プリンセスブレイブ!〜雀卓の騎士〜    (たろんなーどさんのレビュー)   評価: 6 
▼ タイトル プリンセスブレイブ!〜雀卓の騎士〜 amazon associates
▼ ブランド 130cm
▼ ジャンル 麻雀バラエティAVG
▼ 対応OS Win98/Me/2000/XP
▼ メディア DVD-ROM
▼ 定価 税込\7,140(税抜\6,800)
▼ 発売日 2004/09/24
▼ 購入   プリンセスブレイブ! / オリジナル特典 Getchu.com
【 CG観賞モード 】  あり
【 シーン観賞モード 】  あり
【 BGM観賞モード 】  あり
【 メッセージスキップ 】  あり(未読・既読判別あり)
【 メッセージ履歴機能 】  あり(バックログでの音声再生あり)
【 選択肢リターン機能 】  なし
【 オートモード 】  あり
【 ヒント機能 】  なし(麻雀スキップ機能搭載)
【 セーブ数 】  32個
【 エンディング数 】  1個(BADEND除く)


<あ・ら・す・じ>
 前作プリンセスブライドから一年後。
 主人公本城理人とその5人の花嫁候補達のプリンセスゲームはいまだ続いていた。

 ある日、ビンゴの景品で当ててきた麻雀をプリンセスカードを賭けて勝負しようとした彼らがプリンセスカードを重ねた瞬間、黒い霧の中から現れたのはもう一人の本城理人だった。

 彼は不思議な魔術で理人を犬に変え、他のヒロイン達の心をも奪ってしまう。
 彼の手によって外に放り出された理人の前に一人の少年が現れる。
 ヒースクリフと名乗ったかの少年は理人にもう一人の理人と戦う力を与える…。


<キャラクター紹介>
嘉島 聖(かしま きよみ)CV:田中 美智
 主人公のクラスの学級委員にして、家庭科部の副部長もつとめる幼馴染。
 基本的には真面目な優等生でしっかりしているが、自分で何かを決断することは苦手。
 そのために、選択などは何でも主人公に任せてしまう事が多い。

姫史 愛美(きし あいみ)CV:佐々木 あかり
 聖のいとこで関西育ちの少女。主人公の二つ後輩で同じ家庭科部。
 いわゆる「お子様」で我が侭なところもあり、甘え上手な性格。
 主人公と聖には特になついており、いつも一緒にいる事が多い。

葛城 佳央(かつらぎ かお)CV:涼森ちさと
 主人公の後輩で同じく家庭科部、最近転校してきたばかりの転校生。
 活発な性格で一つ処にじっとしているのが苦手。
 やや思い込みが激しく、それを行動に移すのも早いためときに騒動の原因にもなる。

逢坂 遥奈(おおさか はるな)CV:天天
 主人公の後輩で佳央のクラスメート。おなじく家庭科部に所属。
 普段はのんきでおっとりとした性格だが、時に厳しい毒舌を吐くことも多い。
 性格の違う佳央とは仲が良いようで、いつも一緒にいる。

櫻見 枝絵留(さくらみ しえる)CV:中瀬 ひな
 主人公のクラスメートでドイツ人とフランス人の血が入ったクォーターの少女。
 無口でおとなしく、あまり周囲と接触を持たず、独特の雰囲気を持っている。
 冷静そうに見えて実は照れ屋な一面もある。クロスワードが好き。

ヒースクリフ・コズグローブ CV:森川陽子
 ヨーロッパからやってきた代々退魔を生業とする一族の少年(?)。
 誇り高く、真面目な性格だが、主人公に力を貸してくれる。

本城 理人(ほんじょう あやひと)CV:杏露 花梨
 主人公(リネーム不可)、家庭科部の部長。
 おとなしい性格だが、時に思考がネガティブな方向に行きがちなのが珠に瑕。
 今回は黒理人の呪いで犬にされてしまう。

