SCHREI-TEN    (たろんなーどさんのレビュー)  評価: 6 
▼ タイトル SCHREI-TEN
▼ ブランド pisckiss(ピスキッス)
▼ ジャンル 冒険恋愛ファンタジーAVG
▼ 対応OS Win98/2000/Me/XP
▼ メディア CD-ROM
▼ 定価 \8,800
▼ 発売日 2004/02/20
▼ 購入   Schrei・Ten 初回限定版 / オリジナル特典 Getchu.com
【 CG観賞モード 】  あり
【 シーン観賞モード 】  あり
【 BGM観賞モード 】  あり
【 メッセージスキップ 】  あり(未読・既読判別なし)
【 メッセージ履歴機能 】  あり
【 選択肢リターン機能 】  なし
【 オートモード 】  なし
【 ヒント機能 】  なし
【 セーブ数 】  7個+クイックセーブ1個
【 エンディング数 】  1個(BADEND除く)


<あ・ら・す・じ>
 戦争と言うものが絶えて久しいシュライテン。
 とはいえ、人の業は水面下での争いを止めることは出来ていなかったが、それでも大部分の一般市民にとっては概ね平穏だったと言える時代。
 人々の不安は魔獣と呼ばれる人を襲う恐ろしい怪物と、少しばかりの盗賊達などだった。
 いつの時代にも平穏には生きられない人種がいる。
 彼らは剣を取り、魔獣や山賊、盗賊たちから人々を守ることで糧を得ていた。
 それが冒険者と呼ばれる人々だった。

 聖都から離れた地方都市ロドリゲスからこの物語は始まる。
 エリシア・グランベル。
 女性の冒険者と言うのは珍しいが、それでも皆無と言うわけではない。
 これは彼女から始まる一つの物語である。


<キャラクター紹介>
エリシア・グランベル(エリス)
 ごく平凡な田舎町の、ごく平凡なパン屋の娘だったが、今では冒険者を生業とするはねっかえり。
 マークに師事し、剣の腕は同業者達からも一目置かれている。
 ただし、激しやすく冷静さを欠く性格から仕事を失敗することも多く、悪い意味でも有名。

ユキト・ハワード
 大貴族の三男で、何不自由ない生活を送ることが出来る身分だが、故あって冒険者となった青年。
 年は若いが勇者の武器を携え、剣の腕、冷静な性格と併せて極めて優秀な冒険者である。
 ある事件で同行することになったエリシアに一目ぼれをする。

リチャード・ハックニー
 聖都にその名を轟かす竜騎士。竜騎士とは実力、人望共に優れた聖都の守護者に与えられる称号である。
 勇者の武器である巨大な槍を操り、魔獣ですらも容易に屠る実力を持ち、各地を巡って治安を守っている。
 非常に高潔で勇敢な人物であるが、女性にだけは節操が無く、既婚者でありながら女性を口説くこともしばしば。

マーク・スピードスター
 魔獣の専門家として名高い冒険者にしてエリシアの師匠に当たる。
 茫洋としている雰囲気からは思いもつかないほどの剣の達人。
 冒険者としてはまだまだ半人前のエリシアのことを気にかけている。

シルキィ・ゴールドバーグ
 エリシアが出会う魔法の道具屋の女主人。その後すぐにエリシアの親友となる。
 祖父の後を継いで魔法の道具屋を生業としているが、自分では魔法の道具を収集できないので現在は開店休業状態。
 ぼーっとした性格でスタイルのいい女性。

モルガン・ジマーソン
 300年以上前から生き続ける不死者にして、大魔術師として名高い。
 不死であるが不老ではないため、不老の肉体を求めている。
 シカンブル・シルバーという人物の残した書を元に行った調査で「白い鍵」というものを知る。

ガスタム・ライオネット
 多額の賞金を掛けられた変装の名人として名高い盗賊。
 残酷な行いも平気で行い、特に女好きとしてもつとに有名。
 モルガンとは旧知の仲であり、エリシアのことも狙っているようである。

