2001年4月4日 583号  春を待ち焦がれて  酒田 池田 由紀


 今年の冬は格別長く、長引く不況と思わず関連付けたくなるが、季節は間違いなく暖かい春が必ずくるのだから、人はこの寒さに我慢できるのでしょう。
 最近アカウントしているユーザーを訪問してドアに白い紙が張ってあるのを見た。白い紙には「このたび、廃業をしました。……御用の方は、下記へ連絡を」連絡先は弁護士とか管財人とかの名前が書いてあった。 この寒空に白い紙を見たのは2件ほどあった。ひとつは近々、LANを導入する予定になっており、社長もパソコン教室へ行かなくてはとはりきっているところだったのです。
 後日、社長とお会いすることができ、会ったとたん「どうして、なぜ」とつい言葉が出てしまった。
 「池田さん、不渡りでないからまだ良いんだ。先行見通しが明るくないから今のうちと思い、閉じることにしたんです」と。
 製造取引を海外に移すと言われた。これまでも単価を下げられ量でカバーしてきたが、もう無理ということのようだ。
 いつ訪問しても納入時間に間に合うようにフル回転で働いていたから、くやしい思いはどんなだったろうか。
 その日はいつもの作業服の社長ではなく背広姿のためか、踏ん切りをした後のサバサバとした感じが印象に残った。
 いくら頑張って働いてもこの不況の波には抗うことが出来ないような仕組みになっているのだと、あちこちの事業所で実感してしまうのです。

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