ままママッ!?   (たろんなーどさんのレビュー)   評価: 6.5 
▼ タイトル ままママッ!? amazon associates
▼ ブランド BLACK PACKAGE
▼ ジャンル ままママ甘えアドベンチャー
▼ 対応OS Win98/Me/2000/XP
▼ メディア CD-ROM
▼ 定価 税込\9,240(税抜\8,800)
▼ 発売日 2005/04/15
▼ 購入   ままママッ!? /オリジナル特典 Getchu.com
【 CG観賞モード 】  あり
【 シーン観賞モード 】  あり
【 BGM観賞モード 】  あり
【 メッセージスキップ 】  あり(未読・既読判別あり)
【 メッセージ履歴機能 】  あり(音声リピートあり)
【 選択肢リターン機能 】  あり
【 オートモード 】  あり
【 ヒント機能 】  なし
【 セーブ数 】  36個
【 エンディング数 】  9個(BADEND含む)
【 メディアレス起動 】  可

感想へジャンプ


<あ・ら・す・じ>
 サラリーマンの父親、専業主婦の間に生まれた主人公は平凡で平穏な暮らしをしていた。
 しかし、ある日父親は事故にあい、他界してしまう。

 病弱な為に、子供を養うことが出来無いと考えた母、由希子は若い頃駆け落ちして以来くぐらなかった実家の門をくぐる。
 そこで待っていたのは主人公の祖父の一喝だった。

 主人公の母親に対しては母親失格だと言い、自分が探した母親候補と主人公に暮らさせると言う。
 主人公は祖父が推薦する3人と実の母親の合計4人からこれから自分の母親となる人間を決めることになるのだった……。


<キャラクター紹介>
三輪 由希子(みわ ゆきこ) CV:楠鈴音
 主人公の産みの母。夫を亡くして実家へと戻ってくることになる。
 父親(主人公から見ると祖父)である権造に母親失格といわれ、母親選びに参加する。
 やや子供っぽい性格で頑固な部分もあるが、基本的にはやさしい母親。

日下部 律子(くさかべ りつこ) CV:紫苑みやび
 主人公の祖父権造の元愛人で、今回の母親選びの参加者の一人。
 高級クラブから身請けされていらい祖父とともに暮らしている和服美人。
 柔和な言葉使いと態度を場面によって使い分けるしたたかな性格を持つ大人の女性。

木下 めぐみ(きのした めぐみ) CV:中野志乃
 主人公の祖父権造の秘書を務める側近の女性で、今回の母親選びの参加者の一人。
 頭の回転は非常に速く母親というのにも興味はないが、祖父の後継者を育てる意味で参加。
 規律と学力を重視する固い性格で、わずかの乱れも許せない細かい性格。

長谷川 美咲(はせがわ みさき) CV:明玖深音
 長谷川財閥の一族に属するお嬢様で、今回の母親選びの参加者の一人。
 礼儀作法や上流階級の有職故実に詳しい点を買われて参加している。
 自分のことを信じており、やや我侭で押し付けがましく見えることもある女性。

大山田 珠代(おおやまだ たまよ) CV:梅里ミーオ
 主人公の祖父権造の屋敷に仕えるお手伝いさん。母親選びとは関係ない。
 お下げにそばかす、慌てると出てくる東北訛りが示すとおりの純朴な女性。
 とはいえ、主人公がこの屋敷で普通に話すことの出来る数少ない女性。

三輪 康宏(主人公・リネーム可)
 母親由希子とともに祖父の家に住むことになり母親選びをすることになった少年。
 流されやすい性格だが、基本的にはごくごく普通の学生。


このホームページはBLACK PACKAGEより一部文章を抜粋しています。
素材の著作権はBLACK PACKAGEに帰属します。



システム周り>(ver.1.00)
 基本的には選択肢型のAVG。ほとんどが2択。
 選択肢も、大体においてキャラクターに直結しているので、わかりにくいところも無く、難易度はほぼ無きが如し

 詳しいシステム周りは上記参照。
 他にクリア後のおまけとしてヒロインが本編シナリオをダイジェストで回想する「モノローグ」というものもあります。
 まぁ、正直謎が残るような作品ではないですし、あればあることに越したことはないですが、別になくても…、という気もします。
 とはいえ、おまけモードとしてはキャラクター造形を深める為にはありかもしれません。

