| 私は 「ムカデ好き」 においては人後に落ちないと自負していますが、だからといって“毒虫”としての彼らの性質をあなどっているわけではありません。やっぱり噛まれると激しく痛いし、腫れるし、ヘタをするとアレルギーでショック症状が出ることもあります。もちろん採集や飼育にあたってはムカデの生態や性質を知っていれば危険ではありません。 このところ暖かさが増してきて、あちこちから「ムカデが出た」「部屋に入ってこないようにするにはどうしたらいいか」「噛まれない方法を教えろ」「噛まれたらどうすればいいか」などという声が寄せられますので、ここはひとつ「ムカデ対処法」について語ってみたいと思います。 【ムカデに噛まれないために】 ムカデに噛まれないための方法は大きく分けてふたつあります。 ひとつは、ムカデが屋内に入ってきたのを見つけた時の対処です。ムカデが屋内をウロウロしている場合は、お湯をかけたり、掃除機で吸ったり(笑)。バールのようなもので殴打したり、ピンセットで捕まえて飼ってしまったり(爆)・・・ とまあいろいろ手段があります。見つけてしまえばこっちのもんです。 ただ、ムカデが出たうれしさでウットリ眺めていたり、ちょっかいを出して遊んだりしていると(笑)、狭い隙間とかに逃げられて苦労しますので早めに勝負をつけることが大切です。そのためには日ごろから「イメージトレーニング」を重ねておくと良いです。 たとえば「今、テレビの下をムカデが移動中」とか「柱時計の横でムカデ休息中」などという状況を想定し、その場合どんな方法を取ったら良いか考えておきましょう。 家族の役割分担も大切です。たとえば「居間にムカデ出現」の場合は、1.お母ちゃんがお湯をポットから湯飲みに注ぐ、2.お姉さんがそれをムカデにかける、3.お父さんが箸でピシャリと一撃を与える、4.お兄さんがバールのようなもので止めを刺す(合掌)、5.おじいちゃんはそれら一連の指揮をとる、6.おばあちゃんは意味なくナギナタを振る、といったアウンの連携が成否を分けるのです。 「ムカデキンチョール」とかのクスリは、いろいろと副作用があるから使わないのがベターです。 なお、できれば「生け捕りにしてしろおうにプレゼントする」という選択肢もぜひご検討ください(笑) さて、もうひとつは屋室内へ侵入されないための対処です。これがなかなかむずかしいと思います。 これまでもこのサイトの掲示板「なんでも会話部屋」とかで、さんざん議論(?)したのですが、決定的な方法はないので、いろいろな方法を組み合わせて侵入の可能性を限りなくゼロにすることしかできないかと思います。 で、方法としては家やその周辺にムカデが生息する環境をつくらない というのが基本のキです。 ムカデは「せまい」「暗い」「湿り気がある」「餌となる仔蟲がいる」 といった条件のところに暮らしますから、庭や立ち木や軒下の風通しを良くします。 薬を撒くという手もありますが、侵入を防ぐとなると有機リン系のキツイやつが必要になります。農薬関係の解説書などには家の周りにスミチオン(フェニトロチオン)粉剤を5〜10cmの帯状に撒く方法や、外壁の外側下方に10倍散か油剤を噴霧(50ml/u)しておくとよい、などというハナシが出ていましたが、ヒトやペットなどに悪影響が出るかもしれません。現に昨年、フェニトロチオンのホルモン撹乱作用が報告されています。 ただ、バルサンのようなものをたいて、ムカデの餌となる仔虫を駆逐することで ムカデがやってくる意欲を無くすことは可能かもしれません。 石灰などを撒いて湿気を減らすのは吉です。 あとは室内も整理整頓し通気をよくします。 家具がひとつもない、というのが理想です(笑)。 風呂場を使用しないときには、桶やシャンプーや腰掛や浴槽のフタなどをできるだけ浴室の外に出しておくと良いです。メンドウですけどね。それで、ムカデが好んで生息する環境はかなり限られます。 一般に思われているほどムカデはあちこちをウロつきません。 かなり意固地に「狭」「暗」「湿」「仔虫」という条件にこだわっています(笑) 。