らいむいろ流奇譚X cross    (GPさんのレビュー)   評価: 8 
▼ タイトル らいむいろ流奇譚X cross〜恋、教ヘテクダサイ。〜 amazon associates
▼ ブランド エルフ
▼ ジャンル 美少女純愛戦記浪漫+ADV+SLG
▼ 対応OS Win98/Me/2000/XP
▼ メディア DVD-ROM
▼ 定価 税込\9,240(税抜\8,800)
▼ 発売日 2004/12/24
▼ 購入 らいむいろ流奇譚X cross / オリジナル特典 Getchu.com
【 CG観賞モード 】  あり
【 シーン観賞モード 】  あり
【 BGM観賞モード 】  あり
【 メッセージスキップ 】  あり(未読・既読判別あり)
【 メッセージ履歴機能 】  あり(音声リピートあり)
【 選択肢リターン機能 】  あり
【 オートモード 】  あり
【 ヒント機能 】  なし
【 セーブ数 】  --個
【 エンディング数 】  --個


<ストーリー>
 明治38年(1905年)。
 ロシアの大要塞・旅順は陥落したものの、いまだ日本とロシアの戦争は終わることを知らなかった……。
 厳しい情勢の中、日本は再び『礼武隊計画』を発動させる。
 日本各地より新たに集められた五人の乙女たち――彼女たちに共通するのは、人智を越えた力……『礼武』を持つこと。
 そして、普通に学校に通い、普通に恋することを夢見る心を持つことであった。
 礼武隊の新隊長に選ばれた一人の青年。
 彼の名前は犬養強志朗(主人公)――陸軍の士官候補生……つまり軍人だ。

 その胸に熱く燃えるのは、日本のために戦いたいという心。
 礼武隊の秘密基地『天乃原』で邂逅した強志朗と授業をしたいと望む乙女たち。
 しかし、強志朗はそれに反発する。すれちがうお互いの心。
 新しい礼武隊の物語は波乱の出会いにより幕を開ける。
 一方、ロシアにおいても新たな陰謀が進められていた。暗躍する謎の女騎士たち。
 世界を変えると言われる神秘の道具『ラスプーチンの遺産』――さらなる魔の力が日本に、そして世界に暗雲をもたらそうとしている。


<キャラクター>
島つむぎ(しまつむぎ)
 主人公の幼なじみ。彼のことを「ご主人様」と呼んで慕っている。
 いつでもどこでも妄想してしまう癖があり、そんな時には主人公の“おしおき”が……。
 礼武の名は『サコン』。

直江シュロ(なおえしゅろ)
 自分のことを「僕」と言う男装の麗人。
 凛々しい顔に優しい性格もあって、異性より同性から好かれているらしい。
 日本人の父とロシア人の母を持つ。
 礼武の名は『カネツグ』。

井伊錦(いいにしき)
 天乃原女学院の級長を務める。校則違反はきびしく注意。
 常に分厚い生徒手帳を持ち歩き、その破壊力はバツグンだ。
 礼武の名は『ナオマサ』。

服部かすり(はっとりかすり)
 自称“忍者”の天然少女。
 いちおう忍法は使えるが、人並み以上に気弱なこともあって、まったく役にたたない。
 礼武の名は『ハンゾウ』。

鍋島綾(なべしまあや)
 女医になることを夢見る少女。いつもメチャクチャな治療をしてくる。
 特に主人公に対してはすさまじく、身体のすみずみまで特別な治療を?!
 礼武の名は『ナオシゲ』。

一乗寺須美(いちじょうじすみ)
 前作から引き続き「天乃原女学院」の医師として任務についている女性。
 大人のお色気たっぷりで礼武隊・ヒロインたちのお姉さん的存在だ。

九鬼様(くきさま)
 数十年にわたる永き眠りから目覚めた神秘の女性。
 今作でも魂色の力を維持するため、
 主人公の『精』を思う存分味い尽くすのだろうか……??