レニ・ベリエバー
 エリシアが拠点としている宿屋の従業員でエリシアの親友。
 女性同士だが、エリシアのことに好意をもっており、シルキィやユキトを敵対視している。
 いざと言う時は押しの強い性格で、エリシアもたじたじとなるほど強い部分を持つ。

ウィラード・ベルトラン(ウィラ)
 聖都の学園に所属する若き遺跡の研究家。こと遺跡に関しては斬新な仮説と実践で一部では名高い。
 エリシアやユキトを雇って遺跡の探索を行った時にモルガンと出会い、共通の研究対象を持つが故に行動を共にすることになる。
 血が苦手ですぐ失神してしまう。


このホームページはpisckiss(ピスキッス)より一部文章を抜粋しています。
素材の著作権はpisckiss(ピスキッス)に帰属します。



<音声>
 音声はありません。


<音楽>
 全30曲。ボーカル曲はありません。
 ややゲーム音楽っぽさが目立ちますが、普通に良い出来ではあると思います。
 曲自体も場面にあっていますし、邪魔をしておらずBGMとして標準の出来と言えます。
 ただし、単体で聞くほどのインパクトがある訳ではありません。


<システム周り>(ver.1.00)
 修正ファイルが有ります。
 と言っても、メッセージにノーウェイトを追加するだけですが…。
 あって困るものではないので、当てられる方は是非当てましょう^^;

 基本的にはオーソドックスな選択肢型のAVGです。
 ただし、シナリオは1プレイ5〜30分程度の短編に分かれていて、その短編を読み進めていくことでシナリオを進めていく形式となっています。
 シナリオ内で行った選択や次に読むシナリオによって、次に出現するシナリオが変わっていくような形式となっており、まぁ、基本的には分岐が比較的目に見えるAVGと言う感じです。
 つまり、最初に選べるシナリオAがあり、そのAの中での選択でシナリオBorシナリオCが出現。
 BとCのどちらを選ぶかで更にシナリオが進行すると言う形式です。

 物語の形式としては時折見られる「章立て」とほぼ変わらない形式ですが、このゲームの特徴は2つあり、一つは多視点であること。
 基本的な主人公はエリシアですが、ユキト、リチャード、マーク、モルガン、シルキィ、ガスタムの視点でも物語が語られ、最大7つの視点から物語を俯瞰することになります。
 もう一つは、各シナリオがフローチャート式に繋がっているのではなく、全てのシナリオが並列的に存在することです。
 もちろん、物語的には先に展開するものとしないものが有りますが、これらが全く等価値に並んでいます。
 これらの功罪については<感想>の方で触れたいと思います。

 詳しいシステムは上記参照。
 オートモードはないですが、必要最低限のものは揃っています。
 セーブ数が少なく感じられる向きもあるかと思いますが、上で述べたように、かなり短いシナリオの連続体で、そのシナリオは一度出現条件を満たせばいつでも好きな時に始められるので、実質的にはほとんど必要ありません。

 上記以外ではコンプ後のおまけシナリオが有ります。
 なんだかいまいち必要性を感じないシナリオでしたが…^^;

 難易度はかなり低めですし、総プレイ時間は12〜15時間といった程度です。
 シーン回収のみ選択肢ごとに別枠に登録されるのがちと面倒ですが、分岐が新しいシナリオの出現と言う形で目に見えるので、フルコンプは容易だと思います。


<CG>
 原画は本杉 知絵氏。非常に書き込みの細かい、丁寧な絵柄だと思います。
 一部にデッサンやバランスの崩れも見受けられますが、それすらも個性として見えるレベルで「自分」を確立しているのは貴重ですし、なかなか良いと思います。
 以外にコメディタッチの絵も多いのですが、そちらもなかなか勢いと言うか、キャラクターに躍動感を与えている感じで良い感じです。
 ただし、デッサンや顔のバランスの崩れはかなりのもので、ひどい絵は人間に見えないレベルです^^;
 その為、そういったものが気になる方はお勧めできません。

 塗りも独特です。
 下書きの線をそのまま生かして水彩で塗ったかのような塗りは、手抜きなのか味わいなのか、判断に迷うところです。
 まぁ、客観的に見るとレベルは低いのですが、絵柄とは不思議とマッチしているのでそれほどの違和感は感じません。
 なんというのか、昔のファンタジー小説の挿絵のような味わいがあります。
 ですが…、やはりもう少し頑張ってほしかったかなぁ、と。


