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 ONE 〜輝く季節へ〜   (氷室さん&偃月さんのレビュー) 評価: 6〜8 
▼ タイトル ONE 〜輝く季節へ〜
▼ ブランド タクティクス
▼ 対応OS Win95
▼ メディア CD-ROM
▼ 定価 \8,800
▼ 発売日 1998/05/29
▼ ジャンル 恋愛AVG
▼ ボイス なし


氷室さんのレビュー
Scenario - シナリオ -

 1998年、冬。
 普通の学生であったオレの中に、不意にもうひとつの世界が生まれる。
 それはしんしんと積もる雪のように、ゆっくりと日常を埋(うず)めてゆく。
 そのときになって初めて、気づいたこと。
 繰り返す日常の中にある変わりないもの。
 いつでもそこにある見慣れた風景。
 好きだったことさえ気づかなかった、大好きな人の温もり。
 すべてが自分をこの世界に繋ぎ止めていてくれるものとして存在している。
 その絆を、そして大切な人を、初めて求めようとした瞬間だった。
 時は巡り、やがて季節は陽光に輝きだす。
 そのときオレはどんな世界に立ち、そして誰がこの手を握ってくれているのだろうか。



Sound - 音楽・効果音・音声 -

 音楽は素晴らしいとしか言い様がありません。
 折戸伸治さん担当ですね。

 音声はありません。



Character - キャラクター -

長森 瑞佳】ながもり みずか
 もしオレの人生で感謝しなくちゃいけない奴がいるとしたら、それは長森だろうな。
 あのとき、あの幼い日々に長森と出会ってなかったらオレはどうなっていただろう。
 あの日から一緒にいることが多いし、たまにはそのお節介が鬱陶しく思うときもある。
 でも最後には感謝だ。
 ずっといい友達でいてくれよな。
 でも、あのときの言葉はどこに消えてしまったんだろうな。
 オレを救ってくれたあの言葉は…。

七瀬 留美】ななせ るみ
 転校生で、その初日の登校中に曲がり角でぶつかるという、
 なんとも古典的な出会いを果たしたのがこいつだ。
 見かけはこんなんだが性格が……いや、後が恐いからなにも言うまい。
 本人は結構切実に悩んでいるようで、理想とする「乙女」を目指し精進してるらしいんだが…。
 まあ、その健気さを讃えて、コピーを送ろう。
 『永遠に乙女心を追い求める少女、七瀬』
 ちなみに永遠、なので、手に入ることはないのだ…(ボカッ!!)

椎名 繭】しいな まゆ
 出会いはこいつが唯一の友達を失ったときだった。
 といっても、フェレットだけどな。
 入れ替わりにオレたちになつくようになったんだけど、事あるごとにすぐ癇癪を起こして
 フェレットの名前を泣き叫びだす困った奴だ。
 でも初めて進んで人と接しようとしているその思いは大切にしてやりたい。
 みゅーは死んだけど、そこから始まったのは、大人への旅だったんだよな。
 な、椎名。

川名 みさき】かわな みさき
 夕焼けの赤に染まった放課後の屋上で、オレは知らない女の子に話しかけられた。
 冷たい瞳と暖かな笑顔をたたえた女の子。
 その子が3年生の先輩だと知ったのはその直後だった。
 そして、同時にオレは冷たい瞳の意味を知る。
 その瞳はオレの姿も、夕焼けの赤さえも映してはいなかった。
 盲目の先輩を前に、どう話しかけていいのか戸惑うオレに、先輩は悲しそうに呟いた。
 「普通でいいと思うよ…」

里村 茜】さとむら あかね
 真っ黒な雲に覆われた大雨の日。
 たまたま早く家を出たオレは、ピンクの傘の女の子に出会った。
 それが茜だった。…まあ、実はクラスメートなんだけどな。
 それまでは特に意識したことは無かったけど、それ以来オレは茜によく話しかけるようになった。
 他人を突き放しているようで、本当は自分の心に触れてくれる存在を待っている。
 少なくともオレにはそう思えたからだ。
 …でも…本気で避けられているような気がしなくもなかったりする…。

上月 澪】こうづき みお
 澪との出会いは学食だった。
 あの時以来、気がつけばいつもすぐ横にいてニコニコとオレを見上げていたな。
 まあ、元気な妹といった感じか?
 いったい何がそんなに楽しいのかオレには分からないけど。
 でも、いつの間にかそれが当たり前のように思えてきたことも事実だったな。
 どんなことでも一生懸命で、結局はそれが空回りして周りに迷惑かけてるんだけど…。
 …本人はきっと気づいてないな…。



Graphics - グラフィック -

 原画は樋上いたるさん。
 好き嫌いが分かれる絵です。 正直、私はこの絵、苦手です。 
 明らかにバランスがおかしいと思うのですが・・・



System - システム -

 シンプルなAVGです。
 後半の選択に凶悪なものが多いのが気になりますが・・・
 読み物系の為メッセージ履歴昨日が欲しかったです。



Impressions - 感想 -

 Tacticsの第三弾のソフト。
 あまり詳しく書くとネタバレになるんですが、このゲームの目的は何なんだろうな…と考えてしまいました。
 本当に、主人公はヒロインのことが好きなんでしょうか?
 その辺が伝わってきませんでした。
 無理に感動に持っていこう、という感じで。
 その点では、茜シナリオは良かったです。
 この子の事、好きなんだな、という感じがにじみ出ていました。

