2000.3.14(火) 東京クラブクアトロ OPEN PM6:00
START PM7:00
"Turn Over" Special Club
Gig
伊東たけし(A.sax,EWI)
クリヤ・マコト(Key,Piano)
住友紀人(Key,EWI)
坂本竜太(Bass)
岸田容男(Ds)
ブレンダ・ヴォーン(Vo)
DJ.KOYA(TurnTable)
みっちゃん(Rap,Dance)
しゅうくん(Dance)
Tea-Tee(Cho)
実は今回のライブは様々な理由から見送ろうと思っていたんです。ところが! きっと神様が見ていたんでしょう。そんな「T.K.HomePage!の管理人」にあるまじき態度を一変させる一通のメールが・・・
差出人は長崎の女性から。なんでも福岡のチケットを買うハズが、間違えて東京公演のチケットを買ってしまったとのこと。それも3枚も・・・。結局すったもんだの挙げ句、わたし(よしめめ)、奥さん(めめ)、そして相互リンクもいただいている「WX5
WorkBook」の管理人kirinoさんの3人で行くことになりました。
成り行きはともかく、やはり行って大正解。というよりもし行かなかったら一生の不覚となる痛恨のエピソードとして私の心に残ったことでしょう。感謝感謝。
当日は退社時間がどんなに早引けしてもPM5:00という過酷なスケジュールの中だったので、渋谷についたのがすでに6時を回っていました。そこから汗ダクになりながらクアトロに。入場口でkirinoさんと合流した時にはとうに開場時間は過ぎており、「後ろの方で音だけ聴くハメになりそうだな」と覚悟してましたが、幸いにも予想みごとにハズれ。なんと真ん前の席を陣取ることができました! スイートベイジルの時もそうだったけど、伊東さんまでの距離、およそ1.5m。今回は客席とステージの間に手すりがあり、邪な気持ちにはならずに済み一安心。(笑) この後10分もしないでお客さんがドッと流れ込んできました。
とりあえず一息ついてライブまでの間、kirinoさんとの楽しい談笑。サックスのマッピはデュコフD8、メイヤー6M。ウィンドシンセ吹き(2日前にEWI3020も買ったとか)で年齢も近く、その上マック(Macintosh)馬鹿と来た日にはもう! 話も盛り上がり、いやでもライブに向けてテンションは高まってきます。刻々と時間は過ぎ、いよいよ開演の時間となりました・・・。
さて、そのライブですが、とにかく素晴らしい!の一言。こんなにエンターテイメント性が高く、そして完成度の高いライブは初めてでした。これに匹敵するライブは私の経験の中では、ゴージャスなメンバーと懐かしい選曲で観客を沸かせたスクエアの20周年記念スペシャルライブくらいしか思いつきません。
あの記念ライブと比べてもなお余りあるほど、今回のライブは凄かった・・・。
〜開演〜
1.Down Out
まず最初にDJ.KOYAさんが登場、そしていきなりスクラッチ・パフォーマンス。ターンテーブル初体験の私の度肝を抜いてくれました。
あれはすごいわ〜! 以前「笑っていいとも」かなんかでタモリさんが「あれはレコードプレーヤーじゃなく、楽器だね」と呆れていましたが、まさにその状態。レコード2枚であんなことが出来るなんて・・・。
充分なソロプレイを聴かせてくれた後は我らがT.K.のお出ましです。
大歓声の中、白い長ソデTシャツに赤いズボン、茶色のカジュアルな革靴にニットの帽子といういでたちで、ストラップは白いBG。しかも首から下げる不通のタイプ。あの「おんぶヒモストラップ」ではなかったので、「病気説」はここでひとまず決着。正直安心しました。相変わらずの太い音にサブトーンを時折まぜながら吹く姿を見て、やはり伊東さんはいい! と、後に怒濤のごとく湧いて出る「感動」の一発目。
ここで、ふと気が付いた。なんとDown Outの伴奏をターンテーブルのみで吹いてるではありませんか!