嘉島 早智子(かしま さちこ)CV:南 菜実
 聖の母親。近くのスーパーでパートをしている。
 お茶目な性格で主人公にとっても親のような存在。

姫史 翔子(きし しょうこ)CV:南 菜実
 愛美の母親。普段は神戸で生活をしている。
 おっとりしていて、かわいい性格。

黒理人(くろあやひと)CV:櫻レオナ
 突然現れた黒ずくめの理人と全く同じ容姿の少年。
 時代かかった言葉遣いと芝居じみたこうどうの謎多き人物。
 魔法のようなものも使え、理人を犬に変える。


このホームページは130cmより一部文章を抜粋しています。
素材の著作権は130cmに帰属します。



<システム周り>(ver.1.00)
 基本的には選択肢のない1本道AVGで、時々麻雀勝負が入り、勝てばHシーン鑑賞とストーリー進行、負けるとゲームオーバーという作りです。
 AVG部分は基本的にビジュアルアーツ系いつものシステムで、重い部分もなく、使いやすいシステムです。
 完成された、ほぼ完璧だと思います。
 細かいシステム周りは上記参照。

 一方麻雀部分はやや不満の残る作りです。
 基本的にはスタンダードな2人打ち麻雀ですが、画面のボタンを押さないと鳴くことが出来ない、リーチをかけた後でも自分でツモ牌を切って行かないといけないなど、麻雀ゲームとしては基本以外では余り装備されておらず、CPUの思考も決して早いとは言えません。
 麻雀初心者の方のためにチュートリアルと麻雀に負けた際に麻雀部分をスキップできる機能が装備されており、麻雀の素人でも問題なくコンプが出来ますが…、それはもはや麻雀ゲームとは言わないのでは…。
 まぁ、初心者救済やあまり興味ない人にも配慮と言えなくもないですが、そんな人はあまり買わないかと…。
 一応本編で勝った相手とは自由に対戦できるフリー対戦モードや、上がり手の集計などは付いています。
 とはいえ、上がり手の集計は半荘数や上がり率が分からないので余り役に立ちません。
 なお、難易度調整などはありません。

 前作の外伝と補完シナリオに麻雀をつけたAVG程度に思って頂ければと思います。
 プレイ時間は麻雀の強さにもよると思いますが、総プレイ時間は10時間程度。


<音楽>
 全28曲、うちボーカル曲1曲。
 コレは音楽鑑賞モードに登録される数ですが、ゲーム内では前作「プリンセスブライド」のOP、EDも一部使われています。
 ボーカル曲はED曲「プリンセスブレイブ!」(Vo.KOTOKO)。
 デモにも使われているアップテンポなノリの良い曲で、ゲームの雰囲気に合っていると思います。

 BGMも全体としバリエーションがあり、悪くはないです。
 全体としていかにもなゲーム音楽として場面には合っていると思います。

 通常かかる麻雀部分の曲はノリがよくて良かったのですが、麻雀自体のテンポと少しあっていない気が…。
 麻雀場面での曲はボス戦とかやや重すぎる気がしました。


<CG>
 原画はみやま零氏。前作と同じく特徴ある目の大きいロリ風味の絵です。
 全体に前作と比べても線が綺麗で、キャラクターの輪郭もバランスが良くなっています。
 そのせいもあり、一部前作と少し違った雰囲気に見える事もありましたが、良い方向に正常進化していて、コレはコレで良いのではないかと^^;

 背景は書き込みも細かく、塗りも綺麗な感じでととても良いですね。
 総じて絵のクオリティは高いです。

 ただ、枚数に関しては、1キャラあたり差分を除いてHCG3枚位+通常イベント絵が少しという感じで、枚数は少なめです。
 差分含まずに総数は40枚ほどですし、やっぱり少ないと感じてしまいます。


<Hシーン>
 各キャラ2回+サブキャラHが10ほどという感じです。
 2回の内訳は、ストーリーモードで1回、フリー対戦モードで1回です。

 ただ、如何せんボリューム不足。
 1回当たりCG1,2枚と差分のみですし、テキストも短くあっさり風味。
 CGはいい感じですが、テキストが大人しめな為、声優さんも比較的あっさりしています。

