Yin-Yang! X Change Alternative    (たろんなーどさんのレビュー)   評価: 5.5 
▼ タイトル Yin-Yang! X Change Alternative amazon associates
▼ ブランド クラウド
▼ ジャンル マルチエンディングアドベンチャー
▼ 対応OS Win98/Me/2000/XP
▼ メディア DVD-ROM
▼ 定価 税込\9,240(税抜\8,800)
▼ 発売日 2004/10/29
▼ 購入   Yin-Yang! X Change Alternative /オリジナル特典 Getchu.com
【 CG観賞モード 】  あり
【 シーン観賞モード 】  あり
【 BGM観賞モード 】  あり
【 メッセージスキップ 】  あり(未読・既読判別あり)
【 メッセージ履歴機能 】  あり(バックログでの音声再生あり)
【 選択肢リターン機能 】  なし
【 オートモード 】  あり
【 ヒント機能 】  なし
【 セーブ数 】  60個
【 エンディング数 】  10個(BADEND含む)
【 ディスクレス起動 】  可


<あ・ら・す・じ>
 主人公・桜塚薫は、どこにでもいる普通の男子学生。
 薫は自分の中性的で女っぽい外見に対してコンプレックスを持っていた。
 その反動のせいか、ちょっと不良が入っていたりするけど、それはまあご愛敬。
 今は実家を飛び出して、親友の榊冬弥・早乙女蓮司と共同生活をしながら、自由気ままな学生生活を送っていた。
 そんな薫だが、最近になって原因不明の体調不良を感じていた。
 ここ数日、体調が優れず、目眩いを起すことも多かった。
 ある日、薫は学校の保健医であり科学者(自称)でもある葛葉蒼明の作った“研究中の新薬”を栄養剤と勘違いして飲んでしまう。

 そしてその翌日……。
 なんと薫の身体は、女の子に変身してしまったのだった!!
 男に戻るための薬を作って貰うことにはなったものの、それまでの間、女の子として生活するこ とになってしまう。
 女になってしまったことで一変する薫の環境。
 刺さる好奇の視線、言い寄る男たち、迫りくる同居人……貞操を守らなければならないと焦る薫!
 そして、薫の身体には、本人すらも知らない、あるヒミツがあったのだった……。
 果たして薫は無事男に戻ることができるのだろうか……!?


<キャラクター紹介>
桜塚 薫(さくらづか かおる) CV:ルネッサンス山田(男性時)/春瀬みき(女性時)
 怪しいクスリの影響で女性の体になってしまった男子学生。
 もともと女性っぽい外見と名前の為、不良が入っている。
 現在は友人達と3人で共同生活中。

麻倉 瑞稀(あさくら みずき) CV:長崎みなみ
 主人公のクラスメートでおとなしめな優等生。
 密かに薫のことが好きだったが、態度には出せずにいる。
 薫が女性化したことで、いろいろと世話をするようになる。

神代 咲夜(かみしろ さくや) CV:中瀬ひな
 主人公のクラスメートで瑞稀の親友でもある。
 無口で無愛想、神社の娘で、剣術の達人。
 自分にも他人にも厳しい性格だが、Hなことに関してはほとんど知識が無い。

西園寺 杏花(さいおんじ きょうか) CV:鳩野比奈
 学園の理事長の娘にして、大金持ちの御令嬢。
 高飛車な性格で、学園を取り仕切る生徒会の会長も務める。
 男女を問わず可愛いコには目が無い。

琴坂 美雨(ことさか みう) CV:北都南
 主人公の義理の妹に当たる。
 主人公は親の再婚を気に家を飛び出したが、その主人公が気になる様子。
 明るくて行動的で、主人公を実家に連れ戻そうとする。

榊 冬弥(さかき とうや) CV:永倉仁八
 主人公のクラスメートにして、親友、幼馴染、ルームメイト。
 同居中の3人のなかでは一番の常識人で財政担当。

早乙女 蓮司(さおとめ れんじ) CV:一条和矢
 主人公のクラスメートにして、親友、ルームメート。
 ノリがよく、彼女がいるにもかかわらず女性と見ると口説いている。

