ともみ凌辱 第三話





 ぐったりとした、ともみが俺に寄りかかるようにして、眠っていた。

 体育倉庫の中には、メスとオスの交合の後の獣臭いさが充満していた。

 そんな中、コンクリートがむき出しになった床の上で、俺とともみは横になっていた。

 コンクリートの冷たさが、火照った身体を冷ましていった。

(何考えてるんだろうな‥‥‥この女は‥‥‥)

 俺は幸せそうに眠ってるともみの顔を見つめながら、そんなことを考えていた。

(今までだったら、俺のことを人間じゃなくて、物みたいに見てたり、汚物でも見てるような顔をしてるもんなんだがな‥‥‥)

 今まで何人もの女をメス奴隷みたいに仕立て上げてきた。

 しかし、どいつもこいつも、いつまで経っても、俺のことをそんな目で見続けていた。

 だが、こいつは違った。

 嫌な顔をしたりするが、どういうワケか、幸せそうな顔を時々見せるのだった。

(こいつ、穴にチ○ポをぶちこまれるのが好きなのか?)

 とも思ったが、それほど気持ちいいとは思わない、と言っていたから、そうではないのかもしれない。

(俺には分からないな‥‥‥その理由は‥‥‥)

 俺のオヤジは政治家で、家には滅多に帰ってはこない。

 母親は母親で、マスコミに知られないように、毎日男のところに行っている。

 両親がそんな感じだから、俺は好き勝手やれる立場だった。

 だから、暇つぶしに女をメス奴隷に仕立て上げる遊びを始めたんだ。

 セックスを全く知らないし、人間の醜さも知らない女を汚していくのが楽しいからやめられないでいた。

 自ら腰を振ってよがって、涎を、愛液をだらだらと垂れ流し続け、『チ○ポ、好き』とか脳が溶けてるようなことを言い始める女に変化していくのを見るのが楽しいからでもあった。

(ホント、こいつは何考えてるんだろうな‥‥‥。 ん?)

 俺はあることに気づいた。

(何で、俺はこいつのことを考えてるんだ? こいつは‥‥‥俺の遊び道具だよな?)



                  ◇ ◇ ◇



 数週間前。

(お兄さんは‥‥‥ともみのこと、好きだから‥‥‥。

 でも、愛情表現が下手だからだよね‥‥‥あんなふうに扱うのって‥‥‥)

 暗い夜道を一人で歩きながら、ともみはそう考えていた。

(‥‥‥けど、ともみとするのが目的だったら‥‥‥どうしよう‥‥‥。

 飽きられたら、あっさり捨てられちゃうのかな? お母さんがともみを捨てたみたいに‥‥‥)

 ともみの母親は、どこかの男と一緒に家を出ていってしまっていた。

 その後、離婚届だけが郵送で送られてきて、離婚という形になった。

 離婚してから、すぐにともみの父親は再婚して、今に至る。

(ともみ、捨てられるのは嫌だもん‥‥‥)

 捨てられた時の痛みは人一倍分かっていた。

 それに、いらないものとして扱われる痛みも知っていた。

(捨てられるのだけは‥‥‥)

 後もう少し歩けば、家に着くというところで、立ち止まった。

 ともみは衣服に乱れがないかとか、臭いがしないか確認した。

(お兄さんとあんなことしてるの知られたら、また何言われるか分からないし‥‥‥)

 大丈夫だと分かって安心してから、ともみはまた歩き出した。

 玄関のところで、ともみは深呼吸して、ドアノブに手をかけた。

 そして、ゆっくりと開けた。

 家のドアを開けただけで、気が重くなった。

「ただいま‥‥‥」

 そう言って、靴を脱いだ。 そして、そのまま、リビングルームに行った。

 案の定、幸江が台所にいて、夕飯の支度をしていた。

「あら遅かったのね」

 幸江はともみの顔を見ないでそう言った。

「う、うん‥‥‥ちょっと‥‥‥」

 なんて言ったらいいのか分からないので、言葉を濁した。

「あっそ。 遅くなるんだったら、電話くらいほしいわね。 それくらいできるんでしょ?」

「ご、ごめんなさい‥‥‥」

「あ、そう言えば、あなた、田沼さんの息子さんといい仲なんだって?」

「あっ‥‥‥うん‥‥‥先輩だし‥‥‥」

 ともみが少し驚いた。

(田沼さんの息子さんっていったら、お兄さんのことだよね‥‥‥。

 もう幸江さんにも知られてるなんて‥‥‥困っちゃうな‥‥‥)

