中国産の練り歯磨きに毒物のジエチレングリコールが混入
 2007年5月23日、FDA(アメリカ食品医薬品局)は中国産の練り歯磨きからジエチレングリコールが発見されたとして、全面的な調査を開始した。報道を受け、中国でも各地の練り歯磨き工場での立ち入り検査が行われているもよう。
 今回きっかけとなったのは、パナマで中国産練り歯磨きから致死量のジエチレングリコールが発見されたこと。製造元の江蘇省丹陽市の成事家化有限公司は輸出専門の練り歯磨き製造業者。中国ではジエチレングリコールを規制する法律がなく、企業の自主判断に任され、練り歯磨きに少量のジエチレングリコールを使用することは合法であり安全だとコメントしている。←この自覚がない所が怖い
 また2007年5月8日、パナマで中国からグリセリンと偽造されて輸出されたジエチレングリコールを使用したシロップ風邪薬を政府が配布し、確認されただけでも100人以上(主に乳幼児)が死亡、死亡報告数は350人を超すという悲惨なニュースがあった。
 毒性シロップは、これまでにもハイチやバングラデシュ、アルゼンチン、ナイジェリア、インドなど、世界各地で発生した多くの毒物・劇物集団死亡事件の原因として推定されてきた。しかし、毒性物質の出どころはこれまで謎に包まれていた。
 日本でも昭和60年7月輸入された貴腐ワインにジエチレングリコールが混入、61.019本が回収・消却される事件があった。
 ジエチレングリコールは安価な甘味料・保湿剤として甘みととろみに使用されるケースが多いが、毒性があり致死量は1-2g/kg(体重)と推定。また不凍液にも混ぜられており北国ではわりとなじみ深い。