このホームページはエルフより一部文章を抜粋しています。
素材の著作権はエルフに帰属します。



<概要>
 「らいむいろ戦奇譚」(以下前作)の続編。
 前作から一年後を舞台に、帝國特殊部隊「礼部(らいむ)隊」の隊長となった主人公犬養強志朗と隊員の乙女達が、ロシアの陰で暗躍する「ファーデン騎士団」と戦ってゆくADV。


<システム補足>
 大掛かりな3Dがあり、かなりの高スペックを要します。
 念入りなスペックチェック(特にグラフィックチップ)と体験版プレーは必須です。
 筆者の場合、ギリギリの環境のノートPCだったのでいつフリーズするかヒヤヒヤモノでした。
 3D画面をロードするとき(またこの時間が長いんです)のドキドキときたら…。
 ゲームでこんなにヒヤヒヤしたのは「ドラ○エ3でいつ冒険の書が消えるか」以来です^^;

 システム詳細は上記参照。
 スペックさえクリアすれば、特に不具合も無く、使いやすい親切なシステムです。


<音楽・音声>
 全41曲。
 個人的にはOPの「至純花」がお気に入りです。
 ヒロイン五人が歌っているのですが、いかにもな歌詞と、微妙に外れた音程が逆にいいです^^;

 音声は主人公以外はフルボイス。
 全体的にやや大げさな演技が目立ちますが、本作にはこんな感じが合っているのではないでしょうか。
 個人的には主人公にも声が欲しかったと思います。
 エロゲーの主人公は無個性化を図って感情移入を助けるためにわざと声を入れないことが多いですが、本作のような超熱血タイプの場合は逆に、叫び声とか「最後は絶対俺が勝つ!」といった決め台詞には、声があった方が迫力も出るし、かえって主人公とシンクロしやすいのではないでしょうか。


<CG、演出等>
 前作に続き、原画は本田直樹さん。原画、塗りともに非常に丁寧な出来です。
 枚数は差分抜きで236枚、差分込みでは700枚以上と非常に気合の入った枚数。
 エルフのパワーは健在だと知らされます^^;

 SLGパートは3Dで、現在のエロゲーの中ではかなり精密な部類に入るでしょう。
 コンシューマーで言えば、PS1の後期からPS2の初期程度の出来にはなってます。
 OPとトゥルーEDのスタッフロールはフルアニメで、ところどころにもムービーが入るなど、ビジュアル面、演出面では非常に手が込んでいます。
 現在のエロゲーの中では最高レベルのクオリティといっても過言ではないでしょう。


<内容>
 「日露戦争」1904年に勃発し、日本が勝利したこの戦いは、近代においてアジアが西洋に勝利した初めての例でもあります。
 この勝利は、植民地化されていたアジア諸国に大きな希望をもたらしましたが、同時に日本がアジアを侵略するきっかけでもあったのです…。
 歴史のアイロニー(皮肉)ともいえるこの戦争を舞台にしたからには本作もさぞかし、深いメッセージ性をもった作品になるか…と思いきや、時代考証なし、史実性なしの、ただ美少女たちが戦う純粋な娯楽作品となってます^^;
 まぁ、エロゲーとしてはそれでいいと思いますけど…。

 ゲーム形式はADVとSLGの融合。
 ADVパートでストーリーが進み、その合間にSLGパートが入ります。

 SLGはいたってオーソドックスなターン制。
 これといった特徴は無く、難易度も一応調節できるものの、最高レベルでもそれほど難しくは無いです。
 戦略的要素も薄く、SLG部分だけを見ればそれほどのものではないのです。
 しかし、大掛かりな3D演出は見ごたえはありますし、一度クリアした戦闘はスキップできるので作業的にもならず、十分楽しめるでしょう。

