告白の甘い罠 (ひびきさんのレビュー) | 評価: 6 |
▼ タイトル | 告白の甘い罠 |
▼ ブランド | D-Angel |
▼ ジャンル | マルチエンディング型洗脳凌辱系サイコアドベンチャー |
▼ 対応OS | Win98/2000/Me/XP |
▼ メディア | CD-ROM |
▼ 定価 | \8,800 |
▼ 発売日 | 2003/05/02 |
▼ 購入 | あり |
【CG観賞モード 】 | |
【 シーン観賞モード 】 | なし |
【 BGM観賞モード 】 | あり |
【 メッセージスキップ 】 | あり(ctrlでのみ可能) |
【 メッセージ履歴機能 】 | なし |
【 選択肢リターン機能 】 | なし |
【 オートモード 】 | なし |
【 ヒント機能 】 | なし |
【 セーブ数 】 | 20個 |
【 エンディング数 】 | 15個 |
<ストーリー>
主人公は20代後半の大学院生。心理学博士をめざし、日々勉強におわれている。
彼が今研究しているのは、『洗脳における犯罪心理学』といい、『洗脳で犯罪者がつくれるか?』というテーマに取り組んでいる。
彼はインターネットを利用し、ある実験を試みようとする。
自分の研究の成果をためす為にも、どうしてもやってみたいことだ。
それは『サイトにくる女性を会話で洗脳し、自分の性奴隷にすることができるか?』だ。
『Coming Out!
あなたは本当の自分に気がついていますか?
あなたの真実を見せてあげます』
愛のEvangelist
サイトは開始された。初日からいろんな女性が尋ねてきた。
中にはすぐ切ってしまう人もいるが、真剣に悩みを相談してくる人もいる。
相手を操るためには、まずは相手の話しをよく聞いてやり、相手の信頼を勝ち取る事だ。
そして相手の言葉、表情、呼吸、自分から言った言葉の反応等で、相手の願望を嗅ぎ取っていく。
そのうち自分の性癖を告白したりする人がでてきた。
もちろん、そのように会話を誘導しているのだが。
あっという間に期間である2週間が過ぎた。
ここで主人公は最後の仕上げとばかりに旅立ちの前日、このサイトで知り合った全員に、
『会いたい。明日の正午に新宿大型ビジョンの前で待ってる』と、メールを送信する。
奴隷として完成しているか、じかに確認するためだ。
果たして、当日来る女性はいるのか? 物語はエンディングを迎える……。
<キャラクター紹介>
名前 : 聖(Hijiri)CV:南見ちはる
年齢 : 19歳(処女)
T/BWH: 160cm/88.58.86
職業 : 女子大生
趣味 : 読書。カラオケ
性格 : 明るく勤勉。天然ボケの傾向あり。癒し系。
名前 : 由佳(Yuka)CV:瑞希早苗
年齢 : 18歳
T/BWH: 146cm/80.55.79
職業 : 実家のパン屋の看板娘
趣味 : コスプレ。かわいいもの。
性格 : かわいいもの大好きおかし系美少女。コスプレを生きがいにしている。
名前 : 瑞希(Mizuki)CV:星崎るみえ
年齢 : 23歳
T/BWH: 164cm/92.60.86
職業 : イメクラ嬢
趣味 : ホスト遊び。お酒
性格 : 派手好きな寂しがりや。切れやすい。本当の愛に飢えている。
名前 : 亜矢(Aya)CV:安生紅子
年齢 : 22歳
T/BWH: 158cm/84.58.83
職業 : 主婦
趣味 : ブランド品収集。
性格 : わがまま。気分屋。新婚だが、年の離れた旦那のため、セックスレス状態。
名前 : 共美(Tomomi)CV:平田ゆき乃
年齢 : 18歳
T/BWH: 165cm/86.58.84
職業 : フリーター
趣味 : ダンス
性格 : 明朗活発。ダンサーを目指して上京。留学資金の為に、日夜バイトに明け暮れる。
このホームページはD-Angelより一部文章を抜粋しています。
素材の著作権はD-Angelに帰属します。
<購入理由>
CGが気に入ったのと、「ゲーム内の『洗脳』とはどこまでチャチなものか?」という野次馬根性気分から購入を決意しました^^;
<システム補足>
基本事項は上記参照^^;
インストール形態はフルインストールのみ。約650MB必要です。
一度インストールしたら、次からはCD挿入しなくてもOKです。
で、実際インストールしてみると「次のファイルをインストールしています」
Mov-op.avi
…
avi?