 シナリオはベタベタな感じがしますが、泣かせます。
 毎朝起こしにくる幼なじみ、通学途中で衝突してしまう転校生、いかにも謎という感じの無口なクラスメート・・・
 思いっきり定番なんですが、やっぱり泣かせます。

 ただ18禁で出す意味があるのかというと、「ない」といえる作品でしょう。


おすすめキャラ:里村茜」 
最後に一言:このゲームのジャンルはなんになるんでしょう。純愛ゲームですかね。」
TITANSより一言:「先〜〜輩〜ぃぃぃ〜!!」







偃月さんのレビュー
Soft Information - ソフト情報 -

OP曲
:
追想
     
ED曲
:
輝く季節へ
     
総プレイ時間
:
12.0時間
 
原画
:
樋上いたる [ Site ]
     
シナリオ
:
麻枝 准
 
:
久弥直樹 [ Site ]
     
音楽
:
折戸 伸治
 
:
Unison Sound Team
     
CG回想
:
     
シーン回想
:
×
     
音楽回想
:



Outline - あらすじ -

毎日繰り返される同じような日々。
見慣れた風景には、何も疑いを持たなかった。

かつて少年は過去に悲しい事件に遭遇していた。
その事件の悲しさから逃れるために、彼はある盟約を交わしていた。

目前に現れた一人の女の子と・・・

やがて彼は成長し、いつしか高校生になっていた。
高校生になった彼は、かつて経験した悲しみを乗り越える事が出来るまでに成長していた。

しかし、彼はたった一つの守るべき物を忘れてしまっていた・・・



Scenario - シナリオ -

普段と変わらない日常だったが、何かに気付いた時、この世界における自分の存在位置が変わっていった。
そんな感じの話です。

何よりもテーマを理解する事が難しいシナリオですね。
それだけに、読む楽しみも深まる訳なんですが。

テキストのテンポはある程度良い感じ。
それに、 所々にイベントがある感じがして、それ程疲れるという事はありませんでした。

ギャグも所どころに飛び出してきますので、それも少しは楽しむ事は出来ましたね。
最後まであまり飽きさせないという点では成功しているように感じました。

前半は、よくある「学園物」のような感じで進んでいきます。
それを良く象徴しているのはキャラクターの設定。

キャラクターは、典型的な「学園物」の配置という感じがします。
ただ、物語を全て読み終えた時には、そういう印象も変わる物なのかもしれません。

後半になるにつれて、徐々に物語りに惹き込まれていきます。
前半の印象とは全く違って、物語の幅も物凄く広がっていった感じがします。

何よりも、世界観が物凄く特殊な感じに変わって行きますし、広がりを見せます。
それと、ヒロイン、主人公の心理描写の秀逸さには目を見張るものが。

エンディングについてですが、各キャラに一つずつ用意されています。

全体的には、理解するのが大変でした。
やっぱり「永遠な存在」とか「絆」とか、そういうちょっと特殊な難しい世界観です。

個人々々で、色々な解釈が生まれるようなエンディングの展開には好感を持ちました。
物語が終了しても、色々頭の中に残るわけですし、プレイ後の余韻は強く残りました。

やっぱり、それぞれプレイ後には何かしらの感想とか解釈が残るんでしょうね。
とにかく、魅力的なシナリオ、それに何かグッとくる物がありました。

Hシーンについてですが、非常に薄く描かれています。
純愛そのもので、18禁性という物は殆ど感じないですね。

テキストも淡白な感じがしますし、CGの枚数からも、それが伺えます。
敢えて18禁である事を放棄しているようにも感じます。

それと、必要性を感じないHシーン。
物語の展開上、どうしても必要だとは思えませんし、やはり最低限の18禁としての決まりを守っていると考えた方が良いですね。

全体的には非常に面白い作品だったと思います。
なかなか理解しにくい世界観ですし、それの難解な世界観に触れる楽しみもあった訳です。

前半の展開と後半での展開の勢いの違いも良かったと思います。
ギャップが大きいだけに、シナリオを読む楽しみも倍増する、そんな感じではないでしょうか。

小難しい話が好きな人にはお薦めできます。
しかし、エロ重視な方にはお薦めできないソフトです。



Sound - 音楽・効果音・音声 -

音源はCD-DA。

曲数は全部で20曲。
ストーリーの長さから考えても丁度良いぐらいだと思います。

曲調は全体的に明るい曲の印象が多い気がします。
しかし、全体的なカバーはされていますし、シリアスな展開には、それに沿ったしっかりとした曲が用意されています。

PickUp
潮騒の午後
雪のように白く
海鳴り

永遠
A Tair
遠いまなざし
輝く季節へ

全体的に非常に高いクオリティーの音楽だと思います。
ストーリー後半に用意されている「遠いまなざし」「輝く季節へ」等、非常に印象深く心に残る曲が揃っています。

ストーリー後半になると、同じ曲が交互に流されているように感じる点等が多くありました。
しかし、音楽のレベルは非常に優秀。

効果音については特になし。

音声は入っていません。



Character - キャラクター -

原画は樋上いたるさん。

▼ 主要キャラクター
長森 瑞佳
主人公と幼馴染の女の子。
一緒にいる事が多くお節介な所がある。
主人公は、自分の事が心配だと思ってお節介を焼いていると思っている。
しかし、彼女の想いは別だった・・・

