ときどきパクッちゃお!    (たろんなーどさんのレビュー)   評価: 7.5 
▼ タイトル ときどきパクッちゃお!
▼ ブランド XANADU(キサナドゥ)
▼ ジャンル えろちっくぴかれすく浪漫ADV
▼ 対応OS Win98/Me/2000/XP
▼ メディア CD-ROM
▼ 定価 税込\9,240(税抜\8,800)
▼ 発売日 2004/10/08
▼ 購入   ときどきパクッちゃお! / オリジナル特典 Getchu.com
【 CG観賞モード 】  あり
【 シーン観賞モード 】  あり
【 BGM観賞モード 】  あり
【 メッセージスキップ 】  あり(未読・既読判別あり)
【 メッセージ履歴機能 】  あり(バックログでの音声再生あり)
【 選択肢リターン機能 】  なし
【 オートモード 】  あり
【 ヒント機能 】  なし
【 セーブ数 】  39個+クイックセーブ1個
【 エンディング数 】  5個


<あ・ら・す・じ>
 夏休みを利用して5年ぶりに日本に帰ってきた主人公・早川ミユキは、親同士の交流があった阿川家に居候することになる。
 そんなか、5年前に亡くなった母の遺言状を渡されたミユキは、母・万里がかつて世の中を騒がせた怪盗ゼロだということを知らされ、世界平和のため、怪盗ゼロのマスクに宿る意識体フィーと共に怪盗ゼロの名前を引き継ぐのだった。
 しかし、阿川家の3姉妹は怪盗ゼロを追う側に回っており、さらに家ではミユキを便利なおさんどんとして使っているのだった。
 主人公ミユキの、3姉妹に昼はイジられ、夜は怪盗としてイジリかえす生活が始まる。


<キャラクター紹介>
早川 ミユキ(はやかわ みゆき)CV:立花 舞 主人公・リネーム不可
 5年ぶりに日本に帰ってきたニーソックスがやけに似合う家事の得意な男の子。
 母の後を継いで怪盗ゼロとしてフィーと共に盗みを繰り返す。
 普段は弱気で阿川家の3姉妹に振り回されているが、ゼロのときは強気。

阿川 要(あがわ かなめ)CV:まき いづみ
 主人公の幼馴染で吾川3姉妹の長女。
 怪盗ゼロ関係の事件を請け負うことの多い民間警備会社USCJのエージェント。
 性格はおっとりしていて相当な天然ボケだが違法ビデオの摘発などで性知識は豊富。

阿川 沙弥香(あがわ さやか)CV:新堂 真弓
 阿川家の次女で探偵の真似事のようなことをしている少女。
 探偵志望で自分の名を上げる為に怪盗ゼロを捕まえようと躍起になる。
 勝気な性格で、主人公の事をいつも振り回しているが、3姉妹の仲ではまとめ役。

阿川 江衣巳(あがわ えいみ)CV:下村 理沙
 阿川家の三女で常に眼帯をしており、ぼろぼろの人形ハリーを抱えている少女。
 無口だが頭がよく、謎の発明でゼロを追い詰めることもある。
 謎めいた言動で物事の核心をつく、ゼロにとっては三姉妹一の強敵。

沢 姫子(さわ ひめこ)CV:白沢 文香
 要とコンビを組むUSCJのエージェントで、故あって阿川家に居候することになる。
 基本的には真面目で優秀なエージェントだが、銃を持つと危険な性格になる。
 また、犬が苦手で朝が弱く、以外に生活能力は低い。

フィー CV:綾川 りの
 かつて主人公の母親を怪盗ゼロとして盗みをはたかせていた意識体。
 現在は黒猫に憑依して主人公に怪盗ゼロになる力を与える。
 美術品にこめられた「スピリッツ」を集めている。


このホームページはXANADU(キサナドゥ)より一部文章を抜粋しています。
素材の著作権はXANADU(キサナドゥ)に帰属します。



<システム周り>(ver.1.01)
 修正ファイルがあります。
 (回避可能ですが)一部でゲームが停止する不具合がありますので、あててください。

 基本的には選択肢分岐型AVG。
 明確な区切りというほどでは無いですが、1話ごとにヒロインを選択して、そのヒロインとの話がメインで展開するような形で1話が構成されています。
 というわけで基本的な選択肢自体はキャラごとで非常に分かりやすいですが、シーン回収の選択は割合多く、全キャラクリアは簡単ですが、CGコンプはやや大変な感じです。
 ただ、意地悪な選択肢や引っ掛けはほとんど無いのでそれほど問題は無いです。