 それ以外には「アダルトカラーシステム」なるものを搭載。
 キャラごとに乳首の色をピンクとブラウンから選ぶことが出来るという仕様。
 いや、別にだからどうしたと言われればそれまでなんですが、こだわり派の方には嬉しい仕様…なのでしょうかね?(自信無し)

 リターン機能は、「次の選択肢までスキップ」のほか、いつでも前の選択肢に戻ることも出来ます。
 そう言ったところも含め、必要な部分は過不足なくそろっており、問題なく、使いやすいです。
 動作も軽快ですし、メディアレス起動も可能と、エロ重視のゲームの基本は抑えてますね。

 ゲームボリュームはボイスを聞いた場合ファーストプレイは5時間程度。
 2周目以降は2〜3時間程度です。
 そう言った理由でボリューム自体はやや薄めですが、それほど不足は感じませんでした。
 序盤から選択肢=Hシーンにつながるような感じで、適度に日常シーンをはさみつつ、少しダレたかな〜と言うときにきちんとエンディングになっています。
 むしろ非常に抜きゲーらしい適度なメリハリと(皮肉ではなく)社会人にやさしい適度なボリュームだったと思います。
 勿論、反面シナリオの内容はないに等しいですし、キャラクター造形も浅いですが、エロ重視、抜きゲーということを考えると、むしろこれくらいでも十分なのかな、とも思います。


<音声>
 女性のみフルボイス。キャストは上記のとおり。
 キャラクターにも合っていますし、演技の方も問題なくレベルが高いのではないかと思います。


<音楽>
 全16曲。うちボーカル曲は1曲。OP曲「ままママ?!」(Vo.南条冬果)
 ボーカル曲は本編のテーマそのままの歌詞に、ノリ重視の曲。
 いかにも声優さんが歌ってます的なボーカルと一片の曇りも無いエロゲソング。
 まぁ、単品で聞くと今ひとつでも、ゲームには合っていると思いますので、良いのではないでしょうか。

 ゲーム内BGMもきわめてオーソドックスなゲーム音楽。
 場面にも基本的には合っていますし、場面を邪魔せずBGMとして綺麗に出来ています。
 単品で聞くほどではないですが、裏方に徹していていい感じかと。


<CG>
 原画は大越秀武氏。
 実にエロ可愛い絵柄で、割合万人受けしやすいかな、という気がします。
 特に体つきの描写の柔らかさは、この手の年上ゲーにぴったりはまっていていい感じかなと。

 表情はどちらかといえばコミカル寄りで、立ち絵などでは頬を膨らませる絵や、溜め息なども漫画的に表現されていますが、体形などとのバランスも取れていますし、非常に安心して見ていられる絵です。
 特に立ち絵は、コミカルさがアクセントになっていて、ポーズ変化はそれほどでもないのに、非常にメリハリを感じさせてくれます。
 あまりポーズ変化をつけると「大人の女性」という雰囲気が損なわれてしまうと思いますし。
 イベント絵では特に裸で抱き合ったときの、つぶれた胸の描写はなんとも魅力的です^^;

 まぁ、(明示はされていませんが)ゲーム内設定に比べると年齢の割に、絵柄的には若いキャラばかりな気がするのは少し気になります。
 とはいえ、余り年上と言う印象を前に出しすぎるのは、求めている人もいないと思いますし、これくらいでちょうどいいのかな。

 塗りや背景は丁寧で好感が持てます。
 特色と言えるほどでは無いですが、きわめてオーソドックスで受け入れやすい塗りでした。

 イベントCG総数は差分を含まず82枚。
 CGもほぼ全てHシーンなので、枚数的には不足は感じませんでした。
 ただ、もう少し差分が欲しいかな〜と感じたところはありました。
 まぁ、結構差分のある絵も多いですが、ペッティングやフェラではちょっと差分が少ないかなと感じました。


<Hシーン>
 各キャラごとに4〜7程度。
 基本的にはどのキャラも女性主導型のシーンは共通。
 シチュエーション的にはフェラ、パイズリは標準装備。
 それ以外は属性に応じて赤ちゃんプレイ、野外、足コキ、3P等があります。
 内容的には100%合意Hです。