七海 留衣(ななみ るい) CV:高橋栄一
 杏花の付き人にして、代々侍従を務める家の出身。
 杏花に常に付き従い、自分の意思をめったに出さない。

七海 由衣(ななみ ゆい) CV:涼森ちさと
 留衣の双子の姉で、同じく杏花の侍従。
 杏花にしたがって新人教育を行う厳しい性格。

葛葉 蒼明(くずのは そうめい) CV:高橋一休
 何故か保健室の教師を務めるが、怪しげなものを発明する天才。
 マイペースで基本的には自分の研究にしか興味が無い。

千石 慶介(せんごく けいすけ) CV:坂野茂
 学園を仕切っている(つもり)の不良で、主人公を目の敵にする。
 主人公と喧嘩で勝った事が無く、やや屈折している。

日下部 香凛(くさかべ かりん) CV:伊藤瞳子
 蓮司の恋人で、今も蓮司にベタ惚れ。
 同居している女性(=主人公)に妙に敵意を燃やす。


このホームページはクラウドより一部文章を抜粋しています。
素材の著作権はクラウドに帰属します。



<音声>
 主人公、端役も含めて登場キャラは全員フルボイス。キャストは上記の通り。
 キャストも合ってますし、演技力も文句無く良好です。
 豪華有名人気実力派声優陣多数起用なら当然の結果か…。
 特に主人公(女性時)の声優さんは、叫び声一つとっても「男性が女性になった」という感じが出ていて好演でした。
 脇を固める男性声優陣も、良い感じで演じています。
 欲を言えば、端役の人に少し微妙と言うか、演技過剰っぽい人もいましたけど…。

 あと、演技とかではないのですが、回想シーンでの音声が微妙にエコーがかかっていたり、 風呂場での声の反響など、音の加工が細かく表現されていて、とても良い感じでした。


<音楽>
 全24曲。うちボーカル曲2曲。
 OP「challenge myself to the goal」、ED「from the distant night sky」(Vo.中山マミ)。
 2曲ともややロック色の強いポップスといった感じでしょうか。
 OP曲はノリ・テンポ共に良く、ゲームの雰囲気にあっていましたが、どちらかといえばバラード調もあったりするED曲は、EDによっては微妙な感じに聞こえてしまうことも…。
 好みの問題ですが、ED曲もこういうシンプルな音が好きなら良い感じだと思います。

 BGMは非常にオーソドックスなゲーム音楽と言う印象。
 ある程度どんなゲームにもフィットしそうなアベレージの高さはありますが、反面これはと言 う目立った特長が無いとも…。
 しかし、BGMである以上、場面を邪魔せずきちんと飾っていることは素直に高評価したいです。


<システム周り>(ver.1.00)
 修正ファイルがあります。音声、背景指定の修正がメイン。

 基本的には選択肢型のAVG。詳しいシステム周りは上記参照。
 選択肢がシナリオ分岐にダイレクトで直結する、ある意味潔い作り。
 そのため選択肢数は少ない上に分かりやすく、攻略難易度はほぼ無いに等しいかと…。

 システム周りでは、システムメニューやセーブ&ロード画面がウィンドウズ風で、ゲームオリジナルの画面等がないのは個人的には寂しいかな、と。
 やはりそれなりにゲームの雰囲気に合わせたシステム画面とかは作って欲しい気もします。
 それ以外では、メッセージスキップ時に画面効果をキャンセルしない為、少しスキップが遅めになるのも気になりました。

 あと、私の環境では2.3回強制終了がありました。
 他のところでは余り聞かないようですので、私のヘボ自作機のせいかもしれませんが…。
 (一応、必要スペックはかなり上回っているはずですが……)
 なんだか、他にもたくさんウィンドウを出して色々やっているとたまに落ちるようです。

 以上の(私だけ?)強制終了以外は特に問題は無く使いやすいシステムでした。
 その他に、セーブデータ等のイニシャライズ(初期化)もついていましたが、あまりと いうか、基本的に使用しないので感想についてはナントモいえません。