いきなりしょっぱなから重そうなファイルがあるなぁ、と思いインストール後にオープニングムービーを見てみると、やっぱり通り重かったです(つД`)
そして最大の欠点、シーン再生モードがないっっっ!
まじっすか!? これは痛手ですよっ!
然らば、エッチシーンの前にセーブしておけばいいか、と言われるとそうでもない。
何故なら会話中にセーブができない!
「誰か、誰か居らぬのか!?」
本能寺で飛び起きた織田信長の心境…までは行かなくても今の時代、エロゲーにシーン再生を装備しなくてどうするんですかっ。
で、何故かBGM鑑賞モードはある。
フツー逆じゃないですかね??
どーゆうことでしょう?
更に
・メッセージ速度が一定で、調節できない(まぁワンクリックで早くなりますが)
・任意のボイスを消すことが出来ない(当然男性のボイスだけを消すことはできません)
決定的なマイナス要因ですね。
システム周りは駄目駄目です。
<音楽・音声>
主人公以外はフルボイスです。
しかし男性の声のみを消せない、というのは痛手です。
音楽は、静かな曲が目立ち、雰囲気に合っている物だと思います。
ボーカル入りの曲が一曲あり、オープニングムービーもあります。
<原画・CGなど>
原画は、藤久ゆいまさん。
CGは柔らかい感じで、適度にデフォルメされていて、エロゲCGとしては合格点だと思います。
ゲームの進行が「ビデオチャット」ということで、「視点(画面)が変らないということは無いだろうな?」と心配していましたが、適度に視点は変りますので、その辺は心配ご無用です。
特に不満はありませんでした(≧∇≦ )b-☆
<エッチシーン>
…全体的に短いです。もう少し長いと良かったのですが…。
画面の向こう側の女性との仮想的なエッチや、女性の回想的なエッチを見る、という感じです。
例えば、女性の体験の告白を聞くとか、女性に恥ずかしい行為や格好をさせる、という形式が多いです。
画面の向こう側の女性とのやりとりですから、本番などはあまりありません。
しかしシーン自体はアブノーマルなエッチが多かったです。
<感想>
このゲームは、帰宅後自宅のパソコンからネットに繋げることから本格的に始まります。
「自分のパソコン」の中で「ゲーム中のパソコン」を操作する、という感じになります。
そのゲームの中のパソコン操作もゲームの中心である「ビデオチャット」だけではなく、他に「BBS」もあり、ここで書きこまれていることが攻略のカギとなることもあります。
少し話はそれますが、このBBSでのやり取りは非常に面白く、その中でも「名無し男」なる者からの冷やかしや場違い、欲望丸出しの投稿には、ニヤリとさせられます^^;
BBSのヒロイン達の書き込みに対して、「あなたは多分マゾなのです。私はSなので、それに気付かせてあげましょう」という書き込みがあったり、その投稿に対して「ボクも殴ってー」というネジが2〜3本飛んだような投稿があったり(‘-‘*)
面白い、面白いですよ、このBBS(o゜▽゜)o!