 内容的には主人公へのアピール、誘惑⇒Hシーンと言うなんともストレートな流れ。
 各ヒロインの基本的な性癖(めぐみなら責めなど)を抑えつつ、場所やバリエーションを変えていくような感じで、シーンの流れも基本的には特殊シチュ+男性受けの本番Hと言うあたり。

 絵と声は、かなり頑張っている感じを受けます。
 絵はやや差分が少ないと感じる場面もあるものの、上で書いたとおり体つきや胸の表現、アングルや体位、精液描写なども非常に魅力的でいい感じだと思います。
 声に関して言えば特にフェラチオの頑張りが耳に残りました。
 上で書いたように全キャラに装備されていますが、いずれ劣らぬ音と尺はこのゲームのウリの一つと言えるでしょう。

 全体的な尺も比較的長いですし、実用度は高いと思います。


<感想>
 基本的にはタイトル通りの「継母」ゲーな訳ですが、個人的には今ひとつな感じも受けました。
 というより、結局「継母」候補者の皆様は、実母の引き立て役に廻ってしまっているような気がします。

 普通に考えても、見知らぬ女性が現れて「今日から私があなたのお母さんよ」と言われたところで「母親」としてすぐに認識できるとは思いませんし、シナリオ展開的にも、別に家庭教師とかでも良かったのではないのかな、と思いました。
 「実母」にせよ「継母」にせよ、そのシチュエーションを生かすためには「母親としての生活」があって初めて母親と結ばれるという背徳感などがあるのではないでしょうか?
 ヒロインサイドにも実母・由希子、「母様と呼びなさい」などと言う美咲以外は、母親と言う役どころ自体にそれほど熱心であるとは思いませんし、そういう意味では、主人公(息子)視点から見てもヒロイン(母親)視点から見ても親子関係を感じませんでした。
 めぐみ、美咲あたりは普通に個人教師くらいでも充分な気がします。
 パッケージには甘やかされとか書いてありますが、そちらもいまいちでしたし…。

 そう言った中では実際に「母親」であり続けた由希子(実母)とのシナリオが一番オーソドックスに魅力的であるのも無理は無いところなのではないでしょうか。
 とはいえ、彼女にしてもあっさりと「実の息子」とHする関係になることを受け入れているので、あまり背徳感は無いのですが…。
 そういう意味では、一番母親選びとは関係の無いスタンスである珠代が展開、Hシーンともお手伝いさんと坊ちゃんというシチュエーションにもきちんと忠実で、いい味を出していると思いました。

 まぁ、シナリオ的に、このゲームに期待している方も少ないかとは思いますが、Hシーンのつなぎ以上のものではないです。
 個人的にはもう少しキャラクターの魅力を引き立たせるイベントが合っても良いかな、とは思いました。
 例えば折角母親の座を争っているだから、もう少し対抗心を剥き出しにするなどのヒロイン同士の絡みなどがあると、尚良かったのではないかと思います。
 いや、一部では無いわけでは無いですが、ほとんど無いのは確かですしね。

 とはいえ、母親というシチュエーション自体には期待出来ないにしろ、女性主導型Hシーンが売りの抜きゲーとしては、絵・声ともにレベルが高いですので、そういう意味では充分に期待に応えられる出来かと。
 「母親」(実母or継母)と言うことを考えず、自分より一回り以上年上のおねーさんくらいに思っておくのが良いのではないかと。
 母親にせよ、そうでないにせよ、ヒロインがほぼ(推定)30代後半〜40代前半っていうのはエロゲーとしては希少ですしね^^;

 テキスト面では丁寧で誤字脱字もなく、非常に読みやすい内容でした。
 が、日常シーンではドリフやアニメなどのパロディネタで笑いをとる傾向が多いので、そのあたりは好みの分かれるところでしょう。

 結論から言えば、突き抜けた部分やこれはという特徴はないものの、抜きゲーとしては安定
 安定しすぎて変わったシチュやハーレムとかが無いのは少し不満ではあります。
 が、全体的には声と絵を主戦力に、システムやテキストがきちんとそれをフォローしていて、シチュエーションも実用度は高いです。
 「実母」プレイ以外は比較的ありがちといえる内容ですが、原画が気に入れば購入しても充分楽しめるかと。
 ただし、タイトルにある「継母」ゲーとして考えると今ひとつと言えますので、そちらにはあまり期待しない方がよろしいかと。
 年上ゲーくらいに思っておきましょう。
 まぁ、100〜20くらいも年上ですけど^^;