「ホント、あなたは母親似よね。 そうやって、股を開いて、男の人を誘惑していたりするところとか」

「‥‥‥」

「この家に男の人、連れ込まないで頂戴ね。 貴史ちゃんに悪い虫が付くから。

 分かったわね? あなたみたいなあばずれが、どこの馬の骨か分からない男とやってるのを貴史ちゃんが見たら、教育的に悪いもの」

 貴史ちゃんとは、幸江の一人息子だった。

 幸江もまた離婚経験があった。

 貴史は前の旦那の息子ながらも、ともみの父親から可愛がられていた。

 そのかわいがり方は、ともみとは対照的で、ともみに対しては、すぐ暴力を振るっていたりする。

「う、うん‥‥‥」

「たらし込んだ男とどっか行けばいいのに‥‥‥」

 幸江がともみに聞こえるようにそう言い放った。

 そう言われて、ともみはうつむくだけで何も言えなかった。

「夕飯はいつも通りあなたの部屋に置いてあるわよ。

 私たちが夕食を食べている間、リビングルームに来ないでね。

 あなたの顔を見ただけでご飯が不味くなるのよ」

「‥‥‥」

「それにね、臭いのよ、あなたの下半身。

 毎日、汚い男とやってるんでしょ? プンプン臭ってるのよ。

 だから、その下半身の臭いなんとかしてちょうだい。 じゃないと家から追い出すわよ」

 目頭が熱くなってきた。 何も言い返せない自分が嫌になってきた。

(なんで‥‥‥ともみ、ここまで言われないといけないの?

 ともみ、悪いことしてないのに‥‥‥どうして‥‥‥どうして‥‥‥)

 涙が流れ始めた。 ともみはその涙を見せないように、リビングルームを出て、自分の部屋に走っていった。

「お父さんに言って、お仕置きしてもわらないと‥‥‥」

 幸江はともみがいなくなってから、独りつぶやいた。



◇ ◇ ◇



 ともみはベットに横になって、天井をぼうっと見つめていた。

 幸江が用意した夕食が机の上に置かれているが、手をつけていない。

 夕食といっても、カップラーメンがただ置かれているだけだった。

 お湯がないだけに食べれなかった。

 それに、今リビングルームに行くと、叱れるから行くに行けなかった。

(この家にともみの居場所‥‥‥ないんだよね‥‥‥)

 そう考えただけで、涙があふれ出てきた。

 この家にいる限り、自分の存在が否定されるだけに、そう考えるのが当然だった。

(‥‥‥ないわけじゃないよね? ともみには‥‥‥お兄さんがいるし‥‥‥。

 ひどいすることするけど‥‥‥ともみのこと、嫌いじゃないはずだし‥‥‥たぶん、好きだからだよね?)

 それから、ともみはしばらくの間、お兄さんのことを考えていた。

(‥‥‥お兄さんは、ともみのこと‥‥‥)

 とりとめのない考えが結論に向かい始めた時、突然部屋のドアが開いた。

「ん?」

 ともみは身体を起こして、ドアの方を見た。 父親と幸江がドアのところに立っていた。

 父親はお酒を飲んでいるらしく、顔が赤く、目が虚ろだった。

 それに、幸江も同様に顔が赤かった。

「どうしたの?」

 と、様子が変なので、恐る恐る訊いた。

「おまえ、男連れ込んでるんだってな」

 と、怒気を含んだ、責め立てるような口調で父親が言った。

「この子ったら、発情期の犬みたいにアンアンうるさいのよ、毎日。

 貴史ちゃんの教育上悪いし、何とかしてくださいよ、お父さん」

 父親の横で、ありもしないことを幸江は言っていた。

「‥‥‥ち、違うもん‥‥‥」

 ともみは反論しようとした。 だが、幸江にギロッとにらまれ、

(ここで逆らったら、もっとひどいことになっちゃうよ‥‥‥ともみ、どうすればいいの?)

