マレビト (たろんなーどさんのレビュー) | 評価: 5.5 |
▼ タイトル | マレビト〜そして世界は色を失う〜 |
▼ ブランド | ユノ |
▼ ジャンル | ビジュアルノベル型ADV |
▼ 対応OS | Win98/2000/Me/XP |
▼ メディア | CD-ROM |
▼ 定価 | \8,800 |
▼ 発売日 | 2004/01/23 |
▼ 購入 | マレビト / オリジナル特典 Getchu.com |
【 CG観賞モード 】 | あり |
【 シーン観賞モード 】 | あり |
【 BGM観賞モード 】 | あり |
【 メッセージスキップ 】 | あり(未読・既読判別あり) |
【 メッセージ履歴機能 】 | あり(バックログでの音声再生あり) |
【 選択肢リターン機能 】 | なし |
【 オートモード 】 | なし |
【 ヒント機能 】 | なし |
【 セーブ数 】 | 20個 |
【 エンディング数 】 | 16個(BADEND含む) |
<あ・ら・す・じ>
1980年代。
古きモノが新しきモノの影に消えゆく時代。
言い伝えられてきた伝承は、近代化という波に飲み込まれ、その中に生きる人々も世代交代を余儀なくされていた。
そんな時代に、消えゆく事のない“古きモノ”が蠢いていた。
マレビト。
それは人が生み出した、形無き幻想か?
それとも…実を成す人か魔か?
何の変哲もない学園生活を送っていた主人公、高村健吾。
季節はずれの転校生がやってきた事でさえ、日常の一つと思える平穏な日々。
楽しい修学旅行に文化祭。どれも青春の1ページにふさわしい学園のイベントだった。
しかし…。
彼の何気ない些細な行動が、全てを急変させた。
周囲はワケもわからず、ただ巻き込まれ、流されていく。
平和な日々はもう戻らない…いや、戻りようがない。
あるべきはずの日常があらぬ方向へと錯綜する中、謎の男が彼の目の前を見え隠れする…。
前兆が無かったわけではない。ただ、何が前兆なのかが分からなかったのだ。
巻き込まれていく周囲に為す術のない健吾。
この状況で、彼は何を考え、何を為すのか?
そんな思惑などとは無関係に、今、マレビトが静かに動き出す…。
<キャラクター紹介>
永崎 映見(ながさき えいみ)CV:岩田 由貴
クラス替えで主人公とクラスメートとなった少女。
料理部に所属し、成績優秀でおっとりした性格。
運動は苦手で、よく転んだりというドジッ娘の属性もある。
黒田 美咲(くろだ みさき)CV:榎津 まお
主人公のクラスに編入してくる転校生。
無口で感情をめったに表に出さない。
運動能力は高く、男性以上に喧嘩にも強い。
針生 恵子(はりゅう けいこ)CV:楠 鈴音
主人公のマンションの隣室の住人で幼馴染。
ドイツ人の血を引くため、金髪でスタイルが良い。
主人公をあれこれと気にかけ、しっかりした性格。
向坂 真理(こうさか まり)CV:鵜乃瀬 朱香
主人公の先輩で学園執行部の部長。
姉御肌で面倒見がいいため人気はあるが、背が小さいのを気にしている。
主人公のことを弟分としていろいろと用を言いつけることが多い。
木内 沙希(きうち さき)CV:松園 ルイ
主人公のクラスの担任で担当科目は歴史。
生徒思いではあるが、厳しい点もある。
スタイル抜群だが、大人の女性という感じのしない気さくな性格。
高村 佳琳(たかむら かりん)CV:吉川 華生
主人公の一歳年下の妹で同じ学園に通う後輩に当たる。
主人公になついており、家では同室であるが嫌がるそぶりも無い。
主人公の前ではやや子供っぽいが、大人びた落ち着いたところもある。
北村 浩一(きたむら こういち)CV:内匠屋
主人公の親友にしてクラスメート。
自称夜遊び名人でクラスのムードメーカー。
黒田美咲に一目惚れをしていろいろとモーションをかける。
片倉 誠司(かたくら せいじ)CV:村松 柳清
主人公の前に現れる謎の男性。
「マレビト」と深いかかわりを持つらしいが…。
高村 健吾(たかむら けんご)
本作品の主人公。リネーム不可。