 細かいシステム周りは上記参照。
 基本的な機能は一通り揃っており、動作も軽く不満は感じませんでした。
 唯一上げれば、DVDメディアでインストール容量が2G近くある割にはCDレス起動が不可能なことでしょうか。
 <Hシーン>の項で書きますが、シーン数が多く、ツボにはまれば抜きゲとしてのポテンシャルもあるため、メディアレスでの起動が出来ないのはちょっと不満です。
 とはいえ、それ以外は気になる部分はありませんでした。

 プレイ時間は1ルートセリフを全部見ると8時間程度。
 スキップが高速な為、2周目以降はある程度短縮できますが、共通部分はそこまで多くなく、全音声を聞いて、シーンとCG全てを回収しようと思うならば20時間以上のプレイ時間は必要になると思います。


<音声>
 男性・主人公含めてフルボイス。
 他のキャストは以下の通りです。
 レナ・シンクレア…星川 未流来
 受付A…亜衣
 サンドラ…永瀬 瑠衣
 早川ミドリ…滝川 晶
 警備員他…汐見 聖
 TVレポーター他・・・中澤 歩

 脇役の方にちょっと微妙な感じの方もいますが、演技の方は概ね良好です。
 ギャグシーンメインで、かなり演技の仕方が難しい感じを受ける日常会話シーンでしたが、皆様ノリノリで演技されており、非常にキャラクターが生き生きしていて良かったです。
 というわけで、キャラクターとのマッチングも非常に良好です。
 やはりギャグメインで会話のノリ重視の作品は、主人公や男性キャラも含めてフルボイスなのが良いですね^^;

 しかし残念なことに、日常シーンは非常に良かったですが、Hシーンの演技は上手い方と今ひとつな方がはっきり分かれていました。
 ただ、全体としてはいい感じでしたし、上手いほうの方が上手いから目立つだけで、Hシーン全体としては十分標準以上のクオリティだと思います。


<音楽>
 全20曲、うちボーカル曲は1曲。
 OP、ED共用のボーカル曲「ハートにご用心」(Vo.スマイルビーム…新堂真弓&原田ひとみ)。
 非常にノリの良い曲でゲームの雰囲気には良く合っています。
 曲の合間に入るセリフや合いの手はちょっとやり過ぎの感もあるくらいはっちゃけていますが、ゲームの雰囲気にはぴったりだと思います。 

 BGMはいかにもゲーム音楽という感じで、取り立てて目立つほどではなく、場面を壊すことも無く、普通にBGMしていました。
 ただ、ごく一部のBGMは、ゲーム展開があっていないように感じる場面がありました。
 BGMの出来自体は悪くないと思います。


<CG>
 原画は双龍氏。どちらかといえばコミカルな感じの絵柄で、ゲームの雰囲気に合っています。
 ただ、一部で左右の目の高さが微妙だったり、ディフォルメを掛けすぎてバランスを崩している絵があったりと、絵全体でのバランスが悪い絵が散見されるのは残念なところ…。
 まぁ、基本的にはそういったポーズも含めてオーバーアクション気味なところはコメディ作品に合っていると思いますんどね^^;
 立ち絵も同じく、ややパーツのバランスが崩れている絵もありますが、種類が多く、アクションが豊富なのは良い感じだと思います。

 塗りはなかなか良い感じですね。
 色使いはやや派手目ですが、絵全体でのバランスと抑え目な光沢で、非常に綺麗に見えました。

 背景はちょっとおとなしめですが、キャラクターを殺すことは無く、良いと思います。
 背景自体の出来は地味というか、やや書き込みが足りない気もしますがね^^;

 CG枚数も差分を含まず100枚以上と程よいボリュームですし、概ね満足できました。


<Hシーン>
 1キャラあたりシーン数は9〜20程度とボリュームがあります。
 シチュエーション的には、3Pシチュがかなり多めなのが特徴です。
 特に3姉妹は、ほとんどの組み合わせがあり、4Pも実装しているのはエロゲーとしては実に正しい姿勢といえるでしょう^^;
 いうまでもなくハーレムEDもきちんと装備です♪

 また、ゲーム展開上、主人公が素顔のときは受けシチュが、怪盗ゼロのときは責めシチュが多いですが、怪盗ゼロが集めている「スピリッツ」は解放すると周りの人間が欲情してしまうというエロゲ的ご都合主義全開の設定なので、いわゆる陵辱的要素はほぼありません。

