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1999年度運動方針(案)

一. はじめに

 

今年の国連事務総長年次報告序文で98年の世界について次のように報告しています。

 

 1998年は、気象関連の自然災害という点では最悪の年となった。洪水や暴風雨により、世界中で数万の人々が死亡したほか、さらに数百万の人々が避難を余儀なくされた。地震による犠牲者を含めると、昨年の自然災害による死者は約5万人程度に及ぶ。 バングラデシュ、インド、ネパールおよび東アジアの広い範囲では大洪水が発生し、数千人が死亡した。バングラデシュでは、国土の3分の2が数ヵ月にわたって浸水し、数百万の人々が家を失った。中国の揚子江大氾濫による死者は3,000人以上、避難民は数百万人に上り、被害総額は300億ドルという驚異的な額に及んだものと見られる。

 暴力的紛争に関し、1998年に見られたもっとも懸念される動向は、戦争の急増である。

アンゴラ、ギニアビサウ、カシミールおよびコソボ、ならびに、エリトリア・エチオピア間では武力紛争が勃発あるいは再発し、また、コンゴ民主共和国をはじめ、長年続いている戦争は、泥沼化している。さらに、今やもっとも頻発する内戦は、国家間の紛争よりも一般市民に対する戦争の影響は悪化している。

洪水であれ、干ばつであれ、暴風雨であれ、地震であれ、人間社会は常に、自然災害に直面する。しかし、今日の災害は人為的な場合もあり、人間の作為(あるいは不作為)は事実上、あらゆる災害を悪化させている。

「自然」災害という言葉はますます、時代遅れの誤った表現となっている。現実に、自然災害を不自然災害とでも呼ぶべきものに変えているのは、人間の行動である。
 貧困と人口圧力は、危険な場所に住まざるを得ない人々を増加させることにより、自然災害のコストを高めている。持続不可能な開発慣行もまた、自然災害の影響の増幅の原因となっている。大規模な樹木伐採は、大雨を吸収する土壌の能力を低下させ、侵食と洪水の可能性を高める。湿地の破壊は、地面が大量の雨水を吸収する能力を低め、洪水の危険性を高める。

1860年代に観測が開始されて以来、1998年は観測史上もっとも暑い年となった。現在の温暖化傾向とこれに関連した極端な気象状況は、その大半が人間の活動によって生じる炭素の排出の産物であるとの証拠が徐々に積み上がっている。

国連大学の最近の研究によれば、戦争に苦しむ国々では、国内の社会集団間に不平等が存在する。重大な要因は貧困ではなく、このことにある。不平等の根拠は、民族性、宗教、国民的アイデンティティーあるいは経済階級に見出しうるが、これが平和的変革への道を閉ざしていることが多い。
 経済衰退もまた暴力的紛争と深い関係があり、経済が縮小するなかでは、経済成長時に比べて、政治は本来、より戦闘的となる。例えば、急激な経済改革と構造調整計画が、それを補完する社会政策もなしに押しつけられた場合、その影響によって政治的安定を損なわれる可能性がある。

 

民主主義が踏みにじられている日本

昨年のノーベル経済学賞受賞者のアマルティア・センは、雑誌「世界」の論文で、20世紀最大の出来事を民主主義の台頭こそが、今世紀の最も際立った進歩であるという結論に至った。と述べ、以下のように主張しています。

 

多数決原理だけが民主主義だと思ってはならない。民主主義が成り立つためには、自由の保護、付与された法的権利の尊重、そして自由な議論と報道、公正な批評の検閲なき公表の保証も必要とされる。さらに、民主主義の積極的な貢献として、(政治的・市民的権利を含む)自由を拡大して個人の生活を豊かにすること、統治者に、国民の必要と要求に応じて積極的に行動を起こさせるような政治的インセンティブを与えること、民主主義の下で可能となる公開の対話や議論のプロセスが、価値観や優先事項の順序形成を助けることである。