<Hシーン>
 シーン数は30以上と割合多いですが、上で述べたように、選択肢ごとに別枠登録(例えばシーンでの「中に出す」と「外に出す」の違いだけで別枠で登録)なので、実質的には25シーンくらいです。
 内容的には和姦あり強姦ありとバリエーションに富んでおり、シチュエーションもノーマルだけでなく、アナル、レズ、ふたなり、触手、放尿等マニアックなプレイも多目です。

 ただし、1シーンあたりのテキストはかなり短めですし、それぞれのシチュエーションも割合あっさりとしている為、実用性が高いかと言われると微妙なところです。
 このゲームのHシーンに関しては声もないですし、上記のようにテキストも少なめなので、絵が気に入るかどうかにかかってきます。
 そういう意味でこの絵が好きという方以外にはちょっとお勧めし難いです。
 絵柄自体がかなり癖が有りますしね。
 ただ、この丁寧な絵柄での着衣Hはごちゃごちゃしててちょっとわかり難い反面、その微妙さがエロい…気もします。

 また、メイン主人公が女性と言うことで、女性視点の和姦Hが結構多いのはちょっと珍しいかもしれません。
 そういう意味では貴重ですので、そういうシチュがお好みの方には割りとお勧めかもしれません。


<感想>
 世界観とシナリオは極めて王道のファンタジーです。
 とはいっても、80年代頃のファンタジーブームの頃の懐かしいファンタジーと言う感じで、何のてらいも無く「勇者」とかの単語が飛び出すようなあたりは好みの分かれるところかもしれません。
 絵柄も当時の新書などの挿絵風という感じでもありますし…。
 この懐かしい世界観が最大7つの立場の違う視点から書きこまれており、世界観は非常に深みのあるものとして魅力的に仕上がっていると思います。
 ですので、そういった懐かしめなファンタジー系RPGやTRPG、ゲームブックや新書系ノベル(今は亡き大○ノベルスですとか)あたりの世界観が好きな方は良い感じだと思います。
 かく言う私も、昔は○陸ノベルスとか買っていたクチですので、なんだか奇妙なノスタルジィを感じました。

 また、キャラクターについても、主要キャラについてはそれぞれの視点で物語が展開し、それぞれの視点での行動が語られている為、非常に生き生きとしていると思います。
 ただ、基本的には行動がベースで心理表現はあまり無い為、一部つかみ所の難しいキャラもいます。
 反面、誰かに感情移入するというようなことはないかと思いますので、そういった意味ではエロゲーらしくないとも言えるかもしれません。

 ただし、かなり多くの多視点を利用してシナリオを構築していることによって、物語の軸となるストーリーが非常に散漫になっている部分もあると思います。
 一応の軸となるストーリーはあるのですが、そのストーリーに行き着く目的と手段がキャラクターによって異なりすぎて、そのまとめにある種のご都合主義的なものを感じさせます。
 あるキャラクターにとっては恋愛が、あるキャラクターにとっては復讐が、また別なキャラクターにとっては探求が目的であったりするため、一つのシナリオ軸があるのに、これに対する印象が弱くなってしまうと言うのは最大の欠陥ではないでしょうか。

 また、もう一つには<システム>で述べた全シナリオが並列することに拠るモノですが、チャートや章立てで無い為、明確なシナリオのつながりが明らかでなく、そのことによって前後の行動や因果関係が一部混乱してしまっている部分が有ります。
 例えば、とあるシナリオで死んだキャラが他のシナリオでは生きていたりと言った具合です。
 もちろん、これ自体は分岐という名のパラレルワールドとして許容できる範囲ですが、一部明らかに接続すべきシナリオで設定が矛盾しているものもあり、また、シナリオ間のつなぎが完全にユーザーの側に任せられている為、上記のような因果律の混乱によって、シナリオ自体が軸を失った印象を受けます。

