それでも、今年もまた 鈴鹿に夏がやって来た。
1990年のバブル崩壊後、オートバイレースの人気も下降を続けている。
鈴鹿8耐もこの流れに逆らうことはできず、ピーク時は15,16万人を集めた国内最大の二輪レースも、近年の観客数は7〜8万人の横這いである。この状態を打破すべく、主催者側でもいろいろな努力を続けており、元米米クラブのリーダ石井竜也のプロデュースや、前夜祭にTRFを呼び新規顧客の獲得を試みている。
今年は人気番組であるガチンコTVの企画によるガチンコレーシングチームの出場である。そのうえ、我々世代にとってはバイブルとも言えるバリバリ伝説まで利用され、キーワードが「ガチンコ」と「バリバリ伝説」という企画色のとても濃い8耐となった。(毎夏鈴鹿に集まる8耐フリークの想いは余所に)
例年は7月の最終日曜に開催される8耐本レースだが、今年は8月の第一日曜日に変更された。しかし、企画物の効果か、鈴鹿入りしてみると、ここ数年の中では観客数が増えているようだった。今年はコース改修(本コース周りにオフィシャル用小道を追加)のため観戦スペースが狭くなった分もあり、土曜のスペシャルステージ,日曜の本レースともに観客席の密度は例年になく高く感じられた。
レースは5連勝を狙うホンダワークスに対し、厳しい予算のなか妥当ホンダに燃える他3メーカのワークス精鋭チームの活躍が期待されていた。その体制は、どのチームが勝っても当然のホンダ
HONDA 宇川 徹/加藤 大治郎 VTR1000SPW
HONDA V.ロッシ/C.エドワーズ VTR1000SPW
HONDA 岡田 忠之/A.バロス VTR1000SPW
に対し
SUZUKI 梁 明/加賀山 就臣 GSX−R750
YAMAHA 芳賀 紀行/A.ゴバート YZF−R7
KAWASAKI 柳川 明/井筒 仁康 ZX−7RR
という布陣である。
スタートはポールポジジョンのスズキ梁/加賀山組を先頭にホンダ勢が続く形で始まった。
スズキの梁は昨年の8耐で2位に入賞し、今年のスーパーバイク選手権でも良い結果を出しており、この時点でストップ・ザ・ホンダの最有力候補である。
しかし、約一時間後のライダーチェンジ後オーバーランを犯してしまい、一旦開いた差を取り戻すことはできなかった。
今年も井筒とコンビを組むカワサキの柳川は、シケインで周回遅れと接触,転倒してしまった。この遅れを取り戻そうと、コンビを組む井筒もペースを上げるが、再度転倒してしまい優勝争いからは完全に姿を消した。
KAWASAKI 井筒/ZX−7RR
この後は、ホンダの3台が順位を入れ替えながらのランデブー走行を続ける展開となった。特にレース中盤でのA.バロスとC.エドワーズの接近戦は激しいもので、ホンダ同士の争いにも関わらず観客は盛り上がった。
HONDA V.ロッシ/VTR1000SPW
ホンダ同士の1.2.3にやや差が開いてきた6時間後、ハプニングがあった。逆バンクで転倒したマシンが炎上するというアクシデントで、ペースカーが入ったのである。2位を走っていた岡田と3位の宇川が、2台入ったペースカーにより分断されてしまい、その差が1分以上開いてしまった。

宇川が今年優勝すると、ミスター8耐と呼ばれたマイケルドゥーハンの4勝に並ぶこともあり、日本人コンビの宇川/大二郎(加藤)組の優勝を期待するファンは少なくないはずであった。昨年、トップを走っていたカワサキの井筒がペースカーが入ったことにより2位との差が詰まり、結局転倒リタイヤとなったこともあり、8耐でのペースカーは今年も大きなドラマを呼んだ。
今年のペースカーは宇川に優勝を諦めさせただけではなく、4位を走るスズキにチャンスを与えた。レギュレーション変更を受け入れ3人体制で望むスズキは、決して諦めることなくホンダを追撃していた。毎回のピット作業を最速タイムで成し遂げるスズキチームは、これを機に3位に浮上した。結局このこの姿勢が、表彰台をホンダに独占させることを阻み、スズキチームは3位入賞することができた。ゴール後の梁のインタビューからは、表初台の頂点以外はもういらないと感じられた。
また、ペースカーにより詰まった1位と2位のホンダは、ロッシがここ一番の本気を見せトップを守りきった。
結果として盤石の体制で臨んだホンダが1,2,4位に入り、その強さを見せつけた。昨年までのような驚異のラップタイムが出せなかったヤマハ,今年は悪夢のように転倒を繰り返したカワサキは王者の足下にも及ばなかった。ホンダはこれで5連覇を達成し、ホンダのための鈴鹿8耐になりつつある。
小生も優勝マシンであるHONDA VTR1000SPWの公道版を駆っているが、来年こそはHONDA以外のメーカが意地を見せてくれることを期待したい。
レース結果
1位 ホンダ VTR1000SPW V.ロッシ/C.エドワーズ 周回数:217
2位 ホンダ VTR1000SPW A.バロス/岡田組 周回数:217
3位 スズキ GSX−R750 梁/北川組 周回数:216
追記
話題のガチンコレーシングチームは予選32位でスタートし、決して速くはないが安定したタイムでラップを刻み、最終的に18位でゴールした。レースに波乱を呼ぶことになった転倒の原因になったとさえ言えるが、これはライダーの問題でなく主催者側の問題とも言える。小生は最初から企画物と馬鹿にしていたが、初出場で18位はいくら予算が豊富であったとはいえ、評価して良い結果だと思う。