<CG>
 CG枚数は差分を含んで133枚。
 原画は田島直氏。
 相変らず男性キャラのほうが個性を持って書き分けられているのはエロゲの原画家さんとしては如何なものかと^^;
 まぁ、このゲームの性質上、男性キャラを書ける原画家さんは必須だと思いますし、そういう意 味では適役なのかもしれません。
 絵柄自体はやや線が少なく、シンプルな絵柄と言えます。
 また、ヘンな癖も無く、絵自体は安定していますので、氏の作風が気に入れば良い感じかと。
 個人的にはもう少し女性キャラの顔や輪郭、髪型などを書き分けてくれた方が嬉しいですし、 分かり易いのではないかと。
 あと、これまた氏の絵では今ひとつに感じる部分なのですが、動きのある絵(格闘シーンとか)は今ひとつな印象を受けてしまいます。
 もっとも、このゲームにおいてはそんなにそういう絵がある訳ではないので、問題はほと んど無いですが…。

 一つ気になったのは、立ち絵の「手」のサイズですね。
 ナンダカ不自然に大きく見える絵があるような気がします。

 塗りは基本に忠実と言うか、オーソドックスで標準以上のレベルだと思います。
 影のつき方がややはっきりしていたりと、どちらかといえば輪郭のはっきり出るような塗りですが、絵柄にはあっていますし十分でしょう。

 背景は書き込みが細かく丁寧です。
 教室や町を問わずクオリティも一定して高く、立ち絵を邪魔しない大人しめな塗りも良い感じでした。


<Hシーン>
 メインキャラはHシーン1キャラあたり5〜10回。
 とはいえ、そのうち主人公男Ver.は各キャラ1回程度で、後はレズだったり、主人公女性視点で相手が男だったりと言う感じです。
 シーン総数は52。
 ただし、上で書いたように主人公女性視点でのHシーンが多いため、シチュはレズ、手コキ、 フタナリ、3P、オナニーなど。
 シーンとしては凌辱系もあり、クスリ、ディルドー、アナル、輪姦など。
 いわゆる本番まで行かないシーンも結構あります。
 そういった点に目をつぶれば、シーン自体はナカナカ良いと思います。
 ただし、主人公が女性視点でムリヤリされてしまうなんてシチュもありますのでご注意下さい。
 感情移入してしまうと、新たな境地に目覚めるかもしれません^^;
 …と、言うわけで、女性視点の受けシチュが好みなら良い感じだと思います。

 とはいえ、明るい作風のせいか、余りにも凌辱シーンは短い上、主人公自身がすぐ感じるようになってしまうため、あまり鬼畜と言う感じではありません。
 そこらへんはXchangeシリーズのお約束と言うか、伝統ですね。
 好みの分かれるところだとは思いますが、シーン的に希少価値はあるので、好みの人にはたま らないかと。

 声優さんもHシーンでは頑張っておられます。
 フェラシーンなども気合入っていますし、さすがですね。

 Hシーン全体では、女性視点のノーマルHとしては十分及第点ですが、凌辱シーンは余りにも尺 が短く、期待してはいけません。


<感想>
 主人公が怪しいクスリのせいで女性になってしまう、Xchangeシリーズも、登場人物を総入れ替えしてのリニューアル。
 前作までの主人公と比べて今作はより「男らしい」性格になっていて、そのギャップがなかな か良いのではないかと思います。
 とはいえ、相変らず主人公が女性視点で妙に淫乱?気味のテイストには好みが分かれそうな気もします。
 基本的に主人公の発想は男なので女性向けのゲームと言うわけではありませんし…。

 まぁ、結局のところコンセプトゲーなので、このゲームのコンセプト自体が気に入るかどうかが、ゲームの満足度に大きく左右するのは仕方の無いところなのではないかと。

 個人的印象としては、前作までと比べるとキャラクターが大人しいというか、どちらかといえばコメディ色が強くなった印象があります。
 一部に割合ハードなシーンがあるとはいえ、前作までのようなどこに行ってもヤられてしまうと言うノリではないです^^;
 むしろ、主人公が女性になったことがモトで起きる騒動に焦点を当てたドタバタコメディの方がメインと言う感じなのではないでしょうか。

