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  東京幽遊  (HELL DIVERさん&偃月さんのレビュー)         評価:5.5〜7 
▼ タイトル 東京幽遊
▼ ブランド SARANG
▼ ジャンル コマンド選択式恋愛系アドベンチャー
▼ 対応OS Win95/98/Me
▼ メディア CD-ROM
▼ 定価 \8,800
▼ 発売日 2001/04/13
▼ 必須CPU / 推奨 Pentium266 MHz
▼ 必要メモリ容量 / 推奨 64 MB
▼ 解像度 / 色数 800*600・ハイカラー
▼ ボイス 女性キャラフルボイス



HELLDIVERさんのレビュー
Scenario - シナリオ -

 「雄一郎さん…、友紀乃を抱いて下さい。」
 友紀乃は人間として決して大人ではなかった。
 それ故に不安にかられ大胆な行動に出たのだろう。
 ……しかし、その願いは震災によって閉ざされた……。
 目が覚めると雄一郎は自宅の寝床にいた。
 「雄一郎さん、雄一郎さん。」
 声の方向に目をやると、そこに友紀乃がいた。
 いや、正確には友紀乃の幽霊がいた。
 この後、友紀乃は自分が震災で死んでしまった事、雄一郎が怪我を負って昏睡状態にあった事、そして、雄一郎が別の女性と幸せにならないとあの世へと行けない事を告げる。かくして、雄一郎と幽霊友紀乃の恋探しが始まる。
 果たして、雄一郎は新たな恋を成就させて、友紀乃をあの世へと送る事が出来るのか?



Character - キャラクター -

山瀬友紀乃(やませ ゆきの)
 オープニングで主人公の許嫁として登場するも、大震災に遭いあっけなく死亡。
 本編では幽霊として登場。 死亡した時から数年経過しているが、見た目は死亡当時のまま。
 生前はおしとやかな女性だったが、死んでからは、色々と吹っ切れたのかボケた性格に変わってしまったようだ。
 常に主人公の傍にいて色々と手伝ってくれたり、いらぬツッコミをいれたりと、最も出番が多い。

山瀬綾乃(やませ あやの)
 OPで登場する友紀乃の双子の妹です。
 明るく飾りっ気のない性格で、友紀乃とも雄一郎とも仲が良かったのですが…。

エリーゼ
 いつもお人形を持ち歩くエリーゼ、本人もお人形さんのようです。
 とても華奢で、守ってあげたいタイプといえます。
 ドイツから革命の災厄から逃れるように日本きて、知人に住む家を用意してもらい、家政婦兼護衛役のアンナと2人で生活しています。
 自閉気味の彼女は自身の救済のために、何時も持ち歩いている人形に外交的な第二の人格を投影させ、コミュニケーションをとろうとします。
 本人は無口でリアクションが薄いのですが、人形(の人格)はおしゃべりさんのようです。

アンナ
 エリーゼの元教育係、世話役兼、ボディーガードです。
 旧ドイツの貴族の血と日本の華族の血を併せ持ちますが、エリーゼのために敢えて従者の立場に身を置いています。
 利他的で芯の強い女性です。
 エリーゼの為に気を張っていますが、本心では誰かに甘えたいようです

河鷺三水流(かわさき みつる)
 日比谷で女性運動のデモに参加する一方、銀座では百貨店のショーウィンドウを眺めているお嬢さんです。
 学も高く元気印で綺麗なお姉さんです。
 良い年頃ですが、嫁にもいかず、いつまでたっても夢見る乙女な一面を持ちつづけています。
 何事にも積極的で猪突猛進な彼女について行くのは、大変かもしれません。

西瓜穂果(にしうり すいか)
 憶え易そうな名前ですね。
 彼女は労働者達の生活するスラムに住んでいます。
 厳しい生活に追われる毎日ですが、持ち前の明るさで乗り切っているようです。
 いつでもお腹を空かせているようなので、食べ物には弱そうですね。
 それに、脱ぐとすごいらしいです。

たま
 名前通りのネコっ娘です。
 浅草寺の床下に勝手に寝床を作って住んでいます。
 主人公の事を勝手にご主人様と呼んでなついてきます。
 でもネコなので少し喋ったかと思うと、すぐ何処かに行ってしまいます。 食べ物にも激弱です。
 ちょっぴり頭の足りない甘えん坊さんです。 渋谷にハチという犬のお友達がいます。
 マイペースで人の話をちゃんと聞いてません。
 素っ裸で街中をうろついていますが、ネコなので誰も気に留めません。



System - システム -

 アップデートファイルがあります。
 きちんとアップデートしときましょう^^;

 ・修正ファイル有り
 ・Hシーン回想モード無し
 ・メッセージスキップ機能無し



Sound - 音楽・効果音・音声 -

 ・BGM、フルインストールにも関わらず、曲が変る時にタイムラグ有り
  その時にマウスカーソルが固まる。
 ・主題歌、聴ける部類
 ・声優さん達、ガンバッテます(レベル高し)。
 ・チュパ音もあるヨッ!