 ストーリーは第○話という単位で進むアニメを意識した形式。
 日露戦争の奉天会戦が舞台ですが、突っ込んだ時代考証は全くありません。
 展開はゴールデンタイムのアニメ以上にワンパターン、ほぼ全話「ヒロインが悩む⇒主人公が解決⇒H⇒敵をやっつける」の流れです。
 ヒロインの悩みも深いものはなく単純で、しかも主人公が恐ろしいくらいの熱血単純バカ(悪い意味ではありません)なので、全て「気合」で解決します^^;
 気合で雷を受け止め、気合で大雨を晴れにし等、アニ○ル浜口も真っ青の気合っぷり。
 ですからストーリーは全体通して非常にシンプルです。
 普通はシンプルなストーリーの方が好き嫌いは分かれないものですが、ここまで、ひねりが無いと逆に好き嫌いは分かれるでしょう。
 とはいえ、個性的なヒロインとの日常の楽しさはしっかり描かれていますし、大掛かりな演出も用意されてるので、全く楽しめないというプレーヤーは少ないです。
 ワンパターンな展開も、全13話とそれほど多い話数ではないので、そこまでの飽きやダルさは感じないはずです。
 またこのワンパターンで、単純な展開をあえて最後まで茶化さずに描ききったことも好感が持てます^^;
 これを下手に茶化したら、滑稽になってプレーヤーが白けてしまいますが、本作ではそんなことはなく、主人公の熱すぎるセリフや、戦いの際のヒロインたちの恥ずかしい決め台詞やポーズも、皆大真面目に演じてくれていました。

 ヒロインの個別シナリオがないのは(EDがちょっと変わるだけ)残念ですが、チャプターメニューや戦闘スキップ(ラスボスも可)など二週目以降の作業感を極力減らす配慮がなされていた点は良かったと思います。


<エロ>
 こういうゲーム性、ストーリー重視の作品はエロが申し訳程度の場合が多いですが、本作はそんなことはありません。
 総H数は65回…、この手の作品では突出した回数です。
 1回1回はそれほど長くなく、アブノーマルなプレイも無く、描写もそれほど濃くないですが全体で見れば十分でしょう。
 ただその回数の多さゆえ、話の流れから見てちょっと不自然な場所にエロがあるのが気になる人は気になるかもしれません。
 行方不明のヒロインを探しているときに、のうのうとほかの女の子とHしてたり等々…。
 まぁ、逆に言えば「話の流れを犠牲にしてまでエロを優先した」とも言えるので、エロゲーとしては、個人的には結構なことだと思います。


<10点満点での総合評価>
 8点
 CG、音楽、演出等非常に気合の入った作品。現在のエロゲーではトップクラスのクオリティを誇ります。
 あとはこのあまりに一直線でワンパターンなストーリーが気に入るかどうかで評価は分かれるでしょう。
 ここではクオリティの高さを評価して8点としますが、ストーリーの感じ方次第でプレーヤーによって評価は上下しそうです。


お気に入りのキャラ:島つむぎ…主人公にグリグリされたときの表情が好きです^^;
最後に一言:「日露戦争にはまだ日本海海戦が残っていますが、そうなると3作目もでるのでしょうか?」









   ひとがたルイン    (GPさんのレビュー)   評価: 7 
▼ タイトル ひとがたルイン
▼ ブランド Studio e・go!
▼ ジャンル アクションRPG
▼ 対応OS Win98/Me/2000/XP
▼ メディア DVD-ROM
▼ 定価 税込\9,240(税抜\8,800)
▼ 発売日 2004/12/24
【 CG観賞モード 】  あり
【 シーン観賞モード 】  あり
【 BGM観賞モード 】  あり
【 メッセージスキップ 】  あり(未読・既読判別なし)
【 メッセージ履歴機能 】  あり(音声リピートあり)
【 選択肢リターン機能 】  なし
【 オートモード 】  なし
【 ヒント機能 】  なし
【 セーブ数 】  20+1(オートセーブ)個
【 エンディング数 】  10個


<ストーリー>
 現在の王族を交え七つの氏族達が互いの派遣を争っていた古代。
 『マクリウム』と呼ばれる兵器があったという言い伝えがある。
 もっとも、それが実在したかとなると、はなはだ怪しい。
 「―『それ』をもってきた者と結婚するわ」サンテルマ王国王女、ディアーナはそう言った。
 私と結婚したければ、『マクリウム』を持って来い。
 王女の我が侭に、貴族達と共に付き合わされる羽目になった。
 ディアーナの幼馴染にして宮廷考古学者見習のクーノもまた、遺跡探索に出発する。