ごくごく普通の学生で成績、素行ともにごく標準。
進級してしばらくして、不思議な夢を見るようになる。
このホームページはユノより一部文章を抜粋しています。
素材の著作権はユノに帰属します。
<音声>
主人公以外の主要キャラフルボイス。キャストは上記の通り。
正直に言えばあまり聞かない方もいらっしゃいましたが、演技も悪くないと思いますし、キャラにも合っていたと思います。
<音楽>
全22曲、うちボーカル曲3曲(+アレンジが1曲)OP「水鏡」ED「MOONLIGT」、「風待ち人」、「MOONLIGHT'94」(いずれもVo.MAO)です。
エンディングロールだと「MOONLIGHT」もOP曲と表記されますが、音楽鑑賞モードで確認したところ、ED曲ですね。
ボーカル曲はいわゆる「今風」ではなく、少し前のポップスという感じの曲です。
作品の舞台となった80年代とまでは行きませんが、かなり懐かしい感じですので、そういう古めの曲調が好きな方には悪くないと思います。
OP曲は特にそういう雰囲気が出ていて、割とお気に入りですね。
ゲーム内のBGMも、普通に良い出来だと思います。
ゲーム内の雰囲気を壊さないようBGMしており、出来自体もなかなかです。
ただ、あまり80年代という感じはしないですけどね^^;
2曲ほど「懐かしさ」を感じる曲もありましたが、残りは出来の良いけれど、割と現代風のBGMです。
まぁ、ゲームの舞台が80年代からといって、BGMもそうする必要があるか、というとそうではないかもしれませんが…。
そこまでして頂ければ個人的には文句なし!だったのですが、一般的なエロゲーらしさという点ではこちらの方が良いかも知れません。
そういう意味では水準以上ですので、安心して聞けると思います。
<システム周り>(ver.1.00)
基本的には選択肢型のオーソドックスなAVG。
「ビジュアルノベル型ADV」とジャンルには書いてありますが、全画面にテキストを表示するのは回想シーンなど一部だけで、それ以外はメッセージウィンドウにメッセージが表示されるタイプのAVGです。
難易度はかなり高めです。
おそらくは好感度分岐と選択肢による分岐の組み合わせで分岐していると思いますが、ストーリーの分岐ポイントやトリガーとなる重要な選択肢がややわかりにくく、ED数も多い(選択肢自体もかなり多い)為、フルコンプするのには苦労させられました。
詳しいシステム周りは上記参照。
なぜか、バックログでのマウスホイールに対するレスポンス(ページ送りの速度)なんかが設定できる割には、上で挙げた以外の機能はあまり付いていないのですが…。
とりあえず、オートモードが無い以外は必要なものは揃ってますし、シンプルながら、使い勝手は悪くなく、とりたてて動作が遅いなどと感じることもありませんでした。
あえて、難点を挙げるならば、上であげたように難易度が高いため、セーブスロット数はもっと多い方が便利というか、ありがたかったです。
<CG>
原画は綾風柳晶氏。
全体的に体の線は細めな割りに胸が大きいキャラクターが多いです^^;
顔や輪郭などにも崩れは無く、丁寧な感じで、「萌え」とかは無いですが「綺麗さ」と「可愛さ」のバランスが取れていて嫌う人の少ない絵ではないかと思います。
立ち絵とイベント絵も違和感無く馴染める感じですし、なかなか良いのではないでしょうか。
ただし、コミカルなデフォルメ絵はややバランスが悪いかな、と思いましたが…。
塗りは標準レベル。
ただし、べたっとした感じで割合陰影のはっきりした「アニメっぽい」感じを受ける塗りですので、やや好みは別れるかと思います。
しかし、決して極端にではく、きちんと抑えていますので、この手の塗りが好みの方には悪くないかと。
個人的にはあまり好みではないですが…。
背景は今ひとつ、という感じです。
細かく書き込む、というよりは水彩的にぼかして遠くから見て雰囲気が出るような感じですので、そういう意味ではややあっさりしすぎているような気がします。
<Hシーン>
いつも通りの一言。
「Hシーンには期待しないで下さい」
以上!