 それにしても、相変らずシチュ的に主人公受けの要素が強いので、その辺が好みならば、まぁ、なんとか…。
 また、ストーリーモードのHシーンは前戯と本番の間に1回麻雀勝負が入りますし、回想モードでも別に登録されてしまいます。
 それを考えると、やはり実用度的には微妙かと思わざるを得ません。

 というわけで結論としては、Hシーンには期待しないで下さい、と^^;


<感想>
 というわけで麻雀バラエティと銘打たれたこのゲームですが、麻雀部分は微妙です。
 一応上にも書いてある通り、麻雀部分は不満点はありながらも基本的なところは押さえているのですが、麻雀ゲームとしては対戦相手に個性がないのが最も痛い所です。
 2人打ちということもあり、同じようなうち回しでツモの引きがやや違う以外は、特にルーチンの違いも感じられず、アクション以外は同じ相手と打ってるかの様でした。

 また、ツモやカンドラなど偶然に左右される要素が多い割には、その要素のバランスがやや甘めなので、ありえないほどに高めの点数が出ます。
 一応基本的には25000点持ちで半荘(といっても2人打ちなので東1⇒東2⇒南1⇒南2)を行い、点が多いほうが勝ちという基本ルールですが、大抵どちらかがハコ(0以下)になって終ります。
 あと、後半の敵は異様に字一色と四暗刻をあがります。
 ただ、そういった配牌の偏り、ツモの引きの強弱以外は、特にイカサマ的なものもなくオーソドックスに打てますので、おまけの麻雀部分と割り切ればそこまで悪くないです。

 上に書いたように、対戦相手の個性化と、アクションの種類が増えて、4人打ちが出来れば麻雀ゲームとしても十分遊べるものが出来たと思うのでが、個人的には、やはり4人打ちモードがないのは残念でした。

 ただ、AVGのシナリオは良い感じでした。
 前作の設定を引き継ぎつつ、前作で語られなかった設定やキャラクターの掘り下げなどがあり、きちんと一つの作品として完成しています。
 とはいえ、突然ファンタジー設定がメインに来て、麻雀で勝負だ!って時点で人によっては受け付けないかもしれませんが^^;
 特にフリー対戦モードのHシーンは短いながらも前作の前設定や後日譚もあり、ファンタジー要素もないため、ファンディスク的のシナリオとしてみれば悪くありません。

 ストーリーモードのほうは、メインのヒースクリフがなかなかいい感じのキャラで他のキャラたちもシナリオ内で個性が出ていますが、如何せん一本道なので、メインのヒースクリフのイメージが強くなってしまいます。
 とはいえ、きちんとヒースクリフというキャラの掘り下げも出来ていますので、前作を楽しめれば楽しめるかと…。
 前作に比べれば全員が絡むドタバタ部分はキャラの個性を前に出して明らかにパワーアップしていますし、そういう意味ではいい感じですね。


<結論>
 前作の設定を基本的に崩さず上手く掘り下げていますので、麻雀をつけたファンディスクとして考えれば割と優秀
 メインのシナリオは1本ですが、それなりに遊べる麻雀が付いていますし、前作のファンでそれなりに麻雀が好きなら楽しめると思います。
 ただし、麻雀ゲームとしては今ひとつ微妙ですね。


<10点満点での総合評価>
 6点
 麻雀ゲームとしては4.5点、ファンディスクとして6.5点なので間を取って5.5点としようと思いましたが、値段が6,800円と多少安かったので。


お気に入りのキャラ:葛木 佳央…前作キャラでは彼女と枝絵留が目立っている気がしますね。
最後に一言:「フリー対戦にでも4人打ちモードくらいはつけて欲しかったですね。」









   下級生2    (ぽちたんさん&ban-choさんのレビュー)   評価: 7(±1)〜8.5 
▼ タイトル 下級生2 amazon associates
▼ ブランド エルフ
▼ ジャンル 純愛アドベンチャーゲーム
▼ 対応OS Win98/Me/2000/XP
▼ メディア DVD-ROM
▼ 定価 税込\9,240(税抜\8,800)
▼ 発売日 2004/08/27
▼ 購入   下級生 2 / オリジナル特典 Getchu.com
【 CG観賞モード 】  あり
【 シーン観賞モード 】  あり
【 BGM観賞モード 】  あり
【 メッセージスキップ 】  あり(未読・既読判別あり)
【 メッセージ履歴機能 】  あり(音声リピートあり)
【 選択肢リターン機能 】  なし
【 オートモード 】  あり
【 ヒント機能 】  なし
【 セーブ数 】  30個
【 エンディング数 】  9個