 そして彼は、とある遺跡の奥にて『マクリウム』を発見した。
 だが、それは「くーの、っていうの?わたし、まくりうむ。まくるだよ?」
 ……古代の兵器は、小さな女の子の形をしていた。
 半信半疑ながらも、彼女を連れて帰るクーノ。当然激怒するディアーナ。
 クーノの師匠である宮廷魔術師ジークリットは言う。
 今回の件はディアーナの我が侭ではなく、必要があっての探索だった。

 実は、国に危機が迫っている。
 それは人間ではどうしようもないほどの災厄で、それを回避するために、マクルに頼らざるを得なかった。
 姫が婚約に際して無理難題を出したのは、一般に災厄を知られる事なく捜索を行う為でもあった。
 そして、第一の災厄の出現。それをマクルは退け、彼女が古代兵器である事を確証する。

 しかし、宮廷で確保しておこうとするが、マクル本人は「クーノと一緒じゃなきゃやだ」と駄々をこねてしまう。
 師匠の命令で、クーノはマクルの世話をしながら、国を守る羽目になるのだが――。


<キャラクター>
マクル(マクリウム)
 クーノに発見された幼女型古代兵器。『災厄』に対しての唯一の対抗手段。
 記憶喪失の割に、明るく無邪気な性格。世間を知らないため、時々非常識。
 まるっきりの子供。物語が進むにつれて、考え方も成長する。一人称は『まくる』。

ディアーナ
 クーノの幼馴染でサンテルマ王国の王女。外見はいかにも清楚な王女様。
 しかしその実態は、気が強く直情的な性格。素手や剣の喧嘩ならクーノに圧勝。
 不自由の多い王女という立場に、時々不満を感じている。一人称は『私』と『あたし』。

ジークリット
 サンテルマ王国の宮廷魔術師。クーノの育ての親であり姉的存在。
 外ではキレ者の才媛として通っているが、家ではグータラ。一人称は『私』。

エリー(エリノア)
 トレジャーハンター。男装の、爆薬&拳銃使い。クーノの敵。時々協力者。
 勝ったり負けたりの関係で、互いの勝率は五分五分といったところ。一人称は『ボク』。

セイカ
 建国以前からこの土地に住む亜人種の少女。緑色の眼と緑色の髪、狐耳に尻尾。
 物静かだが、割と頑固。自分達を土地から追った人間達を快く思っていない。
 クーノの従姉にあたる一人称は『私』。

クーノ(主人公)
 父親の跡を継いで考古学者を志望する少年。この土地では珍しい、緑色の眼と髪の持ち主。
 肉体労働よりはどちらかといえば頭脳派と、本人は主張。あちこちの遺跡に奔走する。
 ひょんな事から、国を襲う『災厄』に立ち向かうことになる。


このホームページはStudio e・go!より一部文章を抜粋しています。
素材の著作権はStudio e・go!に帰属します。



<概要>
 Studio e・go!初のアクションゲーム。
 考古学者の卵クーノと古代兵器の少女マクリウムが古より復活した「災厄」と戦っていく冒険物語。


<システム補足>
 高スペックを要します。
 特に今回は快適な動きが命のアクションゲームなので、ギリギリの環境だとつらいかも。
 スペックチェックと体験版プレーはお忘れなく…。
 「風の継承者」では出来なかったメッセージ履歴の音声リピートが可能になりました。
 その代わり何故かスキップの未読、既読判定と、オートモードがなくなりました。
 ADV部分はそれほど長くないので、なくてもさほど困りませんが、なぜ今まではあったものをなくしてしまったのでしょうか?

 処理容量を食うのかアクション中に他のファイルを起動してると、動きが遅くなったり、フリーズすることがあります。


<音楽・音声>
 21曲+歌が2曲。
 今回は完全なファンタジーなので、曲もファンタジー風で占められています。
 全体的に明るいメロディーが多く、ゲームの雰囲気を盛り上げます。

 音声は男性、主人公含め完全フルボイス。
 特筆するものはないものの、どのキャラも安定した演技で、安心の出来です。


<CG>
 原画は勿論山本和枝さん。
 気のせいかもしれませんが、「IZUMO2」や「風の継承者」といった最近の作品と比べるとやや雰囲気が昔に戻ったような感じがします。
 基本的に現代日本の格好だった前二作と違って、本作は中世ファンタジー風な格好だからでしょうか?

