| Rock & Roll Night |
| ふぅっと僕は溜息をつくと瞼を開いて、ベッドからのろのろと起き出した。 もう真夜中と呼ぶにふさわしい時間だけど、とても眠ろうって気分になれない。その原因はつい今しがたかかってきた、その電話の前までは彼女だった女性からの一言。 「他に好きな人ができたの。」 僕は眠るのをあきらめて、外に出てブルルと車のエンジンをかけた。どこか行くあてがあるわけじゃない。ただ、ベッドにじっと横たわっているよりは、車を走らせている方が気が紛れると思ったから。 皆が寝静まった時間。無人の道路を僕の車だけがエンジン音を響かせて走る。その静けさに耐え切れず僕は車のラジオに手を伸ばした。 ピアノの音とともにつぶやくような歌うような声が僕の耳に流れてくる。 街のブルーバード 今夜はひとりで 車を走らせてゆく 切なくて甘い思い出だけを バックシートに眠らせたまま そう。この車の中にも彼女との想い出は残っている。僕は静かに車を止めて、ハンドルに顔を伏せた。 ずっとさきから街路樹に車を止めて そして 静まりかえった闇の中に息をひそめてると 世界中で たったひとりだけ取り残された気がして 楽しかった思い出が 心を通り過ぎていく 彼女と過ごした3年間。いろいろなことがそのときの感情とともに一つ一つ鮮明に思い出される。でも、これから先は時が流れるのにあわせて想い出の数が減っていくことはあっても、決して増えることはないことを考えると思わず涙がこぼれそうになる。 Rock & Roll Night Rock & Roll Night 今夜こそ Rock & Roll Night たどりつきたい Rock & Roll Night Rock & Roll Night 今夜こそ Rock & Roll Night たどりつきたい 曲は終わった。この曲は悲しさだけを表現しているわけじゃない。前に進もうという意思がある。 今の僕の気持ちは容易には癒せないだろうけれど、少しずつ元気を出していこう。そして、もう振り返らない。この曲のように前に進んでいこう。 |