 シチュ的にもソフトSM、3P、コスプレに足コキ、触手、フタナリとなんでもありです。
 時に目立ったのはフェラやキスしながらのHシーンが多めなことでしょうか。
 声優さんの頑張りもあって、やや尺は短めながらなかなかエロエロな感じに仕上がっています。

 絵柄的に汁描写がちょっと微妙な感じも受けますが、絵柄がOKで、比較的コメディタッチのシーンが多いことが許容できれば、エロ重視のゲームとしてもいい感じだと思います。
 ただ、シーン回想でほぼ同じシーンの前戯と本番が、何故か別な枠で登録されてしまったりするのはちょっと使い難い気もします。
 とはいえ、主人公受けシチュで複数に責められるというシチュが好みであれば、むしろいい感じでしょう。


<感想>
 正直、シナリオはごくごく標準的です。
 まぁ、「何でも出るですガン」とか、いきなりフタナリになっしてしまうようなゲームに、緻密なシナリオを求めてはダメだということです^^;

 とはいえ、文章と構成は非常に丁寧に構築されており、ドタバタコメディとしては非常にいい感じです。
 ほとんどのシーンで全員のキャラが絡む上に、それぞれの役割がこれでもか!というくらい強調されており、非常にコテコテな笑いに仕上がっています。
 単にキャラクターに頼るのではなく、強烈な個性を持ったキャラクターをきちんと絡ませて、ドタバタとして毎回コント的にシーンを盛り上げているのには好感が持てます。

 また、本来なら感動的な(はずの)シリアス&クライマックスのシーンでも、必ず「オチ」をつけて笑いに徹しているのも個人的に好印象です。
 やはり「笑い」や「エロ」で引っ張って突然感動系や鬱系にするよりは、最後までコメディならコメディと貫くのが大事だと思います。
 もっとも、笑いというのはエロシチュの好み以上に人によって好みが千差万別な部分ですので、キャラが濃すぎて合わないという方も出てくるかもしれません。

 とはいえ、個人的には最後まで楽しめたことも確かですし、ネタも含めて声優さんの熱演もあり、日常シーンは非常に「楽しい」出来だったと思います。
 主人公の母親や受付といった脇役まで含めて登場キャラのノリがよく、会話がボケ・突っ込みの応酬の嵐という感じで進んでいきます。

 Hシーンも必ず1話に2シーン以上は入りますし、こと笑いとエロに関してはツボにはまれば最後まで引っ張ってくれる訴求力があります。

 勿論冷静に見ればシナリオは突っ込みどころが多く、ある意味ファンタジーですが、きちんと最初から最後まで一貫はしており、エロゲー的御都合主義を許容できるならOKだと思います。
 個人的にはフタナリとか触手も全然OKですし、ライトなノリが非常にツボだったので楽しめました。

 テキストに誤変換や誤字が少し目立ったほか、立ち絵指定のミス(裸のはずが突然服を着たり、分身したり)など、バグが少々目立つのが残念なところです。
 シナリオ…というか設定や笑い、エロにCGといった面では丁寧なつくりであるだけに、その辺の作りこみの甘さは残念です。

 とはいえ、コテコテのドタバタコメディと、ライトなノリで比較的濃い目の主人公受けHがツボであれば、そのあたりは最後まで徹底していますので、オススメできる作品です。
 感動ですとか、感心するシナリオや、むせ返るような背徳的なエロだけがエロゲーでは無いということですね。


<10点満点での総合評価>
 7.5点
 細かい欠点はあるものの、非常に「エロゲーらしい」出来。
 楽しませていただきました♪


<お気に入りのキャラ>
 受付A主人公の母親^^;
 …いや、脇役ですけどね。本当にいい味出してます^^;

 攻略キャラでは阿川要
 まきいづみ様の演技力はすごいですね♪


最後に一言:「ギャグと主人公受け、この二つがツボにはまれば良作です。」









   Reminiscence Blue    (たろんなーどさん)   評価: 4.5 
▼ タイトル Reminiscence Blue amazon associates
▼ ブランド みかんばこ
▼ ジャンル アクティブセンスアドベンチャー
▼ 対応OS Win98/Me/2000/XP
▼ メディア CD-ROM
▼ 定価 税込\9,240(税抜\8,800)
▼ 発売日 2004/10/08
▼ 購入   Reminiscence Blue / オリジナル特典 Getchu.com
【 CG観賞モード 】  あり
【 シーン観賞モード 】  あり
【 BGM観賞モード 】  あり
【 メッセージスキップ 】  あり(未読・既読判別あり)
【 メッセージ履歴機能 】  あり(バックログでの音声再生あり)
【 選択肢リターン機能 】  なし
【 オートモード 】  あり
【 ヒント機能 】  なし
【 セーブ数 】  8個
【 エンディング数 】  6個(BADEND含む)