日本の政治は、国民の主張に耳を貸さず、公約もかなぐり捨てて、野合した自自公政府が次々と悪法を成立させています。

民主主義を擁護し、くらしと命を守る私達の運動は、労働者・国民から大きな期待を寄せられています。

二. 最も重視しなければならない三つの課題

(1) 第1は国家的リストラ合理化をはねかえす、雇用・反失業のたたかいです。

昨年秋に成立した金融2法は、バブル経済を演出した大銀行救済のために、人減らし合理化、首切り、賃金・賞与カッとを前提にした経営計画を、金融再生委員会で承認することで公的資金投入を申請させるという、リストラ合理化に国がお墨付きを与えるとんでもない法律でした。

この仕組みを経団連の要求によって、すっかりと踏襲したのが、「産業再生法」です。

 

  

大企業の抱えている借金を棒引きにする、企業の遊休地を公的資金で買い取る、過剰設備を廃棄するとき税金の負担を軽くする、企業の分社化・分割・合併・再編を自由に進める仕組みをつくり、この優遇措置を利用するためには、「事業再構築」(=リストラ)計画を提出し、担当大臣から認定を受けなければなりません。

表にあるように、リストラによる自殺者の急増や失業の増加は、県内でも深刻な状況になっています。

「国際競争力の強化・産業再生」を名目に、大企業の首切り・リストラを国家的に支援する産業競争力会議の解雇促進政策を明らかにしながら闘う必要があります。

(2) 第2は、介護保険の改善・公的介護保障の拡充と年金改悪反対の社会保障闘争です。

 

1999年10月1日の国際高齢者年メッセージ他で、国連では次のように高齢者への認識を示しています。  

「国際高齢者年」と20世紀はともに終わりを迎えようとしています。この二つのどちらにも重要な出来事が数多くありました。今世紀には、人間の寿命が急激に延び、社会の年齢構成も大きく変わりました。長寿が20世紀における偉大な成果の一つであることは間違いありません。

過去50年間で平均寿命は20年も延びました。高齢化というと一般的に、世も末だという暗いイメージが付きまといがちですが、寿命の延びは人類に新たなフロンティアをもたらし、私達の精神的、肉体的可能性を広げています。今日の高齢者は、多くの意味で開拓者的存在なのです。この精神を忠実に反映し、この1年間に取られた多くのイニシアチブでは、高齢者自身が革新者、媒介者および指導者の役割を務めてきました。それにより、高齢者は、自分たちに続く高齢者世代の生活をより安全、健康かつ豊かにする道を切り開くことに貢献したのです。

 

高齢者年の統一テーマは「すべての世代のための社会をめざして」です。

高齢者が、社会の負担としてではなく、社会への貢献者として捉えられること 、国民全体が老後に対する備えに関与すること、老いも若きも、経済、社会および文化の発展における伝統と革新のバランスを図るよう協力することを提案しています。

私達地域労連は、社会保障について「すべての世代の問題」として運動に取り組みます。

(3) 第3は、戦争法発動を許さないたたかいです。

8月11日付けの◇天声人語◇がすべてを語っています

 

 〈この国会は歴史に名を残しそうだ。戦争マニュアルのガイドライン関連法、盗聴を認める通信傍受法、国旗・国歌法。自自公の功績である〉。

 本紙夕刊のコラム「素粒子」がそんなふうに書いたのは、5月だ。いまや「歴史に名を残す」ことは確実になった。通信傍受法案の参院委員会強行採決、という付録までつけて。思い出す。半世紀前、どこか似かよった空気が日本をうかがっていた。

 当時、日本はまだ占領下にあった。連合国軍最高司令官のマッカーサー元帥は、朝鮮戦争に先立つ1950年(昭和25年)、年頭の辞で、〈日本国憲法は、自衛の権利を否定したものではない〉と明言。この年の夏、自衛隊の前身である警察予備隊が創設された。

