ他意って!」
ギリギリと関節を極めながら士郎と恭也は会話する。
「まぁ……実は陣内の奴にな」
「啓吾さん?」
微笑ましい光景だと微笑みながら見ていた薫が口を挟む。
「うむ。陣内の奴が言うには……」
「なんだよ……もったいつけずに言え!」
関節をぐるんと回し切り恭也が士郎の手から抜ける。
そして発動させる神速!!
「つぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
(あの馬鹿!)
ドン!
と、勢い良く恭也はまた地面に叩きつけられる。
いや、さっきとは比べ物にならないほど強く強く……
………………
…………
……
――数分後――
「う……うぅん……」
恭也は地面からむくりと起き上がる。
「気がついたか? 馬鹿息子」
「むっ!」
「神速を覚えたてに良くある事を忠実に守りやがって……」
「なんだよ!」
恭也はむくれてぶっきら某に答える。
「良いか!
良く聞け! 神速は歩方の一つであって奥義じゃ無い!」
「は?!」
流石に恭也は驚く。
「なんだよ……それ……」
「神速ってのはおまけだ。御神の技を覚えるうちに必ず使えるようになる……」
「あれが……おまけ?」
一緒に居る薫は恭也より不思議顔。
「良いか? 幾等早く動けようとそれが読まれれば意味は無い。
さっきのお前はなんだ!?
ただ、がむしゃらに早く突っ込んでくるだけなら猪とかわらん!」
「ぐっ……」
恭也はよほど悔しいのだろう……歯噛みが強くなっている。
「これから神速は使うな。
良いな!」
「ああ……」
「解ったら、ほれ先を急ぐぞ」
むー
と、今だ悔しいと言った表情のまま恭也は歩く。
それが可愛いと思えたので薫はついつい笑顔だ。
それが気にいらない恭也はますますむくれ
ケツか薫はさらに微笑む
と、言う循環もやや飽きてきた頃……
「さっき、啓吾さんが何か言ってたって……」
薫が気になり出した事を堪え切れずに切り出した。
「ああ、何時もの仕事なんだが……
神咲さんも連れて行けってさ
それくらいは強いって……
どうします?
正直、路銀を考えると陣内の紹介は受けたいんですが……」
「……はい……うちなら大丈夫です。
その為の修行の訳ですし……
護衛でしたよね?」
「ええ……」
「歯切れが悪いな。親父!」
「どうもな……」
「?」「?」
恭也・薫ともに不思議そうに士郎を見る。
「なぁに、陣内にしては連絡方法が異様だった気がしてな……」
「異様ですか……」
「ああ、あいつ普通に携帯電話にかけてきやがった」
「?」
「それに護衛じゃなくて運搬ってのはへんだしなぁ……?」
士郎は「解らん〜」だの、「でもなぁ……神咲さんが今回は一緒だし」だの
まぁ、五月蝿い事五月蝿い事
恭也が口を挟む。
「黙って歩け……やかましい!」
「いっちょ前に生意気言いおって……」
「殺るか?( ̄ー ̄)にやそ」
恭也は愛用の木刀を構える。
「誰が親か解らせてやる!」
この旅をしてもう何度……いや、何十回と繰り返されてきた。
恭也と士郎の訓練方法……
歩いてる時……
寝てる時……
食べてる時(流石にこれはどうかと思う)
隙を見せれば斬りかかれ!
との士郎の言葉通りに恭也は幾度と無く士郎に奇襲、不意打ちをしかける。
薫は思う「うちには……きっと……これが欠けてる」と……
「神咲さんも殺ります?」
片手で恭也に二刀は軽がると裁きながらしろうが言う。
「えっ!」
「良いですよ〜
まづ不意打ちを考えて不意打ちを知る。
まぁ、家のように暗殺家業はこの手の訓練が主体なんですよ」
「はぁぁぁ!」
不意に恭也の一撃が鋭さをます!
徹と呼ばれる御神の技だ。
「角度が甘い! それじゃ避けられるだけ……だ!」
士郎は恭也を避ける……たたらを踏む恭也を軽く押す。
バランスを崩し転げまわる恭也。
「で、神咲さんが欲しいのはこの力でしょ?」
「……はい」
ゆっくり考えて薫はうなづいた。
剣道では無い。剣術を覚える為に……
後書き 反響があったので書きました(笑)