アゴの骨から完全な歯再生…犬で成功
 東京大学医科学研究所の上田 実教授らは、犬を使った実験で、あごの骨の細胞から完全な歯を再生することに初めて成功した。歯の再生治療が実現すれば、高齢者の生活の質向上につながると期待されている。
 上田教授らは、犬のあごの骨から歯の元となる組織「歯胚(しはい)」を採取し、その中から、様々な器官に成長する能力を持つ「幹細胞」を取り出すことに成功。コラーゲン繊維とともに培養した上で、あごの骨に戻した。その結果、20週間後にはエナメル質や象牙(ぞうげ)質、歯髄(しずい)などひとそろいの組織がそろった歯に成長した。内部には血管や神経も確認できた。
 日本炎症・再生医学会会長の中畑龍俊京都大教授の話「歯にも幹細胞があるのは知られていたが、完全な歯まで分化させたのは画期的で、将来の再生医療として有望だ。
 (2003年12月14日 読売新聞)