またムカデは臆病なので振動や風を感じると狭いほうへどんどん逃げていきます。ムカデを採集・飼育する立場から言うと、もっと色んなところに出て来いよ、 と言いたくなるくらいです(笑)。 あと、ゴキブリホイホイを無数に並べるという方法を20年前に試しましたが あまりにばかばかしくて止めました(爆)。 でも、効果はあるかと思う(謎)・・・。それよりも、やはりゴキブリホイホイの世話にならなくてもいいように 家屋の内外から「狭」「暗」「湿」「仔虫」をできるだけ減らすのがキホンかと思います。 蚊帳を釣るのは効果抜群です。暑苦しいけど。 ムカデが家屋に侵入しない最良の方法は家を1メーターほど空中に浮かせておくことです(爆)。まあ、そんなことは当然無理ですので常に注意し、正しく日々暮らしましょう(笑) 【ムカデに噛まれたら】 ムカデはじぶんの身体に触れてくるものに対しては素早く噛み付きます。よく、ムカデに“刺された”という人がいますが、一対の鋭いアゴで噛み付くので“噛まれた”と言うのが正確です。まあ噛まれた本人にとっては刺すも噛むも関係なく痛いですけどね(笑)。 それでそのアゴの先端部分から毒が出てヒトの体内に入るといろいろ問題が起こるわけです。毒に含まれるヒスタミン様物質や溶血タンパク質(ヒスタミン、ヒアルロニダーゼ、サッカラーゼ、セロトニン、蛋白分解酵素など)が、患部やリンパ節の痛みや腫れ、炎症(重症の場合は周辺組織の壊死や潰瘍)あるいはアレルギーの原因になるのです。ですから毒の注入量が少なければ少ないほど良いのです。ムカデに噛まれたからと言って戦意を喪失して噛まれるに任せておいたりせず(笑)、すぐにムカデを振り払いましょう。 そしてまず傷口から毒液を搾り出すイメージで圧迫をかけ、同時に口を当てて吸います。傷口は微小なのでその効果はわずかですがやらないよりは良いです。毒の拡散を減らすため傷口周辺を氷や冷シップ、あるいは水などで冷やし、あれば抗ヒスタミン剤、ステロイド剤の入った軟膏など(たとえばムヒ、オイラックスH軟膏、セロナ、レスタミン軟膏など)を塗ります。それらのことを速攻でやりましょう。とはいえできるだけ安静を保つほうがいいです。 慌てたりパニックになってはいけません。まあ、遠い過去の初恋の記憶でも思い起こしながら朗らかな気持ちで病院に行くのが吉です(笑)。とにかく医師に診てもったほうが良いです。とくに、動悸や悪寒、めまい、吐き気、頭痛などを感じた場合はショックのおそれがあるので救急車を呼んででも行きましょう。救急車なんて滅多に乗れるものではないので良い経験です(笑)。 ムカデの毒そのものは、ハブの毒などと違い、それだけで人を死なせるような毒性はありませんが、こわいのはその中の成分によってアナフィラキシー・ショックというショック症状がごく希に引き起こされることです。とくにムカデに噛まれるのが2度目以上のひとはショックを起こしやすいとされています。これはスズメバチも同じです。 ですから痛いのをガマンして薬を塗って済ませるのではなく、とにかく医師へいく。特にショックがなければ、炎症止めと痛み止めをもらって帰ってくればいいので「こんなことくらいで病院に行くのは恥ずかしい」などと思わず、行きましょう。 よく「ろうそくの蝋を患部に落としたらすぐ治った」とか「ムカデを漬け込んだ胡麻油が良い」とか「玉ねぎの汁が効く」とか「小便をかける」とかいろいろと民間療法が伝わっていますが基本的には薬理学的な根拠はありません。とくにショック症状に対しては無力です。 モノのない時代じゃないんですから、キキメのはっきりしたクスリや医療を活用しましょう。 《 注 》 ここに書いてあるとおりにやったのに、失敗して噛まれたとか、噛まれたから言ったとおりの処置をしたのに余計腫れたとか、そういうことになってもわたしの知ったこっちゃないので(笑)、そういうときはオノレの不運を嘆き、悔恨の日々を過ごしてください(笑) |
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