『桜舞』(さくらまう)


その3 6月の花嫁


 毎日が準備に追われ、忙しい日々が続いたが、
 今日が、結婚式の本番。
 高橋家ご用足しのホテルを貸しきり、
 準備が着々と進んでいる。

 ― 控え室 ―

 「ぶんたぁー。まさかなぁ。お前の息子がよりによって、
  野郎と結婚するとはよぅ。思わなかったよなぁ。
  よりによってよぉー」

 先程から祐一は忙しなく動き回り、ぼやきまくっている。

 「まーな。」

 父親の文太は細い目を少し開き、祐一に愛想のない返事を返す。

 「拓海が花嫁なんて、信じられるかぁーおいっ」

 おどおどした表情で祐一が文太に言うと、
 文太はおもむろにポケットから煙草を取りだし、
 手馴れた手付きで火をつける。

 「アイツなら何かやらかしてくれるとは思ってたがな」

 自分の息子なのに差ほど驚いた表情もなく祐一に言う。

 「そんな事言ってる場合か!」

 祐一は興奮して血管が、切れそうなくらい叫んでる。

 「お前も諦めが悪いなぁ」

 文太は煙草の煙を吐きながら、ばつの悪そうな顔で言う。

 「ぶんたっっ〜!!お前の息子の結婚式なんだぞ!!」

 祐一が更に赤い顔で叫んだ。
 これじゃどっちが父親かわからない。

 ― 一方、啓介控え室 ―

 既に純白のタキシードに着替え終わっている。
 啓介は落ち着かず、同じ所を行ったり着たりしている。

 「落ち着きがないぞ。啓介」

 涼介はソファーに優雅に座り啓介に諭す。

 「だってよーアニキ。これが落ち着けるかよ。」

 控え室の中をウロウロしている。

 …トントン…

 ドアのノックする音が響く。
 静かにホテル従業員が控え室の中に入ってきた。

 「失礼します。新婦様のご準備終わりました。新婦様の控え室へどうぞ。」

 「そうかぁ。」

 啓介は急いで拓海のいる部屋に行く。

 『こんな日が来るとは思わなかったぜ・・・』

 アニのボヤキは啓介には聞こえていない…。

 ― 拓海控え室 ―

 『俺。こんな格好させられるとは思わなかった・・・
 よりによって・・・』

 今更、ぼやいたってしかたないのだが、
 ウェディングドレスを着させられて、
 かなり不満そうにしている。

 しばらくすると啓介が大きな音をたてて部屋に入ってくる。
 啓介の目の前には純白のウェディングドレスに身を包んだ拓海。
 拓海のドレスは啓介がこの日の為に、オーダーした
 シンプルなドレス。胸元にはダイヤが散りばめられている。

 「拓海・・・きれいだぜ!!」

 啓介は目を輝かせ興奮した表情で言うと

 「啓介さん。俺、こんな格好やですよ!!」

 拓海は怒った顔で言う。

 「今更、何言ってんだ。」

 そう言うと啓介は不的な笑みを浮かべてる。

 ・・・トントン・・・

 ドアのノックする音と共にホテル従業員が入って来る。

 「失礼します。どうぞ。」

 そう言うと二人の元にお茶が差し出される。

 「何ですか。これ。変わった飲み物ですけど。」

 一風変わった飲み物に拓海が問うと

 「これは桜湯と申しまして、ご婚礼の際にめしあがります。
  縁起ものでございます。冷めないうちにどうぞ。」

 そう言うと従業員は部屋から出ていった。

 「啓介さん。知ってました?」

 「知ってる訳ねぇだろ!でも折角、縁起物だっていうから飲もうぜ。」

 「そうですね。」

 啓介は一口含むと拓海の唇にそれを重ねる。
 桜湯のほのかな甘い香りと共に拓海の軟らかい唇。
 拓海はうっすらと唇を開き、それを受け取る。
 飲みほすと再び互いの唇を重ねる。
 寄せては返す波の如く、繰り返し。
 お互いの存在を確かめあった。

 「ゴホン。」

 わざとらしい咳払い。
 二人が振り返ると、側に樹がいた。

 いつの間に入ってきたんだ…?

 「準備できたってよ。たぁーく。見せつけるぜ。」

 樹は、くぅー。やってらんねぇぜーって顔してあきれてる。

 「悪い。今行く。」

 拓海は頬を赤く染めながら立ち上がる。

 『ちぇっ。もう少し…。』

 拓海の唇が離れてしまうのが、少し寂しい啓介であった・・・。

 ― ホテルチャペル ―

 文太に手をひかれて、啓介の元に歩いていく拓海。
 両脇には高橋家ご両親、涼介、祐一、樹、池谷などが
 祝福に駆けつけている。
 拓海は何か照れくて、緊張して足が震えてくる。
 それでも一歩、一歩確かめながら啓介の元へ歩いてゆく。

  啓介さんと結婚式があげられるなんて思わなかった・・・
  ただ二人で共に過ごして行ければ、幸せと思っていたのに・・・
  俺って幸せ・・・

 やがて啓介の元へ拓海つくと、神父様が誓いの言葉を問う。

 二人とも「YES」と答える。

 指輪の交換をしている最中は頭がぼーとして、
 慌ててお互いに右手を出してしまい、
 皆に注意される始末・・・

 誓いのキスをと言われて
 何か恥ずかしくて、
 そっと触れるだけの口付けを交わした。

 皆に「いつものはどうした?」
 とブ―イクグされたのは言うまでも無い・・・

 <続く>

《いい訳させてー》

こんな変な話で申し訳ございません!!
とうとう結婚式させてしまいました(^^;)
書いている本人結婚式をあげた事もないですし、
友達の結婚式に1回しか参加した事がないのです。
何か嘘っぽいですよね。
しかもこれって啓×拓?と疑われるような話です。
いろんな登場人物出しすぎて、最初なんか祐×文になっている
ような話になってしまった(^^;)
これってギャグにしかならない話。
裏話としては籍は入れてないです。
勿論、日本では出来ないですもんね。
新居は新しくマンションを借りて、住むって感じです。
文太なら一人でも大丈夫でしょう…?!
この話はまだ続きます。
こんな話で申し訳無いですが、頑張って書きますので、
その時はお付きあいの程を
よろしくお願いしまするぅ〜
次作は裏かな…?

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