 と思って、口をつぐんだ。

「おまえ、口答えする気か!!」

 そう怒鳴って、父親がともみのすぐそばに来た。

 そして、上半身を起こしたままのともみの胸ぐらを掴み、

「この口が悪いのか!!」

 と叫んで、握り拳を作った。

「ぁっ!?」

 その握り拳を振りかぶり、そして、ともみの顔にその拳をたたき込んだ。

「うぐ!?」

 ともみは目をつぶった。 叩かれたとき、頭の中で何かが光ったように感じた。

 次第に痛みが広がり、唇が切れたのか、血の味が口の中を満たし始めた。

 しかし、『痛い』と言う時間を与えないかのように、拳がたたき込まれていた。

 父親が落ち着いて、殴るのを止めたのは、ともみの唇からだらだらと血が流れ始めた頃だった。

 何度も何度も殴られたため、何本も歯が折れたりしていて、ともみの口の中は血だらけになっていた。

 ともみは、目をずっと閉じて、嗚咽を漏らしていた。

 瞼の間から止めどなく、涙が流れ出ていた。

 口から垂れてきている血と、その涙とが混じって、布団に赤いシミを作り続けていた。

 父親はともみの顔が血と涙でくしゃくしゃになっているのを見ながら、

「けっ‥‥‥泣けばいいもんじゃないだろうが、このヤリマンが」

「そうね。 発情した、この子には物足りないくらいね。 もっとやっちゃってよ、お父さん」

「しかしな、これ以上やると、やばそうだし、今日はこれくらいで勘弁しとくぜ」

「でも、お父さん‥‥‥」

「いいんだ、これくらいで」

「‥‥‥は、はい」

「幸江。 明日からな、こいつのマ○コにバイブ挿入しとけ。 学校から帰ってきたら、すぐにだ。

 そうすりゃあ、男を連れ込んだりしないだろ。

 バイブでマ○コかき回されて、気持ちよくってよ、男のチ○ポを突っ込む必要がなくなるだろうからよ」

「それもそうね。 じゃあ、明日からそうさせてもらうわ」

「それに、おまえ。 歯が折れたこととかは、階段から落ちたことにしろよ。 分かったか?」

 と、言われて、ともみは首を縦に振ることしかできなかった。

 その後、二人はケラケラと笑いだし、そして、何事もなかったかのように部屋を出ていった。

 ともみはそんな二人の後ろ姿を呆然と眺めていた。

 どうしてこんな目に遭っているのかが分からないし、どうしてこんな展開になってしまったのか理解できないからだ。

(ともみ、どうしたらいいんだろう‥‥‥)

 ともみには答えを出すことはできなかった。

 できたことと言えば、折れてしまった歯を出すことくらいだった。

 この時、ともみは、父親の言っていたバイブの一件が毎日繰り返されるとは思ってもいなかった。



                    ◇ ◇ ◇



 その前日。

「へぇ〜。 だったら、俺がお前の膣内に射精したときはどう感じるんだ?」

 と、お兄さんに言われて、ともみは当惑した。

 どう答えていいものか分からなかったからだ。

 しかし、何か答えないとお兄さんに嫌われると思って、

「ふ、震えるんです‥‥子宮が‥‥えっと‥‥実際には違うかもしれないんですけど‥‥ともみは‥‥そう感じてるんです‥‥」

「お前よ、男を喜ばすのに長けるのと、ただの精液便所になるのどっちがいい?」

 と、お兄さんがまた訊いた。

「え、えっと‥‥‥」

「どっちだ?」

「男の人を喜ばせる身体に‥‥‥」

「まあ、何をするかは考えておくぜ。 そう答えたからには、ちゃんと俺の言ったとおりの身体にしてもらうが、それでもいいんだな?」

 と、確認されたので、ともみはコクンと頷いたのだった。



                    ◇ ◇ ◇



1週間後。

(何で前歯がなくなってるんだ?)

 ともみが口を開けると、そこにあるはずの何本もの前歯がすべてなくなっていた。

 突然の変化に、俺はその理由が気になった。

「ともみ、前歯どうしたんだ?」

 そう訊ねると、ともみはあからさまに動揺して、口を手で隠した上に、目をそらした。

「俺にその理由が言えないのか?」

「えっ、そ、それは‥‥‥」

「なんだ?」

「あ、あの‥‥‥お、オチ○チンをお口でくわえるときに、歯があると邪魔だって聞いたから‥‥‥だから、その‥‥‥あの‥‥‥」

「前歯を抜いたのか?」

「う、うん‥‥‥ともみね、お、お兄さんに喜んでもらえる身体にしたいから‥‥‥だから‥‥‥だから‥‥‥」

(何か他の理由かもしれないが、ま、構わないか)

 と、納得して、

「それじゃ、不十分だ。 全部抜け。 総入れ歯になっちまうがな。

 あっ、医者は紹介してやるぞ。 ちゃんとした医者が抜いてくれるから、問題ないぜ」

「は、はい‥‥‥」

 そういう運びで、ともみは歯を全部抜いたのだった。

 そして、今に至り‥‥‥。



四話へと続く
(多分^^;)
(↑よろしくお願いいたしますm(_)m)