『雲の切れ間』

雲の切れ間から降り注ぐ一筋の光が
まるで天空との掛け橋のように見えた。
その光は眩しい程に輝き、
俺を誘っているかのようだ。
あの小高い丘の下辺りであろうか?
俺は思うようにならない身体を引きずるように歩いて行った。
光と雲がおりなす幻想的な空間がそこにあり、
俺はその真下に仰向けで寝そべった。
そうすることで、天にも昇れるとさえ思えた。
雲の切れ間から降り注ぐ一筋の光が
天空の世界へと誘い、あの人の所へ連れて行ってくれると…
あの人の住む所へと…
俺は両手を高く掲げたが、光の中には行けぬ。
罪深い俺を嘲笑うかのように雲が再び、厚くなり、光を閉ざす。
光のない灰色の空を見つめ、あの人の事を思い出す。
問いかけても、答えてくれず。
話し掛けても、微笑まない人の笑顔が見れる日が
いつかくるのであろうか…
そう望む事も俺には許されないのだろうか?
俺の犯した罪が罰を下す。
厚く閉ざした雲の様に俺の心を晴らす事はなく、
君への思い、今は向かう場所もない。