やはりターンテーブルは楽器だったようです。
曲も盛り上がってきたころに、2人のダンサーを加えた他のメンバーが合流。なかなか凝ったオープニングでした。
ちなみにダンスのお二人は、ドラムの岸田さんがDaPampのツアーメンバーだったことからのゲスト参加とのことでした。
2.Quiet frequency
3.Magnum
1曲目に続けてQuiet frequencyを演奏。この頃にはリードの湿り具合も落ち着き(サックス経験者なら分かるでしょう)、ますますテンションも上がっていきます。
3曲目のMagnumまで一気に演奏してからMCに。
(-MC-)
ここでようやく一息入れることができた伊東さん。息は荒いものの、今後起こる展開に期待してかゴキゲンです。
「みんな元気ーーッ!?」「イエーーーイ!!」
「アルバム買ってくれたーー!?」「イエーーーイ!!」
「本当かなぁ? それにしては売れてないなー。」(爆笑)
・・・ってコラコラ。笑い事じゃないだろって。(^_^; (しかし、大きいお店にいかなければ買えないのは事実。Kittyさんももうちょっとやり方考えてほしいものである。)
その後、今回のメンバー紹介。
4.Deeper than gravity
またまたDouble Circleの中からDeeper than gravityです。
ターンテーブルのスクラッチにサックスが重なり、ベースがしぶ〜く聴かせてくれます。
こういうリズム、テンポの曲をダラけずに演奏できるのはさすがプロです。(当たり前か)
5.THIS IS THE NIGHT
美しいピアノの調べが入り、曲調がガラっと変わったので「今度はバラードだな」と思っていたら、随分懐かしい音になっていき・・・。始まった曲はなんとTHIS
IS THE NIGHT。アルバム『T.K.』の歌入りの曲をサックスで披露。
う〜ん、やっぱり伊東さんのバラードは宇宙一だ。
切ないサックスのプレイに懐かしさが加わり、感動もひとしお。「♪〜ディースィザ、ナァーァイっ」と思わず歌ってしまいました。
6.GAIYA
静かにバラードが終わり、続けて「ブーーーン」という音。子供の歌声が重なり、独特の世界が構築されはじめると住友さんのEWIが鳴ります。この民族音楽っぽさがたまんない曲ですよね。頭の方は住友さんがテーマを吹き、1コーラス終わった後に伊東さんのEWIがかぶさり、坂本さんのベースが楽曲の底を創る・・・。伊東さんと住友さんのEWIの奏法は同じ方向性を持っているので、非常に良く溶け合います。
2本のEWIが重なった時はその厚い音色、迫力がなんとも言えない荘厳さを放ち、大地讃歌的なこの曲を盛り上げてくれました。
これには私も圧倒され、その場に溶け込むような錯覚にみまわれました。
(-MC-)
ひとしきり落ち着いた後に、曲紹介があり、THIS IS THE NIGHTではやはり「懐かしい」と当時のことを思い出してか、ほころんだ顔が印象的でした。
ところが、うってかわって話はいきなり「太陽にほえろ!」の話に及びます。(笑)
「俳優になる」というから、何事かと思いきや、会報にも載っていた「サックス刑事」(普段はステージ等の仕事をしていて、何かあると携帯電話が鳴り事件を解決。戻るとまたサックスを吹いているというアレ)の話で大盛り上がり。(^_^;
学生時代にビックバンドで「太陽にほえろ!のテーマ」をやっていたことがあり、みんなの知っている曲ははやりウケるとのこと。ここで、クリヤさんと「太陽にほえろ!のテーマ」の作曲者についてモメるという一幕もあり。どうやら伊東さんは「ルパン三世のテーマ」でお馴染の大野雄二さんと勘違いしてたみたいです。
その「太陽にほえろ!のテーマ」ですが、「太陽にほえろ!」がTVで復活した際に伊東さんのサックスでリバイバルされました。この時伊東さんの目論見としては同時進行だったDouble
Circleの中に入れ、クラブのシーン等で出演を狙っていたそうです。(笑)
クリヤさんに無理させて編曲したのに、その後話は来なかったとか・・・。(^_^; 「関係者の方、いらっしゃいましたらぜひ出演よろしくお願いします」だそうです。(笑)
7.「太陽にほえろ!のテーマ」
次の曲は勿論「太陽にほえろ!のテーマ」ということで始まりました。