 そういった意味では、ゲームシナリオや内容は、コンセプトほどに先鋭化しておらず、むしろオーソドックスに楽しめるゲームに仕上がっていると思います。
 コレを進化ととるか後退ととるかは意見の分かれるところですが、少なくとも、前作までのイ メージが着いてしまった登場人物や舞台を総入れ替えしたのは正解だと思います。
 コメディ向きの比較的分かりやすい陽性のキャラがバランスよく配置され、悪役もどちらかと いえば少し抜けているという、いかにもコメディタッチなキャラ立ちをしています。
 そういう意味で、シナリオ自体とテキストの雰囲気が好みに合えば、コメディとしてはなかなかの作品ではないかと思います。
 特に、主人公、蓮司、冬弥の同居3人組は主人公が男性女性に関わらずテンポの良いボケ・突 っ込み・収拾の流れを見せてくれます。

 テキストは今ひとつというか、メイン視点の主人公が余り脳を使わないタイプなので、微妙にテキスト全体が上滑りしているという感を受けます。
 いいかえると、テキスト全体が冷静さや落ち着きとは縁が遠い…という感じですね。
 コメディの一環としては悪く無いですが、凌辱シーンやシリアスなシーンでも微妙にノリが軽くなってしまうのは如何なものかと思います。

 相対的にいえば、3までで正直ジリ貧になっている感のあったXchangeシリーズの建て直しとしては及第点。
 ただし、コンセプト以上のものは見られず、大人しく小さくまとまってしまった感があるの は残念なところです。
 上で書いたようなトークがツボに入る人には、コメディとしては良いと思いますが…。


<10点満点での総合評価>
 5.5点
 う〜ん、Hシーンは基本的に結構良いので、凌辱シーンにもうちょっと気合を入れてくれれば 私としては良作だったんですが…。
 余りにも短いですよ……(つД`)


お気に入りのキャラ:桜塚 薫…もちろん女性Ver.ですよ^^;
最後に一言:「良くも悪くも相変らずのXchangeシリーズな部分も多いです。」









   風の継承者    (GPさんのレビュー)   評価: 7 
▼ タイトル 風の継承者
▼ ブランド Studio e・go!
▼ ジャンル 学園恋愛ADV
▼ 対応OS Win98/Me/2000/XP
▼ メディア CD-ROM/DVD-ROM
▼ 定価 税込\9,240(税抜\8,800)
▼ 発売日 2004/11/26
【 CG観賞モード 】  あり
【 シーン観賞モード 】  あり
【 BGM観賞モード 】  あり
【 メッセージスキップ 】  あり(未読・既読判別あり)
【 メッセージ履歴機能 】  あり(音声リピートなし)
【 選択肢リターン機能 】  あり
【 オートモード 】  あり
【 ヒント機能 】  なし
【 セーブ数 】  20+1(オートセーブ)個
【 エンディング数 】  6個


<ストーリー>
 西條晃司には幼い頃から人には見えないものを見る能力がありました。
 それは幽霊や物の怪と呼ぶべき様な異形の者達。
 やがて彼はその力を利用して探偵のような仕事を始め、まだ学生の身でありながらいくつものトラブルや悩み事を解決して行きます。

 ある日、建設中の工事現場で起こっている怪異を調査して欲しいという依頼を受け、その元凶となっていた物の怪を全て退治します。
 そこで見つけたのは少女の姿をした精霊、サキ。
 生まれたばかりにもかかわらず自分の名前を名乗るなど不思議なところが多い彼女は、なぜか晃二を見て「やっと会えた‥」と涙を流します。
 しかし晃二にはその少女に見覚えはなく、また彼女もなぜそう思ったのか記憶は全くないという。
 明らかに人ではない彼女を警察に渡す訳にも行かず、仕方なく晃二は自分の家へと連れ帰り、妹の早紀が進学先を探すために田舎から出てきたと言うことにしました。

