虫歯の確率、喫煙で倍増
■20代では2.9倍
 たばこを吸うと、虫歯になる確率が二倍に増える―。中電病院(広島市中区)の平賀裕之・内科副部長(39)が分析した企業検診のデータから、こんな結果が出た。虫歯になりやすい喫煙の害を裏付けたとして、「虫歯抑制のためにも、禁煙を」と勧めている。広島市内のある企業の協力で、社員のほぼ全員に当たる二千四百二十人について、歯科検診のデータと、別の問診で尋ねてあった喫煙習慣の有無を一人ひとり照合。たばこを吸う人、吸わない人のグループに分け、治療していない虫歯が一本以上ある割合を比べた。全体では、喫煙者のうち38%に虫歯があり、非喫煙者の18%に比べて二・一倍多かった。
 年齢別にみると、二十〜四十代のどの年代でも喫煙者の虫歯率が上回り、中でも二十代では二・九倍も高かった。三十代で二・一倍、四十代で二・二倍だった。五十代以上では、喫煙者31%、非喫煙者32%と虫歯の比率が逆転している。平賀医師は「喫煙者は歯周病が進んで入れ歯に替わり、歯の本数自体が減って、虫歯の率が少なく出たのだろう」とみている。
 喫煙の害は、ニコチンの作用で歯肉の血液量が減るなどし、歯周病の原因細菌を働きやすくするメカニズムが、既に解明されている。虫歯との関係について平賀医師は「はっきり分からないが、歯周病と同じような(細菌を活発化させる)メカニズムが働いているのでは」と推測している。広島県禁煙支援ネットワーク運営委員長を務める、安佐市民病院(安佐北区)の岩森茂名誉院長は「成人の喫煙と虫歯の関係を明らかにしたデータは珍しい。調査対象者が多く、説得力もある。禁煙運動の追い風になる」と話している。
中国新聞地域ニュース(平成16年3月6日)
『喫煙によってむし歯になる』、歯科医師の私ですら首を傾げるデータである。喫煙と歯周病の関係は昨今、言われている所であるが、喫煙とむし歯はむし歯の成因から考えさせられる事になる。ただ『禁煙運動』を進める上で、一考に価するデータでもある。