ついでに2ch用語でも出てくれば抱腹したでしょうけれど、さすがにメーカーさんはそこまでは暴走しなかったようです^^;
で、基本的にはチャットに来る女性を「待つ」ことから始まります。
20〜24時の間を主人公は自由に使うことができます。
で、待っている間のコマンドは、
→タバコを吸う(2分経過)
トイレに行く(5分経過)
お風呂に入る(20分経過)
というようなモノです。
ぶっちゃけて言うと、女性がチャットに入ってくるまで「タバコを吸う」や「トイレに行く」を選びつづけるということになります。;
そしてチャットに女性が来ると「COMING」という文字が出て、信号音が出ます。
…だったら最初から「女性がアクセスしに来るまで煙草を吸いつづける」というコマンドを用意しとけよと小一時間…。
たぶん開発者はデバック等を作業的にこなしているだけで、プレイヤー側の立場には立たなかったのでしょう…。
またゲームの中で、ネットに繋げている状態(チャット待機中、もしくはチャット中)にはセーブをすることができません。
選択肢が出たらセーブしてから選択肢を選ぶ…というのがアドベンチャーの定石ですから、最初は不便だと思いました。
しかし、逆に「セーブできない」ということは、慎重に選択肢を選ぶことになり、ついては臨場感を味わえる、ということに繋がり、これは逆に長所と感じました。
上記のようなゲーム内容ですが、いざチャットで待機していると、最初の方は結構早く女性が訪れてくれるので、待っている時間が間延びする、ということはありませんでした。(流石にゲーム終盤は間延びしますが…)
それにしても訪ねてきた女性に対していきなり単刀直入に「悩みを話してください」とは…。
それでいいのか主人公!?
まったく大学院までに何を学んできたのか…。
しかも主人公は怪しいマスク…。
疑われて当然では?
ってヒロイン達話しちゃってるよ!
ちったー疑えよヒロイン達!
…多分ここは突っ込んではいけないところだったのでしょう^^;
チャットをしている間でも、チャット中に携帯電話が鳴り、そっちと喋り出してしまうヒロインがいたり…というリアリティーや、チャット中に違う女性がチャットにアクセスしてきて、今の女性を優先すべきか、繋いできた女性を優先するか…などの葛藤は良いスパイスとなっています。
ゲームの目的である「洗脳」に至るまでにも、ヒロイン達の回想があり、それを見ることもできます。
大抵は短いエッチシーンですけど^^;
しかし、どうしてヒロインの記憶を視覚的に見ることができるのかが判りかねますが…主人公はテレパシーでも持っているのでしょうか?
まぁ確かにこのゲームは「サイコADV」ですけど^^;
色々な悩みを抱えている女性が訪ねてくるので「その女性達の悩みを解決する」ゲームかと思いきや、ジャンル(マルチエンディング型洗脳凌辱系サイコアドベンチャー)通り、女性達の悩みにつけこんで洗脳する、というゲームでした^^;
<10点満点での総合評価>
6点。
システム面でのマイナス要因(シーン鑑賞モードない等)は致命的ですね。
上のシステム補足に書いた項目が、かなり点数を落としています。
これが改善されて、なおかつキャストが実力派声優さんなら8点つけるのになぁ(-“-;)
勿体無い作品だなぁ。
あ、あとエッチシーンも長くしてください^^;
お気に入りのキャラ:名無し男…顔も声も本名も出てこないヤツですが、何となく好感が持てます。
主人公のチャットが置かれているホームぺージに併設されているBBSに
荒らし的なカキコミをする人です。
聖(Hijiri)…大人しい子が、次第にコワれていく過程が楽しめます。
最後に一言:「痒いところには手が届くけど、掻く力が足りない、といったゲーム。」
在りし日の歌 (たろんなーどさんのレビュー) | 評価: 6.5 |
▼ タイトル | 在りし日の歌 |
▼ ブランド | MERCURIUS(メルクリウス) |
▼ ジャンル | 純愛系伝奇デジタルノベル |
▼ 対応OS | Win98/2000/Me/XP |
▼ メディア | CD-ROM |
▼ 定価 | \8,800 |
▼ 発売日 | 2003/11/28 |
▼ 購入 | あり |
【CG観賞モード 】 | |
【 シーン観賞モード 】 | あり |
【 BGM観賞モード 】 | あり |
【 メッセージスキップ 】 | あり(未読・既読判別あり) |
【 メッセージ履歴機能 】 | あり |
【 選択肢リターン機能 】 | なし(1章ごとのオートセーブあり) |
【 オートモード 】 | あり |
【 ヒント機能 】 | なし |
【 セーブ数 】 | 30個+オートセーブ1個+クイックセーブ1個 |
【 エンディング数 】 | 4個(BADEND含まず) |
<あ・ら・す・じ>
トモル(主人公)は信太町で祖父と二人で暮らしていた。