 こうして、二人の奇妙な同居生活が始まります。
 やがて様々な事件を通じて、新たな精霊使い達が姿を現し始めます。
 彼らは果たしてどのような運命にあるのか‥‥。


このホームページはStudio e・go!より一部文章を抜粋しています。
素材の著作権はStudio e・go!に帰属します。



<概要>
 「精霊」を使うことのできる探偵西條晃二が、現代日本を舞台に、不可思議な事件を解決していくStudio e・go!のSLG。
 サスペンスタッチなADVパートとユニットとなる精霊を育てながら戦っていくSLGパートが大きな特徴。


<システム補足>
 ジャンルがSLGのせいか、本作の一つ前に出た「IZUMO2」よりは要求スペックが下がっています。
 とはいえ、それなりの3Dがあるので、念入りなスペックチェックと体験版プレーはやっておいた方が良いでしょう。
 基本的に使いやすいですが、音声再生が無いメッセージ履歴と、20個とゲーム性重視な作品の割りに少なめなセーブ数の二つが玉に瑕です。
 このエゴさんはいつもこうですが、できれば何とかして欲しいです。

 修正ファイルがあります。
 2週目以降、ありえないキャラが仲間になることがあるので、当てておきましょう。


<CG>
 原画は毎度お馴染み山本和枝さん。
 この美しさとクオリティの前では賞賛の声が出ても文句の付け所はありません。
 女性キャラはもちろんのこと、男性キャラも可愛い美少年から格好いい美青年、渋くてダンディ(死語?)な美中年、美老年(日本語正しい?)まで、今回も美形ぞろい!
 むしろ本作は男の方が色気があると思うのは筆者だけでしょうか^^;?
 塗りや背景もいつも通りきっちりしあげてあります。

 CG枚数は86枚(差分込みで約220枚)。
 決して少ないわけではないですが一つ前の「IZUMO2」は差分抜きで120枚あったことを考えるとちょっと寂しいかもしれません。
 まぁ、このクオリティで毎回3桁の枚数を要求するのは贅沢ではありますけど。


<音楽・音声>
 全19曲+歌が2曲。
 ストーリーがファンタジーと探偵モノのサスペンスの融合なので、その場面場面で雰囲気に合った曲を使い分けてるところは好感が持てます。
 個人的にはEDテーマの「Free Bird」がお気に入りです。

 音声はヒロインだけでなく男性キャラに主人公までフルボイス。
 音楽同様、どのキャラもレベルの高い演技で安心して聞けます。

 CG、サウンドともにいつもに比べ何かが劇的に変化したわけではありませんが、いずれも高いレベルで安定しており安心の出来ですね。


<内容>
 霊の視える探偵…というと「幽☆○☆白書」の霊界探偵を思い出してしま…。
 そういえば同じメーカーで死んで霊体となった少年のストーリーというこれまた「幽☆遊☆○書」を思い出させる作品(「てんあく」)があったような…。

 ゲーム形式はSLGとADVの融合。
 SLGパートの基本は「ファイアーエムブレム」のようなターン制のオーソドックスなシステム。
 特徴としては人間のユニットがほとんどなく、主力となるのは精霊である点です。
 戦闘中に敵である精霊を説得して仲間に引き入れ、それらを育成していきます。
 育成できる精霊は「キャッスルファンタジア」や「IZUMO」にもでてきたスタジオエゴではおなじみの敵キャラばかり。
 手抜きとも思えなくも無いですが、今回の場合はかえってその方がメーカーファンにはわかりやすいし、ユニットに愛着を持ちやすくて良かったと思います。
 ただ、これは個人的な意見なのですが、モンスター系ばかりにしないで、何体か「IZUMO」に出てきたような美人の女性の姿をした精霊を登場させて欲しかったです。
 味方にするのは難しいが、通常のモンスター型より強力で、かつHシーンがついてくる…なんてことを付け加えると、戦略性が増すし、エロも強化できるでしょうし…(こっちが重要^^;)