回数自体は各キャラ1〜3回と少ない訳ではないですが、1回のシーンが短いです。
また、シチュエーションもシーン回想に登録されるのは、すべて主人公とのノーマルなHシーンです。
声優さんはなかなか頑張っているとは思いますが、フェラシーンの有るキャラすら1キャラしかないですし、まぁ、Hシーンはおまけ程度に思っておいてください。
一応主人公による陵辱っぽいシーンもありますが、こちらも短いです。
<感想>
作品の舞台はどうやら1984年のようですね。
時折その当時のネタが出てきますので(グリコ○永事件とか)話題的にその辺が分からない方はちょっと厳しいかもしれません。
もっとも、ソレはあくまで「飾り」の部分であって、その辺の時代的なものがシナリオ自体にかかわってくるわけではありませんので、分からなくても雰囲気
だけつかめればOKだと思います。
シナリオ自体は比較的オーソドックスな伝奇モノです。
「マレビト」という存在をめぐる伝承や、事件に主人公たちが巻き込まれて…という感じです。
ただ、エンディングは鬱と言うか、あまりべたなハッピーエンドという感じではないです。
正直に言えば、シナリオの出来自体にはやや疑問が残るところです。
特に、プロローグとの整合性の関係で、バッドエンド以外のエンディングはシーン的に重なる部分を入れなくてはならない為、キャラクターによっては展開に無理があるような感を受けるのがひとつ…。
また、各シナリオで基本設定となる「マレビト」についての基本設定も比較的変化し、全体として一つ一つのシナリオ内容がバリエーションがつけられているのに対して、上で挙げたように、シナリオの大枠とストーリーの流れが比較的決まっている為、各シナリオ間における整合性が感じられないことが、もうひとつです。
各キャラごとのシナリオは決して悪い出来ではないと思いますが、最終的な分岐が比較的後半で発生する為、それまでは各ヒロイン、各シナリオの設定に基づく場面が順番に出るような感じで続いていきます。
しかし、それに上に挙げたように整合性が無い為、都合の悪いシナリオは「見なかったことにする」というプレイヤーの努力(?)が必要になります。
そういう意味で、本編の核となる「マレビト」伝承にきちんと絡んでいるキャラと、そうでないキャラの間のシナリオの出来の差が大きすぎるように感じるのです。
しかも、上で挙げたように、好感度で分岐するのが遅い為、必然的に前半〜中盤のストーリー展開は各キャラ共通となり、最終的にどのシナリオの伏線になるかによって場面の基本設定に整合性が無いというのは、「読ませる」ゲームとしては致命的ではないかと…。
これがヒロインごとの設定、シナリオがほぼ同じなのであればあまり目立たなかったと思いますが、設定は大きく違うのに展開は共通の部分を作らなくてはならないという、難しい両立を迫られたシナリオ自体に、かなりしわ寄せと無理が着ている気がします。
コンセプトと基本的な内容自体は悪くないと思いますので、各キャラのシナリオでここまで大きく設定を変えるのであれば、前半でストーリーが分岐するようにして、中盤〜後半はそのキャラのイベントだけに集中するようにした方が良かったのかと思います。
また、上記に加えてゲーム期間がゲーム内で4月から11月までの半年以上と非常に長く、このことによって、それぞれのイベント間のつながりをやや希薄にしてしまっているような気もしました。
場面ごとに一週間くらい当たり前のように飛ぶ上に、攻略キャラのイベントで無いイベントも入るので、それぞれのシナリオの内容が拡散してしまっているような気がしてなりません。
そういった意味ではシナリオ自体…というよりも、その見せ方や構成が今ひとつな感じでした。
これは演出的にエンディングの幅を狭めるようなことをしてしまったのが最大の原因ではないでしょうか。
各キャラシナリオ自体にはなかなか面白い設定もあったりしたのですが…残念。
テキストに関してはそれほどの誤字脱字も感じませんでしたし、問題はないかと思います。
ただ、主人公の性格的にもやや淡々と進んでしまうのは微妙なところです。