母親が他界し、わけあって父親とは離れて暮らすようになって、はや十年が経とうとしていた。
その家庭環境を別にすれば、トモルはいたってごく普通の少年だった。
毎日登校しては、クラスメイトたちと馬鹿話をする。
少しぼけーっとしているところが浮き世離れしている風ではあるが、トモル自身は同年代の他の少年に比べて自分に特別なところがあるようには思えなかった。
ただ、トモルはときどき、自分がからっぽであると感じていた。
それがどうしてなのかトモルにはわからない。
知りたいと思ってはいるのだが、とっかかりすらつかめないでいた。
トモルはその日も自分がからっぽであることについて考えていた。
三学期が終わり、明日から春休みという日――
トモルは幼なじみの少女と一緒に下校し、その途中で、信太町の北に位置する小さな山に立ち寄った。
それはほとんど日課のようなものだった。山の中腹にある神社で顔見知りの少女と挨拶を交わし、頂上を目指す。
そこまではいつもと変わりなかった。
山の頂上で、トモルは一人の女性と出会うことになる。
そのときから日常に波が立ち始めていたのだが、トモルは知るよしもなく、気づいたときには波にのみこまれていた。
<キャラクター紹介>
玉藻(たまも)
ある日主人公の妹として現れた謎の少女。
同居している祖父や、幼馴染の千帆も、なぜか以前から彼女がいたように振舞う。
明るく、屈託の無い性格で主人公を煙に巻くような言動を繰り返す。
三好 千帆(みよし ちほ)
主人公のクラスメートにして、幼馴染。
両親は別居中で、現在は父親と二人暮しで自宅の喫茶店を手伝っている。
常に自然体で、物怖じしない性格。
入江 一未(いりえ いつみ)
町の中央にある信太山中腹の信太神社の巫女。
やや病弱で物静かだが、天然ボケのところもある。
人見知りをする性格だが、主人公とは普通にはなすことが出来る。
菻(りん)
信太山の頂上で出会う大人びた女性。ただし、実年齢は不詳。
自称旅人で、この町の出身らしい。
落ち着いた性格だが、悪戯好きで主人公のことをからかうこともある。
日比野 トモル(ひびの ともる)主人公:リネーム不可
信太町にすむごく普通の学生。祖父と二人暮し。
母親とは死別しており、父親も仕事で忙しく何年も帰っていない。
思慮深く、普段から考え事をしていてボーッとしていることが多い。
このホームページはMERCURIUS(メルクリウス)より一部文章を抜粋しています。
素材の著作権はMERCURIUS(メルクリウス)に帰属します。
<音声>
音声はありません。
<音楽>
全19曲+アイキャッチ系5曲、うちボーカル曲1曲。
ボーカル曲は挿入歌「在りし日の歌」(Vo.KIYO)です。
静かな曲調に綺麗な高音、挿入歌の鑑のような出来ですね。
それ以外の曲もストーリー自体がそうなせいもありますが、控えめで静かな曲調。
ゲーム内容に調和した出来で、目立たずBGMに徹していると思います。
地味ながら郷愁を誘うようなBGMで、アイキャッチもピアノの旋律が良い感じです。
それ以外ではあえて音楽を流さない「無音」の演出が時折使われていまして、コレがまたなかなかイイ感じでした。
時には効果音だけ、時には効果音すらなく静寂で、うまく場面を表現していたと思います。
<システム周り>(ver.1.00)
ゲームシステムはきわめてオーソドックスな選択肢型AVG。
章仕立てになっていまして、全5章構成。
一章、二章が共通パートで、そこでの選択でそれ以降各キャラパートに分かれるつくりです。
難易度はかなり低いですね。
選択肢もほとんどがキャラに関わるもので判りやすいですし、まず間違えないと思います。
プレイ時間は1キャラ辺りスキップを使用しなければ3〜5時間前後でしょうか。
システム自体は上記参照。必要なものは充分にそろっていると思います。
また、ほとんどのコマンドがファンクションキーに対応していて一発で飛べるのもありがたいところ。
既読スキップする際もきちんと画面効果を省略してくれたりと至れり尽せりです。
ま〜、あえていうならクイックセーブに確認は要らないかなという気もしましたが、それ位しか言うことは無いくらいシステム面は充実していました。
<CG>
原画は犬神藤丸氏。比較的オーソドックスで癖の少ない絵柄だと思います。
ただ、余りエロゲーっぽくは無い感じですが^^;
何というのか、少し地味というのか、華に欠けるという面はあるかもしれません。
コレは塗りもそうでして、丁寧で落ち着いた色調で塗りられているので、やや地味ですが、影のつけ方や光沢も含めて、なかなか情感のあるCGに仕上がっています。
これもまたゲームの落ち着いた雰囲気を出すのに一役買っています。
ただ、特に主人公の洋服のセンスが気になりましたが…(苦笑)
いや、この辺は好みの問題でしょうが、主人公24時間ジャージみたいなの着てるのはどうなんでしょう?