ダンサーお二人を加えたクラブアレンジに、ダンサーの「みっちゃん」がラップを披露。途中みっちゃんのスキャットとサックスのインタープレイで楽しませてくれます。
ダンスソロではみっちゃんが目の前で逆立ちしてくれてビックリ。「こっちに倒れるなよ〜!」(笑)と半分ビビりながらもノリノリでした。
最後にラップでメンバー紹介して下がっていったのですが、私の聞き間違いでなければ、みっちゃんは伊東さんを「T.I.」と連呼していたようです。(笑)
8.Never Blue
ここから怒濤の勢いでステージが進行していきます。
(今気付いたのですが、ここまでTurnOverの曲って演奏してなかったんですね。ライブ最中は全然気付かなかったけど。)
ヴォーカル2人が入り、Never Blueなんですが・・・。このヴォーカルのブレンダさんが凄いこと凄いこと。(^_^;
サイズもアメリカンなんだけど、とにかくその迫力といったら・・・。
ユッサユッサと胸をゆらして登場。プリッとしたお尻がキュートですが、全然いやらしくない。こう言っては非常に失礼かもしれないが、あえて言わせてもらうと「女性」としての可愛さというより、「イキモノ」的な可愛さが先行します。
そんなイメージをよそに、歌声が入った瞬間に場内の視線は釘付け。ソウルフルでパワフル。いや、パワフレスト(パワフル→パワフリャー→パワフレストの三段活用)とでも申しましょうか。とにかく伊東さんのサックスとこんなにマッチするヴォーカリストがいるのだろうか? と思う位ベストマッチです。しかも「あの」伊東さんのサックスに迫力負けしてないのが凄い。黒人女性ヴォーカルによく見られるのハスキーな声なんですが、上の方は何オクターブ出るのか分からない位の超音波ヴォイス。リズム感も良く、お客さんにアピールしまくりでステージを盛り上げます。(かく言う私も見つめられ、手を差し延ばして歌ってくれました)
ところで、なぜブレンダさんに今回白羽の矢が立ったかというと、クリヤさんと仲の良いDJ.ケネディさん(伊東さんのアルバムでコーラスでちょこっと参加もしてる)がVibe
Daddyという名前で参加しているMOZAMBIQUEというグループの「RUM」というハウス中心のクラブ・ミュージック系のアルバムでフューチャリング・ヴォーカリストとして歌っており、ケネディさんつながりで今回の起用の運びとなったようです。
このブレンダさんというムードメイカーのおかげで会場の温度は一気に急上昇!!
9.Deep Inside of You
サンプリングしたミュートトランペットの音色で住友さんのEWIが印象的でした。
伊東さんのサックスもしっとりと聴かせてくれます。
ここでもコーラスのお二人が曲の空間を広げる役割を担い、最後は伊東さんの壮絶なソロで次の曲へ。
10.Believe my heart
しっとり続きですが、全然飽きさせてはくれません。
クリヤさんのピアノから入るのですが、チャーリー・パーカーのDONNA LEEをモチーフに使ったりと遊び心たっぷりのソロプレイでした。
女性二人の柔らかいヴォーカル、コーラスから入って伊東さんのサックスへ繋ぎます。
何度も書いて申し訳ないのですが、伊東さんのサックスはこういう「歌う」曲にとにかく良く似合う。
ソロも吹きっぱなしの速いフレーズがあったかと思えば、朗々と歌うようなフレーズ。"間"というかタイミングが絶妙なんですよね。音数を少なくして、"間"で聴かせる・・・ほんと達人芸です。
(-MC-)
ここで、一旦一休みでMCです。と言っても曲紹介と軽いあいさつ(「みんな最高!?」「イエーィ!」)程度。なにしろこの後とんでもないプレイが待っているので気持ちを落ち着けるための心の準備だったのかもしれません。
11.Only so much oil in the ground
この日のステージ、ラストの曲はマキシシングルにもなったOnly so much oil in the ground。ダンスも入り、ヴォーカルはブレンダひとりになり、最初のキーボードの音が鳴った瞬間から聴衆はブレンダに期待の目を向けます。
その期待をも超えた、予測不能の大迫力シャウトから入り、ソウルフルな歌声で観客は熱狂。激しい伊東さんのチャージが纏い付き、興奮の渦に巻き込まれていきます。
曲も後半にさしかかった時、リズムに合わせて「STOP!!」の声。演奏がピタっとやみ、ブレンダの掛け声でまた元通り始まる。