 精霊の育成に加え、行動力や忠誠心といったパラメーターやスキル、ユニットの方向、それにエゴではおなじみの属性(火、水、土、金、木の五種類、メイドとかロリのことではありません^^;)、「五行相克、相生」といった要素が絡み、SLGとしての遊び要素や考える要素は存分にあります。

 ただちょっと問題なのがゲームバランス。
 コンシューマー、エロゲー問わず一般的にSLGやRPGのバランスは「さほど育成をしなくても戦略次第で勝てる、それができない場合は育成作業を単純に繰り返せば、とりあえずクリアはできる」というのが理想だとされています。(一概には言えませんが)
 しかし本作の場合、システムはともかく実際の戦闘では戦略性はあまりなく、「育成をしなくても戦略次第で勝てる」という要素が非常に薄いです。
 というのも、「障害物の無い場所での真正面からのバトル」がほとんどなのです。
 特殊な地形条件や、特殊な勝利、敗北条件や状況といった戦略性を生み出す要素があまり無く、どうしてもユニットの強さがそのまま結果に反映されるので、精霊の育成の必要が出てしまいます。
 育成自体は結構幅があるのですが、ゲーム全体としては遊び方に幅がなく(戦略を立てる余地が少なく、育成をするしかない)、自由度は低いです。
 自由度が高ければ良いと言う訳ではありませんが、自由度が低いと2週目以降のプレーが単純作業になりやすく、人によっては飽きが来る可能性があります。
 2週目以降はユニットのデータは引き継げるものの、戦闘の任意スキップはできないのでなおさらです。
 以上のようにSLGパートは、システム自体はなかなかのものだと思いますが、それをバランスの段階で遊び方を縛ってしまった感があります。
 この点が残念でした。

 ADVパートはいわゆるコマンド総当り式。
 場所を移動しながら選択肢を選んでいき、フラグを立てます。
 後半の選択肢の選び方によって、ヒロインの個別シナリオが決まります。

 ストーリーは現代サスペンスとファンタジーの融合。
 現実的なサスペンスとファンタジーでは相反するように思えますが、本作ではどちらもそれほど突っ込んだ本格的な設定にしてないので、逆に互いが打ち消しあうことなくうまく調和させています。
 大まか流れとしてはいくつか小さな事件が起きた後、ある一つの大きな犯罪をヒロインの個別シナリオそれぞれの視点からみていき、解決するというものです。
 本編をクリアした後、別な主人公による別視点のおまけシナリオがあります。

 特別際立ったものは無いものの、全体の流れとしては大きな矛盾や、わかりづらい展開も無く、良いものでした。
 問題は一つ一つのイベントの描写。
 これがあっさりしすぎです。
 世界観や設定で良い物を作ったのだから、もっとストーリー中で掘り下げていけば良いのに、どれもあっさりと終わらせてます。
 主人公の境遇、北小路聖の過去、宇賀神正毅とルイーズの秘密あたりはまだまだ掘り下げる余地があったし、ヒロインも山南姉妹なんかはもっとキャラを強調してもよかったと思います。
 設定に対するストーリーの深みや厚みがまだまだ足りません。

 筆者はスタジオエゴの作品をそれほど多くをプレーしたことが無いので、はっきりとはわかりませんが、このメーカーの作品は本作だけでなく全体的にあっさりしたシナリオの傾向が強いです。
 この無駄の無いシナリオがメーカーの味で、プレーヤーもそういうものを求めているのかもしれませんが、やっぱりこれだけの設定をこの程度の規模のストーリーで終わらせるのは非常に勿体無いと思います。
 ゲーム性の高い作品が多いですし、ストーリーもじっくり丁寧に進んでいく大作がこのメーカーには似合うと個人的には思うのですが…。

 プレー時間は大体15〜20時間前後。
 戦闘や育成があるので、全体としては丁度いい時間でしょうが、もう少し増えても良いのでADVパートのでのストーリーをじっくり進めて欲しかったと個人的には思います。