<10点満点での総合評価>
 6.5点
 「継母」ゲー、もしくは「母親」というシチュに期待すると今ひとつです。
 しかし、男性受けの抜きゲーとしては十分合格点だと思います。


お気に入りのキャラ:三輪由希子…実は病弱キャラ、子供っぽい年上といった属性装備……実母ですが^^;
最後に一言:「このレビューは母の日に書いてます。まぁ、どうでもいいことですが^^;」









   Tears to Tiara    (GPさんのレビュー)   評価: 8.5 
▼ タイトル Tears to Tiara〜ティアーズ・トゥ・ティアラ〜
▼ ブランド Leaf
▼ ジャンル ADV+シミュレーションRPG
▼ 対応OS Win98/Me/2000/XP
▼ メディア DVD-ROM
▼ 定価 税込\9,240(税抜\8,800)
▼ 発売日 2005/04/28
▼ 購入 Tears to Tiara / オリジナル特典 Getchu.com
【 CG観賞モード 】  あり
【 シーン観賞モード 】  あり
【 BGM観賞モード 】  あり
【 メッセージスキップ 】  あり(未読・既読判別あり)
【 メッセージ履歴機能 】  あり(音声リピートなし)
【 選択肢リターン機能 】  なし
【 オートモード 】  なし
【 ヒント機能 】  なし
【 セーブ数 】  100個以上
【 エンディング数 】  1個
【 メディアレス起動 】  ?


<ストーリー>
 ―『青銅の時代』の終焉から1200年。
 大陸では新たに勃興した『帝国』がその勢力を広げ、かつての『古代王国』の領域までをも侵食しつつあった。
 そんな中、ある部族の女の子、“リアンノン”が魔王復活の儀式の為、帝国司祭によって生贄にされそうになっていた。
 儀式は“リアンノン”の兄“アルサル”によって阻まれたのだが、結局、魔王“アロウン”は復活してしまうことに…。


このホームページはLeafより一部文章を抜粋しています。
素材の著作権はLeafに帰属します。



<概要>
 古代より復活した大魔王アロウンと仲間たちとの冒険を描いたADV+シミュレーションRPG。
 リアルタイム制の戦闘とコンシューマークラスのゲームクオリティが特徴。


<システム補足>
 オートモードはないし、音声リピートはないし、シミュレーションRPG部分の操作性も悪い、一流メーカーらしからぬイマイチなシステム。
 あと「タイトルに戻る」がありません。
 どのゲームにもついているので、普段は特別意識することのない機能ですが、いざ無いと非常に不便。
 本当に大切なものというのは失くした時にはじめてその重要性がわかる、という教訓を一つ学びました。

 なお、修正ファイルがあります。


<音楽・音声>
 全30曲。業界屈指のクオリティを誇るLeafサウンドは本作でも健在。
 山場の盛り上げにおける音楽の使い方は惚れ惚れするくらい巧く、文句なしです。

 音声はフルボイス、こちらのできも文句なし。
 サウンド面は安心して聞いていられて最高です。


<ビジュアル>
 原画は古寺成さん。
 絵本の挿絵でもおかしくないような、エロゲーらしからぬ非常に健全な絵^^;
 他ならぬLeafですから塗りも抜群でクオリティは言うこと無しですが、「コンシューマー移植を狙った絵」というのは勘ぐりすぎでしょうか?

 シミュレーションRPG部分のエフェクトやチビキャラ、ところどころ見られるアニメーションなどは非常に手が込んでいます。
 コンシューマーでも通用するかもしれません。


<内容>
 …なんというか、本当にエロゲーらしからぬ作品です。
 凝ったゲームシステム、抜群のグラフィックとビジュアル、圧倒的な演出などはPS2とまではいかないものの、コンシューマーのレベルは十分に達していると思います。
 「安っぽくていかがわしい」というエロゲーのもつ特性を微塵も感じさせない本作は、パッケージを見ただけで大作の雰囲気が漂っています。
 ここまで来ると正直「大人気ないんじゃない?」という気もしますが、超一流メーカーLeafだからこそ作れる本作。
 はたしてどんな作品なのか…。