そこでアクセントになっているのが「80年代ネタ」なので、その辺が分からない人にはちと平板で単調に感じてしまう恐れがあると思います。
個人的には「オールナイト○ッポン」ネタ等は結構好きでしたが^^;
絵と音楽は悪くないと思いましたので、シナリオが少しまとまりにかけたのは残念な点でした。
バリエーションをつけたり、シナリオ演出に凝ってしまった点がやや裏目に出てしまった感がありますので、例えば最初にキャラで分岐させてしまったり、逆に分岐自体を減らしたりなどシナリオ、および展開をキッチリと整理して頂けると良かったのではないかな、と思います。
<10点満点での総合評価>
5.5点
色々と微妙にお勧めし難いゲームです。
お気に入りのキャラ:永崎 映見
最後に一言:「シナリオの設定、演出、構成のバランスが悪いのが残念。」
天使のいない12月 (氷室さん&〜悠人さんのレビュー) | 評価: 8 |
▼ タイトル | 天使のいない12月 |
▼ ブランド | Leaf |
▼ ジャンル | アドベンチャー |
▼ 対応OS | Win98/2000/Me/XP |
▼ メディア | DVD-ROM / CD-ROM |
▼ 定価 | \8,800 |
▼ 発売日 | 2003/09/26 |
▼ 購入 | 天使のいない12月 DVD-ROM版 天使のいない12月 CD-ROM版 |
【 CG観賞モード 】 | あり |
【 シーン観賞モード 】 | あり(エンディング鑑賞含む) |
【 BGM観賞モード 】 | あり |
【 メッセージスキップ 】 | あり(未読・既読判別あり) |
【 メッセージ履歴機能 】 | あり(音声・CGリピートあり) |
【 選択肢リターン機能 】 | なし |
【 オートモード 】 | あり |
【 ヒント機能 】 | なし |
【 セーブ数 】 | 40個 |
【 エンディング数 】 | 5個(バッドエンド除く) |
<ストーリー紹介>
人間関係は軽く薄く小さくがモットーであり、なにごとにもいい加減で投げ遣りな生活を送っている主人公。
特にやかましい妹がいるせいもあって、女は面倒だと思っている。
そんな主人公と違い、友人は女の子との恋愛に時間を費やし、肉体関係になることに至上の価値を求めているので、主人公に恋愛を勧めるのだが、まるで聞く耳を持たない。
ところが、ある女の子とのささいな言い争いから、なりゆきと興味本位でその場限りの関係を持ってしまう。
<キャラクター紹介>
栗原 透子(くりはら とうこ)
主人公のクラスメイト。
常に幼なじみでクラス委員のしのぶに引っ付いて行動している。
自分にまるで自信がなく、人の顔色ばかりうかがっている。
それでも誰かに必要とされたい、自分でも大丈夫なんだという想いがあり、
なりゆきでしてしまった主人公との肉体関係に拠り所を求めてしまう。
榊 しのぶ(さかき しのぶ)
透子の幼なじみでクラスメイト。
そしてクラス委員。優等生であり責任感が強いことからクラスメイトから頼られることが多い。
麻生 明日菜(あそう あすな)
仏文科在学の女子大生。
主人公のバイトしているケーキ屋の先輩にあたる。
大人の女性として常に余裕のある姿勢を崩さないが、言動の多くはお茶目で小悪魔的。
須磨寺 雪緒(すまでら ゆきお)
主人公と同じ学校に通う二年生。
ケーキ屋のバイト店員。上品で礼儀正しく、なにごとにも落ち着いている。
葉月 真帆(はづき まほ)
主人公と同じ学校に通う一年生。
ラクロス部部員。主人公の友人の彼女。
性格は明るく元気。いささか落ち着きは足らない。
このホームページはLeafより一部文章を抜粋しています。
素材の著作権はLeafに帰属します。
氷室さんのレビュー
<購入動機>
原画家のファンなので^^;
あと、OHPで公開された音声サンプルが良かったから購入しました。
<システム>
上記参照の他、主人公の名前が変更可能だったり、メッセージ履歴機能がマウスホイール対応可だったりします。
このシステム欄で一番取り上げたいのは、フルスクリーン時に時計が表示されることです。
今までフルスクリーンの時は、わざわざ顔と視線を横にずらして時刻確認をしていましたから^^;