いくらなんでもそのセンスは無いよな…とか思ってしまったり。
背景もいい感じだと思います。
田舎の風景という感じで、地味ながら丁寧に出来てますし、塗りも落ち着いた感じで少し水彩的な感じを入れたりしているのも、情感が有りゲーム自体にあわせた塗りになっていると思います。
<Hシーン>
いつも通りの一言。
「Hシーンには期待しないで下さい」
以上!
ほとんどのキャラが本編中は1回だけで、シチュエーションもごくノーマルです。
文章はなかなか雰囲気が出ていてHではありますが、音声、効果音等も無いですし、Hシーンがある、というそれ以上でもそれ以下でもない感じです。
ただ、玉藻、千帆、一未の3人はクリア後のオマケシナリオでもう1回Hシーンが有ります。
こちらは本編と違ってややマニアック。
3人とも(ネタバレ)失禁系(ネタバレ終わり)のシチュなのは製作者さんの好みなんですかね^^;
こちらはやや濃いというか、背徳的では有るのですが、本編とのギャップがありすぎて少し違和感が…。
ま、まぁ、Hなのはいいことですよね、ね。
Hシーンに関してはおまけHを含めて標準くらい、という程度でしょうか。
<感想>
このゲーム、タイトルを見てピンときた方もいるかもしれませんが、詩人中原中也(1907〜1937)の第二詩集「在りし日の歌」を元にしてイロイロと意匠が凝らしてあります。
各章のタイトルも「在りし日の歌」内の詩から取られています。
何というのか、彼の詩は独特の「甘ったるさ」(特に恋歌では)の中に一種の諦念というか、物悲しさを内包していて、味わい深い詩が多いのですが…まぁコレは余談ですね。
シナリオに関しては、全体としてはごくノーマルな恋愛モノです。
田舎町でのボーイ・ミーツ・ガールや恋愛感情の再確認のような内容で、そういう意味ではきわめてオーソドックスな感じだと思います。
シナリオ展開は比較的おとなしめというかなんというか…。
上のキャラ設定を読んで判るとおり、ややファンタジーなのですが、それ以外は物語の山も谷も控えめで、物語自体が静かな田舎町の日常を切り取った点描というような、叙情的な落ち着いた雰囲気をかもし出しています。
コレはおそらくゲームコンセプトに合わせてなのでしょうが、淡々と進む物語はいわゆる「ドラマティック」とは対極にあり、その内容は小さいながらも綺麗にまとまった「箱庭」的なシナリオですね。
エピローグも大団円というよりは、余韻を残すコトに重点をおいたような切り方ですし…。
そういった点や回想シーンのはさみ方も含めて、構成はなかなかいい感じだと思いました。
ただ、主人公は自分のことを「からっぽな自分」と言ってみたり、やや発想が変わってるというかやや独特で、ともかく感情移入しにくいタイプですし、少し行動に納得しにくい部分があると思います。
淡々と進む物語も含めて、第3者的に眺めるシナリオなので、主人公の立場でプレイするというようなシナリオではないですね。
とはいえ、実際のところ「盛り上がり」や「ドラマティックな展開」には乏しいのでそういうのを求めている方には今ひとつ、という感じだと思います。
テキストも上記の雰囲気を引き取って、やや散文的な印象を受けます。
多用する「からっぽの自分」という表現をはじめとする独特の表現などは、きちんとゲームの雰囲気に合わせていこうという印象を受けます。
しかし、他の要素に比べると読みやすさやテンポのよさを重視していて、やや「軽い」感じがします。
勿論、そのほうが読む側としては良いと思いますが、ゲーム自体が落ち着いた雰囲気をだしてしっとりとしている中で、全体からするとやや「浮いた」印象を受けるのも確かです。