 枚数は差分抜きで114枚、差分込みで約300枚。
 綺麗なCGがたくさんあると嬉しくなります^^;


<内容>
 RPG、パズル、ADV等、ゲームには様々なジャンルがありますが、やはりゲームの基本は早業で爽快に敵を倒すアクション。
 Studio e・go!の2004年最後の作品は、スーパーマリ○等ゲームの代名詞的な名作を数多く生み出したこのアクションゲームです。

 ゲーム形式はマップ移動型ADVとアクションの融合。
 ADVパートでイベントを進めその合間にアクションパートが入ります。

 アクションパートは3D横スクロール型。
 2Dと3Dの違いはありますが、スーパーマリ○や魔○村といった往年の名作アクションゲームと(懐かしいなぁ^^;)同じです。
 アクションに登場するキャラは主人公クーノとマクリウム(マクル)の二人。
 通常操作するのはクーノ(剣による接近戦)で、マクル(魔法による間接攻撃)は自動的に攻撃しますが、合体ボタンをおすと二人が合体し(おんぶするだけです。ロボットのように本当に合体したり、ましてやエロゲーだからといって性的に合体(=結合)することはありません^^;)、マクルも操作することが出来ます。

 操作については、クーノは簡単なコマンドで技を出すだけ、マクルは魔法を選んでボタン連打(ためることも可能ですが)、と非常に単純です。
 難易度も簡単で、コンボ等テクニックを駆使する余地もありますが、それが難しいなら適当にボタンを連打してれば何とかなります^^;
 一つのステージは短く、トラップも少なく、ボスも弱いので、苦手な方でも大丈夫です。
 ボスを強くしたり、技や武器の種類を増やしたり、他のヒロインも使えるようにすればより複雑に難しくすることも可能でしょう。
 ですが、アクションは複雑にすれば良いわけでもなく、また簡単で短い方が、コンプリートのための再プレーがそれほど苦にならずに済むでしょう。
 よって本作くらいの難易度と単純さも、これはこれで良いのではないでしょうか。

 ただ欲を言えば、もう少し遊びたい人への配慮があってもよかったのではないかと。
 本筋と関係ないサブイベントをもっと多くして、その中に強いボスや難しいステージを設ければ、遊びたい人はやればいいし、興味ないなら簡単な本編だけでもクリアは可能、とプレーに幅が出来たと思います。
 ちょっと贅沢な注文ですかね?

 難易度が低く、戦略性やテクニック的な要素は薄いですが、その分単純で簡単な操作と派手な演出で、敵をなぎ倒していく爽快感はなかなかのもの。
 グラフィックもきれいで、操作性も問題ありませんし、アクションパートの出来はかなりのものといえるでしょう。

 これでシナリオが良ければ名作なのですが…、世の中そう、上手くはいかないようです。
 本作のシナリオ…、まず気になるところは全体的に説明不足な点(とくに序盤)です。
 本作は世界観や人物設定が結構複雑ですが、それらの説明をろくにせずにストーリーを進行させています。
 マニュアルに一応用語集がついてますが、それをプレー前に熟読が前提というのは、まずいのではないでしょうか?
 特にファンタジーモノはまずプレーヤーをその世界観に引き込まなければ始まらないので、本作のような説明不足な展開はあまり好ましくないでしょう。

