「なつ」

   今年もまた あの「なつ」がやってきた
   そう、あの蒸し暑く けだるい日々が
   喧騒と怠惰の日々が

   僕は この夏が苦手だ
   じりじりとした 時の流れのなかで
   苦痛と疲労をもたらす

   風鈴の かん高い音色も
   花火の きらめく光のダンスも
   なんら 安らぎをあたえはしない

   海辺の 水飛沫の冷たさと
   浜辺の 砂浜の熱さは
   まるで 天国と地獄

   冷たく冷やした西瓜の
   あの 赤く、あまい果汁だけが
   ひとときの 開放をもたらす

   夏はもう 終わろうとしている
   夕立ちの 地面をたたきつける雨音も
   カミナリの 地面をゆるがす雷鳴も
   聞くこともなく

   僕は 嫌いではない
   時だけが 正確に過ぎて行く
   ただ それだけの「なつ」の日も





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