<キャラクター紹介>
柴門 たまき
 主人公とは子供の頃からの幼馴染で明るく元気な女の子。
 何をしでかすかわからない主人公の「お目付け役」として、あれこれと世話を焼く。
 主人公と同じ3年A組で、クラス委員をしている。

若井 みさき
 今年、頼津学園に赴任してきて美術部の顧問をしている新任美術教師。
 専門は油彩。最近は現代アートに興味を持っている。
 フレンドリーな性格で、美術部を始め運動部や文化部の生徒達からも人気が高い。

高遠 七瀬
 頼津学園3年C組の女のコ。
 『頼津学園学生自治会執行部』の副会長を務めている。
 歯に衣着せぬ物言いで、学園内の風紀を乱す輩に一喝すると周囲まで静まり返るほどの貫禄がある。

沢村 香月
 頼津学園卒業生で、今は大学の経済学部4回生。
 母校である頼津学園に教育実習生としてやってくる。
 見た目、背が小さいことを気にしていて、主人公の前ではいつも大人っぽく振舞おうとする。

白井 夕瑠
 今年、頼津学園に入学してきた清楚でお嬢様風な女の子。
 クラスは1年B組。吹奏楽部だが、縁あって、主人公がいるキックボクシング同好会にかけもちで所属することになり、 たまき同様、マネージャー兼トレーナーをしている。

堀出 実果
 頼津駅前広場でよくアコースティックギターを弾いているストリートミュージシャンの女のコ。いつも元気いっぱい。
 そして前向きでボーイッシュな性格。しかしその言動を始め、現実を見ているようで世間知らずなところも多い。

横溝 ふみ
 頼津学園で司書として勤務している。
 プライベートでも本好きが高じて、その蔵書の量はかなりのもの。
 新入生として主人公が頼津学園に入学してきた頃から、気さくな会話をする間柄。

井伏 オキエ
 南頼津町にある有名お嬢様学校「聖メアリミード学院」に通ってる女のコ。
 週末はよく頼津町にて友達とお茶したり遊んだりしている。
 見た目はおっとりしてそうだが、実はカラダを動かすのが好き。
 頼津町にあるスポーツジムで運動しているようだ。

平沢 博子
 頼津学園2年D組にいる女のコ。
 黒縁メガネの奥から見つめている大きくてクールな瞳が印象強い。
 クラスメイトとはいまいち馴染んでないようだが、本人は「我、関せず」的に、今の自分に必要な事だけにしか興味を持っていない。


このホームページはエルフより一部文章を抜粋しています。
素材の著作権はエルフに帰属します。



ぽちたんさんのレビュー
<動機購入>
 前作「下級生」には、若かりしころ物凄く“はまり”ました。
 その続編(?)ともいうべき「下級生2」が発売されたと聞けば、購入せざるを得ません。

 まぁ、「下級生」というゲームにいまだにはまっている、というのが購入動機と言えるのでしょう^^;


<音楽>
 BGMやボーカル曲を含め、のべ63曲も入っております。
 そのうち、11曲もボーカル曲というのにはびっくりしました。
 その11曲については、以下でネタばれ含めて。
 まぁ、良くも悪くも凄いなぁ…、という感じです。

 BGMについては、全体的にその場の雰囲気に合った曲が多かったです。
 作品の雰囲気を盛り上げる…、ただ印象に残るかといえば残らない、そんなBGMでした。
 でも、音楽関係には力を入れている印象は受けました。
 全般的には良い出来の部類に入ると思います。

 ボーカル曲については、全11曲。
 オープニング曲は進行状況に応じて変ります。
 最初の一曲目は、…正直どうなんでしょう…微妙です。
 OPムービーは良いと思いますけど、曲はどうかなっと…。
 次曲は、OP曲としてはなかなか良かったと思います。
 まぁ、これは公式サイトからも聞けますので試してみる価値はあるかと。