 ゲーム形式はADVとシミュレーションRPGの融合。
 シミュレーションRPGはハーフリアルタイム制。
 詳しくは言葉で説明しにくいので、実際体験版か製品版をやっていただくのが早いのですが^^;

 エロゲーとは思えない凝ったシステムですが、実際プレーしてみるといまいち面白くないです。
 この手のリアルタイム制は、敵味方入り組んだ混戦のなかで、あれこれ指示を出すのが楽しいのですが、本作の場合、操作性が悪いので細かい指示を出すのが一苦労です。
 よって、どうしてもオート戦闘に頼りがちになってしまいます。
 しかも難易度(5段階設定可能)にもよりますが、大抵の戦闘がオート戦闘に任せっぱなしでも勝てしまうから困ったものです。
 これでは戦略もゲーム性もあったものではないです。
 地形や勝利条件が場面ごとでがらりと変わったり、時間制限があったり、刻一刻と状況を変化させたりすることで、プレーヤーはオート戦闘に頼り切るわけにはいかないようにして、常に緊張感と戦略性持たせて欲しかったです。
 どうせやるなら、とことんシステムやバランスを作りこんで、ゲーム自体の面白さを上げるべきだったと思います。

 ストーリーは典型的なファンタジー。
 復活した魔王アロウンとその仲間たちが、敵対する帝国や人類滅亡をたくらむ存在と戦っていく王道的な展開です。
 王道らしく、かなりの出来。
 個性的なキャラクターと圧倒的なビジュアルとサウンドによる演出は見ごたえがあります。
 また、その合間に織り込まれた仲間たちとのコミカルなやりとりは非常に面白いです。
 終盤少々消化不良で終わってしまいますが、感動と笑いが両立した見事なストーリーと思います。

 ただ、個人的な不満を一つ。
 主人公アロウンとメインヒロインのリアンノンの影が薄い!
 普通、エロゲーでは主人公以外の男は刺身のツマ程度にしか認識されないことが多いですが、本作ではそんなことはありません。
 リアンノンの兄のアルサル、吟遊詩人のタリエシン、参謀のオガムなどは皆主人公を食っちゃうくらいの個性と見せ場があり、実際食っちゃっています。
 特にアルサルは終始目立ちっぱなし。
 後半から終盤にかけては実質的な主人公で、それに反比例して本当の主人公アロウンの影がどんどん薄くなっていきます。

 それでもアロウンには、なんだかんだで見せ場があるのでまだいいとしても、リアンノンがここまで目立たないのは…(筆者のお気に入りが彼女というのを差し引いても)まずいと思います。
 本作は分岐無しの一本道なので、選択の余地がなく、どうしても主人公の恋やHのお相手は複数になってしまいます。
 実際本作の女性は皆アロウン様にベタ惚れで、結局全員彼に抱かれちゃいます。
 そのこと自体は別に構いませんが、その中でもやっぱりメインとサブというストーリー上の格差は作るべきです。
 ところが、本作のヒロインは悪い意味で皆平等に扱われています。
 たしかにモルガンやオクタヴィアといった他の女の子たちも皆可愛かったです。
 でもやはり一番目立つべきなのは、パッケージでもOP画面でもど真ん中に陣取るリアンノンでしょう。

 基本的にエロゲーと言うのは「主人公と愛し合う可愛い女の子との活躍」が見たい訳で、やっぱりここまで脇役、特に男が目立つのはどうかと…。
 「男女問わず皆個性と見せ場があるが、最後に締めるは主人公とヒロイン」というのがエロゲーにおいては理想だと個人的には思います。
 第一、そうやって終始目立つキャラ、特定箇所で目立つキャラ、終始脇役と、役どころを分けないとストーリーにもメリハリが生まれませんし、プレーヤーも混乱してしまうでしょう。
 まぁ、確かにこれは筆者の主観によるところが大きいので、中にはサブヒロインや男キャラが目立ちまくっても構わないという方もいるとは思います。
 でも、脇役のシスコン兄貴やナンパ吟遊詩人やジジィ(あえてここだけ悪意ある表現にしました、実際は筆者も彼らは好きですよ)の活躍を見るためにこのゲーム買った方いらっしゃいます?