 もう一つの問題は緊張感が無く、あまりに悪ノリがすぎること。
 確かにアクションというのは単純なゲーム形式ですので、ストーリーも基本的にはシンプルなものが似合います。
 本作も「世界を滅ぼす存在と戦う」というシンプルなもので、明るい冒険物語としてストーリーは進みます。
 そして、話の間に主人公とヒロインたちのコミカルでほのぼのとしたやり取りを入れることによって、キャラの掘り下げやエロゲー(というより恋愛ゲーム)の根幹である「可愛い女の子との楽しいやりとり」も確立されてます。
 以上のような本作の基本方針は方向性としては決して間違ってなく、むしろアクションとエロゲーの融合としてはかなり良い方法を取ったと思います。
 が、何事にも「限度」はあるもので…。
 本作はその明るい、ほのぼのとした雰囲気がストーリー全体に及んでいるのです。
 ラスボス戦ですら二言目には必ずボケる主人公(あんたはお笑い芸人か!?)、能天気すぎるヒロイン、威厳のかけらも無い完全なギャグキャラと化した悪役、「本当に世界滅亡の危機なの?」と疑いたくなるくらい緊張感の無いキャラクター達。
 都市で大規模な暴動が起こったり、国民全員が7日で死ぬ疫病にかかっても、それらの描写一切無し。
 その間も終始ほのぼのでドタバタなキャラ同士の会話しかない緊張感の無さ過ぎるストーリー。
 子供向け特撮ヒーローモノの方がよっぽど殺伐としています。
 本作は最初から最後まで全部こんな感じです。
 アクションゲームというのは剣振り回したり、魔法ぶっ放したり、モンスターに襲われたりと基本的には命のやり取りであり、切った張ったのはずです。
 ですから、いくら明るい冒険モノと言っても、ある程度のメリハリは必要でしょう。
 基本は明るくほのぼの、ドタバタというのは構いませんが、最低限のシリアスさと緊張感が欲しかったです。
 いくら何でもラスボス戦までギャグにしちゃうのは悪ノリが過ぎます。

 せっかくアクション部分では良いものを作ったのに、シナリオの説明不足さと緊張感の無さで、全体の印象を落としてしまっています。
 「エロゲと言えどシナリオなんだよ」というエロゲ界の格言を実感した作品でした。


<エロ>
 緊張感の無さは濡れ場においても健在。
 やはりここでも主人公クーノはボケまくります。
 Hな行為というものはどんなに明るい和姦といえど、やはり多少の背徳感は伴うもの。
 その背徳感がエロを感じる一つの原動力となるのですが、本作はその辺を当事者たちが茶化しちゃってるのでエロを感じにくくなってます。
 明るい雰囲気というのはいくらでも構いませんが、それをこえて茶化すレベルにいっちゃうとやはりまずいでしょう。
 山本和枝さんの絵は相変わらずきれいなんですが…。


<10点満点での総合評価>
 7点
 やや簡単すぎたきらいはあるものの、しっかり遊べるように作られたアクションゲーム部分は高い評価を上げたいのです。
 しかし、あまりに緊張感の無い悪ノリしたシナリオは減点対象。
 シナリオ部分がもっとしっかりしていれば名作になる可能性もあっただけに非常に残念な作品です。


お気に入りのキャラ:ジークリット…「お姉ちゃん、SでもMでもいけるけど」とさらっと人前で言える彼女が好きです^^;
最後に一言:「“エロゲと言えどシナリオなんだよ”…やっぱりシナリオは大事です。」









   処女はお姉さまに恋してる    (GPさんのレビュー)   評価: 8 
▼ タイトル 処女(おとめ)はお姉さま(ぼく)に恋してる amazon associates
▼ ブランド キャラメルBOX
▼ ジャンル AVG
▼ 対応OS Win98/Me/2000/XP
▼ メディア CD-ROM
▼ 定価 税込\9,240(税抜\8,800)
▼ 発売日 2005/01/28
▼ 購入   処女はお姉さまに恋してる 初回版 / 通常版
【 CG観賞モード 】  あり
【 シーン観賞モード 】  あり
【 BGM観賞モード 】  あり
【 メッセージスキップ 】  あり(未読・既読判別あり)
【 メッセージ履歴機能 】  あり(音声リピートあり)
【 選択肢リターン機能 】  あり
【 オートモード 】  あり
【 ヒント機能 】  なし
【 セーブ数 】  40個
【 エンディング数 】  6個
【 メディアレス起動 】  可


<ストーリー>
 梅雨の合間、少し控えめな日差しが桜並木を縫って湿った石畳を優しく照らしている。
 昨夜の雨に濡れた桜の青葉が雫をきらきらと光らせながら、鮮やかな緑色を透かして揺れている。
 校舎までの短い桜並木に、少女達の黄色い笑い声と軽い靴音が弾むように響いている。
 その光景は、とても清純で美しく、清々しい。

 でも…どうして男(ボク)が通わなきゃいけないのっ?!