<キャラクター>
 攻略ヒロインは4人。
 主人公、ヒロイン、サブキャラ一人一人のキャラは確立されてるものの、ストーリーで十分に掘り下げてもらってないのが非常に残念です。
 以下軽く紹介。

・西條 晃二(さいじょうこうじ)
 主人公。精霊を見ることができ、その能力を活かした私立探偵を開業中。
 内容のところでも書きましたが、手先が器用、お節介、束縛を嫌う、親とは勘当中といった数々の設定を、ストーリー中であまり活かしてないのは非常に残念。
 この辺を掘り下げればもっと魅力的な主人公になったでしょう。

・西條 サキ(さいじょうさき)
 突如主人公の前に現れた、謎の少女。以降主人公の妹としてともに暮らす。
 白いフリルのドレス、一人称は「ボク」、主人公の呼び名は「お兄ちゃん」、ちょっとやきもち妬き。
 山本和枝さんの絵は大人の女性が似合うと思ってましたが、ロリっ娘もこれはこれで良いものですね^^;

・山南 晶(やまなみあきら)
 主人公のクラスメート。現在は姉と二人暮しで、ずぼらな姉の世話をしている。武術の達人。
 ちょっと気が強いが明るく健気。でもあまりに出番が少ないし、シナリオもあっさりだったのが残念でした。
 せっかくの金髪ツインテールがもったいない…。(関係ないですね^^;)
 
・山南 真琴(やまなみまこと)
 精霊を見ることのできる私立探偵。晶の姉で主人公の師匠。凄腕の私立探偵だが、普段の生活はズボラ。
 淡々とした口調の和服美人。かっこいい大人の女性ですが、ある場面で見せた若いころのウブな表情が非常にそそります。

・東野 沙織(あずのさおり)
 ある事件で主人公と知り合うことになった少女。幼いころに両親をなくし、現在は病弱な弟と二人暮し。
 ロリっ娘もいいっですがやっぱり山本和枝さんの絵にはこういう凛とした上品な女性が似合いますね。

・北小路 聖(きたこうじすぐる)
 数々の難事件を解決してきた警視庁の敏腕刑事。
 主人公以外のエロゲーの男なんてイロモノと相場は決まってますが、彼はそんなことなく、クールでダンディな美青年。
 主人公よりもカッコよく、ヒロインよりも色気があると思うのは筆者だけでしょうか?


<エロ>
 なんだかんだで、2桁の回数を用意してくれるスタジオエゴさんですが、今回は8回とややさびしい感じです。
 和姦オンリーで、アブノーマルなプレイの無い、大人しいものが多いですが、山本和枝さんの美しい絵と、丁寧なテキストや声優の演技で見ごたえあります。

 お風呂場の一回以外は、全裸はありません。
 ヒロインは何らかの衣服を身にまとう、早い話が着衣Hなのですが、この辺は好き好きでしょう。

 で、何故かヒロイン以上に脱がないのが主人公西條晃二。上はランニングを着たまま…。
 彼に限った話ではなくこのメーカーの主人公は本当に全部は脱ぎません^^;
 泉の中での契りでも脱いでなかった気が…(「IZUMO1、2」)。
 まぁ、男性向けエロゲーで男が脱いでも喜ぶ人間は少ないでしょうからかまわないのですが、何かスタッフのこだわりでもあるのでしょうか?


<10点満点での総合評価>
 7点
 CGや音楽といったものは安定した出来で、世界観や設定も悪くなく、遊べる要素も十分ある安心の一作ではありますが、やっぱり一つ一つがあっさりしすぎです。
 この設定やストーリー、システムをこれくらいで終わらせるのは非常に勿体無いと思います。
 よってやや押さえ気味かもしれませんがこの点数…。(今回も偉そうですみません)


お気に入りのキャラ:東野沙織…キリっとした上品なお嬢様、非常に好みです^^;
最後に一言:「ゲーム性に富んだ構想○年の大作、このメーカーなら出来ると思うのですが…。」