<エロ>
 アロウン様早すぎ!
 戦闘においてはHPの高いタフな魔王様ですが、アッチの持久力はいつまでたってもレベル1
 そういえば「うたわれるもの」のハクオロもやたらと早かったし、Leafの主人公はみなそうなのか?
 まぁ、そもそも絵や雰囲気からしてエロくなりようが無いので、早かろうが遅かろうがそう関係ないですが、とにかくエロは薄いです。

 まぁ、本作のようなストーリー、ゲーム性重視の作品ではエロが薄いのもある程度仕方の無いことです。
 おしとやかなリアンノンがベッドではいきなり「おちんちん」を連呼しながら足コキのようなマニアックなプレイを始めたら、(一度見てみたい気はしますが^^;)それはそれで引いてしまいます^^;

 ただ個人的に不満なのはHシーンのタイミングと使い方。
 Hシーンに特別な意味が無く、どれもあくまで日常の1イベントにすぎないのはエロゲーとしてかなり残念。
 コンシューマーRPGだとよく最終決戦前に主人公とヒロインがお互いの気持ちを確かめ合うシーンがありますが、本作はそういうシーンがありません。
 H前にはアロウンも一応ヒロインに愛の言葉をささやきますが、本当にその場だけ…。
 翌日になったら何事も無かったかのように話が進んでしまいます。
 それだとわざわざエロゲーにした意味が無くなってしまいます。
 こういうストーリー重視の作品はたとえH自体が薄くても、ヒロインとの愛を確かめ合う等々、ストーリー上でしっかりとした意味があれば、見ごたえも生まれるし、エロゲーにした意味もあります。
 ところが本作の場合、どのHシーンもあくまで日常の1イベントに過ぎないので、Hシーンが無くても全くストーリーに影響がありません
 これではわざわざエロゲーにした意味がありません。
 “内容”の冒頭で「エロゲーらしくない」と述べましたが、一番の理由は「エロに特別な意味が無い」、やっぱりこれはエロゲーとしては致命的です。

 ちなみにHをするのはアロウン様だけで、本編中で見せ場取りまくりのアルサルやタリエシンに恋人の一人も出来るかと思いきや、女の子に関してはアロウン様が総取り。
 これで一応主人公の面目は保ったでしょうか?


<10点満点での総合評価>
 8.5点
 エロゲーらしさはありませんし、ストーリーやゲーム性にも所々?な点はあるものの、このクオリティは満足。
 このレビューでは長々と批判的なことを書きましたが、主観的なところも多いし、第一これは「その気になればもっと良くなった」という応援と愛の表れと思って頂ければ…。
 大作、秀作の類なのでまだ未プレーの方は是非プレーしてみてください。


お気に入りのキャラ:リアンノン…見せ場は全部兄貴に取られたけど、彼女が一番。もっと目立って欲しかった…。
最後に一言:「そろそろストーリー一本勝負のシンプルなビジュアルノベルを作って欲しいと思います。」









   灯穂奇譚     (ひびきさんのレビュー)   評価: 7.5 
▼ タイトル 灯穂奇譚(とうすいきたん)
▼ ブランド 水鏡
▼ ジャンル ノベル
▼ 対応OS Win98/Me/2000/XP
▼ メディア CD-ROM
▼ 定価 税込\3,150(税抜\3,000)
▼ 発売日 2005/04/29
【 CG観賞モード 】  あり
【 シーン観賞モード 】  あり
【 BGM観賞モード 】  なし
【 メッセージスキップ 】  あり
【 メッセージ履歴機能 】  あり
【 選択肢リターン機能 】  なし
【 オートモード 】  あり
【 ヒント機能 】  なし
【 セーブ数 】  無限
【 エンディング数 】  3個
【 メディアレス起動 】  可