 他9曲については各ヒロインごとのED曲です。
 そのヒロインにマッチした(してたかな^^;?)曲を、その担当声優さんが歌っている…と思うのですが…。
 正直凄いなぁと…。凄すぎて逆に呆れも入っています。
 個人的にはもっと他に力を入れるべきところがあったのではないかと…。


<音声>
 各ヒロインを担当している声優さんは違和感も感じず、頑張っているなぁ、という印象を受けました。
 私は声優さんには詳しくありませんが、聞いていて上手いなあと思います。
 ただ、男キャラにも声が入っているのですが、そちらは微妙ですね。
 狙っているのかわかりませんが素人っぽく、もうちょっと頑張った方が良いのではないかと。


<原画・CGなど>
 原画は前作と同じく、門井亜矢さん担当。
 本作においてもその力はご健在か、それ以上に感じました。
 個人的な印象もありますが、綺麗で絵買いの価値もあると思います。
 まぁ、目が顔の1/3は占めていますけどね^^;


<システム>
 上記参照^^;
 標準的なものは揃っており、不快感を感じずにプレイ出来ます。
 ただ一点、セーブ・ロードは随時出来る様にして欲しかったです。
 まぁ、伝統と言えばそれまでなんですけどね^^;


<作品概要>
 本作は、一年間がプレイ期間となります。
 昨今のアダルトゲームに比べてたら、比較的長い部類に入るのでしょう。

 一年間にヒロインとのイベントをこなし口説いていく…、これが本作の進め方です。
 そのイベントの起こし方は、前作と同様に箱庭の形をした町の建物などに主人公を移動させてヒロインと遭遇する…、というパターンです。
 そして会話等の選択肢が出てきて、ヒロインの喜びそうな選択肢を選ぶ…、要はご機嫌取りですね。
 ただ、固定箇所・イベント以外では、ヒロインと遭遇においてランダム要素が強く、セーブ・ロードを繰り返す場面も…。
 ですので、イベント一つ起こすのがちょっと面倒くさいですね。
 (まぁ、シナリオが進むとそういったことも解消されますが…)
 運・ランダムという点を容認できるかどうかも、本作を気に入るかの分かれ目の一つとなるでしょう。


<本作に対する感想>
 他のゲームとの関係において相対的に見れば、良く出来ていると思います。
 それは、いわゆる「地雷」なるゲームが跋扈(ばっこ)するアダルトゲームの中で、本作レベルであれば良いゲームと言えるからです。

 では、どういった点が良かったと思えるのか。
 まず、一年間という長い期間のゲームですので、それだけ「下級生2」の世界にどっぷりと入リこめます。
 最近のゲームは「短期間濃厚H型」ゲームが多い為、そのゲームの世界観を完全に享受しうる前に終わってしまい、「あれ?」と思うことが多いです。
 そういった中で、本作のような期間だと、十分にそのゲームの世界を認識出来ますし、結果としてより感情移入しやすくなります。

 次に挙げられるのが(一年間という長期的ゲームという点にも関連するのですが)、「ある一人を除く8人のヒロインの心変わり」を把握しやすいことです。
 恋愛物語というのは、大事な構成要素があると思います。つまり、
 1.主人公との出会い・主人公との初期の関係
 2.ヒロインの主人公へ惹かれている過程、またはその逆
 3.結末(付き合いだす)
 という3要素です。
 逆に言えば、この3要素を欠いてしますと支離滅裂なシナリオになってしまいます。
 そういった意味で、本作は長期間という特性をうまく活かしていると思います。
 9人いるヒロインのうち、8人は十分にこの要素を満たしいると思いました。
 そしてなにより秀逸に感じられたのが、2と3です。
 例えば、「七瀬」というヒロインがいます。
 このヒロインは、ゲームの最初では主人公にとても冷たいのです。
 それが一年を通して主人公と雪解けしていく。
 そして「結末」では、もう赤面してしまうほどの甘甘なイベントになるのです。
 あの「雪解け」の苦労を思うと、プレイヤーも嬉しくなってしまいます^^;
 このような、「転換」が本作では最大の良かった点だと思っております。
 「最初から主人公のことが好き♪」というシチュエーションも嫌いではないですが、こういった「温度差」というのもいいですね。
 本作では、特によく描けていると思います。