 上記二つの要素により、シナリオが破綻とまでは言えなくとも、非常に散漫で印象に残らないものになってしまっているのは残念な点です。

 基本的に多視点のゲームと言うものは、やはりその多くの視点が見ているものが明確にひとつでないことにはあまり採用する意味が無いと思います。
 でなければむしろ多視点でまったく違うモノを描き、世界自体を描き出すか、ですね。

 そういう意味で、新しいことに果敢に挑戦している心意気は買えますが、かえって失敗している感があるのは残念なところです。
 こういった形式を取るのであれば、逆にシナリオの軸を取り払って、それぞれの視点からの生活を描くことで世界を描くような手法の方が面白かったのかな、とも思えます。
 世界で並列的に起こる人生をわずかに重ねながら、全体として世界の存在感を描き出す群像劇としての色を出すことが出来れば、より良かったのではないでしょうか。
 結論として、「世界」と「物語」の両方を追おうとして、失敗してしまった意欲作、と言えるのではないかと思います。

 テキストに関しては基本的には会話メインでト書きはあまりないスタイルです。
 もっとも、視点を違えて描き出している為、あまりト書きの必要性は感じなかったので、この方式は正解かと。
 一部誤字、誤変換もありましたが、それほどの数でもなく、許容できる範囲ですね。
 ただ、メッセージの一部がキャラ名の表示部分に入ってしまっている部分があったりしたのは微妙に笑えましたが^^;


<10点満点での総合評価>
 6点
 個人的には評価していますが、やはりシナリオや絵の完成度は正直もう少し…って感じですね。


お気に入りのキャラ:ウィラ
最後に一言:「オフィシャルHPのゲーム紹介のプロローグ、長すぎ^^;」










  MoonLight Renewal    (しょにーふらほーさんのレビュー)  評価: 5 
▼ タイトル MoonLight Renewal
▼ ブランド Clear
▼ ジャンル AVG
▼ 対応OS Win98/2000/Me/XP
▼ メディア CD-ROM
▼ 定価 \4,800
▼ 発売日 2003/07/25
【 CG観賞モード 】  あり
【 シーン観賞モード 】  あり
【 BGM観賞モード 】  あり
【 メッセージスキップ 】  あり(未読・既読判別あり)
【 メッセージ履歴機能 】  あり(音声リピートあり)
【 選択肢リターン機能 】  なし
【 オートモード 】  あり
【 ヒント機能 】  なし
【 セーブ数 】  100個
【 エンディング数 】  11個(ヒロイン毎にハッピー・バッドあり、中断エンド含む)


<あらすじ>
 まもなく自分達の通う学校は無くなってしまう。
 廃校
 いま、一つの『時』が終わりを告げようとしている。
 限られた『時間』の中で綴られる物語。

 特別なことではなかった。
 そこには今の自分の大切なもの全てがあった。
 でも、それは当然のことだった。
 当たり前のことだと思っていた。

 『失って、初めてわかることもある』
 陳腐な言葉。
 ありふれた言葉。
 でも、それは今の自分には真実だった。
 だから、今の時を大切にしたい。
 自分のまわりにいる人達すべてを大切にしたい。
 その『時』を迎えるまでのしばしの猶予。

 大切な人と一緒にいられる時間。
 失うものの中で失わないものを求めて………。
 それが、あると信じられるほど、自分はまだ無邪気だった。


<キャラクター紹介>
氷沼 悠里(ひぬま ゆうり)CV:籐野らん
 元資産家の娘。
 本人自身は『元』であることを気にせず、のほほんと生活している。
 かつての父親の私設秘書と同居生活を送っている。
 細かいことにこだわらない…というより、気づかない。

岡崎 汐音(おかざき しおね)CV:関和美
 主人公の小学校低学年のときからの幼なじみで、友達であり、口喧嘩相手であり、親しい仲である。
 主人公との関係を、今の状態で満足している。
 いつも温厚であるが、主人公には怒鳴り散らす。

楠 香耶(くすのき かや)CV:榎津まお
 主人公より学年は一つ上の女子剣道部主将。
 その腕前はなかなかで、ほぼ毎日練習を欠かさない。
 標準語を話しているがが、関西のノリになってしまう。そのためか、ツッコミは上手い。