 鏑木財閥の御曹司で、文武両道・天稟の才があるけどちょっと気の弱い男の子。
 そんな瑞穂のもとへ、ある日顧問弁護士が訪れる。
 『先だって亡くなられたお祖父様の遺言です』
 そう言って渡されたのは、なんと女学院の入学案内。
 幼なじみ・まりやの趣味で女装を強要させられたあげく、無理矢理転入させられた女学院では、なんの間違いか全校生徒の憧れの的『エルダー・シスター』に選出されてしまう。
 突然嵐のように降って湧いた、お嬢さま学院での大騒動!!瑞穂は一体どうなってしまうのか…?!


このホームページはキャラメルBOXより一部文章を抜粋しています。
素材の著作権はキャラメルBOXに帰属します。



<概要>
 キャラメルBOXの話題作。
 祖父の遺言で女装しながらお嬢様女子校に通うことになった主人公宮小路瑞穂が、最高の模範生徒「エルダーシスター」となり、活躍していくラブコメディADV。


<システム補足>
 修正ファイルがあります。
 機種によっては強制終了がするらしいので当てることをお勧めします。

 一通り揃っていて特にこれと言った不満はありません。
 ディスクレス起動と選択肢リターン機能は有難かったです。


<音楽・音声>
 全18曲+歌が4曲。作品の雰囲気に合った明るく品の良い曲が多いです。

 音声は主人公以外フルボイス。
 ヒロイン、サブキャラ勢も皆さん上手で満足です。
 主人公の瑞穂にも声あり、女性の方(神村ひなさん)が担当されています。
 少したどたどしい気がしますが、可愛いので許します^^;
 特に、瑞穂の自信のなさや女言葉への不慣れな感じが出て良かったと思います。
 ただ残念なのは、主人公はパートボイス(Hシーンと重要イベントのみ)なところ。
 女装した主人公の慣れない女言葉や、逆に慣れてきて女になりきっていく過程が本作の面白さなのですが、パートボイスでは伝わりにくいので、やはり日常会話も含めてのフルボイスにして欲しかったです。
 まぁ、色々と理屈をこねましたが、「可愛い瑞穂ちゃんの声をもっと聞かせなさい」というのが一番の理由なのですけど^^;


<CG>
 原画はのり太さん。上品で可愛らしいタッチは本作の雰囲気にぴったりでしょう。
 枚数は差分抜きで83枚(差分込みで約300枚)。
 差分が多かったり、山場山場できちんと使われているので、枚数以上の数を感じます。

 エフェクトや、デフォルメのきいたイラスト等演出に凝っていて、見ていて楽しいです。
 照れて赤くな時につま先からだんだん赤くなっていく演出などは、感じが出ていてとても良かったです。


<内容>
 いきなりですが、主人公の瑞穂ちゃん(♂)が可愛い!
 容姿端麗、上品な立ち振る舞い、キュートな声の美少女。
 男ですからHシーンでは胸もないし、股間にアレもついている訳ですが、良くてフタなり…。
 CGによっては胸のない女の子が絡んでいるようにしか見えません。
 いや、むしろその裸が妙に色っぽい!肌は綺麗、ない胸も(男だから当然)なんかH!
 ヒロイン(♀)が脱ぐよりも興奮します^^;
 って、何を語っているのでしょうか…。危うく危ない道に目覚めそうです^^;

 この瑞穂ちゃんが祖父の遺言で、女装してお嬢様女子校に通うところから始まり、そこで「エルダーシスター(=最高のお姉さま)」になり瞬く間に人気者になってしまいます。
 生徒の大半が「お姉さま」と呼んでくるのですが…なんだろう、この理性や世間体で心の奥に押し込めた願望が少し満たされたような快感は^^;
 もしかして自分はお姉さまと呼ばれたがっている?女装、いや女性化願望!!?
 さあ、可愛い妹たち、今日から私が貴女方のお姉さ…ていよいよ危ない道に目覚めそうに!