七瀬 留美
主人公達の学校に転入してきた女の子。
登校中にぶつかるという衝撃的な出会い。
彼女はいつも乙女になる事を目指している。
しかし性格に問題が・・・

椎名 繭
登校中の寄り道をしたとき、死んだフェレットを埋めようとしていた女の子。
突然泣き出す癖がある。
人とはあまり接しようとしない。
見た目と比べて、心はあまり成長していないように見える。

川名 みさき
目が不自由な女の子で先輩。
いつも暖かい笑顔をしている女性。
ただ、時折り見せる悲しそうな表情。
彼女の心の目には一体何が映っているのだろうか・・・

里村 茜
普段よりも早く登校する主人公。
その途中で出会った女の子で、傘を差して空き地に一人佇んでいた。
主人公とは同じクラスだったが、それが機会になるまでは殆ど会話した事もなかった。
雨の中に佇みつづける女の子・・・彼女は一体何を待っているのだろうか・・・

上月 澪
学食での出会いを切欠に知り合いになった女の子。
いつもニコニコしている。
一目見た感じでは非常に元気そうな女の子だが・・・
彼女の持っているスケッチブックは何を意味するのだろうか・・・

あんまりぶっ飛んだ感じのキャラがいなくて良かったような気がします。
それと、やたらと障害者が多いのが気になります。



Graphics - グラフィック -

立ち絵の枚数は数枚程度。
塗りの方はあまり綺麗だとは思えませんでした。

ジャギーがちょっと気になりますね。

イベントCGの枚数は92枚。
シナリオの長さから考えたら納得出来る枚数ではないでしょうか。

イベントCGの塗りについては、あまり綺麗な感じはしませんでした。
どことなく色が落ち着いていないような。

背景に関しても、あまり上手いとは思いませんでした。
全体的に粗っぽい感じもしましたし、いまいちかと。

全体的には平均より少し下回る作品ではないでしょうか。
発売が98年という事もあるからなのでしょうか、あまりクオリティーの高さは感じませんでした。



System - システム -

全体に致命的なバグはなし。
ただ、一部でCGが登録されないなどの不具合があるようですので、修正ファイルの使用をお薦めします。

基本的にゲームの動作は軽く特に問題はないでしょう。
基本的にはマウスでのプレイが主体になります。

ゲームの形式は選択肢型のADV。
選択肢の数は多いですが、特に関係のない物が多いようです。

難易度はあまり高くありません。
オンリープレイでこなして行けば特に問題はないかと思います。

CGの回収にも特に難しい所はないでしょう。

セーブ可能数は30ヶ所。
難易度的に考えても、シナリオの長さから考えても問題は無いでしょう。

スキップは強制スキップが可能。
スキップの速度は比較的早い方です。

画面モードはフルスクリーンとウィンドウモードの両方に対応。
音楽関係の機能は、CDのフェードアウトの切り替え、BGMの切り替えが可能。

メッセージ関係の機能はフォント変更、表示速度の変更が可能。
画像表示関係の機能は高速画面切り替えが可能。

その他の機能は、ウィンドウカラーの変更が可能。

おまけ機能は、CG回想、音楽回想がついています。

全体的には、特に文句はありません。
また、安定性も高めなので、これについても文句はありません。



Total - 総評 -

Tacticsの第三弾のソフト。
その中では一番面白かったソフトだと思います。

ラストの展開も良かったですし、やっぱり音楽の演出が良いですね。
うーん・・・良作。

ただ一つ気になるところは、キャラに障害者を持ってきた所です。
まぁ・・・特に差別的な事をしていた訳ではないので良いとは思うんですけど・・・ちょっと気になりました。

やっぱり気になるのが原画です。
ちょっと・・・つらくなったりしました。

イベントCGでもバランスが変だったり・・・
それに耐えられればね。

それにしても、音楽は良質です。
やっぱり、決める所で使われる音楽は小爆発的な感じで・・・うん、良かったです。

改めて音楽がシナリオに与える効力の大きさを痛感させられたのと同時に、非常に良い作品でした。

それにしても、この世界観は難しい。

しかし・・・たった一つ・・・疑問が残る・・・
「あらすじはあんな感じであったかな?」




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Scenario
:
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80
Sound
:
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80
Character
:
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70
Grapchics
:
■■■■■■■■■■■
55
System
:
■■■■■■■■■■■
55
H
:
■■■
15
Main3
:
■■■■■■■■■■■■■■■
75
Total
:
■■■■■■■■■■■■
60