奈々村 沙祐璃(ななむら さゆり)CV:如月葵
 かつて氷沼家の私設秘書をしていた。
 氷沼家から離れた現在はパートタイムで働き、悠理と同居生活を送ってる。
 おとなしげな外見とは裏腹に、かなりさばけた性格。
 怒ったときに見せる笑顔での威嚇は、傍観者ですら凍り付かせる。

片瀬 美姫(かたせ みき)CV:加乃みるく
 主人公より学年は一つ下で、常に悲しそうな、何かに脅えた瞳をしている。
 前は明るかったという噂もあるが、定かではない。
 いつも後ろ向きで、他人と打ち解けない。

新貝 光輝(しんがい こうき)
 中学まで親子三人で暮らしていたが、両親は転勤で大阪へ。
 こまってる人を見るとほっておけない、お人好しタイプ。
 ぶっきらぼうに見えて、人情に厚い。


このホームページはClearより一部文章を抜粋しています。
素材の著作権はClearに帰属します。



<購入動機>
 今回は最新作にこだわらずに良作の取りこぼしを探そうと、事前に決めずに物色の結果当ソフトを発見。
 「値段の安さ」「リニューアル版で期待できる各種改良」「高い評価の作品を作ると評判のブランド」などの判断が働き購入を決めました。
 当ブランド初購入です。


<システム追記>
 画面サイズは640×480です。
 CDロム2枚組、ハードディスクのみのプレイが可能(ロム不要)です。
 私のPCだけの現象かもしれませんが、スキップがかなり問題なので取り上げます。
 それは、スキップボタンを押した場合にスピードが異様に遅いです。
 具体的には「スキップ」ボタンそのものだけでは速くならず、スキップスピードを最速(「5000ミリ秒」と表示)・文字表示速度を最速・文末停止時間を0・ボイスオフの状態でオートモードONにより、事実上スキップとなりますが、未読部分もそのまま進みます。ctrlボタンもうまく働きません。
 相性問題かもしれませんので、こういう現象が出たという報告に留めます。
 (なお平成16年2月25日現在修正ファイルはなし)


<音楽・音声>
◇BGM・効果音は一応及第点
 BGMはオリジナル版を知らないので音質がどうとかは言えませんが、特に問題は感じませんでした。
 効果音の種類が乏しい(竹刀を振る音などがない)のが少し気になりました。
 BGM・効果音のボリュームはソフトで調節可能です。

◇主人公名前変更時の配慮のなさは苦しい
 本作は主人公名前変更可能ですが、「さん」などの語句や助詞が伴う場合その部分の音がそのまま残るので困ります。
 名前変更時は呼びかける場合などの単独での使用か、少なくとも文中では言い替える配慮が必要です。
 状況によっては「あなた」などと呼ぶ場合もあるのに、それの徹底がなされていません。しかも高頻度で起きます。
 これなら名前変更不可の方がましかもしれません。
 リニューアル版で直すことができたのに残念です。

 ボイスはキャラ毎にボリューム調節(0ならオフ)が可能で、その他ボイスがある主なキャラは香耶の剣道のライバルの安藤鈴菜(CV 児玉さとみさん)、美姫の友人(お目付け役)の牧川綾子(名字が文章とサウンド設定画面で不一致、CV 成瀬美亜さん)、主人公の友人の大竹幸秀です。
 ボイスのあるキャラが2人画面に出る場合、それぞれの立ち位置の側のスピーカーから声を出す設定ができますが、2人の声が左右同時に出る場面はないようです(汐音と大竹で同時に主人公にツッコミを入れるのを聴きたかったです)。
 Hシーンのボイスについては純愛系作品であり、メーカーがそちらのニーズを狙っていないようなのでほとんど期待を持たない方が賢明です。