Total - 総評 -

 この作品、久々の掘出し物でした(コストパフォーマンス優)。
 登場キャラはバクチチ、メイド、猫娘、ロリ等を網羅。
 難点はHイベントが少ない事と誤字脱字がとても多い事ヽ(;´Д`)ノ
 あとOP・ENDムービーにて、台詞と口パクが合っていない処が気になります。
 それがガマンできるなら、この価格なら買いでしょう。
 以外にも、シナリオしっかりしてるし…。


おすすめキャラ:穂果、アンナ
最後に一言:「牛鍋、サイコーーーーーッ!!」







偃月さんのレビュー
Soft Information - ソフト情報 -

CG回想
:
     
シーン回想
:
×
     
音楽回想
:
     
OP曲
:
東京幽遊
     
ED曲
:
うつせみ
     
総プレイ時間
:
5.0時間
 
原画
:
コンノセイと愉快な下僕達
     
シナリオ
:
からはしゆう
 
:
庵心壱
     
音楽
:
yello turtle



Outline - あらすじ -

「友紀乃を抱いてください」

この一言から物語りは始まる。

許婚の友紀乃から発せられた、突然の一言。
主人公はその言葉に戸惑いを見せる。

答えを出せないまま、時間は流れていった・・・

そして大正12年のある日、悲劇は起こった。
関東を襲った大地震。

地震によって、暫くの間意識を失っていた主人公の前に現れたのは、友紀乃だった。
しかし、彼女は既に自分は死んでいると言う。

幽霊となった彼女は、自分が成仏するためには主人公が誰かと結ばれなければならないと告げる。

そして、幽霊の友紀乃の協力のもと、主人公への新しい恋人探しが始まる。



Scenario - シナリオ -

想いを遂げる事が出来ずに死んでしまった女の子が、
恋焦がれていた主人公に新しい恋人を作ってあげようとするストーリー。

物語は、大地震の発生、そして友紀乃の死から始まります。

前半部分では、新しい恋人候補の紹介に費やされます。
誰のルートでも、必ず前半部分は共通のキャラ紹介の意図を含んだストーリー。

キャラクター陣は、なかなか特徴的な物を持っているので、インパクトはあります。
全体的にキャラが立っていると感じる事が出来ました。

それでも、友紀乃については疑問が残ります。

幽霊である彼女は、買い物も出来るし、物も触れる、そんな存在なんです。
しかし、主人公以外の人間には見る事ができないという事なんです。

果たして、買い物はどうやっていたのでしょうか。
店員にも見えないはずなのでは?

つまり、幽霊という設定しにしておきながら、結局は詰めの部分が甘いといいますか、
結局は、シナリオが作りこまれていない、ご都合主義的な物を感じました。

そして後半部分に入るとキャラクター毎のシナリオになります。

全体的なテキストのボリュームは少なめ。
どのキャラについても、出会いから二人が結ばれるまでの時間と距離が余りにも短すぎるように感じました。

結局そのまま、意外とあっさりエンディングを迎える事になります。
しかし、各エンディングを見ると、この作品の意図している所が見えてきます。

この物語は、明らかに友紀乃と綾乃、この「姉妹の為にある物語」であると言えるでしょう。

二人以外のキャラで迎えるエンディングは、Happyであるにも関わらず演出がBadエンド。
逆に、Badエンドを迎えると二人のストーリーが始まるという設定。

友紀乃の死という一つの点から始まったストーリー。
それは、様々なキャラクターの登場で物語に広がりが出たようにも見えました。

しかし、結局の所そのイメージは錯覚だったのかもしれません。
最終的に行き着く所、それは友紀乃と綾乃。

二人のストーリーを見るまでは、他のキャラでの暗い演出のHappyEndでも、ある程度の納得は出来ていました。
それに、それぞれのストーリーも共通シナリオは殆ど無く、なかなか楽しめる作品だと感じていました。

最終的に二人のエンディングを見て物語の全容が明らかになったとき、
それまでのイメージとは一転、一気に二人以外のキャラクターの存在が霞みます。

物語全体の決着のつけ方が、特定のキャラクターに比重を重く設定しているストーリーなので、
結局の所、それ以外のキャラのイメージが軽くなってしまうのは致し方ない所なのかも知れません。

