「初日の出を見に行こう!」


はぁーっと吐く息も凍りそうなくらい白かった・・・

ぶるっと震えると後ろからぎゅっと抱き込まれる

暖かい背中が少し照れ臭い・・・

「まだ、寒いか?」

本当はまだ寒かったけれどなんだか胸の奥があったかくなった

「あったかいよ・・アニキ・・・ごめんな、わがまま言って!」

俺が、急に日の出を見に行きたい何て言い出したから・・・

今さらだろと俺の肩に顔を埋めた

声に出さずに笑ってた小刻みに振動が伝わってくる

俺だけが、独り占めにしてる幸せ・・・

「啓介?もうすぐ陽が昇るぞ」

耳元で、囁かれるとくすぐったくって身を捩る

その声に弾かれるように顔を上げると

初日の出が、顔を出しかけていた

段々と辺りに今までの暗闇に光が溢れ出してゆく

暗闇から、真っ白い光の世界に変わり始める

なんだか、この世界に二人だけしかいない様な錯覚に落ちて行く

それでもなんだかイイかもだなんて思ってしまう

周りから小鳥たちの囀りが一段と大きくなる

登り切った太陽を見つめていた

日の光の暖かさがジワリと浸みてくる

背中に伝わる体温に似ている

少しだけ不安になって、後ろを振り返る

いつもの様にアニキは、微笑んでいた

それが、なんだか嬉しくてその首に手を廻していた

目と目がぶつかるとどちらからともなく引き寄せられていく

軽くその唇にキスをする

「明けましておめでとう!今年もよろしくお願いします」

俺が、新年の挨拶を述べると楽しそうに

「おめでとう、今年もよろしくお願いされたぜ」

そのとおりだけどよ・・ちょっとそれはねぇんじゃないか?

口に出さなくても顔に出ちまう俺に対して

アニキはとんでもない台詞を吐きやがった・・・

「俺は、アニキだからカワイイ弟の面倒は見てやるって言っただけだぜ?」

カワイイなんて言うなぁぁぁ!!

真っ赤な顔をしているだろ俺が文句を言う前に唇はアニキに塞がれていた

うーん?これはちとヤラレタかなとは思うけれど

幸せだからイイかな?

アニキが幸せそうな顔で微笑んでくれるなら

俺は、それだけで幸せなんだから・・・

来年の幕開けだって、やっぱり二人でいたい

鬼に笑われたって構わないぜ!

だから、来年も又その次の年もずっとずっと二人で迎えられますように

さっきとは、比べられないくらいのキスをする

時間も忘れてしまうくらいのキスをしよう

アニキしか感じられないくらいの・・・

いじめっこアニ(笑)とちゅけのやりとり可愛すぎです♪
初日の出見るときって凄く寒いけど、この兄弟はポカポカですね。
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