数回繰り返した後、ブレンダが客席に向かって「Don't move」と言い始めます。わけもわからずにいる観客に今度は「Freeze!」と更に強く要請。そうです。観客も交えたファンキーな『だるまさんが転んだ』をやり始めようという魂胆らしく、これにはお客さんも大喜び。始めて2回目位にまずひっかかったのは、なんとドラムの岸田さん。(笑) 客も含めた全員で岸田さんをイジめます。(^o^) 面白かったのが、ここからメンバー達の顔つきが真剣になってきたこと。(笑) 必死の形相でストップの合図を聞き逃すまいと頑張っている姿は見物でした。
そんな甲斐あってか、今度はメンバーの中に脱落者はでなかったのですが、今度は観客に被害が。(笑)
私の右横にkirinoさん、その隣の女の子の手拍子が入ってしまい、今度はブレンダが女の子に向かって、「あなた今、手叩いた? 叩いたでしょ? ね? 叩いたでしょ??」とイジめる始末。(笑)
その後は曲に合わせてリズミカルにメンバー紹介。ブレンダは各楽器の口マネをしながら紹介し、各人がソロを聴かせます。
ソロが終わり、またお客さんに「手をあげて〜」とか「No1の手」をさせたりと大忙し。ステージメンバーとお客さんが渾然一体となった最高の演出でした。
それにしてもこの曲、ブレンダの一人勝ちと言うか、やりたい放題というか・・・とにかく呆れるほど凄かったです。
当然こんだけ盛り上がった日には拍手も鳴りやみません。
ヒートアップしたお客さんはテンポの速い手拍子でアンコールを待ちます。
12.(Encore-1)High Blow
ブレンダの暴走を黙って許すT.K.ではありません。ライブの主導権は俺だ!と言わんがばかりの逆襲の曲、High Blowです。
最初はピアノがバラードっぽい動きをしていたので、バラードかな?と思ったのですが、伊東さんの泣きのサックスが速いフレーズでサビを奏で出したので、High
Blowだと分かりました。サビを1フレーズ終えてからアレンジを元に戻すという凝った演出でした。このように、オープニングを一ひねりしてくれると、聴いてるこっちはワクワクしますね。
この曲からヴォーカルがまた二人になり、テンションの高いサックスが吠えます。
文字通り「High Blow」して吹くサックスはカッコ良く、(これまた)パワフレストで背中がゾクゾクしてきます。
私はTurnOverの中でも特にこの曲が好きだということもあり、完全に曲の世界に入ってました。
また、アドリブの中で随所にイトタケ・フレーズがちりばめられ、非常に面白いアドリブソロが聴けました。
(BigCityやDESTINATION等でよく使われる「真性イトタケ・フレーズ」とも言えるフレーズは「分かる人には分かる」楽しみ方かも知れませんね)
13.(Encore-2)That's the way
いよいよ正真正銘最後の曲となりました。出演者全員でのThat's the way。伊東さんファンでなくとも知っているこの曲をラストに持ってくるのは本当にズルい!
ブレンダのヴォーカルを軸にしたサックスとのインタープレイは迫力満点でした。一人ひとりソロを回していきますが、中でもドラムとターンテーブルのバトルが印象に残っています。ああいう使い方もターンテーブルは出来るのだなと感心しました。
最後はブレンダが客席にマイクを向けて全員で「♪That's the way〜a-ha(a-ha),I like it a-ha(a-ha)」と大合唱。
大盛況のうちにステージが終了しました。
「みんな最高!?」「イエーィ!」では声も枯れ果ててしまった私でした。
最後はみんなで肩を組んでお客さんに御挨拶。
どんな言葉を重ねても足りない程の本当に素晴らしいステージでした。
実は今回、「クラブ系」ということで、CDすら食わず嫌いをしていた奥さん(めめ)でしたが、始まった直後から態度は一変。
「最高のライブ」と言わしめさせる伊東さんは、やはり凄いなぁ・・・(^o^)
無論このステージを見てブレンダのファンになったことは言うまでもありません。
今回はそれだけではなく、ウェブサイトでの人の繋がりを感じられたいい機会でもありました。
kirinoさん、こゆきさん、りえさん、どうもありがとうございました!
そして、ライブレポ用に一生懸命メモしてくれためめに今回もたくさん感謝します!ありがとね!!