そういう意味で、多少テンポのよさを犠牲にしてでももう少し落ち着いた文章にするとゲーム全体にもっと合うのではないかな、と思います。
や、今以上に人を選ぶゲームになりそうですが^^;
ただ、一部でテキスト描写と絵に差があったりしたのは気になりました。
例えば、主人公の家の電話、文中に「さすがに黒電話では無いが」云々と言う記述があるのに、そこの背景CG(主人公の家の廊下)には思いっきり黒電話が書かれているのですが^^;。
上にあげたようにシナリオ・テキスト・CG・音楽をはじめとした「ゲーム全体」で綺麗にまとまりをもたせようというコンセプトというかつくりは良く出来ていると思います。
特に演出面は取り立ててキャラを動かしたりという特別な演出をしているわけではないのですが、ゲームの雰囲気に合うという点では良く練られています。
「オートセーブ」もスキップしているとわかるのですが、本当は一瞬で終わっているのに、あえて1秒強の画面効果をつけていたり、アイキャッチのデザインや音楽など細かいところまで配慮の行き届いた見せるための演出はそうとう地味ですが、個人的にはイイ感じです♪
音声が無いだけにシナリオを読み進むのも淡々として早くなりがちですが、そこにメリハリをつけ、展開を「余韻」に変換する時間をプレイヤーに与えています。
そういう「間」の取り方には感心させられました。
音楽であげた無音の演出や雨なども含めて、シナリオだけでなくゲーム全体で「語る」、そんなゲームだと思います。
私個人としては上にも少し書いた「余韻」をつけるのが非常にうまいのかな、と思いました。
それは例えば「エピローグ」であったり、演出による「間」であったり、「無音」だったりするわけですが、単体でなくそういった「空白」や「空間」といった部分で「語る」ことの出来るゲームなのではないかと。
そして、ここで「良く練られたシナリオ」や「感情移入できるシナリオ」ですと、そこについつい「思考」が入っていくわけですが、あえてシナリオやそれ以外の部分を淡白にするコトによってその「空白」にプレイヤーの「思考」ではなく「情感」を入れるコトに成功していると思います。
そういう意味では非常に「詩的」なゲームだと思います。
おそらく、そういう観点から音声も「余韻」や「情感」を阻害しないためにあえて入れていないのではないでしょうか?
う〜ん…上記で色々と褒めているのですが、正直シナリオ派の方にもエロ重視の方にも薦め難いタイトルです。
どちらかというと、Hメインのゲームや、大作シナリオのゲームに疲れたときの「箸休め」というような意味合いとしては良いのではないでしょうか。
それぞれの要素が自己主張する(出来る)場面をあえて抑えて、全体として一つの完成された「作品」としてのゲームを作る、そんなコダワリの感じられる作品でした。
ゲーム自体がやや内向きに「閉じた」雰囲気であり、静かな夜に濃いお酒でも舐めながら「プレイする」でもなく「なんとなく」眺める、コレがこのゲームの楽しみ方なのではないかと…。
(注:自分としては褒めているつもり)
<10点満点での総合評価>
6.5点。
「お勧め」はできないですが、自分としては良くできているなぁ、と感心しました。
お気に入りのキャラ:玉藻…名前で正体バレバレですかね^^;
最後に一言:「雰囲気という点では(シナリオコンセプトは全く違いますが)「RENAISSANCE」(JINN)や
「CRESCENDO」(D.O.)なんかが近い気がします。」