 また、このゲームの嬉しい誤算とも言うべき「恋愛」ゲームにしては「H度が高い」ということです。
 普通、へたにH度ばかり高めるとシナリオがアンバランスになってしまい、ヘンテコなシナリオになってしまいがちですが、本作ではそのようなことはなく、自然で整合性も取れており、評価に値するシナリオだと思います。

 以上のことはあくまで「あるヒロインを除いた8人のヒロイン」のシナリオに対する評価です。

 では、本作における悪い点はなんだったのか…。
 それは、あるヒロインのシナリオに集約することが出来ます。
 もうお分かりの方もいらっしゃると思いますが、「柴門たまき」のことです。
 このヒロインのシナリオは酷かったです。
 まず第一に、あのヒロインの設定はいただけませんでした。
 この点は、半数以上のユーザーの期待を裏切ったのではないでしょうか。
 (ネタばれ開始)Hシーンにおいてしばしば出てくる、医大生と主人公との比較です。
 初っ端から、医大生に開発(?)されているヒロイン。
 Hシーンでは、とにかく主人公をリードしてしまうヒロイン。
 フェラチオの上手さを自慢するヒロイン。
 …やっぱり、嫌だなぁ(つД`)
(ネタばれ終了)
 やはり、「奇をてらう」のもいいとは思いますが、それが「やり過ぎ」になるとプレイヤーは“ひいて”しまうのではないでしょうか。

 二点目に、そのシナリオが支離滅裂と感じました。
 上記のように、恋愛ゲームの三要素に照らしてみると、どうかなと…。
 特に上記要素の2においてその破綻があるわけです。
 (ネタばれ開始)最終的には主人公と「たまき」はくっつくことが出来るのですが、その過程が滅茶苦茶です。
 もともと、「たまき」は医大生という彼氏がいました。
 その彼氏と何回も体を重ねているというのが、このヒロインの設定です。
 プレイヤー側からしたら、このような設定の場合、どのように「たまき」が「医大生」との仲を解消し、克服し、結果、主人公と結ばれたか、という点は極めて重要なことだと思います。
 換言すれば、それだけ詳しい描写が必要とされる…しかしながら、本作では殆どその描写がないのです。
 確かに、「医大生」は「たまきをふった原因」について「主人公」の存在を挙げています。
 しかし、それだけなんです。それも、「ラブホテル」の前での一言のみ。
 ふられたことで「たまき」はショックを受けます。しかし、すぐ復活します。
 そして、その復活後から初めて攻略が可能になる。
 その「復活」過程こそ、一番描写が必要なのに、只一言「吹っ切れたから」…。
 そうなったら、すぐに「たまき」は主人公のことが好きになり始めます。
 (「医大生」にふられるまで上昇しなかった好感度みたいのがはじめて上がり始めます)
 「長年幼馴染としか見れなかった主人公を、なぜ急に好きになったのか」ということが一言も述べられていないのです。
 私としては「医大生にふられたたまきは、振られたからキープ的存在であった主人公とくっついただけ」と思えて仕方がないのです。
 …なんなんでしょう、この「狡猾なメインヒロイン」は…、と…。

 このヒロインのED曲では「切ない」とか「泣き出しそう」とか「好き」とか言ってるのですが、嘘っぽく聞こえてなりません。

 (ネタばれ終了)

 こういうシナリオのどこに魅力を感じろというのでしょうか。
 私は、この「たまき」シナリオの酷さが尾を引いて、クリアー後も釈然としませんでした。
 清涼感を感じないというか…クリアー感が…。


<結論>
 いたるところで耳に出来る「たまき」の設定に嫌悪感を抱かず、なおかつ、上記で私が指摘した点も許容できるなら、良いゲームだと思います。
 もし、そうでないならお勧めできません。
 あ、でも「七瀬」シナリオは一見の価値はあるなぁ…。
 そういうわけで、点数は「7点」とさせていただきました。
 その7点にたまきシナリオがOKな人は+1点、駄目だと思う人は−1点して頂ければと思います。