(以下ヒロイン別音声の印象です。ヒロイン名の間違え安い漢字は何とも…。)
◇悠理
 割と高音でゆっくり話し、猫撫で声に似た甘ったるさがあります。
 設定上男性やクラスメートにもやや距離を置くので、感情の起伏を抑えるような演技になっています。
 一方で時々ぽつりぽつりと喋る一言が主人公に響き渡る辺りは、上手く出来ているのではないでしょうか。
 ただ、観覧車で主人公に心情を述べる場面では、もう少し感情を出しても良かったのでは…。
 少しだけ「のれんに腕押し」との印象も受けましたが、絵や性格のイメージとも合っているので概ね良いのではと思います。
 実は彼女は別のヒロインのシナリオで、もう少し感情を出します。

◇汐音
 声自体は悠理よりやや低音で、まくしたてる感じが良く表現出来ています。
 主人公と大竹を加えた3人での掛け合いも上手いのではないでしょうか。
 前半ではやや粗暴とも思える話し方ですが、しおらしくなった時との対比を出す目的ではと考えられます。
 しかしHシーンでは少なくとも途中までは普段の掛け合いの延長のようで、声も喘いだかと思ったらすぐ後に普通に話したりと拍子抜けの印象を受けました。
 元々本作ではHシーンにおいて状況描写の文章が多くヒロインの台詞への割当がやや少ないようなので、今回のボイス追加でこの辺りを見直して欲しかったです。
 性格を考えれば声自体は悪くなかったですが、ややあっさり感が強かったように思えました。

◇沙祐璃
 一目見た時攻略対象なのか(特に服を見ておばさんでは)と疑ってしまいました。
 パターンにはまった年上のあるべき姿で、温和な優しい声です。
 悠理の同居人で2人揃って主人公と鍋をつつく場面では、まったりムードが漂いボイスの追加が好影響の例と言えます。
 後半では泣く場面が多く、それでも気丈にふるまうところは良く表現出来ていると思います。
 Hシーンの声はヒロインの中では比較的優れている方で、いかにも年上の女性という感じです。
 キャラの魅力という点では声も含めて「包容力のある年上」というあまりにも定番なのでやや薄い印象です。
 …実はやっぱりおばさんでした。

◇香耶
 主人公より1学年上で剣道部なので、さわやかであっさり感のある声です。
 剣道のかけ声で大きな声を出す場面では、それなりにできていると思います。
 自分中心で物事を進めることがあり、主人公にそれを突かれふっと我に返る場面では、やや可愛い声になるように聴こえます。
 後半では案の定過去の出来事と芯の弱い面があることが明かされますが、主人公や剣道のライバルであり彼女を良く知る安藤鈴菜との会話シーンでは、その弱さを隠すような態度や主人公に本音を出す辺りの表現が上手いとは必ずしもいえず、やや不満を感じました。
 主人公と2人の時の雰囲気は良く出ているとも思えるのですが…。

◇美姫
 いわゆる「謎の少女」で主人公より1学年下です。
 シナリオの関係でアペンド扱いです。
 設定上「蚊の泣くような」という表現がぴったりの声で普段話します。
 彼女は悠理より更に感情を出さない演技となっています。
 但しHシーンとエンディングでは少し高めの普通の声になります。
 それでも「前は明るかった」という綾子の言葉はやや信じ難く思えます。
 今回はリニューアル版なのでオリジナル版のシナリオも事前に調べましたが、彼女の場合声の評価の為のプレイとはいえ、終わってしまうとシナリオが狙い過ぎなので、やらないで済ませた方がつくづく良かったと私は悔やんでいます。
 オリジナル版をプレイ済の方に、ぜひ彼女の声を聴いて欲しいとは勧められません。


