「揺れる想い〜W」


  絶対に、捕まえなくてはならない
  そうでなければ、後悔するのは自分自身なのだから
  何故、逃げていくんだ?
  俺は、おまえに会いたかった
  この腕の中に抱きしめたいだけなのに
  俺から逃げて行くんだ?!
  目の前の拓海が、なんだかぼやけてみえる。
  このまま本当にどっか行っちまうんじゃないのか?
  そんな事は、絶対許さない!

 拓海の腕を捕まえるとその体を振るわせて立ち止まった。
 拓海は、啓介の顔を見ようとしないで俯いたまま

  悲しかった、俺を見てくれないほどなのか?
  それでも、もう離さない・・・

 「会いたかった・・教えて・拓海・・どうして?」

 後ろから抱きしめて、それだけを言うのが精一杯だった。

「啓介さん、俺達やっぱり一緒には居られないよ・・
 俺の事は、忘れて下さい・・・」

 抱きしめる力が、強くなって拓海は少し顔を歪める。

 「お願いだから、俺を捨てて下さい!おれはあんたの将来を
 閉ざすような重荷にはなりたくねーんだよぉ・・だから・・・」

 肩のあたりから水滴が、落ちてくる。

 「!?けいすけさん・・・」

 拓海は、振り返って啓介の顔を見上げる。
 青ざめた顔で大きな瞳は、滴を落としていた。

 「やっと、会えた・・たくみ・・おれ・・おまえにすげぇー会いたかった」

 寂しかったと声を詰まらせながら告白した。
 拓海は、動けなかった。この人にこんな思いをさせるためにしたはずでは
 なかった。良かれと思った軽はずみの結果だったのだろうか困惑した。

 「おまえは、重荷になんかならないよ。重荷は俺の方だと思ってたし
 おまえの気持ち聞くのが怖かったんだ。今回の事で良く分かったよ。
 俺には、おまえが必要なんだ!!」

 拓海は、啓介を胸に抱きしめるようにしながら泣いた。

 「啓介さん、泣かないで・・もうどこにも行かないから・・・
  本当にそばにいてもいいんですか?」

 「一生のお願いだ・・拓海、俺の側にいてくれないか?」

 啓介は照れくさそうに拓海を泣きはらした赤い目で伝えた。
 プロポーズ見たいですねと真っ赤な顔で答えた。

 「俺からも、一生のお願いです。俺をずっと側に居させて下さい」

 嬉しそうに見つめ合い、誓いのキスをした。
 運命の歯車は、元のリズムに戻った。
 また、狂うかもしれない・・それは・・・
 まさに、二人次第なのだから!
 揺れる想いは、誰の心の中にでもある。
 本気の思いだからこそ、揺れて当たり前・・・




らん様。素敵な小説頂きまして、有難うございます!!
2作も頂いて嬉しい限りでございます。
特に最後のフレーズが好きです♪
揺れる想いは、誰の心の中にでもある〜がね♪
私の駄文とは大違いでごさいます(反省)
また、宜しくお願いします。

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