義歯洗浄剤と軟質裏装義歯
 義歯洗浄剤の目的は、義歯性口内炎の原因となっているプラーク、特にカンジダ菌を除去することや、歯石様沈着物、着色、臭いをとることにあります。現在、日本で市販されている一般有名メーカーの義歯洗浄剤は、中性過酸化物+酵素系のものがほとんど全てといっていいくらいです。
主成分
漂白剤(中性過酸化物)
酵 素(タンパク質分解)
発泡剤(視覚的な効果)
界面活性剤(洗剤成分)
香 料
斉藤歯科医院推奨義歯洗浄剤
入り数 1ケース(30包入)
成分 酸素系漂白剤、二酸化チタン、リン酸塩、ケイ酸塩 pH:9.4
 二酸化チタンの温水効果を利用した新しいタイプの入れ歯洗浄剤で、従来のタイプの製品と比べて洗浄力が向上し、こびりついた頑固な歯石や臭い、タバコのヤニやお茶などによる汚れを簡単・安全に取り除き除菌。
 この中性過酸化物が義歯についた着色を漂白し、しいては義歯そのものを脱灰し、パーシャルのクラスプ・バーを酸化変色させる様です。最近は、テレビのCMでもありますが、クラスプの酸化を押さえた【パーシャルデント】なども売り出されている様です。
 鹿児島大学理工・補綴学教室や、広島大学浜田教室より発表(歯界展望)されておりますが、軟質裏装材で裏装したデンチャーに市販の義歯洗浄剤を使用すると、一晩で裏装材の表面が荒れて、せっかくの裏装面が台無しになることがあります。
 そのため一層デンチャープラークが溜まりやすくなって、次第に歯石様石灰化による表面硬化が起こってきます。軟質ほど汚れやすく臭いもつきやすいから、患者さんは清潔に保とうとして義歯洗浄剤を使用し、悪循環になります。これは煮沸した場合も同じです。
 話しは変わりますが、なぜ義歯洗浄剤の形態は錠剤や顆粒状なのでしょうか?それは洗剤成分として含まれている界面活性剤は、そのままの形ではミクロン単位の細かな粉剤が周囲に飛散して鼻の粘膜を刺激し、洗浄準備の度にくしゃみが出て、口から義歯が脱落してしまうからです。ですから飛散しないように顆粒状や錠剤になっているのです。冗談のようですが、極わずかでもかなりきついくしゃみが出ます。