 ごほん…、さて、瑞穂は女装していても男。女の子ばかりの環境では、なにもかも一苦労。
 男とばれないために目立たぬようにしますが、瑞穂は美人だし、育ちがいいので立ち振る舞いも上品。
 しかもエロゲー主人公の特性で無意識のうちに女の子をドキッとさせる言動のオンパレード、たちまち全校生徒を虜にしてしまいます。
 本作はそんな瑞穂のいつ男とばれるかわからない綱渡りの日々、裏腹に上がっていく人気、そして気がつくとお姉さまになりきっていることの苦悩を描いたドタバタラブコメ…。
 と、思いきやそういう展開はせいぜい第二話(全八話構成)までで、それ以降は意外と真面目なお話。
 ヒロインの悩みを瑞穂が一緒になって解決していきます。
 その中で、瑞穂自身も成長していく様は、コメディというよりは青春ストーリーというべきでしょう。
 設定が設定なので「等身大」という感じはしませんけどね^^;

 ヒロインの悩みも自分の境遇や将来などの青春の悩み等(結構重いものもあるけど)、特別な展開はありません。
 個別ルートも比較的静かに終わります。
 「女装」以外は特筆するものはありませんが、ヒロインは皆さん萌えも個性もあり魅力的。
 ストーリーも丁寧に進行するのので好印象を持ちます。
 舞台となる女子校は、今時少女漫画どころかギャグ漫画にも登場するかわからないようなコテコテなお嬢様学校ですが、本作ではそれが品のいい女の子たちの日常の楽しさの表現につながり(実際の女子校はこんなのではないと思いますが)雰囲気作りも上々で、非常に良く出来たシナリオとなっています。

 ただ一つ一つの問題があっさり解決されるので物足りないかもしれません。
 共通ルートだけならともかく、個別ルートもそれほど波風立たずに静かに終わってゆくので、印象に残りにくいでしょう。
 おそらく本作をプレーした1ヶ月後くらいに、内容を思い起こすと「主人公が女装するゲーム」という設定部分しか思い出せないかもしれません。
 ですから欲を言えば、もう一工夫欲しかったと思います。
 たとえば@個別ルートでそれぞれもう一波乱、展開を付け加えて印象を残す。
 あるいはA全体的にもっとコメディ色を強くして(設定が設定なので作りやすいはず)真面目なシナリオとのメリハリをつける(個人的にはこちらを希望)といったものがあれば、もっと良くなったと思います。

 ゲーム形式は選択肢方のオーソドックスなADV。
 プレー時間は初回が4〜5時間、全クリアまで10時間前後といった感じです。


<キャラクター>
 攻略ヒロインは5人。
 いたずら好きなお姉さん(十条紫苑)、行動的な幼馴染(御門まりや)、ツンデレお嬢様(厳島貴子)、懐いてくる下級生(周防院奏、上岡由佳里)、のり太さんに可愛くデザインされたヒロインたちは萌えも個性もあって皆魅力的です。
 サブキャラもなかなか個性的で、しっかりと立っています。

 良く考えられたキャラ達で、クリア後のおまけシナリオで補完されていたりして楽しめます。


<エロ>
 純愛モノにありがちな、いたって薄いエロです。
 アブノーマルなプレイもないし、長さも程々、テキストも普通です。
 女の子同士のHがいくつかあります。
 まぁ、エロゲーで女子校が舞台なのですから当然といえば当然ですが、「男子校=薔薇 女子校=百合」という論理は間違っている気が…。


<10点満点での総合評価>
 8点
 シナリオにもう少しインパクトがあればいうことなしですが、「主人公が女装して女子校に通う」という発想勝ち+全体的に丁寧に作られたハイレベルな作品という印象を受けたのでこの点数に。
 ラブコメが好きな方、女の子同士の百合世界が好きな方、一度でいいからお姉さまと呼ばれてみたかった方(筆者とか^^;)等にお薦めの作品です。


お気に入りのキャラ:岡由佳里と周防院奏の下級生コンビ…つぶらな瞳で「お姉さま」と呼んでくれるのが^^;
最後に一言:「危うく危ない道に目覚めそうです^^;」