<あ・ら・す・じ>
 レミニセンスブルーは、古い洋館を移築して造られた、喫茶店兼、アンティークショップ。
 ここは、ボク、弘海(ひろみ)のお気に入りの場所。
 だって、ここにはあこがれの女性、沙織さんがいるから。
 もちろん、それだけじゃないよ。
 沙織さんの入れるコーヒーはとっても美味しいんだ。
 沙織さんの入れてくれたコーヒーを飲みながら過ごす時間は、ボクにとって宝物のような時間なんだ。

 そんなレミニセンスブルーで奇妙な事件が起こった。
 夜中に、アンティークショップから人の気配がするって。

 それを、不安に感じた沙織さんは、一週間、お店の手伝いをしながら住み込んで欲しいって言うんだ。
 ボクは、あこがれの沙織さんや、アンティークショップの店員さんの春乃さんや、秋乃ちゃんと一緒に過ごせるから、かまわないけど…。
 人の気配? 一体どういう事なんだろう。


<キャラクター紹介>
高原 春乃(たかはら はるの)CV:佐本 二厘
 レミニセンスブルーのアンティーク部門の販売担当。
 幼い頃に両親を失い、レミニセンスブルーで住み込みで働いている。
 世話焼きでよく気がつく性格で、たった一人の家族である妹の面倒を見ている。

高原 秋乃(たかはら あきの)CV:茶谷 やすら
 春乃の妹で、学生をする傍らアンティークショップの手伝いをしている。
 やや子供っぽく甘えん坊な性格。
 主人公・弘海の事を「ろみくん」といって慕っている。

寿 みやび(ことぶき みやび)CV:榎津 まお
 秋乃のクラスメートで自称・美少女探偵の女の子。
 好奇心が強く、なんでも首を突っ込みたがる。
 今回もレミニセンスブルーにおきた事件を解決すべく勇んで乗り込んでくる。

御堂 沙織(みどう さおり)CV:一色 ヒカル
 レミニセンスブルー全体のオーナーであり、喫茶店部門のマスターでもある。
 優しく落ち着いた性格で誰からも好かれている。

成島 エリカ(なるしま えりか)CV:文月 かな
 レミニセンスブルーのアンティークショップ部門の買い付けや経理を担当する女性。
 もともとは沙織の祖父の秘書で、現在は買い付け業務などの為、殆どは外出している。 

ダーク CV:津波 春人
 大学で講師をしている、喫茶店レミニセンスブルーの常連の一人。
 柔らかな物腰で女性受けは非常に良い。

レイ CV:大久保 けんたろう
 レミニセンスブルーの周りに現れる謎めいた黒衣の男。
 常にハナコという少女を連れており、死神を自称する。

ハナコ CV:理多
 レイにいつも付きまとっているゴスロリ風ファッションの少女。
 自分では「レイのお嫁さん」を自称しているが、まるで相手にされていない。

相模 正宗(さがみ まさむね)CV:城崎 彦太
 弘海の親友で大学の学友。
 二枚目ルックスだが無類の女の子好き。

蒼井 弘海(あおい ひろみ)CV:萌木 唯 主人公・リネーム不可
 喫茶店レミニセンスブルーオーナーの沙織に思いを寄せる少年。
 やや気が弱く優柔不断だが、優しい性格でいつも周りに気を使っている。

このホームページはみかんばこより一部文章を抜粋しています。
素材の著作権はみかんばこに帰属します。



<システム周り>(ver.1.00)
 基本的には選択肢型のAVG。
 ただ、色々と目先の変わったシステムを搭載しています。
 『時間でPON!』:要するに制限時間付き選択肢です。

 『IDDD』:3〜4つの選択肢を組み合わせて謎解きをするシステム。
 「いつ」「誰が」「誰と」「どうした」という要素を組み合わせて真相を推理するという推理物らしいシステムですね。

