単式簿記と複式簿記
 単式簿記
 「単式簿記」とはいわゆる家計簿のようなもので、現金の出入りを基準に把握していこうとするものです。ここで重要なのは、家計簿は月末なら月末など、ある一定期間経過後の現金の残高を知ることはできますが、一月の間に食費がいくらかかり、被服代がいくらかかったのかなどの現金の増減の内訳を知るには、再度家計簿をみながら計算器をたたいて集計し直す必要があります。つまり単式簿記では結果としての現金の残高を知ることはできますが、その結果にいたるまでの原因を知るには不便であるということです。
 複式簿記
 複式簿記は、取引を原因と結果という二つの側面から把握していくもので、これにより財産の計算と損益の計算を同時に行っていきます。すなわち、商品を売り上げて現金を受け取ったというような取引の場合、現金の増加という結果がもたらされたのは、商品の売り上げという原因の発生があったわけです。そこで複式簿記では商品の売り上げという原因を売り上げという収益の発生、その結果との現金の増加を現金という資産の増加と認識していきます。
 また商品を売り上げて現金を受け取るという取引以外でも、取引には必ずなんらかの原因が発生あるからそれにともなって結果が存在しているという規則性があります。そこで複式簿記ではこのような取引の規則性に着目して、原因と結果とを同時に把握していこうとする簿記の記帳システムなのです。
 そしてある一定期間経過した後において、その一定期間内に発生した取引の結果を集計していくと(実際には残高試算表の残高を集計していきます)、資産や負債の残高が確認でき(これが財産の計算)、またその損益も把握できます(これが損益の計算)。