感想へジャンプ

<ストーリー>
 転居から10年の時を経て、生まれ育った山村へと足を踏み入れた主人公・永井桐人(きりと)。
 その目的は、村に遺してきた生家を、完全に引き払うためであった。
 成長を遂げた、幼なじみの加茂カナタとの邂逅と、久しぶりに四肢に染み渡る田舎での生活は、都会での生活に疲れた桐人の心に、潤いに似た安堵感を与えていた。
 しかし…。
 夜、偶然見かけた二匹の蛍。
 何気なく、その飛び行く先を追いかけているうちに、桐人は村で奉られている神社へと導かれる。
 そこで感じたのは、幼少の頃には微塵も感じることが無かった、深い闇。
 その日から、見慣れた田舎の風景は一変した。
 桐人の心を徐々に蝕む、深遠から染み出す空気。
 彼の心は徐々に虚妄に支配され、自分自身を維持するための葛藤の時間を必要としていくことになる。
 そんな中――誰もいないはずの神社で出合った、一人の少女。
 その瞬間、桐人の見知った世界に大きな亀裂が走り――
 彼は、村に埋もれていた禁忌へと呑まれていく。
 村に残る、謎の風習。
 「夜に大声を出してはいけない」
 「夜に人と争ってはいけない」
 「月の無い夜に、女性は人前に姿を見せてはいけない」
 全て、同じ苗字の村民。
 神社の奥に奉られているという“祠さま”。
 夏の日差しの裏側にある、月光さえも届かぬ世界。
 その目に映る幾多の灯火は、何を導き、何を語りかけるのか――。


<キャラクター紹介>
加茂カナタ(CV:成瀬未亜)
 主人公・桐人の幼なじみ。
 顔にも身体にも幼さが残る、至って健康的な発育途中の○○生。
 桐人をキリ兄と慕い、優しく、物腰の柔らかい性格であるが、軍鶏や野犬と素手で互角に張り合えるほどの攻撃力を有している。
 村の外の世界を知りたいと思いつつも、二人暮しの母を残していく事に躊躇いを感じている。
 「初潮はまだなの…」本人談

稗田霧香(ひえだ きりか/CV:北都南)
 ちびと眼鏡とゴスロリと非力がトレードマークの民俗学者の卵。
 見た目とかけ離れた剛胆な性格と明晰な頭脳で、真理のためならば流血事すら辞さない行動派。
 社会科学だけでなく、自然科学の知識に精通し、徹底した合理主義に、恐ろしいほどの推理力。
 そして他人の意見は参考程度にしか聞かない独断力で、今回は佐奈伎の村の謎に挑む。
 難しい謎を解くと、頭の熱暴走の関係で鼻血をたらすのがチャームポイント。

ナミ(CV:一色ヒカル )
 深夜の佐奈伎神社で、桐人が出会う少女。
 自分よりはるかに年少であると思われるナミ(身長145p)に、桐人は見たこともない母の抱擁を感じる。
 悠久の時、この地でたった一人、形を持たない魂に名という形をあたえ続ける少女。
 真名、そして灯穂…。
 漆黒に沈む、佐奈伎(さなき)の谷の底、桐人が知ることになる村の真実。現と幻の裂け目の先にある光景。
 そこで――息づくものとは。


このホームページは水鏡より一部文章を抜粋しています。
素材の著作権は水鏡に帰属します。



購入動機
 ミステリアスな雰囲気のゲームだったので^^;
 「読むのが面白そうだな」という理由で購入に至りました。
 北都南さんや一色ヒカルさんも出演なさっているという声買いもあります。


<ゲームの概要>
 全編、テキストが縦書きで表される、ノベル形式のゲームです。
 ノベル形式といっても選択肢はありますし、分岐点もあります。
 ミステリアスな感じがする、ストーリー重視のゲームです。


<システム補足>
 インストール形態はフルインストールのみで、約620MB必要です。
 一度インストールしたら、次からはCDを挿入しなくてもOKです。

 また、本作はメッセージウィンドウが無く、ノベルは全て縦書きで表されます。
 画面全体にテキストが埋まるので、CGを文字が隠してしまう、という事になります。
 「CGを見にくくするとは何事か!」と怒る方もいるかもしれませんが、極めて「和」の雰囲気を大切にする本作では、これもまたありかな、と。

 修正ファイルがアップされています。
 当てると、未読・既読スキップが可能になる他、縦書き・横書き選択機能などが追加されます。

 同人の低価格作品ですが、きちんとオープニングムービー・エンディングムービーも用意されています。


<音楽・音声>
 女性キャラはフルボイスです。
 出演なさっている声優さんは有名な方ばかりなので、安心して聴けます。
 登場人物は、大体がロリであり、かわいらしい声です。

 音楽は、結構手の込んだ作りだな、と思いました。
 ピアノだけで作られた曲があると思えば、ギターや擦弦楽器のピッチカート等を使って作られた曲もあります。
 謎が次々と出てくる作品ですので、音楽のもたらす効果も大きかったと思います。
 ただ、もうちょっとシンプルな曲があっても良かったかもしれません。


