雷鳥も届かない、更なる高みはアホウドリが導く

軽薄衝動

2002年9月。とある電化製品の購入が、特に日々大きな不満無く使用していた現行自作PC"雷鳥700/GB-7Z"(今付けた)に、「ごめん、君ちょっと力不足」と非情なる宣告をする。
その電化製品とはDVDレコーダー、Panasonic製"DMR-E30"だ。
何の事は無い。要はこれで録画したDVD-RAM内の映像データをPCで観たり編集したりできるようにならないかという、有り触れた欲求を抱いてしまったからだ。
「何でHDD内蔵型にしなかったのか」とかいう詳しい方の声も聞こえてきそうだ。その通り、この機種にはHDDが内蔵されていない。これを買う時に心を過ぎった事は、慣れているパソコンで編集する方が良いという事と、何よりHDDというメディアに対する不信感である。多分、今時のHDDはそれ程ヤワではない。身近且つ使用頻度の高い家電に利用するくらいなんだからそうそう脆弱であったり短命であったりしたら信用に関わる問題だ。だが、それでも日常HDDがクラッシュしたという話は決して珍しい事ではない事を知る身としては、ましてやHDDの換装の利かない家電であればこそ、意識がそれを避けたがってしまったのだった。
話が少し逸れた。
PC上で編集をしたいというのは何より慣れていて使い勝手が良い事と、バックアップが容易である事に他ならない。そしてそれをPC上で実現する為には現行のPCのスペックではかなり無理がかかるのは明白。HDDも15G。いや、普通のデータを扱っている分にはむしろ有り余るものだが、DVD-RAM1枚の容量は4.7G。既に収まっているアプリケーション等通常データの事も考えれば3枚とバックアップが取れない。そして何より必要となるのがDVD-RAMドライブという事になるのだが、これが意外と良い物が出ていない。単純にDVD-RAMの読み書きができるという事ならば、そう迷う選択にはならないだろうが、ご存知の通りDVDメディアには多数の規格がある。DVD-Rは基本として、DVD-RWやDVD+R、DVD+RWと存在していて面倒だ。そんな面倒が後々災いにならないように、できれば複数の規格が使用できるものが望ましい。ところが当時はまだマルチドライブが(殆ど?)無かったのだ。
そんなある日、そんな想いを叶えてくれそうな商品の広告が目に入った。
Panasonic製"LF-D521"という商品だ。DVDマルチドライブを銘打っていて、DVD-RAMと-R、-RWにも対応している(CD-R等も勿論対応)。+Rや+RWは対応していないが、そちらまでは拘るつもりは無かった。発売はまだ先の話だが、このドライブの登場により新たな自作PC製作の気運が高まってきた。

接触不可

同年12月某日。ぼちぼち例のDVD-RAMドライブが発売となっているだろうと買出しを始めた。
ところが、だ。全く手に入らない。最初はよく利用するヨドバシカメラ上野店で探して手に入らなかったので、日を改めて秋葉原界隈のよく知る店を中心に回ったのだが、全く置いていない。
「何故だー!」と心の中で叫びつつとある店で確認すると、どうやらこの商品、かなり人気があるらしいのだ。本格的なメーカー製のマルチドライブという事もあるが、カートリッジ式のディスクも扱える事が結構玄人受けしているらしい。いわれてみれば確かにそこまで対応しているドライブとなると益々選択肢は乏しい。大容量メディアを好むユーザーにとってはまさに待望の一品だったようだ。
こんな状況に至り、数日前の自分の判断に少し後悔をした。実は先のヨドバシへ別用で来店した際、発売前と思われるそれを店員が準備していたのを目撃していたのだ。その時は店頭に並べる前のようでもあったし、手持ちも無かった事もあり敢えて見送ったのだが、それが失敗だった。今回のPC製作の軸となるべきパーツが手に入らない。その後もこまめにショップ巡りをしたが、結局それを手にする事ができたのは新年も明けた1月半ば頃だった。

新機誕生

多少予定がズレ込んだが、DVDドライブの入手に合わせて他のパーツも一式まとめて購入。
下記がその主だったもののリストになる。
M/B Albatoron PX845PEV 安価だが信頼性の評価は高い
CPU Intel Pentium4 2.4BGHz ついにCPUはギガスペックへ
RAM SAMSUNG PC2100 512MB やはりメモリはSAMSUNGが現状最適
HDD Maxtore Y080P0 80G 何となくMaxtoreを選んでしまう
DRIVE DVD-RAM:Panasonic LF-D521 今回の肝
CASE Mets MEC-117BB 電源にMACRON製400Wを搭載
OS Microsoft Windows2000 professional XPはあまり好きでないので

AlbatoronのM/Bは特に決め打ちをしていなかったこのパーツでたまたま店で薦められたものだが、ASUSのスタッフ等も関わった新興のメーカーという事で、購入後の周囲の評価も思ったより良かった。ま、オンボードの音源がちょっと上手く動作しなかったのは残念だったが、後日もうちょっとマシな音源ボードを別途追加したので問題無い。グラフィックボードはそれ程拘っていないので安めの物。それと掘り出し物だったのがPCケース。1万円と標準的な価格ながら剛性、メンテナンス性、デザイン性(可も無く不可も無く)、電源の安定性とどれも比較的良好。サイズは以前のものに比べれば大きくなってしまうが、今時のCPUファンのサイズを考えると仕方が無いだろう。
こうして部材も揃った所で組み上げたのが下の写真だ。

PC
PC

2回目ともなると(職場での経験を含めればもっと多いけど)流石にさしたる問題も無いが、前PCのDVDやらMOやら各ドライブも移設したせいで結構内部が大変な事に。IDEも足りないのでしっかり増設しているが、更に止せばいいのに着脱型のHDDケースなんぞも調子に乗って買ってしまったから性質が悪い。結果的にこの装備はあんまり実を成していないのだが、若気の至りという事にしといて。

容量一兆?

無事組み上がり、2003年10月頃にはメモリもHDDも倍化していた。
その後の使用感についてはその事もあって勿論申し分無い。OSがNTベースになった事で随分と動作の安定化が図れたのも収穫だ。
そして肝心のDVD編集については、今現在はドライブに同梱していたアプリケーションを主に利用しているだけなので本領発揮とまではいっていないかもしれないが、それでもバラバラのディスクに収められたものを内容別に一枚のディスクに纏め直したり、一時的に保存しておきたいものもHDDに収める事でディスク残量をコントロールできたりと、ビデオテープ時代から思えば隔世の感がある。ビデオテープがやたらと幅を利かせる時代は終わりを迎えた。これが何より嬉しい。
ま、新たな弊害としてはHDD容量がお陰様でバカ食いしているという事か。その後更に増えているんだよなあ。
今何ギガあるだろう?まだ単位が繰り上がる程にはなっていないよな・・・。
Tとか・・・、いやいやそんなバカな・・・!!

[reports-13] 2005.08.22再編