『天使の羽根』



運命なんて信じない
ここにある現実だけが真実。

いくら抱いても埋まらない
心の隙間。

…俺はお前を愛してる…

シーツの海でまどろむお前は
天使の歌声奏でるけど
羽根を広げはばたいて
行きそうで不安になる。

縛りつけて俺から離れて
行かないように

お前の瞳に俺以外
映らないように

…お前の心に鎖を…
…俺には愛を…

歪む心覗かれそうな瞳
心の中先読みされそうだ

いっそ醜い俺を
さらすぐらいなら
お前の瞳
この手で封じよう…

…放したくない…

俺の中で震えるお前の首筋に
噛み付き印を残し
滴る真紅の血飲み干し
俺は悪魔に心を売った
俺はお前の全てを
手に入れたいんだ。

地の底から聞こえる
低いうめき声

…愛している…

これは俺の声か?・・・

言葉では足りない
心の叫び

…誰よりもずっと…

これが俺の出した答えなのか?

ああ・・・
お前が壊れて逝く…

歌声は悲痛の叫びとなり
光を無くした瞳は何も映らない
鉛色の瞳空を仰ぎ、
動く事ない身体抱きしめても
虚しさが募るばかりで
先には進めない

ああ…
時の狭間に
見える光
羽根を広げ
飛び立つ
空の青さ
お前の心
その青き光だったのか…

心と引き換えに
手に入れた物
カラカラと
何か壊れる音
互いの中から聞こえる
不確かな物
それは空間の歪み…

鏡に映る俺の姿
口元に真紅の滴

…笑っているのか…

頭の中とは違う
本当の心・・・

滴る雫、舌で舐め採り
鏡に映る俺ごと拳で壊す

硝子の破片
キラキラと
崩れ去り
俺の拳
刺さる破片
痛みすら喜びに
変わる瞬間
俺はお前と
ひとつになる

やっと…
手に入れた
俺だけの天使を
羽根すらないけれど
俺の前で
微笑んでくれ…
俺だけに…

★あとがき★

映画を観たとき、宣伝で放送していたドラキュラから
この話になりなした。単純な私・・・
しかも涼×拓で(泣)