 兎にも角にも、シナリオライターの力不足でゲーム全体の印象を滅茶苦茶にした良い例だと思います。


お気に入りのキャラ:高遠七瀬・横溝ふみ
TITANSより一言:「俺8.5点。別に処女・非処女にはこだわらないので。素敵な女性には彼氏はいるもんです。
           そしてそれを寝取る…と^^;」





ban-choさんのレビュー
<購入動機>
 @前作のファンであった事。
 A門井氏のイラストが非常に好みだった。
 上記理由より購入しました^^;


<システム>
 メッセージ既読スキップや自動送り機能、メッセージ履歴確認・履歴ボイス確認、キャラクター移動速度の調節などなど、基本的プレイシステムは完成されていて特に問題ありません。
 セーブ・ロードが自宅のみというのはちょっと不便ではありますが、ヒロイン達との街中での遭遇がランダムである事から、こまめなセーブロード無しに多少大らかにプレイできます。
 唯一不満なのはセーブポイントの数。
 ヒロインの数やゲーム中のプレイ期間を考えると、30箇所と言うのは少ないと思います。
 少なくとも50箇所、出来れば100箇所(は大袈裟かな?)は欲しかったです。


<音楽・音声>
 BGMそのものは可も無く不可も無く。
 変に奇をてらった所が無いので、聴いていてとても自然に聞こえます。
 BGMらしいBGMですね。
 ちょっと頂けないのがOP曲の一つである「18」。
 まるで70〜80年代の歌謡曲を思わせるような少し古くさい歌詞&曲はどうかと感じました。

 各キャラクターの声優さんはとても上手く演技されていたと思います。
 絵のイメージを損なう事無く、雰囲気を盛り上げ、「さすが大手」と感心しました。


<感想>
 前作もそうでしたが今回もゲーム中プレイ期間が一年と、気に入ったヒロインとじっくり向き合う事が出来ます。
 しかし、期間の長さに対してイベント数が少なく感じる上に、ゲーム後半になるとデート⇒エッチする⇒終了というルーティンワークに陥りがちで、ヒロイン一人に絞ってのオンリー攻略や二股プレイでは退屈になってしまいます。
 スリルを味わったり、自分が飽きない為にはどうしても複数人を股に掛けなくてはならないというのは、正直どうなのかな?と思ったりもします。

 ゲーム中プレイ出来るミニゲームはどれも面白いのですが、ゲームセンターにある3種のゲームについては何度もやろうという気にはなれませんでした。
 ビリヤードみたいに腕が上がるとヒロインの高感度が上がる、というシステムだったならば面白かったかも知れません。

 このゲームの特徴として「恋愛シュミレーション」という要素が強く、好感度UP⇒即エッチという訳にはいかないのが面白い所です。
 デートで良い雰囲気であっても、その後できちんと段階を踏んでいかないと台無しになってしまいますが、そういう手順みたいなのを行う事で、徐々に二人の距離が縮まっていく様は、なかなか良いものがあります。
 また重要なパートを占めるエッチシーンですが、回数をこなすとパターンが増えるのは「愛が深まっていく」という演出に一役買っていますが、ある程度進むと後は同じ事の繰り返しになってしまい、少々興醒めしてしまいます。
 期間が一年と長期間に及ぶのが原因の一つに挙げられますが、もう少しバリエーションがあっても良いのではないかと思いました。

 肝心のシナリオについてですが、よく出来ていると思います。
 序盤の相手から色んな情報を聞き出す所でヤキモキする所や、付き合いだしてからもなかなか心許してくれない様子、また時が経つにつれて段々と心の距離が近づいていく様など、「恋愛が進んでいく過程」が良く描かれていると思います。