 共産党員と目された人たちへの抑圧(レッドパージ)が始まっていた。NHKの人気番組「日曜娯楽版」のコント――男「大臣! また列車妨害です」。大臣「共産党の仕業だな」。男「大臣! 台風が来るんだそうです」。大臣「共産党のせいだ」。

 51年9月、対日平和条約調印。同じ日、日米安保条約も調印された。 そんな空気に、街も染まる。たとえば「軍艦マーチ」。まずキャバレーで、ついでパチンコ屋で盛大に流され、レコードも復刻された。こうした一連の動きを読売新聞は鋭く「逆コース」と名づけた。「この道はいつか来た道」と。

「世界大百科事典」(平凡社)は逆コースをこう定義する。〈戦後民主主義を否定し、戦前への復帰をめざす動向をいう〉

戦争法を「発動させない」「有事立法を制定させない」「戦争に協力しない」運動とともに、「憲法擁護」での幅広い運動を目指します。

三.主要な課題ととりくみ

1、 働くものの生活と権利を守るたたかい

国民春闘を前進させ、大幅賃上げを実現させるたたかい

国際的に進行する産業再編のなかで、いっさいの犠牲を労働者に転嫁して生き残ろうとす る財界・大企業は、春闘を賃金や労働条件改善の労使交渉の場から、賃下げ・リストラへの協力の場に変質させようと攻撃を強めています。

このような中で、実質賃金が統計史上はじめてダウンし、消費購買力を大きく引下げ、景気回復の足かせとなっています。

民間のこうした状況を、人事院勧告により公務員にまで広げ、労働者の年収をダウンさせる国家的賃下げを跳ね返すたたかいが重要になっています。

今年の春闘では、「春闘共闘会議」をいち早く立上げ、「要求アンケート」を昨年以上に集約し、それを土台にした職場討議の徹底により要求を組成、大幅賃上げ、不況打開を実現するために全力をあげたいと考えます。

労働時間短縮による雇用の拡大を目指します。

98年の毎月勤労統計地方調査結果によると、山形県の総実労働時間は、1994.5時間で全国最長であることが明らかになりました。

雇用問題を解決するために必要なことは、労働時間の短縮です。労働時間をドイツなみに四百時間減らすことで約六百万人の雇用が創出されるといわれています。

さらに、違法な「サービス残業」を規制し、新しい雇用を創出する必要があります。

 違法なサービス残業は、政府統計からの推計で年間三百時間におよんでいます。「サービ ス残業」根絶で四百万人分の雇用が確保されるとの研究もあります。

企業の解雇・リストラの規制を求めるたたかい

これまで3回の「雇用パート110番」には、解雇されたり、通告を受けて相談をしてくるケースが数多くありました。

先にも述べましたが、国家的リストラ合理化が推し進められていることもあり、解雇される労働者は、増えることはあっても減ることはないようです。

最高裁判例の「整理解雇の4要件」を企業に守らせる運動と、「解雇規制法」制定を求める運動を強める必要があります。

雇用創出・失業者の就労保障を求める運動

緊急雇用対策行政への緊急雇用対策への要請の具体化と実現を求めること、企業への乱暴な解雇の自粛を求める運動を引き続き行っていきます。

ハローワーク前での「働きたい人達のアンケート」は、県内でもトップの回答が寄せられ、失業者の皆さんたちの期待の大きさを感じさせられましたが、継続的に取組み、要求実現に力を尽くしたいと思います。

(5) 労働者の権利擁護と、働くルールの確立を求めます。

労働法制の改悪により、女性への保護規定がなくなりましたが、賃金や働かされ方には、まだまだ従来の差別的扱いが残されています。

雇用の流動化による、正社員からパートや契約社員へと不安定雇用に切りかえられるケースが多発しています。

就業規則も見ることもなく働かされている労働者もたくさんいます、憲法で保障された働く権利についての啓蒙を行いながら、労働組合が対等に交渉できる職場を増やしていきます。