 『OSKスイッチ』:クリアしていくごとに増える「他キャラ視点」。
 1stプレイでは分かりにくい他キャラやヒロインの視点で物語を補完します。

 『WSU』:メッセージウィンドウサイズや位置をシームレスに変更・移動させるシステム。
 いや、コレはあんまり実装した意味は感じ取れませんでしたが…。

 詳しくは感想以下で述べさせていただきますが、こういったシステムが今ひとつ有効に機能していなかった気がします。

 分岐、選択肢はやや難しい感じがします。
 基本的には分かりやすいと思いますが、時限選択肢で時間切れを選ばないと回収できないCGがあったりします。
 とはいえ、シナリオ自体はそれ程長くなく、プレイ時間はスキップ使用せずに、1プレイ4〜6時間程度。
 というか、シナリオによって長さがだいぶ違います。
 春乃・秋乃シナリオは共通部分多く、短めですが、みやび、沙織シナリオはやや長めになってまいます。
 2周目以降のプレイ時間は2〜3時間程度でしょうか。

 詳しいシステム周りは上記参照。
 今日びセーブポイント8個って…。
 やや分岐や選択肢数の多いゲームですし、チョット不足を感じました。
 それ以外では、メッセージ表示速度に一括表示が無いのも少し気になりましたね。
 「最高速度」もストレスたまるほどに遅くない…というか十分速いですが、個人的には一括表示はつけて欲しいところです。
 それ以外は取り立てて目立つようなシステムも不満点も無く、十分使いやすかったと思います。


<音声>
 基本的にフルボイス。キャストは上記参照。
 基本的にと書いたのは、マルチサイトのゲームですが、その場面で「主人公」の視点となっているキャラクターには音声が無いことがあるため。
 つまり、主人公・弘海のボイスは他キャラ視点の時しか付いていないということです。
 とはいえ、他の場面では一人称視点のキャラにもボイスが付いていたりと、やや統一性が無いのは残念なところ。
 全体としては主人公以外のキャラクターは男性も含めてほぼフルボイスという感じです。

 演技、キャラクターとのマッチングは概ね良好なのではないでしょうか。
 男性声優の方で一名今ひとつかな、という方もいらっしゃいましたが、女性キャラは問題なくキャラクターにあっていたと思いますし、演技も良い感じでした。


<音楽>
 全22曲、うちボーカル曲は2曲。
 OP曲「Reminiscence blue」ED曲「Nostalgia」(Vo.fripSide)とも、いわゆる「今風」のポップスで、あまりエロゲーのボーカル曲というイメージではないです。
 とはいえ、曲自体はOP、EDとも雰囲気にあっていますし、ボーカルも高音パートがいい感じでボーカル曲としてのレベルは高いです。

 BGMは全体としてやや抑え目ですが、基本線は外さず、AVGの音楽らしい出来になっています。
 特筆するほどの曲は無いと思いますが、それでもきちんと場面にはあっていて雰囲気を盛り上げていました


<CG>
 原画は「みかんばこ 原画チーム」。要するに非公開ということでしょうか。
 ややシンプルというか、おとなしめな絵で全体に地味な印象を受けますが、こういった目の大きい系統の絵としては絵自体は悪くないと思います。
 表情や全体の構図がやや漫画的なディフォルメがきつめなのは、好みが別れるところだと思いますが…。
 立ち絵などは逆にそういったディフォルメのつけ方が、キャラクターの表情を豊かにしていて好ましく感じられました。
 ただ、全体的に安定性が無く、表情やイベントCGによってはだいぶ印象が違って見えてしまう絵があるのは残念なところ。
 また、イベントCGなどで体つきや全体のバランスが悪い感じを受ける絵もありました。
 全体として素材は悪く無いですが、洗練されていない感じを受けましたね。

 塗りは微妙ですね。
 色使いのバランスが悪く、ややべたっとしているために、絵柄とあいまって絵自体が安っぽく見えてしまいます。
 もう少し落ち着いた色使いだと、だいぶ印象も変わるのではないしょうか?