 さて、あちこちで物議を呼んでいるたまきシナリオですが、私は恐らく数少ないたまき派の人間として感想を述べさせて頂きます。
 実はプレイする前に知人からの情報で多少なりとも概要は知っていました。
 そして実際にプレイして見た感想は「思ったほど酷くない」でした。
 しかし、「こうすれば良かったのに」と思う点もあったのも確かです。
 それについて幾つか、「これは説明が欲しかった」とか「これはやるせない」と思った事を列挙したいと思います。
 (ネタバレ開始)
 ・「たまきが医大生を好きになった理由」
 あの外見を見ただけでは、彼の何を好きになったのか理解出来ません。
 また、バイト先で出会ったとありますが、その辺の経緯が全然解らないので、ある程度関係が進んだ頃にでも説明があっても良いと思いました。

 ・「たまきが医大生を吹っ切れた理由・主人公を選んだ理由」
 たまきシナリオ中、最大の謎です。
 何を理由として医大生を吹っ切る事にしたのか、何を以ってして主人公を選んだのか…。
 医大生についてはただ一言、諦めるような台詞だけですし、たまきが主人公を好きな事を示唆する台詞はありますが、ハッキリとした理由は聞かされないまま物語が終わってしまいます。
 一応のハッピーエンドを迎えるものの、そういう説明が全く無いのはやや納得出来ません。
 物語中のどこかでそういう理由を入れて欲しかったです。

 ・「たまきお篭もりモード時、たまきに対して何もする事が出来ない主人公」
 医大生との一件の後、たまきは「一人で考えたいから」とお篭もりモードに入ってしまいます。
 たまきの家へ行っても玄関先に出ず、バイトにも来ませんし、電話も通じず、たまに逢えたと思えばあっという間に去ってしまいます。
 確かに自分を振った医大生や好きになってきている主人公の事をあれこれ考えて、その苦悩の山を越えなければならないのはたまき自身の問題ですが、あまりにもシステム面を優先してて、たまきに対して主人公が何も出来ないというのは少しどうかと…。
 シナリオ展開で一通でも良いから手紙を送るとか、街中で出逢えたら後を追いかけて一言何か言う事が出来るとか、そういう選択肢が欲しかったように思えます。

 ・「エッチシーンでの主人公の態度」
 エッチシーン時、「たまきが医大生と主人公を比較している」という意見がありますが、私は逆に「主人公が医大生の事を意識しすぎてたまきに比べさせている」という印象がありました。
 医大生と自分を比較して、自分が勝っている所を見出して優越感に浸りたいというのは解らなくも無いですが、逆にその行動が主人公を哀れに見せています。
 むしろ医大生の事なんか忘れてドーンと構えて、たまきと肌を重ねあわせる事の喜び、彼女を愛する事の出来る嬉しさを描いて欲しかったと思います。
(ネタバレ終了)

 私個人の見解ですが、上記の事柄がキチンと描かれていたならば、皆さんのたまきシナリオに対する印象はかなり違ったものになったと思います。

 私は、たまきシナリオはそれほど設定や素材、話の展開が悪いとは思いません。
 ただ、説明不足が多すぎただけだと思います。
 その説明不足の部分が描かれなかった事が、たまきシナリオの悪さなのだと感じました。
 極端な事を言うようですが、それこそ他のヒロインより5割増くらいの量を用いてキチンと全てを描ききる事が出来ていたならば、1・2を争う程の出来になったと思います。

 たまきシナリオの内容は高校生生活で取り上げるには少々難しく、描ききる事が困難なように思えました。
 これが大学生活や社会人生活においてのシナリオだったならば、逆に良かったのかも知れません。

 最後に、私は今回の下級生2において、大手ソフトハウスという事に囚われず、新しい何かをしようとした事を評価したいと思います。
 (例えそれが傍から見て失敗だったと思えるような事であったとしても…)


<10点満点での総合評価>
 8.5点
 万人に薦められるとは言えませんが、個人的には「買い」であったので^^;


<最後に一言> 
 このゲーム、メインヒロインを決めるのはソフトハウスでは無いと思います。
 では、このゲームにおけるメインヒロインは一体誰でしょう?
 その答えはプレイした人、一人一人の心の中にあるのではないでしょうか。


お気に入りのキャラ:柴門たまき・沢村香月