昨年度は地域労連として団体交渉に参加する企業も増えていますが、企業内だけでは、力関係が弱い組合でも対等に経営と交渉出来る事になります、経営は嫌うわけですが、労働者にとっては、大きな力になるわけですので今年も積極的に参加できるようにしたいものです。

 

2、 国民生活擁護のたたかい

(1) 安心して受けられる介護制度の確立

来年4月から実施される介護制度は、その全体像がいまだに明らかになっていません、全労連の「網の目キャラバン」による市町村へのアンケート活動による取組の実態の報告、社保協との共同の取り組み等を通じて、「保険あって介護なし」とならないよう運動を強めます。

(2) 年金改悪反対の運動

秋の臨時国会には、政府の年金改悪法が提案されそうです、支給開始年齢の引上げ・賃金スライド制の廃止・給付金額の引下げなど、際限のない改悪です、全力で阻止しなければなりません。 

(3) 医療制度改悪阻止の運動

健保本人3割負担・老人医療の更なる改悪などが来年にむけて準備されています。長期不況のなか将来への不安を増長させ、消費を冷え込ませる改悪に引き続き反対していきます。

(4) 消費税減税を実現させる運動への取組み

経済学者もほとんどが認めているように、景気回復の切り札は、消費税の減税です3%に戻す運動を広範な共同により実現を求めていきます。

(5) 地域の中小業者の営業を守る運動

ジャスコの三川町への進出計画は、大店審で規模を縮小することで認可されましたが、建設については不明です。今後も住民のための商店街を残す立場から運動を続けていきます。

金融再編で自己資本比率アップのために、中小企業への貸し渋りが懸念されています、中小企業の営業を守る立場からの監視を続けていきます。

(6) 食料と農業を守る運動

「食と農、地域経済を守る一斉共同行動」が、農協労・農民連を中心に10月から11月に全国で展開されます。

@食糧の海外依存をやめ食料自給率向上への政策転換A食料主権を尊重したWTO協定への改正B再生産価格保障政策の充実と実現C食料の安全を守る安全行政と検査基準の強化D学校給食の民間委託廃止と、国産新米の使用、などを要求しています。

呼びかけによる共同行動への参加をしていきます。

 

3、戦争法の発動許さず、憲法守る運動を

戦争法案が自民、自由、公明三党によって強行されましたが、ユーゴ空爆のように国連  決定や国際法も無視したアメリカの戦争に参加する道をひらいたものです。

戦争法案の廃止を求めつつ、@法律を発動させない、A有事立法を制定させない、B戦争に協力しない運動にとりくみます。

戦争法の強行に続いて、盗聴法、国民総背番号制への住民基本台帳法、君が代・日の丸法制化、「憲法調査会」設置など、日本国憲法を踏みにじる反動法案が次々に強行されました。

地域労連は、広範な平和勢力といっしょになって、平和行進・原水爆禁止・憲法を守るたたかいを今年も粘り強く続けていきます。

 

4、組織の強化拡大を目指して

 

世界23カ国価値観データブック「信頼しているか」の回答に見る  

 日本人の意識

「世界価値観調査」

1995年11月に日本国内の実査を行い,現在日本を含めて23カ国(台湾,プエルトリコを含む)の集計が完了した。調査は、ミシガン大学社会調査研究所のロナルド・イングルバート教授が中心になって,世界各国の研究機関に呼びかけて,実現した国際プロジェクトである。

 労働組合は、宗教団体や政党・大企業より信頼されていることに注目。

 

雑誌「労働運動」4月号で、当地域労連の「雇用パート110番」の取り組みが全国に紹介されました。それまでは全く地域労連の存在すら知らなかった人達が、相談をきっかけに組合を結成し、解雇撤回を勝ち取り、要求を実現しました。

地域では誰でも知っている地域労連になる事によって、これまでは、泣き寝入りしてきた労働者が、地域労連に結集してくれる事は間違いありません。労働組合が私達が考えている以上に期待されている事に確信を持って運動の輪を大きく広げていきましょう。

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