しかし、他のキャラ達が明らかに二人の「踏み台」扱いになっている事は事実。

オチの部分について触れてしまうと、物語のネタが完全にばれてしまいますので差し控えます。
但し、皆さん「踏み台」とか「お膳立て」それに近い感想をお持ちになられるかと思います。

Hシーンに関しては、各キャラ毎に約2回ずつ。

まずは純愛物ならでわの軽くて薄いHシーン。
テキストでの描写も、それ程は濃い物でもありませんし、内容もそれ程濃くはありません。

もう一つのHシーンは、陵辱までは行かないものの、多少強引なHシーンです。
純愛物の両者合意のHというのではなくて、強引というか、多少成り行き的な感じを受けます。

それぞれのHシーンは、Happyエンド、Badエンドにそれぞれ別けられています。

シナリオでの総評としては、全体的にはそこそこ良い印象を受けました。

しかし、キャラの扱いには不満あり。
二人以外のキャラでも、物語を完全に完結できる展開が望ましかったです。

ただ、大正末期、昭和初期の日本の風景、東京の文化に似せて作られた舞台設定。
その点は非常に好きな設定ですし、僅かながらの雰囲気を感じる事が出来た気がします。



Sound - 音楽・効果音・音声 -

BGMはWAVで再生されます。

曲数は全部で20曲。

曲調は暗めの感じの曲が多いです。
ですが、一応大体の曲調はカバーされています。

PickUp
聞こえない詩
私は囁く、塞がれた耳に
私は見つめる、閉じた瞳を
東京幽遊

全体的にはなかなか印象の良い曲が多かったです。
「東京幽遊」のアレンジの曲で重要な部分は押さえているという感じがしました。

効果音については特にありません。

声優さんの演技は普通ですね。
これといって、とくに気になる部分があったわけではありません。

● CV
友紀乃 [ 夏野 向日葵 ]
綾乃 [ 井村屋 さくら ]
エリーゼ [ みる ]
アンナ [ 海原 えれな ]
三水流 [ 深井 晴花 ]
穂果 [ 神無月 ほのか ]



Character - キャラクター -

原画はコンノセイさん。

▼ 主要キャラクター
山瀬 友紀乃
主人公(雄一郎)とは許婚の女性であり幼なじみ。
しかし、雄一郎本人はそれ程の自覚は無く、彼女に対して特に気を使う事は無かった。
彼女の性格は非常におしとやかで、部屋の中はいつも整理整頓、しっかりした性格。
大正12年の大地震の際、彼女は大怪我を負い、亡くなってしまう。
主人公への未練を断ち切れない彼女は、幽霊となってこの世に残っていた。
彼女は、主人公と女の子を結びつけるために尽力する。

山瀬 綾乃
山瀬 友紀乃の妹。
彼女の性格は、姉である友紀乃とは違って非常に活発で、多少がさつな面を見せる。
姉の許婚である雄一郎に対しては、彼女も好意を寄せている。
大震災直後、主人公の意識の中から彼女の存在は全く消えてしまっていた。
しかし、友紀乃の面影を見せる女性の出現により、雄一郎の中で何かが動き始める。

河鷺 三水流
銀座で女性運動のデモを見ていて転んだ主人公を助けてくれた。
彼女も女性運動デモの一員で、明るく活発な印象の女の子。
そんな彼女のもう一つの一面は、日比谷の百貨店のショーウィンドウを眺める女の子。
彼女の大きな夢、それは綺麗なドレスを作る事。

西瓜 穂果
長屋町に住んでいる女の子。
性格の明るい彼女は、日々の辛い生活も性格で乗りきっている。
家計は貧しいが、明るく日々を過ごしている彼女。
しかし、彼女の家の家計は大変な事に・・・

たま
友紀乃と雄一郎が見世物小屋で逃がしてあげた猫。
その時から、雄一郎の事をご主人様と呼ぶようになる。
浅草寺に住処を構えているたま。
時折、たまの発言からは主人公以外の他の人間の影を感じる事がある。

エリーゼ
いつも日本人形と一緒な彼女は引っ込み思案な性格。
しかし、彼女は持っている日本人形を通して、自分の思っている事を話す。
人形を通して話す時の彼女は、彼女自身とは違ってよく話す積極的な性格になる。

アンナ
エリーゼのボディーガードでもあり、養育係、保護者。
彼女はエリーゼの為にはよく尽くし、忠実な従者としての立場を貫き通す。
そんな彼女も、エリーゼと一緒にドイツから逃げて日本へと渡ってくる。
表面的な性格はしっかりしているように見える彼女ですが、本当の彼女は・・・