<CG>
原画はなかむらたけし氏とみつみ美里氏。最強の師弟コンビですね^^;
キャラクターデザイン、CGのクォリティともに文句無しです。
特に汁気たっぷりのHシーンは予想外でした。
なぜなら、このお二方はどちらかというとライトな作品の原画を担当することが多く、特になかむら氏はHシーン自体滅多に描かない方なので嬉しい誤算でした^^;
(確か、Hシーンを描くのは96年のPiaキャロ1以来だったと思います)
<音声>
素晴らしい出来だと思います。この作品でCGに次ぐポイントかも。
特に雪緒役の井村屋ほのかさんは素晴らしかったです。この声なくして雪緒は語れず。
私は普段、音声なんていちいち聞かずにどんどんテキストを読んでいくのですが、雪緒シナリオはじっくり音声を聞きながら進めていったぐらいです。
また透子の泣き声も何とも言えない出来でした。
「ふぇぇぇ〜」とやられると、どうにも情けない気分になります^^;
全キャラクリアすると、ボーナスで声優さんのコメントが聴けます。
<主題歌・音楽>
ボーカル曲:2曲、BGM:24曲。
主題歌の「I hope so...」を始め、ボーカル曲・BGM共、全般的にレベルは高いです。
雪緒がギターを弾くシーンが印象に残りました。
<感想>
主人公の性格が歪んでいる上、ヒロイン達もまともな精神状態の人はいないので、オーソドックスな純愛シナリオを期待すると裏切られます。
この作品には、基本的に萌えもわかりやすいハッピーエンドも存在しません。
ラブラブになってイチャイチャする…なんてのは全くないです。
キャラクターというより関係を描いている…、シナリオありきでその後キャラクターを作っっている…と言った感じです。
異端側の作品と言えるでしょうし、万人に勧められるものではないと思います。
シナリオは、人によって全く評価が異なると思います。
鬱なストーリー展開に、やけに重く考える登場人物…。
たしかに男女関係(心の葛藤、実技も含む^^;)は語られれるべきテーマなんでしょうけど…。
さらに主人公やヒロインの性格をどう考えるかで、評価が変わっていくでしょう。
やたらネガティブな考え方や突飛な行動などの動機もよくわかりませんし、また説明不足の感が強く、どうにも後味が中途半端です。
もう少しボリュームを増やすべきだと思いますし、シナリオももう少し平易に書けなかったのかと思います。
物事を必要以上に難しく語るのは、褒められたことじゃないですから…。
重いテーマにライターの力量がついていってないように思われます。
ただ、安易なお約束を繰り返す萌えゲーが濫造される中で、あえてこういう作品を作った意気込みは評価したいです。
原画家の人気から考えて、安易な萌えゲーにしておけば確実にヒットする作品だったでしょうし…。
Hシーンはかなり多く、CGも汁気たっぷりなのですが、実用性はさほどないような気がします。
やはり、主人公・ヒロインへの感情移入が難しいからでしょうか…。
(ネタバレ開始)作品のテーマを最も上手く描けていたのは明日菜シナリオではないでしょうか。
騙された男と、騙したつもりの女。永遠でもなく、真実でもなく、そこにあるだけの関係。
でも、なんか明日菜さんヘビみたいですね^^;
雪緒シナリオのBADで待ち構えていたりするしね^^;(ネタバレ終了)
<10点満点での評価>
8点。
評価が難しい作品ですね。
CG・音声・音楽・システム周りなどは安心してお勧め出来るのですが、シナリオを皆さんにお勧めできるかと言うと考えてしまいます。
当然プレイする人に取って受け取り方が違う以上(特にハッピーエンド至上主義の方等)、評価の基準も違ってまいりますしね。
お気に入りのキャラ:須磨寺雪緒
最後に一言:「後日談とかファンディスクは出るのでしょうか?本編を壊しかねないので微妙ですが…。」
〜悠人さんのレビュー
<購入動機>
…それは、私がLeafデフォ買いだからです^^;
それ以外にも、発売前に情報を見ている時、直感で良い作品では?という「匂い」を感じたからです。
どんな匂いかは秘密です^^;
<システム>
メッセージ既読・未読判別、Ctrlキー未読スキップ、オートメッセージ完備。
