“滅私奉公タイプ”は「メニエール病」になりやすい
 他人の期待に沿いたい一心で徹底的に仕事に打ち込み、嫌なことも我慢する――。こうした“滅私奉公タイプ”の人は、めまいや難聴を起こす「メニエール病」になりやすいことが、高橋正紘・東海大医学部教授(日本めまい平衡医学会理事長)の7年間の患者調査で分かった。メニエール病患者約200人(15―77歳)に、性格や日常生活などについてアンケートで答えてもらい、ある企業の従業員約4000人にも同一の調査を実施して比較分析した。
 その結果、患者に顕著だったのは、「親や上司の期待に沿うよう努める」「嫌なことも我慢する」と、他人の目を気にして自分を抑える傾向。「おおいにそうだ」と答えた割合は、患者の方が2・5―3倍高かった。患者は、職場や対人関係への不満は小さいが「ストレス源は他人の自分に対する評価」と答えるケースが多いことも分かった。「1度に2つのことをしようとする」「仕事その他に熱中しやすい」など物事に徹底的に取り組むと答えた患者の割合は、従業員の約2・5倍で、心を休める時間が少ないことも浮き彫りになった。高橋教授は「メニエール病の原因は不明だが、個人の行動特性に強い関係があることが分かった。こうした人は、自分だけの自由な時間を持てるように努めるべきだ」と話している。

 ◆メニエール病=平衡感覚をつかさどる内耳にリンパ液がたまり、正常に働かなくなって激しいめまいや吐き気が反復して起きる病気。数年後に難聴に陥る場合も。