Graphics - グラフィック -

立ち絵の数は数種類。
ポーズが変わる立ち絵より、顔の表情が変わる方が多かった気がします。

立ち絵の塗り方としては、並程度のレベルかなと思います。
特に全体的にムラがあったわけでもないので、それなりに良かったかと。

イベントCGの枚数は約120枚。
ストーリーの長さに比べると、なかなか量は多いと感じました。

こちらも、塗りに関しては並程度のレベルかなと思います。

背景については、部屋の中のグラフィックは良かったとは思います。
大正末期、昭和初期の様子をアナログチックに描いたというのには納得。

しかし、屋外のグラフィックに関しては感想が異なります。

アナログチックな表現と聞いても、どうしても古いアニメの背景にしか見えませんでした。
それに、建物の原画もあまり時代的な物を感じませんでした。

オープニングとエンディングのアニメーションについて。

アニメーションのレベルとしては、それ程良くもなく悪くもなく並程度に感じました。
ただ、画質があまり良くないように感じました。

全体的なクオリティーは並。
アニメーションについても同じような評価。



System - システム -

基本的に動作は安定しているようで、それ程困った事はありませんでした。
ただ、修正ファイルが出ていますので、使用してからのプレイをお薦めします。

動作は比較的軽く、特にストレスを感じる事はあまりありませんでした。

ゲームの形式は、ADVパートと、移動パートに別れています。

選択肢の数も少なく、特にADVパートでの難易度は高くはありません。
Happyエンドに辿り着くことは容易です。

しかし、不思議な事にBadエンドに入る事が難しかったです。

このソフトは、各キャラ毎にHappyとBadの二つのエンディングが用意されています。
しかし、Badに入るための選択肢が出てきません。

何回かプレイしていると、なぜか突然選択肢が出現。
HappyよりもBadに入るのが難しいとは思いませんでした。

セーブ可能数は12ヶ所。
シナリオの短さ、それと難易度を考えると丁度良いくらいの数でしょう。

スキップは既読スキップのみ。
スキップ自体の速度は速めですが、多少グラフィックの描画に時間がかかるので、所々で一時的に止まります。

その他の機能は、BGM、音声、効果音の音量調整、メッセージ表示速度の調整、
ウィンドウモード切り替え等があります。

おまけはCG回想、音楽モードの二つ。

全体的に、特に足りないような機能はありません。
ただ、あると良かったのが未読スキップと、シーン回想。

機能的に特に不満はないので良いのではないでしょうか?



Total - 総評 -

※ネタバレを含んでいますので注意。

SARANGさんの第2作目。

前作「スキノカタチ」はあらゆる面で相当ダメージが大きかったので、今回は不安もありつつ購入。

実際にプレイしてみると、前作でのネックだったシステム面での快適さ、安定度はかなり解消されていました。
しかし、バグが多く残っているというのはいまだ改善されていないようです。

ただ、システムを良く見てみると、SARANGのシステムの基本スタイルは出来てきているようです。
次回作にはもっと安定度が増しているかもしれません。

ゲームの中身についてですが、
この手のオチ、終わらせ方は嫌われますよね。

個人的には嫌いです。
はっきり言ってしまうと「今まであった事は白紙にしましょう」といわれているようで嫌いです。

それでも、「河鷺三水流」とか、「西瓜穂果」といったキャラクターは結構好きでした。
ただ、シナリオが短すぎますよね。

あんなお堅い時代にも関わらず、Hに行くまであっさりとしているなんて不純です(ぉ

音楽も「東京幽遊」という曲を主体としたアレンジで固めていて、
ストーリーの要所要所はそのアレンジの曲達で固めていく手は、なかなか良かったと思います。

なかなか良い曲をメインにアレンジして使っていけば、それなりに無難に済むって所でしょうか。

グラフィック
あのほっぺたの表現方法はやめて欲しいですね。

ほっぺたにピンクの楕円形。
うーん・・・そうじゃなくても良いんじゃないですか?

もっと普通でも良かったとは思うんですけど・・・

そんなこんなで、なかなか良い雰囲気は持っていたとは思うんです。

大正末期、昭和初期という時代設定も好きです。
それに、キャラクターの魅力もあるんです。

でも、やっぱり全体的には物足りなさを感じます。
作りこみの軽さを感じます。

そしてトドメの「夢オチ」はないでしょう(ToT)

うーん・・・次回作にも注目はしてみましょう。




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Scenario
:
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Sound
:
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60
Character
:
■■■■■■■■■■■■
60
Grapchics
:
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60
System
:
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50
H
:
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45
Main3
:
■■■■■■■■■■■■
60
Total
:
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55