<原画・CGなど>
 原画は 基4%さん。
 CGは、ロリを表現するのに適した絵柄です。
 瞳が大きく、表情の変化も良く表現されていますね…稗田以外は^^;
 色使いは全体的に淡いです。
 と思いきや、突然暗い画面に真っ赤な眼が映し出されたり、と驚きを誘う場面も…。

 ただ、上記の通り、テキストが縦書きで書物のように画面全体に書かれるので、必然的にCGが見づらくなります。
 まぁ、右クリックを押せばテキストを消すことはできるので問題ないですけどね^^;


<エッチシーン>
 登録されるエッチシーンは、5個と少なめ。
 全て1対1の和姦で、相手はロリです。
 「とっても恥ずかしいけど、お兄ちゃんが大好きだから我慢するよぉ」
 という妹キャラに萌える方にはお勧めできますが、基本的にエッチシーンよりもストーリー重視ですから、そんなに期待は…。

 淫語ですが、放送禁止用語にはピー音が入ります。
 消しの長さは「1文字分はしっかり消えている」、といったくらいの長さです。


<感想>
 前半は田舎の開放的な暮らしとヒロインの描写が主で、中盤は村の謎の風習と奇妙な体験、そして終盤に…、と物語は進んでいきます。

 ヒロイン・カナタは、野犬の群れを素手で追い払うことができるという元気少女ですが、そんなヒロインに箒(ほうき)で持ってぶん殴られたり、川原で昔のように、はしゃぎながら遊んでいたら、ふとした瞬間に「子供」だと思っていた妹キャラに「女」を感じることがあったりと、キャラの魅力は十分に描かれています。
 感情移入しやすい雰囲気ですし、できれば後々になって響いてきます。
 また、前半では、幽遊白書や初代ファミコン等のゲームネタ等書かれていて、そういったネタが分かる人は楽しいかもしれません。

 そして、少しずつ田舎故の奇妙な風習が見え隠れし、「神隠し」「不気味な神社」等、ミステリアスな展開に物語は進んでいきます。

 「銅鐸」「新嘗祭」「イザナギ・イザナミ」
 以上のような言葉が出てくる、日本古代史・古代神話などを多少なりとも知っていると、本作をスムーズに読み進めることができるかもしれません。
 本作では、それらがかなり深いところまで説明されていて、ゲームの主題を支えています。
 「月の無い夜に、女性は人前に姿を見せてはいけない」
 「かわひらき(蝶)を見てはいけない」
 「女性は、月の夜にこの村から出てはいけない」
 このような謎が謎を呼ぶ風習。
 巨大な銅鐸。
 2人以上のときは見ることができないのに、1人でいるときは見ることができる蛍。
 祠様の祟り。巫女服の謎の少女。
 神社の奥に、無限に続いているかのような長い廊下。
 以上のような、日本人の古風な文化の背景や教育を礎とした、本能的な禁忌や恐怖・謎に対する探究心を上手に物語と絡め、なおかつ幽玄さを醸し出す音楽で雰囲気は盛り上がります。
 そして、そこに「強い愛」と倫理で板挟みになる苦悩等も上手に表現されています。
 こういった終盤の読ませ方は秀逸で、一気に物語を読ませてくれました。
 そういった意味では、画面全体に書き出される、縦書きのノベルも、「CGを隠してしまう」といった欠点よりも「テンポ良く読ませ、ホイールによる読み返しも少なくする」と言った長所の方が多くあると感じました。

 決して一般的とは言いがたい内容ですし、万人受けも…どうでしょう。
 でも、「作りたいものを作る」という製作者の意気込みと、日本古代史への考え等が伝わってきたようで、狭く深い主題の良さが伝わってきたように感じます。


<10点満点での総合評価>
 7.5点
 同人ゲームだから形にできた主題であるかもしれません。
 「ゲーム」というよりも「ノベル」に近い作品でした。

 「妹萌え」「日本古代神話」「幽玄」この3つのキーワードのうち、2つ以上に興味をそそられる方は、チェックしてみては如何でしょうか。
 値段以上に堪能できました。


お気に入りのキャラ:加茂サユキ… 物語を読んでいる途中、一番動向が気になった人なので。
最後に一言:「次も和風なゲームをお願いします。」