 背景はいい感じです。
 色調も落ち着いた感じですし、アンティークショップや喫茶店の小物も含めて書き込みが細かく、雰囲気を十分に出していると思います。


<Hシーン>
 まぁ、いつもどおりの一言で。
 Hシーンには期待しないで下さい、と^^;

 各キャラ1〜3回(ゲーム全体でシーン数9)で、基本的には合意Hがメイン。
 シチュ的にはオナニーと軽い3P(とは言いがたいですが)がある程度です。
 尺等は普通程度ですが、絵も含めて、実用性は無いに等しいかと…。
 まぁ、フェラシーンがあるキャラの声優さんとかが孤軍奮闘されておりますが…。
 ただ、純愛系とはいえ、きちんと姉妹同時攻略ルートがあるのは分かっていますね^^;

 個人的には『OSK』で女性視点があるのに女性視点でのHシーンが少ないのはチョット不満です。
 とはいっても、9シーン中4ですから、多いといえば多いですが…。
 出来れば女性視点のある全キャラにつけて欲しかったなぁ、と。
 ま、それは非常に個人的感想ですが、一箇所だけ女性視点のため、女性ボイスが無く男性ボイスだけなHシーンがあるのは何故なんでしょう?
 他の女性視点Hシーンでは女性ボイスも入っていりのに…。

 結論として、ここは期待すべきポイントではないということで^^;
 私は気にならなかったのですが、主人公(=弘海)とのHシーンが無い(他の男性キャラとだけHシーンがある)キャラがいるのも人によっては減点ポイントかもしれません。


<感想>
 シナリオによって印象が…というかゲームの基本設定が大きく変わります。
 あるシナリオでは推理モノ、あるシナリオではファンタジー、あるシナリオでは不思議な事件なんて飾りですよ、といわんばかりのオーソドックスな現代恋愛モノだったり…。
 シナリオごとにキャラクターの基本設定がかなり変わってしまうため、シナリオ全体では散文的な印象しか受けません。
 あるシナリオでは探偵なキャラが、あるシナリオでは天使とか言われましても…。

 それぞれのシナリオについても話の長さも短めな為、消化不良な印象を受けます。
 全体として、それぞれのキャラクターが恋愛の対象になる過程がおざなりなうえ、推理モノやファンタジーも唐突に展開し、明らかに説明不足なため、プレイヤーを置いてけぼりにして展開しているような印象を受けます。

 また、いろいろと追加されれているシステムも余り役に立っていると思えません。
 『時間でPON!』は、時間切れを選ばないといけないところもあったりして面白いと思いますが、『IDDD』に関しては、推理部分でも結局正解を選べるまで先に進めないため、推理のミスリードを招いたり、引っ掛けに使ったり出来ていないのはナントモ残念な部分です。
 やはり、推理モノAVGといえば、そこら辺を楽しむものだと思うのですが…。
 謎自体は悪くない部分もありましたから、もう少し引っ掛けやミスリードを出来るような分岐などを作って、謎解き自体を楽しめるようにして欲しいです。

 また、『OSK』ももっとうまく使えば謎解き部分を面白く出来たと思うのですが、追加部分は心情の独白や割と分かっていたことの再確認程度で、新しい「コレは!」という発見が無いのも残念なところです。
 追加される部分もそれ程多くないですし、上手く使えば謎解きだけでなく物語り全体に深みを持たせるのに非常に役に立ったと思うのですが、今のところ、厳しい言い方をすれば単に再プレイが面倒というレベルで止まっている気がします。

 『WSU』?…ああ〜、そんな物もありましたね、という程度。
 確かに余り他では見ない珍しいウィンドウ加工ですが、見た目以上の意味はないですし…。

 それ程ボリュームの無い物語に、色々詰め込もうとしたのが今ひとつ行かされていない…という気がします。
 推理ものなら推理モノで統一して、折角のシステムを上手く生かすようなシナリオ構成にすれば十分楽しめたと思うのですが…。
 あるいは、他社のゲームですが「Trois」(Remain)のように、様々な設定をオムニバスにしてしまって、同じキャラと場面を使って色々な展開がある…というのも面白かったかも知れません。
 いずれにせよ、設定が広すぎて話自体が全くまとまっておらず、主張が伝わってこないのは致命的かと。

 全体としては以上のようにダメダメな感じのゲームですが、主題歌はよいです。
 システムもちょっと面白いので、目先の変わったゲームがプレイしたいというのなら悪くないかもしれません。
 ただ、シナリオには全く期待してはダメですが…。
 また、上で書いたように比較的女性視点のHシーンもありますので、そこら辺が好みで、地雷を許容できる寛容さがある人くらいにしかオススメできませんね。


<10点満点での総合評価>
 4.5点
 色々と意気込みは買いますが、空回りしているような気が…。


お気に入りのキャラ:高原 春乃
最後に一言:「fripSideはもともと個人的に好きなアマチュアバンドでしたが、主題歌はなかなか良いですよ。」