レセプト完全オンライン化へ 2010年度末めどに
 厚生労働省は、病院が医療費などを保険請求する際の診療報酬明細書(レセプト)を、2010年度末をめどに完全電子化してオンライン化する方針を固めた。これまで紙のレセプトが主流で、非効率などの批判があった。06年度にもオンライン請求による医療費の支払いができるよう省令を改正し、大病院と薬局から始め、今後5年かけて段階的に診療所まで広げる。整備を経済的に後押しするため、導入した医療機関は診療報酬で評価することも検討している。
 オンライン化は、18日の与党社会保障政策会議で「計画的な実施を目指す」とされたほか、政府のIT戦略本部や規制改革・民間開放推進会議からも求められていた。オンライン化で医療費の誤った請求や無駄遣いをチェックしやすくなるほか、病気の傾向を分析して保健指導に役立てるなどの取り組みも可能になるとされる。
 レセプトは医療機関が作成し、患者の病名や検査、投薬など治療内容が記載されている。支払機関に送られてチェックを受けた後、国民健康保険や政府管掌健康保険、健康保険組合などの公的医療保険に送られ、医療費が医療機関に支払われる仕組みになっている。
 レセプトの審査をしている社会保険診療報酬支払基金はすでに、健保組合などの保険者に対して電子データで提供できるようにする方針を決めているが、医療機関から支払機関へのレセプトについては、電子化されているのは病院で2割程度、医療機関全体では1割程度にとどまっていた。
(朝日新聞、2005年11月21日)