ボイス・CGバックログ完備、Spaceキーでのメッセージ消去完備など足回りはほぼ完璧に揃っています。
そして面白いのが「音声引継ぎ」。
これはメッセージを先に進めてもボイスは最後まで再生されるというシステムで、先に進めるときに不自然にボイスがカットされる、ということが少なくなります。
これによってより会話のリアリティが向上しており、良い感じです。
<グラフィック>
キャラクターデザイン原案は、なかむらたけし氏とみつみ美里氏。
透子・しのぶ・真帆がなかむら氏で、明日菜・雪緒・恵美梨(妹)がみつみ氏です。
このお二方のイラストは、ほとんどの方が受け入れることが出来るのではないでしょうか。
塗りに関してもさすがはLeaf!口を挟む余地など、どこにもありません。
私が感じた特筆すべき点として、この作品においては夕暮れや月光などの淡い光が支配するシーンが多い為か、光の濃淡、陰などの表現はかなり力が入っているように思われました。
いうなれば、セピア色のフィルターがかかっているかのような…。
美しく、見事な出来でした。
<音楽>
楽曲は24曲。うちヴォーカル曲は主題歌「I hope so...」、及び挿入曲「ヒトリ」の二曲。
前者には作品の特徴を示す独特の味があり、後者はエンディングの余韻を後押ししてくれる出来です。
共にレベルは高く、聞きごたえがあります。
BGMとして使用されている楽曲についてもレベルは高く、シーンの雰囲気の演出に成功していますが、いくつか似た感じの曲があるように感じたのは…確かです。
なお、音楽モードはそのままにしておくと、作中で使用された背景に、ちらちらと雪の降るエフェクトがついたスクリーンセイバーが起動します。
細かいつくりですね^^;
<音声>
ボイスもその演技のレベルが非常に高く、シーンごとの登場人物の感情をうまく表現出来ているように思います。
ちなみに、これはHシーンについても同様です。
<シナリオ>
攻略対象ヒロインは5人いますが、それぞれのエピソードの底流に流れるテーマは一貫しています。
それは「心」です。
この作品はすべてのものは移り行く、という無常観から人の「心」を描写しようとしたものであり、その描写は終始シビアなものとなっています。
登場する人物はあくまでも「人」であり、嘆き、葛藤し、自己中心的な安らぎを見出し、その身勝手さに絶望する…。
そこにフィクションにありがちでご都合主義的な「上手くいくだけの人生」などは存在していません。
カッコつけてなにやら回りくどい言い方をしましたが、要するにこの話しは、どこまでもうわべだけの言葉や奇麗ごとを嫌い、誰もが幸せなハッピーエンドなんてないんだよ、ってことです。
キャラクターの考え方はリアルでも、まずこういう人は滅多にいない…そういう意味では非現実で、身も蓋もない話しです。
しかし、あえてこのような通常なら避ける表現方法を選んでまで「人」を描こうとした点では、これは賞賛すべき意欲作であると私は思います。
どう考えてもエンターテインメントではなく、むしろ「文学」と言ったほうがしっくりくるのではないでしょうか。
<テキスト>
先に述べさせて頂いた通り、テーマがリアルなので、感情を描く為のテキストは抽象的で非常に難解です。
考え、整理しながら読んでいかないと心情把握が上手くいかなくなる可能性があります。
…まぁ、私のおつむがついていけないだけかもしれませんが^^;
誤字・脱字などは特に見受けられませんでした。
<Hシーン>
Leafにしては汁だくです^^;
CVもハイレベルなので、シーンが短いのを除けばそこそこ実用的かと。
数は1ヒロインにつき約4回で、プレイの種類は強姦か和姦のどちらかです。
別段変わったプレイはありません。
それにしても主人公…中出しし過ぎですね^^;
<10点満点での総合評価>
文学としてみた場合9.5点、エンターテインメントとしては8点でしょうか。
非常に考えさせられる作品です。
…でも正直けエンターテインメントとして見ると、クライマックスの感動が足りないと思う…。
お気に入りのキャラ:葉月 真帆
最後に一言:「心なんか…なければいいのに。」