<感想>
◇難易度・ゲーム性のリニューアルは乏しい
 1回目のプレイでいきなり難しいと感じ、早々にオリジナル版の攻略データを見ました。
 プレイヤーによる個人差はありますが、1つのHシーンを見るのに食らってしまうバッドエンド回数の平均値(または徒労に終わる時間の量)が高過ぎるように感じられ(すなわち御褒美が少なく感じられ)、加えて私の場合面倒なスキップ操作によって苦痛が増します。
 まぁ、Hシーンの数が少ないのは、純愛でやや古いとやむを得ないとも思えますが…。
 特に汐音は1月20日の個別ルート開始までの共通部分で、選択肢の正解による独自ルートへ分かれたイベントが起きない(他のヒロインのルートでも出せるイベントしか起きない)ことで、誰のフラグも立たないことによる中断エンドの存在も相まって、手間だけが掛かる印象を与えています。
 共通部分内のヒロイン独自のルートでも、主人公が図書館で勉強・コンビニで1日バイト・剣道の部活動の見学などのイベントが起きますが、ヒロインの真実に迫るような…私が格段に重要と感じるイベントは見られませんでした。
 個別シナリオのバッドエンドも、すぐ終わるとはいえ、きちんとあるのですから、いっそのこと中断エンドを止めて前半は好感度ポイント制に変え、とりあえず誰かのシナリオに入れるよう難易度を下げて欲しかったです。
 個別シナリオではごく一部でオリジナル版の攻略データにない選択肢が現われ、あえなく引っかかりバッドエンドを出しました。
 一部追加要素があるようですが、それを入れたからどうだといえる程のものとは思いませんでした。

◇リピーターへの配慮より低価格化を優先
 リニューアル作品の場合、購入対象をリピーターに据えるのか、または新規ユーザーかは、メーカーがオリジナル作品への反響から決めることでしょうが、その場合キャラ人気が重要な要素になると考えられます。
 キャラ人気が十分にあれば対象は主にリピーターとなり、外伝・新規シナリオやおまけの追加などの中身になる傾向があります。
 一方で新規ユーザーの開拓または当ブランドの人気作の購入者に新規に買ってもらうのであれば、本編にオリジナル版で足りなかった要素を付けたり低価格化が行なわれると考えられます。
 その意味で本作は明らかに新規ユーザー向けと言えるでしょう。
 その方向性自体はある意味正解です。
 低価格化に重点が置かれたということで音声以外の追加部分は極めて少ないという印象を受け、よってリピーターが望んでいた要素は満たされていないと言わざるを得ません。
 またリピーターに訴える場合は注目を浴びている間に発売できないとうまく行かないことが多く、本作の発売時期は遅すぎると言えます。

◇新規ユーザーにも「古さ」を印象付ける
 それでは私を含めた新規ユーザーにとって本作はどうだったのかを考えます。
 やはり一言で言えば「古さ」を感じます。
 例えばHシーンが終盤に1シーンのみとか、主人公がヒロインの趣味に合わせることやヒロインを手伝うことでシナリオが進んでゆくなどの、割と繰り返されているパターンが使われている点などです。
 あえて雰囲気を残して古いままなのか、それともコストを考えてあまりいじらなかったのかは定かではないですが…。
 加えて前述の音声追加による問題点が残っていると「リニューアルでも解決できないのか」と見なされてしまう恐れがあります。

◇その他気づいた点
 特に立ち絵で正面を向いている顔において両目の間隔が広い(あの広さと目の大きさならばもっと顔は長くなければならない)のが気になりました。
 消し忘れた「修正」の文字がメッセージに残っている箇所がありました。
 ボイスと文章の不一致が見つかりました。
 ヒロインの台詞を主人公のと間違えボイスを入れ忘れている箇所がありました。
 オリジナルでもどうかと思いますが、リニューアルにもかかわらず修正されていないのは、企業姿勢的にどうかと思います。


<10点満点での総合評価>
 当ブランドのソフトの評価がどの作品も割と高いだけに、こういう点をつけたくないですが、リニューアル作品における良作の条件を満たしているかとの尺度で考えれば5点です。
 オリジナルのハードルが高いだけ、期待外れだと残念さが増すということです。


<お気に入りのキャラ>
 シナリオを考慮に入れると、あえて誰とは決められませんでした。
 絵だけで考えれば立ち絵で、主人公が怒らせた時などにやや前屈みになり近づくことにより、少し大きめの絵が出る汐音でしょうか。

 意外な隠し玉は香耶です。
 彼女には主人公を含めて周りの人々すべてを騙している「ネタ」があります。
 私も彼女には、まんまとやられました。


<最後に一言>
 その人が自分の求めるものを持っているから、あるいはその人が魅力的だから好きになるのではなく、好きになったからその人の嫌な部分も受け入れるのだと、少なくとも私は考えます。